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2024年02月13日
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える5
4 データベースの作成・分析
データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容はそれぞれの言語ごとに構文と意味の解析をし、何かの組を作ればよい。しかし、共生は作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容はそれぞれの言語ごとに構文と意味の解析をし、何かの組を作ればよい。しかし、共生は作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
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ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える4
共生の読みは、コンパクトなスケッチ風の空間描写を好むベルの文体から、「大脳辺縁系と頭頂連合野」にする。大脳辺縁系は、本能や情動を司り、記憶の海馬、好き嫌いの扁桃体、やる気の側座核などからなる。これに対して、感覚、思考、判断といった行動を司っているのは、大脳皮質である。大脳皮質は、思考、判断、創造の前頭葉、刺激を筋肉に送り運動を制御する頭頂葉、記憶の側頭葉、視覚の後頭葉という4つの脳葉がある。
さらに、高島(2006)では、機能面の領野として、五感の情報を受け取る感覚野、運動を制御する運動野、大脳各部からの情報を受け取り統合して言語や思考を判断する連合野を加えている。連合野とは、記憶を蓄積する側頭連合野、感覚や空間認識の情報を処理する頭頂連合野、創造性、やる気、反省、自己顕示欲といった精神活動の前頭連合野である。
ハインリッヒ・ベルの作品では空間認識が重要な情報となっているため、シナジーのメタファーは、「ハインリッヒ・ベルと頭頂連合野」にする。
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
さらに、高島(2006)では、機能面の領野として、五感の情報を受け取る感覚野、運動を制御する運動野、大脳各部からの情報を受け取り統合して言語や思考を判断する連合野を加えている。連合野とは、記憶を蓄積する側頭連合野、感覚や空間認識の情報を処理する頭頂連合野、創造性、やる気、反省、自己顕示欲といった精神活動の前頭連合野である。
ハインリッヒ・ベルの作品では空間認識が重要な情報となっているため、シナジーのメタファーは、「ハインリッヒ・ベルと頭頂連合野」にする。
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える3
3 「旅人よ..」の五感を交えたLのストーリー
「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の購読脳を「空間と荒廃の中の不壊」としよう。戦争体験の表白に特徴があるハインリッヒ・ベルは、藤本他(1981)によると、無力な庶民にとっての戦争の実態、戦後の困難、個人の無意味な死にざま、理不尽な苦悩を提示したとある。手塚(1981)は、キリスト教のカトリックの立場から、飾り気のない文体による作者の誠実さが伺われる作風で、現在の荒廃の中でも壊れないものがあるとする。
それは、製図室の描写が続くため、視覚情報もさること、追想の記事には叫びや臭い、味、接触といった感覚情報も見られる。こうした感覚情報から、ベルの執筆時の脳の活動を探るために、まず五感情報の伝達の様子についてまとめてみよう。
執筆脳は、場面の説明に視覚と嗅覚が使われていることから、外界からの刺激が最終的に伝わる大脳皮質のうち後頭葉や嗅覚野がヒントになりそうである。特に、嗅覚は、他の五感と異なり大脳辺縁系にダイレクトに伝わり、喜怒哀楽や本能的な快不快など人間の情動に深く関わっている。一方、他の感覚の刺激は、視床を経由して大脳へと伝わる。「森鴎外と感情」というシナジーのメタファーを取り上げた際にも、本能を司る情動については説明している。(花村2017)
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の購読脳を「空間と荒廃の中の不壊」としよう。戦争体験の表白に特徴があるハインリッヒ・ベルは、藤本他(1981)によると、無力な庶民にとっての戦争の実態、戦後の困難、個人の無意味な死にざま、理不尽な苦悩を提示したとある。手塚(1981)は、キリスト教のカトリックの立場から、飾り気のない文体による作者の誠実さが伺われる作風で、現在の荒廃の中でも壊れないものがあるとする。
それは、製図室の描写が続くため、視覚情報もさること、追想の記事には叫びや臭い、味、接触といった感覚情報も見られる。こうした感覚情報から、ベルの執筆時の脳の活動を探るために、まず五感情報の伝達の様子についてまとめてみよう。
執筆脳は、場面の説明に視覚と嗅覚が使われていることから、外界からの刺激が最終的に伝わる大脳皮質のうち後頭葉や嗅覚野がヒントになりそうである。特に、嗅覚は、他の五感と異なり大脳辺縁系にダイレクトに伝わり、喜怒哀楽や本能的な快不快など人間の情動に深く関わっている。一方、他の感覚の刺激は、視床を経由して大脳へと伝わる。「森鴎外と感情」というシナジーのメタファーを取り上げた際にも、本能を司る情動については説明している。(花村2017)
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える2
2 時代の背景
世界大戦後のドイツ文学の特徴は、戦争体験の告白と廃墟からの原点を探究することであった。ハインリッヒ・ベル(1917−1985)の作品は、前者に属し、ドイツ庶民の戦争体験や戦後の苦悩及び困難を一枚の絵のように提示している。ベルは、1917年12月、ケルンに生まれた。
ベルの父は、国民軍の兵士として橋の見張りをした。戦争を呪っていた。父方の祖先は、カトリック教徒で英国から亡命し、しばらく船大工をしてから田舎で家具職人になった。母方の祖先は農夫で、浪費が激しく貧しかった。 ハインリッヒ・ベルの回想は、ヒンデンブルクの並木道、ライン川の橋での隊列、父の工場のにわかのにおい、通りにあったゲルマンの名前トイトブルク、エブローネン、釜土を愛した母の頭振りなどで、ライン川を離れて暮らすことはなかった。父の仕事は当たった。1兆マルクにもなり、ベルは、棒のキャンディーを食べることができた。
数年後、同窓の仲間が休み時間に食料を求めてきた。彼らの父親は、失業したからだ。自転車で学校へ行くとき、不安、ストライキ、赤旗で満たされたケルンの街を目にした。数年後、失業者は、就職し、警官、軍人、死刑執行人、軍需産業の仕事をした。強制収容所に残った者もいる。有罪判決を受けた人たちにとって苦痛は総じて大き過ぎた。災いを解読しようと試みたが、公式は見つからない。ことばが後から見つかるからである。
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
世界大戦後のドイツ文学の特徴は、戦争体験の告白と廃墟からの原点を探究することであった。ハインリッヒ・ベル(1917−1985)の作品は、前者に属し、ドイツ庶民の戦争体験や戦後の苦悩及び困難を一枚の絵のように提示している。ベルは、1917年12月、ケルンに生まれた。
ベルの父は、国民軍の兵士として橋の見張りをした。戦争を呪っていた。父方の祖先は、カトリック教徒で英国から亡命し、しばらく船大工をしてから田舎で家具職人になった。母方の祖先は農夫で、浪費が激しく貧しかった。 ハインリッヒ・ベルの回想は、ヒンデンブルクの並木道、ライン川の橋での隊列、父の工場のにわかのにおい、通りにあったゲルマンの名前トイトブルク、エブローネン、釜土を愛した母の頭振りなどで、ライン川を離れて暮らすことはなかった。父の仕事は当たった。1兆マルクにもなり、ベルは、棒のキャンディーを食べることができた。
数年後、同窓の仲間が休み時間に食料を求めてきた。彼らの父親は、失業したからだ。自転車で学校へ行くとき、不安、ストライキ、赤旗で満たされたケルンの街を目にした。数年後、失業者は、就職し、警官、軍人、死刑執行人、軍需産業の仕事をした。強制収容所に残った者もいる。有罪判決を受けた人たちにとって苦痛は総じて大き過ぎた。災いを解読しようと試みたが、公式は見つからない。ことばが後から見つかるからである。
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える1
1 先行研究
文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。
執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。
筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なお、Lのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。
執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。
筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なお、Lのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
2024年02月11日
フランツ・カフカの「変身」で執筆脳を考える9
5 まとめ
受容の読みによる「異化と人の最小価値」という出力は、すぐに共生の読みの入力となる。続けて、データベースの問題解決の場面を考察すると、「適応と反応」という人間の脳の活動と結びつき、その後、信号のフォーカスは、購読脳の出力のポジションに戻る。この分析を繰り返すことにより、「フランツ・カフカと適応」というシナジーのメタファーが見えてくる。
この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。
参考文献
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員受験対策講座3 心の健康管理 ヘルスケア出版 2014
佐藤晃一 ドイツ文学史 明治書院 1979
関口存男 ドイツ語文法 接続法の詳細 三修社 1981
手塚富雄 ドイツ文学案内 岩波文庫 1981
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁/戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 華東理工大学出版社 2019
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−危機管理者としての作家について 中国日语教学研究会上海分会論文集 2020
花村嘉英 横光利一の「蝿」の執筆脳について ファンブログ 2020
藤本淳雄他 ドイツ文学史 東京大学出版会 1981
Franz Kafka Die Verwandlung Reclam 1984
Egon Schwarz Nachwort für die Verwandlung Reclam 1984
受容の読みによる「異化と人の最小価値」という出力は、すぐに共生の読みの入力となる。続けて、データベースの問題解決の場面を考察すると、「適応と反応」という人間の脳の活動と結びつき、その後、信号のフォーカスは、購読脳の出力のポジションに戻る。この分析を繰り返すことにより、「フランツ・カフカと適応」というシナジーのメタファーが見えてくる。
この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。
参考文献
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員受験対策講座3 心の健康管理 ヘルスケア出版 2014
佐藤晃一 ドイツ文学史 明治書院 1979
関口存男 ドイツ語文法 接続法の詳細 三修社 1981
手塚富雄 ドイツ文学案内 岩波文庫 1981
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁/戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 華東理工大学出版社 2019
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−危機管理者としての作家について 中国日语教学研究会上海分会論文集 2020
花村嘉英 横光利一の「蝿」の執筆脳について ファンブログ 2020
藤本淳雄他 ドイツ文学史 東京大学出版会 1981
Franz Kafka Die Verwandlung Reclam 1984
Egon Schwarz Nachwort für die Verwandlung Reclam 1984
フランツ・カフカの「変身」で執筆脳を考える8
A 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能はA反応の過程である。
B 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能はA反応の過程である。
C 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、人工知能は@適応である。
D 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能はA反応の過程である。
E 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、人工知能は@適応である。
結果
言語の認知の出力「異化と人の最小価値」が情報の認知の入力となり、まず何かに反応する。次に、その反応が情報の認知で新情報となり、結局、この場面では、問題解決に至り、「異化と人の最小価値」が「適応と反応」からなる組みと相互に作用する。
記憶については、A、B、Cが短期記憶、Dが作業記憶、Eが長期記憶になる。この場面では作者の記憶と感情が生まれるか否かという問題と相互に作用するため、カフカの執筆脳は、適応に特徴がある。
花村嘉英(2020)「フランツ・カフカの『変身』の執筆脳について」より
B 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能はA反応の過程である。
C 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、人工知能は@適応である。
D 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能はA反応の過程である。
E 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、人工知能は@適応である。
結果
言語の認知の出力「異化と人の最小価値」が情報の認知の入力となり、まず何かに反応する。次に、その反応が情報の認知で新情報となり、結局、この場面では、問題解決に至り、「異化と人の最小価値」が「適応と反応」からなる組みと相互に作用する。
記憶については、A、B、Cが短期記憶、Dが作業記憶、Eが長期記憶になる。この場面では作者の記憶と感情が生まれるか否かという問題と相互に作用するため、カフカの執筆脳は、適応に特徴がある。
花村嘉英(2020)「フランツ・カフカの『変身』の執筆脳について」より
フランツ・カフカの「変身」で執筆脳を考える7
【連想分析2】
表3 情報の認知
A 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、情報の認知4 2
B 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、情報の認知4 2
C 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1、情報の認知4 1
D 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、情報の認知4 2
E 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1、情報の認知4 1
分析例
(1)「変身」執筆時のカフカの脳の活動を「適応と反応」という組からなると考えている。彼の文体が常に彼の実存を反映し、空想やユーモアにも動機づけに真実があるためである。
(2)情報の認知1(感覚情報)感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、Bその他の反応である。
(3)情報の認知2(記憶と学習)外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。また、未知の情報はカテゴリー化されて、経験を通した学習につながる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。
(4)情報の認知3(計画、問題解決)受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へ、である。
(5)人工知能1 執筆脳を「適応と反応の過程」としているため、母の半生と感情の表出が重要となり、そこに専門家としての調節が効力を発揮する。@記憶、A感情、Bその他
花村嘉英(2020)「フランツ・カフカの『変身』の執筆脳について」より
表3 情報の認知
A 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、情報の認知4 2
B 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、情報の認知4 2
C 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1、情報の認知4 1
D 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、情報の認知4 2
E 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1、情報の認知4 1
分析例
(1)「変身」執筆時のカフカの脳の活動を「適応と反応」という組からなると考えている。彼の文体が常に彼の実存を反映し、空想やユーモアにも動機づけに真実があるためである。
(2)情報の認知1(感覚情報)感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、Bその他の反応である。
(3)情報の認知2(記憶と学習)外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。また、未知の情報はカテゴリー化されて、経験を通した学習につながる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。
(4)情報の認知3(計画、問題解決)受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へ、である。
(5)人工知能1 執筆脳を「適応と反応の過程」としているため、母の半生と感情の表出が重要となり、そこに専門家としての調節が効力を発揮する。@記憶、A感情、Bその他
花村嘉英(2020)「フランツ・カフカの『変身』の執筆脳について」より
フランツ・カフカの「変身」で執筆脳を考える6
分析例
(1)ザムザがベッドに留まる場面。
(2)文法2 テンスとアスペクト、1は現在形、2は過去形、3は未来形、4は現在進行形、5は現在完了形、6は過去進行形、7は過去完了形。
(3)意味1 1視覚、2聴覚、3味覚、4嗅覚、5触覚、意味2 喜怒哀楽、意味3 振舞いの1直示と2隠喩、意味4注意 1あり2なし。
テキスト共生の公式
(1)言語の認知による購読脳の組み合わせを「異化と人の最小価値」にする。害虫に変身したザムザは、動いて頭が壊れると、不思議なことが起こると考え、ベッドに留まることにした。
(2)文法1のテンスとアスペクトや意味2の五感には、一応ダイナミズムがある。また、連想分析1の各行の「異化と人の最小価値」を次のように特定する。
A異化と人の最小価値=テンスは過去形、触覚、哀、直示、注意あり。
B異化と人の最小価値=テンスは過去形、触覚、哀、直示、注意なし。
C異化と人の最小価値=テンスは過去形、触覚、喜、直示、注意あり。
D異化と人の最小価値=テンスは現在形、触覚、哀、直示、注意あり。
E異化と人の最小価値=テンスは過去形、触覚、哀、直示、注意あり。
結果 上記場面は、「異化と人の最小価値」という購読脳の条件を満たしている。
花村嘉英(2020)「フランツ・カフカの『変身』の執筆脳について」より
(1)ザムザがベッドに留まる場面。
(2)文法2 テンスとアスペクト、1は現在形、2は過去形、3は未来形、4は現在進行形、5は現在完了形、6は過去進行形、7は過去完了形。
(3)意味1 1視覚、2聴覚、3味覚、4嗅覚、5触覚、意味2 喜怒哀楽、意味3 振舞いの1直示と2隠喩、意味4注意 1あり2なし。
テキスト共生の公式
(1)言語の認知による購読脳の組み合わせを「異化と人の最小価値」にする。害虫に変身したザムザは、動いて頭が壊れると、不思議なことが起こると考え、ベッドに留まることにした。
(2)文法1のテンスとアスペクトや意味2の五感には、一応ダイナミズムがある。また、連想分析1の各行の「異化と人の最小価値」を次のように特定する。
A異化と人の最小価値=テンスは過去形、触覚、哀、直示、注意あり。
B異化と人の最小価値=テンスは過去形、触覚、哀、直示、注意なし。
C異化と人の最小価値=テンスは過去形、触覚、喜、直示、注意あり。
D異化と人の最小価値=テンスは現在形、触覚、哀、直示、注意あり。
E異化と人の最小価値=テンスは過去形、触覚、哀、直示、注意あり。
結果 上記場面は、「異化と人の最小価値」という購読脳の条件を満たしている。
花村嘉英(2020)「フランツ・カフカの『変身』の執筆脳について」より
フランツ・カフカの「変身」で執筆脳を考える5
【連想分析1】
表2 言語の認知(文法と意味)
A Zuerst wollte er mit dem unteren Teil seines Körpers aus den Bett hinauskommen, aber dieser untere Teil, den er übrigens noch nicht gesehen hatte und von dem er sich auch keine rechte Vorstellung machen konnte, erwies sich als zu schwer beweglich; es ging so langsam;
文法2 2、意味1 5、意味2 3、意味3 1、意味4 1
B und als er schließlich, fast wild geworden,mit gesammelter Kraft, ohne Rücksicht sich vorwärtsstieß, hatte er die Richtung falsch gewählt, schlug an den unteren Bettpfosten heftig an, und der brennende Schmerz, den er empfand, belehrte ihn, daß gerade der untere Teil seines Körpers augenblicklich vielleicht der empfindlichste war. 文法2 2、意味1 5、意味2 3、意味3 1、意味4 2
C Er versuchte es daher, zuerst den Oberkörper aus dem Bett zu bekommen, und drehte vorsichtig den Kopf dem Bettrand zu. Dies gelang auch leicht, und trotz ihrer Breite und Schwere folgte schließlich die Körpermasse langsam der Wendung des Kopfes. 文法2 2、意味1 5、意味2 1、意味3 1、意味4 1
D Aber als er den Kopf endlich außerhalb des Betttes in der freien Luft hielt, bekam er Angst, weiter auf diese Weise vorzurücken, denn wenn er sich schließlich so fallen ließ, mußte geradezu ein Wunder geschehen, wenn der Kopf nicht verletzt werden sollte. 文法2 2、意味1 5、意味2 3、意味3 2、意味4 1
E Und die Besinnung durfte er gerade jetzt um keinen Preis verlieren; lieber wollte er im Bett bleiben.
文法2 2、意味1 5、意味2 4、意味3 1、意味4 1
花村嘉英(2020)「フランツ・カフカの『変身』の執筆脳について」より
表2 言語の認知(文法と意味)
A Zuerst wollte er mit dem unteren Teil seines Körpers aus den Bett hinauskommen, aber dieser untere Teil, den er übrigens noch nicht gesehen hatte und von dem er sich auch keine rechte Vorstellung machen konnte, erwies sich als zu schwer beweglich; es ging so langsam;
文法2 2、意味1 5、意味2 3、意味3 1、意味4 1
B und als er schließlich, fast wild geworden,mit gesammelter Kraft, ohne Rücksicht sich vorwärtsstieß, hatte er die Richtung falsch gewählt, schlug an den unteren Bettpfosten heftig an, und der brennende Schmerz, den er empfand, belehrte ihn, daß gerade der untere Teil seines Körpers augenblicklich vielleicht der empfindlichste war. 文法2 2、意味1 5、意味2 3、意味3 1、意味4 2
C Er versuchte es daher, zuerst den Oberkörper aus dem Bett zu bekommen, und drehte vorsichtig den Kopf dem Bettrand zu. Dies gelang auch leicht, und trotz ihrer Breite und Schwere folgte schließlich die Körpermasse langsam der Wendung des Kopfes. 文法2 2、意味1 5、意味2 1、意味3 1、意味4 1
D Aber als er den Kopf endlich außerhalb des Betttes in der freien Luft hielt, bekam er Angst, weiter auf diese Weise vorzurücken, denn wenn er sich schließlich so fallen ließ, mußte geradezu ein Wunder geschehen, wenn der Kopf nicht verletzt werden sollte. 文法2 2、意味1 5、意味2 3、意味3 2、意味4 1
E Und die Besinnung durfte er gerade jetzt um keinen Preis verlieren; lieber wollte er im Bett bleiben.
文法2 2、意味1 5、意味2 4、意味3 1、意味4 1
花村嘉英(2020)「フランツ・カフカの『変身』の執筆脳について」より