その方は言いました。
頑張って探したけど見付からない。
或る日「自分だけの幸せを見付けよう」と言う題名に引かれ本を買った。
本の通りに頑張った。
でも見付からない。
焦ってしまい不安が膨らむ。
ご相談は職場の事でした。
確かに、その職場には改善すべき所がありそうでした。
でもその方は「解決しても、転職しても、結局私には幸せは見付かりそうにない」。
「じゃあ、幸せを見付けようとするのを止めて見ませんか」。
その方はキョトンとしていました。
それから何度か相談に来られ問題は解決しそうと言われました。
「一つ聞いていいですか。最初に来た日、幸せを見付けようとするのを止めて見たらと言われましたよね。
如何言う意味だったのですか」。
「『小さい秋見つけた』と言う動揺をご存じですか。サトウハチローさん作詞、中田喜直さん作曲の」
「サトウさんは3歳の頃、鍋の熱湯を浴び大火傷を負ったそうです。」
「外に自由に遊びに行く事もできない子供が、ひっそり部屋の中にいて、耳に沁みる声、隙間から感じる風、入日色の櫨の赤葉などから、秋を『見付けた』と言う。『見付けよう』でも『見付けたい』でもなく、『見付けた』と言ってるんです。『見付けた』と決めるからこそ、その子の秋がそこにある。
例えそれが小さい秋だとしても、その子はその子である事で、自分の秋を手に入れている、そんな気がするのです。若しかすると、幸せも同じ様な物ではないでしょうか」
「自分が『見付けた』と思えばそこのある。優しさ見付けた、揺れる秋桜見付けた、パンを頬張る笑顔見付けた、何だっていい。『見付けた』と決めれば嬉しくて、それが良い事になって、良い事を見付けた経験が重なって、幸せ一杯になっていく様な」
その方は「じゃあ、私も『見付けた』と言って見ようかな」と笑い、事件は終了しました。
その後その方は結婚。
「見付けた」と決めた時に気付く幸せがある。
射場 和子 弁護士
愛媛新聞 四季録から
見付けたと決めた時に気付く幸せがあるらしい。
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