2018年10月19日
ゴールデン・サイレント
「ゴールデン・サイレント」という言葉があります。
サイレントだから「静か」という意味ですね。
発信業務では保険契約を勧めたり、契約の乗り換えを勧める。また、光回線の加入を勧める等、営業的な業務が多いと思います。
物を売ろうとするとつい、喋ってしまいます。
発信だから喋るのが仕事。
そのため、なにか言葉を発していなければいけない気がしてしまうことがあると思うんです。
でも優れた営業は喋ることだけが武器とは思っていません。
商品を買うことで、どれだけお客様が得になるのかを上手に話します。
そしてお客様に決断を仰ぎます。
「どうしますか?」
と。
ここで「サイレント」 = 「沈黙」が始まります。
このとき、先に口走った方が負けです。
特に、売る側がさらに商品の特長を説明すると、お客様は
「売ろうとしているな」
と感じます。
誰だって「押し売り」はイヤです。
売ろう、売ろうとしている意識がお客様に見透かされては営業が成立しません。
しかし、
「どうしますか?」
と聞かれて黙っているお客様は自問自答しています。
もし買いたくないのなら、とっくに断られています。
ここで、沈黙時間の重たい空気に負けないことが営業には必要なのでしょう。
発信のコールセンターに限ったことではありません。
この、ゴールデン・サイレントは、他にも役に立つことがあります。
今日、久しぶりに質の悪いクレーマーの入電を引きました。
まず、お客様の名前を聞きます。
そして生年月日を聞きました。
すると
「平成〇年、、」
その割には老けた声だと思っていると、
「娘が契約者で、、」
と続けます。
平成生まれの人、さらに娘さんが契約者??
私は
「ちょっとすいません。」
と確認すると、お客様はそこで火が点きました。
「初めにきちんと話したろ!」
って、
いや、聞いてません。
それからはもう、難クセの嵐でした。
ひとこと話すと、一つひとつにいちいち難クセをつけてきます。
関西の人だったのですが、コールセンターが北海道にあるというと、それにもクレームです。
いま思うと、実は慣れたクレーマーで、
「初めにきちんと話したろ!」
というのは計画されたトラップだったのかも知れません。
話の内容も、保険約款自体にケチをつけて保険の支払い対象でないものを払えというもの。
対応中に、お客様は
「○○○○に来い!」
そう言ってきました。
きっとお客様の住所なのでしょう。
もし招待してくれるなら行きたいと思いました。観光で。
でもそんなバカバカしい要求に付き合う必要もありません。
そこで、
何度も繰り返すお客様の「○○○○に来い!」というのを、私は黙ってやり過ごしました。
先の
「初めにきちんと話したろ!」
というのがトラップなら、
「○○○○に来い!」
もトラップです。
もしそこで必死に抵抗するオペレーターなら、クレーマーの思うつぼ。
そのクレーマーは私を窮地に立たせたかったのでしょう。
しかし私が相手にしなかったことで、戦意を消失したのかも知れません。
でもお客様は、支払い対象でないものを払えないなら何十年も掛けてきた保険を全部解約するという始末。
ときどきいるんです。
道に逸れた例外を作り出そうとする輩が。
そしてもし、その要求がかなったら、自慢したいのでしょう。
私は冷静に、
「○○様のお話は、こちらの担当外ですから、担当の連絡先を調べます。」
と言いました。
そこでも何クセ。
「なぜわからないんだ!」
と。
わかるわけがない。
何十件もある担当窓口の電話番号。
しかも私はここにきてまだ2週間も経っていない。
最終的にお客様は地元の支店に聞くと言い、私が支店の電話番号を伝えると電話を切りました。
クレームの際この、お客様が勝手に切電というのが理想のパターンです。
かなり悪質なクレーマーだと思います。
お客様が仕組んだ二つのトラップ。
クレーマーだからこそ、相手にして欲しいのでしょう。
でも沈黙。
「ゴールデン・サイレント」です。
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