2013年08月13日
中国版レゴ「邦宝」からみる中国のお国柄
中国がコピー商品にあふれていることは以前にも紹介しました。
トイザらスではレゴと並んで「邦宝」というブロックが売られていますが、パーツの形状,種類,大きさから何から、明らかにレゴの模倣品です。
しかしレゴと大きく異なる点が一つありました。
それは個々のパーツ云々ではなく、メーカーのコンセプトともいうべきものかもしれません。
とにかく、軍事兵器が多い。
航空母艦,原子力潜水艦,戦車,戦闘機など。
それぞれのセットには「○○系列(○○シリーズ)」と銘打たれていて、それも「軍事シリーズ」とか「国防シリーズ」とか「戦争シリーズ」とかが多い。日本で売り場に並べたら、「えっ?」と思うような名称ですよね。
そもそも、「邦宝(Banbao)」という名前からして政治的なにおいを感じます。
「子供は邦(くに)の宝。」ですから。 「国(くに)」ではなく「邦(くに)」なのですから。
‥ご存知の方もいるでしょうが、中国では愛国教育が徹底しています。
日本や国民党との戦いで勝ち取った独立という自負もあるのでしょうが、それと同時に世論を強烈な思想でまとめあげていく、或いは不満の矛先をコントロールして、自分に向かないようにする、という共産党の処世術でもあるような気がしています。
そんな感じですから、日本のように、政治に対して国民が、(良い意味でも悪い意味でも)一定の距離をおいて、醒めた目でみる、ということがありません。
もちろん、個々の政策や政治家に対して、ここがいい、ここが悪い、と批評する人はいますが、基本的に一党支配に対して、声高に云々いう人はあまりいません(もっとも、それをあまり言ってしまうとしょっ引かれる、という心配がありますが)。
お茶の間では一日中抗日戦争の頃のドラマが放送されています(これは決して誇張ではありません)。日本兵はきまってカーキー色の軍服を着て、日章旗を銃剣に結わえつけて登場します。いつも人体実験をやったり、狼藉をはたらいたりする悪役です。
これらの憎むべき日本兵を、中国武術の達人がバッタバッタとなぎ倒していく番組が大衆ウケしています。
中国の人々は昔から「武侠片(カンフー映画)」が大好きですが、それと抗日がくっついたような番組が、最近特に多いように感じます(あまりにマンネリ化し過ぎたこと、時代考証を全く無視してあまりに非現実化したことへの反動で、近頃では多少は抑える動きがあるようですが)。
まあ、共産党の存在意義自体が抗日ですから、仕方のないこと、とも受け止められるのですが‥。
もう一つ、共産党が懸命に喧伝するのは、
「昔はこんなにいじめられて貧しかった。でも今は違う。こんなに強くなった。」
という点です。
もうこれに尽きる、といってもいいと思います。
30年前からはじまった改革開放政策以降、中国は急速に発展してきました。GDPでは日本を抜き、今では世界第二位です。
僕たち家族の住む深セン市は、まさに現代中国発展の代名詞ともいえる街です。改革開放以前は、ここには何もなかった。それが時の最高実力者 トウ少平が二度までも足を運び、深センを経済特別区に指定し、この場所で改革開放の加速を宣言したのです。これ以後深センは飛躍的な発展を遂げました。今でも深セン市には、街の至るところにトウ少平の肖像画や銅像が掲げられています。
この発展に対する誇りは、共産党の宣伝もあり、また実際に生活が豊かになったこともあり、中国の多くの人々の間で共有されている感覚です。
中国が、航空母艦を建造したもの、軍事的な必要性はともかくとして、そんな現代中国の発展を象徴したいがためではなかったか、と思えて仕方ありません。
その証拠に、この旧ソビエト連邦から買い取った航空母艦が「遼寧号」として竣工したとき、これ見よがしの宣伝がされました。テレビでは連日軍事評論家が空母の軍事的意義を解説したり、通販では純金の空母を記念品として紹介したり‥。
もちろん、航空母艦だけではありません。有人宇宙ロケットや原子力潜水艦も、みなそんな国威発揚の宣伝材料になっています。
こんな環境にどっぷりつかった人々におもちゃを売ろうと考えれば、自然、「国防シリーズ」や「戦争シリーズ」が出てくるのも分かるような気がします。
‥ある意味ではしあわせなことだとも言えるでしょう。
誰もが未来を信じていられるのですから。
ただ、その矛先が僕たち日本人生活者に向けられなければいいな、と思っています。
おもちゃ屋の店頭に並ぶ「邦宝」の戦艦を見ていて、そんなことを感じました。
トイザらスではレゴと並んで「邦宝」というブロックが売られていますが、パーツの形状,種類,大きさから何から、明らかにレゴの模倣品です。
しかしレゴと大きく異なる点が一つありました。
それは個々のパーツ云々ではなく、メーカーのコンセプトともいうべきものかもしれません。
とにかく、軍事兵器が多い。
航空母艦,原子力潜水艦,戦車,戦闘機など。
それぞれのセットには「○○系列(○○シリーズ)」と銘打たれていて、それも「軍事シリーズ」とか「国防シリーズ」とか「戦争シリーズ」とかが多い。日本で売り場に並べたら、「えっ?」と思うような名称ですよね。
そもそも、「邦宝(Banbao)」という名前からして政治的なにおいを感じます。
「子供は邦(くに)の宝。」ですから。 「国(くに)」ではなく「邦(くに)」なのですから。
‥ご存知の方もいるでしょうが、中国では愛国教育が徹底しています。
日本や国民党との戦いで勝ち取った独立という自負もあるのでしょうが、それと同時に世論を強烈な思想でまとめあげていく、或いは不満の矛先をコントロールして、自分に向かないようにする、という共産党の処世術でもあるような気がしています。
そんな感じですから、日本のように、政治に対して国民が、(良い意味でも悪い意味でも)一定の距離をおいて、醒めた目でみる、ということがありません。
もちろん、個々の政策や政治家に対して、ここがいい、ここが悪い、と批評する人はいますが、基本的に一党支配に対して、声高に云々いう人はあまりいません(もっとも、それをあまり言ってしまうとしょっ引かれる、という心配がありますが)。
お茶の間では一日中抗日戦争の頃のドラマが放送されています(これは決して誇張ではありません)。日本兵はきまってカーキー色の軍服を着て、日章旗を銃剣に結わえつけて登場します。いつも人体実験をやったり、狼藉をはたらいたりする悪役です。
これらの憎むべき日本兵を、中国武術の達人がバッタバッタとなぎ倒していく番組が大衆ウケしています。
中国の人々は昔から「武侠片(カンフー映画)」が大好きですが、それと抗日がくっついたような番組が、最近特に多いように感じます(あまりにマンネリ化し過ぎたこと、時代考証を全く無視してあまりに非現実化したことへの反動で、近頃では多少は抑える動きがあるようですが)。
まあ、共産党の存在意義自体が抗日ですから、仕方のないこと、とも受け止められるのですが‥。
もう一つ、共産党が懸命に喧伝するのは、
「昔はこんなにいじめられて貧しかった。でも今は違う。こんなに強くなった。」
という点です。
もうこれに尽きる、といってもいいと思います。
30年前からはじまった改革開放政策以降、中国は急速に発展してきました。GDPでは日本を抜き、今では世界第二位です。
僕たち家族の住む深セン市は、まさに現代中国発展の代名詞ともいえる街です。改革開放以前は、ここには何もなかった。それが時の最高実力者 トウ少平が二度までも足を運び、深センを経済特別区に指定し、この場所で改革開放の加速を宣言したのです。これ以後深センは飛躍的な発展を遂げました。今でも深セン市には、街の至るところにトウ少平の肖像画や銅像が掲げられています。
この発展に対する誇りは、共産党の宣伝もあり、また実際に生活が豊かになったこともあり、中国の多くの人々の間で共有されている感覚です。
中国が、航空母艦を建造したもの、軍事的な必要性はともかくとして、そんな現代中国の発展を象徴したいがためではなかったか、と思えて仕方ありません。
その証拠に、この旧ソビエト連邦から買い取った航空母艦が「遼寧号」として竣工したとき、これ見よがしの宣伝がされました。テレビでは連日軍事評論家が空母の軍事的意義を解説したり、通販では純金の空母を記念品として紹介したり‥。
もちろん、航空母艦だけではありません。有人宇宙ロケットや原子力潜水艦も、みなそんな国威発揚の宣伝材料になっています。
こんな環境にどっぷりつかった人々におもちゃを売ろうと考えれば、自然、「国防シリーズ」や「戦争シリーズ」が出てくるのも分かるような気がします。
‥ある意味ではしあわせなことだとも言えるでしょう。
誰もが未来を信じていられるのですから。
ただ、その矛先が僕たち日本人生活者に向けられなければいいな、と思っています。
おもちゃ屋の店頭に並ぶ「邦宝」の戦艦を見ていて、そんなことを感じました。
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