と、ショウは思いましたが、あれこれ考えている余裕と時間はありませんでした。
この辺りはこれからどんどん涼しく、そして寒くなっていきます。
ツバタロウとツバゴロウはその前に越冬地へ行かなければなりません。
「さあ、出発だ!」
と、ツバタロウが言いました。
ショウは慌てて、ツバタロウの背中に飛び乗りました。
ツバタロウの背中は羽毛で柔らかく、乗り心地は最高でした。
しかし、スピードを上げたり、急転回しながらの飛行なので、しっかりと掴まっていなければ落ちてしまいそうです。
他のツバメたちの中には、
「なんで人間なんて乗せているのだ?」
と、からかってくる者もいました。
けれども、ツバタロウは他のツバメたちから、一目置かれていたので、それ以上何かを言ってくるツバメはいませんでした。
ショウは上空から自分が住んでいる街を見下ろしました。
街はどんどん遠ざかっていきました。
ショウとツバタロウ、そしてツバゴロウの旅がいよいよ始まりました。
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