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2017年07月28日
米国経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月28日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月28日21:30に米国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は7月27日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、当該期米国の総合的な経済実態を表していることです。経済実態が悪ければ、金融政策をはじめ、あらゆる政策に影響を与えます。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
1-3月期前期比年率は速報値段階で+0.7%しかなく、発表直後は「個人消費が低調」との解説がいくつか見受けられました。その後のFOMC声明でも「(この低い数字は)一時的」との見解が示され、速報値・改定値・確定値と確度向上につれて、数字を上げてきた経緯があります(確定値は+1.4%)。
7月19日、アトランタ地区連銀が発表した「GDP Now」に依れば、4-6月期GDP前期比年率は前年比+2.5%となっています。+2.5%という数字は、低調だった1-3月期の前の10-12月期確定値+2.1%を上回っている点に意義があります。
1-3月期低調の原因とされた個人消費(PCE)は、今回+2.8%と予想されています(1-3月期は速報値で+0.3%、確定値で1.1%)。この+2.8%という数字は、毎月のPCEデータだけでなく、雇用指標が堅調で小売売上高も良かったことから、あり得る数字です。2016年10-12月期には+3.5もあったのです。
PCEが+3.5%から+0.3%に減ったら、GDPは+2.1%から+0.7%に減ったのが先期速報値発表時の状況です。今回は、PCEが+1.1%から+2.8%に増えると予想されて、GDPが+1.4%から+2.8%に増えると予想されている訳です。
ちょっと辻褄が合わない気がします(PCEの変化よりもGDPの変化は小さくなるはず?)。
各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
上表から、事後差異と直後1分足との方向一致率は、次の式のように重み付けすると、発表直後に指標結果の影響を受がちだという前提が満たせます。
この式から、反応方向への影響はGDP速報値の影響を強く受け、PCEはそれを打ち消すことになってしまいます。直観的には信じがたい内容ですが、過去データからの回帰結果はこうなりました。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその2倍の14pips以上だったことは過去1回(6%)ありました。
この1回の直後1分足跳幅は41pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsを大きく上回っています。そして、この1回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が過去平均の2倍も上回った場合には、それが直後1分足の反応方向を示唆しており、且つ、それが大きく反応する可能性があります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。この跳幅が10pipsに達したことはありません。10pipsも発表直前に動くようなら、何かいつもとは違うことが起きている可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。
過去平均の24pipsを超えたことは47%あり、平均の1.5倍である33pipsを超えたことも24%あります。本指標は比較的安定して反応が大きな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が28pips、過去平均値幅が20pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は4pips強しか上回っておらず、直後1分足終値より直後11分足跳幅は3pips強しか大きくありません。単なる差でなく「強」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差がほとんどない以上、発表直後に反応したら、その後はあまり反応が伸びない傾向がある、と言ってもいいでしょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各62%・62%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は47%しかありません。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、早期参加・短期利確です。長くポジションを保有しても、利幅を伸ばせず、むしろ反転リスクが高まります。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
各ローソク足に70%以上もしくは30%以下の偏りはありません。
そして、直後1分足は直前10-1分足との方向一致率が73%あります。多くの取引参加者が事前に発表直後の反応方向を正しく捉えている兆候が見受けられます。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異との方向一致率が各73%・80%となっています。
直後1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率が各76%・82%・71%となっています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月28日23:40頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP・PCEが市場予想通り、コアPCEが市場予想を上回り、GDPデフレータが市場予想を下回りました。
反応は陰線で、分析範囲において反応を伸ばしました。
今回の反応は、正直、直観的な解釈に困りました。
がしかし、分析に挙げた式に結果を代入すると、事後差異はマイナスです。コアPCEよりもGDPデフレータの方が差異が大きかったので、陰線での反応は統計分析通りです。
がしかし、今回のGDPが+2.6%だったことは、1-3月期確定値+1.4を上回っただけでなく、昨年10-12月期確定値+2.1%も上回っています。
必ず反転するはず(「必ず」という考えは駄目なのですが)、というつもりで待っていたら、発表から2-3分後に陽線側への戻りが始まりました。その後22:12頃に再度、陰線側への戻りが始まりました。
自分で導いた回帰式ではあっても、どうも直感的解釈に反する動きです(こんなことは言っても仕方ないのですが)。GDPが悪くて物価上昇するのに比べれば、GDPが良くて物価が下がる方がよっぽどマシだと思うのですが。
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足は陽線となって損切です。
発表時刻を跨いだポジションも損切となりました。
シナリオ外取引では、直後の参加・追撃によってそれまでの損切分を取り返しました。
更に、先述の理由によって反転待ちで損切覚悟で110.9割れ・110.7付近で待ち、110.9割れで反転が始まりました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月28日21:30に米国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は7月27日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は初期に比較的安定して大きく、その後は伸び悩む傾向があります。
- 反応方向は、市場予想に対するGDPとPCEの良し悪しに強い影響を受けます。にわかに信じがたいことですが、過去データに基づく計算結果は、GDPの差異には素直に反応し、PCEの差異には逆方向に反応しています。
- 追撃は早期参加・短期利確に適しています。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果の予想分析は不要です。多くの場合、以下の通り、直前10-1分足が指標全体の良し悪しをかなり正確に予見できています。
- 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) ごくまれに(頻度6%)、直前10-1分足が過去平均跳幅が7pipsの2倍(14pips)以上となる場合があります。そのとき、指標発表直後1分足の方向が同じで大きく反応する可能性があります。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。意外にも、この跳幅が10pipsに達したことはありません。10pipsも発表直前に動くようなら、何かいつもとは違うことが起きている可能性があります。
(3) 平均値で全体的傾向を捉える限りでは、指標発表から1分以内の反応が大きく、その後は反応があまり伸びません。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 本指標は反応方向を確認したら、早期参加・短期利確です。長くポジションを保有しても、利幅を伸ばせず、むしろ反転リスクが高まります。
(2) 直後1分足は直前10-1分足との方向一致率が73%あります。多くの取引参加者が事前に発表直後の反応方向を正しく捉えている兆候が見受けられます。
(3) 具体的には、直前10-1分足が事前差異と同じ方向に反応しがち(73%)で、事後差異の方向を当てています(80%)。そして、直後1分足は事後差異・実態差異との方向一致率が各82%・71%となっています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は、事前差異と同方向にポジションを取ります。
(2) 指標発表直前に直前10-1分足と同方向にポジションを取得し、発表直後に跳ねたら利確・損切します。
(3) 平均的な反応時に追撃は行いたくありません。直後1分足が30pipsを超えるような大きな反応なら、短期利確の繰り返しで追従します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、当該期米国の総合的な経済実態を表していることです。経済実態が悪ければ、金融政策をはじめ、あらゆる政策に影響を与えます。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
- 12pips以下だったことは6%
- 13-24pipsが47%
- 25-33pipsが23%
- 34pips以上は24%
です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
1-3月期前期比年率は速報値段階で+0.7%しかなく、発表直後は「個人消費が低調」との解説がいくつか見受けられました。その後のFOMC声明でも「(この低い数字は)一時的」との見解が示され、速報値・改定値・確定値と確度向上につれて、数字を上げてきた経緯があります(確定値は+1.4%)。
7月19日、アトランタ地区連銀が発表した「GDP Now」に依れば、4-6月期GDP前期比年率は前年比+2.5%となっています。+2.5%という数字は、低調だった1-3月期の前の10-12月期確定値+2.1%を上回っている点に意義があります。
1-3月期低調の原因とされた個人消費(PCE)は、今回+2.8%と予想されています(1-3月期は速報値で+0.3%、確定値で1.1%)。この+2.8%という数字は、毎月のPCEデータだけでなく、雇用指標が堅調で小売売上高も良かったことから、あり得る数字です。2016年10-12月期には+3.5もあったのです。
PCEが+3.5%から+0.3%に減ったら、GDPは+2.1%から+0.7%に減ったのが先期速報値発表時の状況です。今回は、PCEが+1.1%から+2.8%に増えると予想されて、GDPが+1.4%から+2.8%に増えると予想されている訳です。
ちょっと辻褄が合わない気がします(PCEの変化よりもGDPの変化は小さくなるはず?)。
ーーー$€¥ーーー
各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
上表から、事後差異と直後1分足との方向一致率は、次の式のように重み付けすると、発表直後に指標結果の影響を受がちだという前提が満たせます。
+3✕GDP速報値の差異
+1✕GDPデフレータの差異
ー3✕PCEの差異
+1✕コアPCEの差異
+1✕GDPデフレータの差異
ー3✕PCEの差異
+1✕コアPCEの差異
この式から、反応方向への影響はGDP速報値の影響を強く受け、PCEはそれを打ち消すことになってしまいます。直観的には信じがたい内容ですが、過去データからの回帰結果はこうなりました。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその2倍の14pips以上だったことは過去1回(6%)ありました。
この1回の直後1分足跳幅は41pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsを大きく上回っています。そして、この1回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が過去平均の2倍も上回った場合には、それが直後1分足の反応方向を示唆しており、且つ、それが大きく反応する可能性があります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。この跳幅が10pipsに達したことはありません。10pipsも発表直前に動くようなら、何かいつもとは違うことが起きている可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。
過去平均の24pipsを超えたことは47%あり、平均の1.5倍である33pipsを超えたことも24%あります。本指標は比較的安定して反応が大きな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が28pips、過去平均値幅が20pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は4pips強しか上回っておらず、直後1分足終値より直後11分足跳幅は3pips強しか大きくありません。単なる差でなく「強」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差がほとんどない以上、発表直後に反応したら、その後はあまり反応が伸びない傾向がある、と言ってもいいでしょう。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各62%・62%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は47%しかありません。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、早期参加・短期利確です。長くポジションを保有しても、利幅を伸ばせず、むしろ反転リスクが高まります。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
各ローソク足に70%以上もしくは30%以下の偏りはありません。
そして、直後1分足は直前10-1分足との方向一致率が73%あります。多くの取引参加者が事前に発表直後の反応方向を正しく捉えている兆候が見受けられます。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異との方向一致率が各73%・80%となっています。
直後1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率が各76%・82%・71%となっています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月28日21:30発表
以下は2017年7月28日23:40頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、GDP・PCEが市場予想通り、コアPCEが市場予想を上回り、GDPデフレータが市場予想を下回りました。
反応は陰線で、分析範囲において反応を伸ばしました。
今回の反応は、正直、直観的な解釈に困りました。
がしかし、分析に挙げた式に結果を代入すると、事後差異はマイナスです。コアPCEよりもGDPデフレータの方が差異が大きかったので、陰線での反応は統計分析通りです。
がしかし、今回のGDPが+2.6%だったことは、1-3月期確定値+1.4を上回っただけでなく、昨年10-12月期確定値+2.1%も上回っています。
必ず反転するはず(「必ず」という考えは駄目なのですが)、というつもりで待っていたら、発表から2-3分後に陽線側への戻りが始まりました。その後22:12頃に再度、陰線側への戻りが始まりました。
自分で導いた回帰式ではあっても、どうも直感的解釈に反する動きです(こんなことは言っても仕方ないのですが)。GDPが悪くて物価上昇するのに比べれば、GDPが良くて物価が下がる方がよっぽどマシだと思うのですが。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足は陽線となって損切です。
発表時刻を跨いだポジションも損切となりました。
シナリオ外取引では、直後の参加・追撃によってそれまでの損切分を取り返しました。
更に、先述の理由によって反転待ちで損切覚悟で110.9割れ・110.7付近で待ち、110.9割れで反転が始まりました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 事前分析では、反応程度が初期に比較的安定して大きく、その後は伸び悩む傾向がある、と捉えていました。
外しました。がしかし、これは確率的傾向を示しているので、仕方ありません。 - 事前分析では、反応方向が市場予想に対するGDPとPCEの良し悪しに強い影響を受ける、と捉えていました。
結果は、それら注目していた項目がともに市場予想通りだったので、回帰式係数が小さなデフレータとコアPCEの市場予想とのズレ幅の違いから、陰線となりました。問題ありません。 - 事前分析では、追撃が早期参加・短期利確に適している、という指標でした。
問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前10-1分足は、事前差異と同方向にポジションを取りました。
結果は損切です。 - 指標発表直前に直前10-1分足と同方向にポジションを取得し、発表直後に跳ねたら利確・損切するつもりでした。
結果は損切です。 - 平均的な反応時に追撃は行わないことにしていました。
平均以下の反応だったため、本来なら追撃しない予定でした。シナリオ外取引を行った理由は、だってGDPが市場予想と同値とは言え、良かったから…。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月26日
米国金融政策発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月27日03:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月27日03:00に米国金融政策が発表されます。
今回の市場予想は「政策金利を現状維持する」です。
政策金利の市場予想が現状維持のときと改定のときとでは、まるで反応が異なります。よって、以下は特に断らない限り、過去のFOMCで「市場予想通りに現状維持」だったときのデータだけを用います。
「市場予想通り現状維持」だったときの本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
市場予想が現状維持のときだけの分析ですから、指標一致性分析は行っていません。
もし起きていれば、シナリオは安全第一に発表後の短期利確繰り返しの追撃です。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、世界中の金利水準に実質的な基準が示されることと、FRBの金融政策の方向性が示されることです。
FRBに与えられた責務は、雇用の最大化とインフレ水準の適正化です。そのため、同時発表される声明では、景気状態・物価動向・雇用情勢を根拠にして、それらの見通しに基づいて金融政策をどうしていくかが説明されます。
加えて、最近では次のリセッションに備えたFRBの行動が声明に含まれがちです。現在の市場コンセンサスは「9月に資産規模縮小の説明、12月に年内最後の利上げ」です。この内容からのズレの有無が市場の関心事と言えるでしょう。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。先述の通り、下表には過去の利上げ時のデータを含めていません。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また、上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図に関しては「市場予想通り現状維持」だったときだけでなく、過去全てのデータをぷとっとしています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
今回は説明を省略します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月27日06:30頃に追記しています。起きてました。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り現状維持」でした。そして、声明では「インフレ率が当面2%を下回る」「FRB資産規模縮小を早い時期に始める」といった記述が、陰線での反応に結び付いたと考えられます。
詳細については週末追記します。
取引結果は次の通りでした。
初期追撃の損切は、発表から1分近く待って方向を見極めたつもりだったのに、反転が確定して損切しました。
その後の追撃は、目安となるサポートへの接近・到達毎に利確を繰り返し、最終的に日足チャートの雲上端の111.3付近到達を目安にしていました。結果は、取引後に更に下抜けをしたようです。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月27日03:00に米国金融政策が発表されます。
今回の市場予想は「政策金利を現状維持する」です。
政策金利の市場予想が現状維持のときと改定のときとでは、まるで反応が異なります。よって、以下は特に断らない限り、過去のFOMCで「市場予想通りに現状維持」だったときのデータだけを用います。
「市場予想通り現状維持」だったときの本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は大きく、反応方向にはパターンがありません。
- 追撃は短期利確の繰り返しが適しています。
- 今回は発表後のFRB議長会見が予定されていません。
声明におけるポイントは、今後のインフレ率の見通しがどうなるか、ではないでしょうか。
定型分析の結果は以下の通りです。
市場予想が現状維持のときだけの分析ですから、指標一致性分析は行っていません。
もし起きていれば、シナリオは安全第一に発表後の短期利確繰り返しの追撃です。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、世界中の金利水準に実質的な基準が示されることと、FRBの金融政策の方向性が示されることです。
FRBに与えられた責務は、雇用の最大化とインフレ水準の適正化です。そのため、同時発表される声明では、景気状態・物価動向・雇用情勢を根拠にして、それらの見通しに基づいて金融政策をどうしていくかが説明されます。
加えて、最近では次のリセッションに備えたFRBの行動が声明に含まれがちです。現在の市場コンセンサスは「9月に資産規模縮小の説明、12月に年内最後の利上げ」です。この内容からのズレの有無が市場の関心事と言えるでしょう。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。先述の通り、下表には過去の利上げ時のデータを含めていません。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また、上表分布を別の言い方で説明すると、
- 15pips以下だったことは10%
- 16-30pipsが38%
- 31-45pipsが42%
- 46pips以上は10%
です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図に関しては「市場予想通り現状維持」だったときだけでなく、過去全てのデータをぷとっとしています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
今回は説明を省略します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月27日03:00発表
以下は2017年7月27日06:30頃に追記しています。起きてました。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り現状維持」でした。そして、声明では「インフレ率が当面2%を下回る」「FRB資産規模縮小を早い時期に始める」といった記述が、陰線での反応に結び付いたと考えられます。
詳細については週末追記します。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
初期追撃の損切は、発表から1分近く待って方向を見極めたつもりだったのに、反転が確定して損切しました。
その後の追撃は、目安となるサポートへの接近・到達毎に利確を繰り返し、最終的に日足チャートの雲上端の111.3付近到達を目安にしていました。結果は、取引後に更に下抜けをしたようです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 事前分析では、反応程度が大きく反応方向にはパターンがない、と捉えていました。
結果は、反応方向を見極めたつもりの追撃で損切となりました。方向が確定したのは、03:05の直近安値下抜けからでしょうか。ずいぶん、時間がかかっています。 - 事前分析では、追撃するなら短期利確の繰り返しが適している、と捉えていました。
少なくも発表から2分程度は、そうした状況だったと思います。 - 今回は発表後のFRB議長会見が予定されていません。
声明におけるポイントは、今後のインフレ率の見通しがどうなるか、と捉えていました。
まぁその通りだったと言えるでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
英国経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年7月26日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月26日17:30に英国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期の集計結果です。
同時刻に、BBA(英銀行協会)の住宅ローン承認件数の発表が予定されています。がしかし、本指標と比べた場合、影響を無視しても差し支えないでしょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、当該期の総合的な経済実態を表し、各国主要政策に影響を与える点です。
主要国では、翌期に速報値・改定値・確定値が順次発表され、平均的な反応が最も大きいのは速報値です。
英国のGDP速報値は1・4・7・10月に発表されます。
次週にMPC(政策金利決定)が予定されています。景気後退にせよ好調維持にせよ、いずれかが明確になれば利上げ期待や失望がGBPを大きく動かす可能性があります。
本記事の調査期間と、その期間いおける反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で25pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
まんべんなく分布しており、予め利確・損切の目安を得にくい指標だと言えるでしょう。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。そして、このグラフには前期確定値をプロットしています。
市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果と前期確定値は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比は前期確定値を上回ると市場予想されており、前年比は前期確定値を下回ると市場予想されています。
前期比と前年比がそれぞれ反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
明らかに前期比の方が前年比より反応方向に強く影響しています。
但し、GDP発表では市場予想と発表結果が同値となることも多く、前期比だけの事後差異に頼っていると、それが同値だったとき反応方向がわかりません。そこで、
の符号が反応方向と一致する、と捉えておくといいでしょう。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は過去平均跳幅が12pipsです。跳幅がその1.5倍の18pips以上だったことは過去3回(頻度19%)あります。
この3回の発表直後1分足跳幅は24pipsで、これは直後1分足の過去全平均25pipsとほぼ同じです。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が通常の1.5倍(18pips)以上に達したとしても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は12pipsです。この跳幅がその1.5倍にあたる18pips以上だったことは過去4回(頻度25%)です。
この4回の直後1分足跳幅の平均は32pipsで、これは過去全平均25pipsより7pips大きくなっています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。但し、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(25%)しか一致していません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は25pipsです。
過去平均の25pipsを超えたことは44%あり、平均の1.5倍である36pipsを超えたことも19%あります。先述の通り、反応分布は大小まんべんなくばらついているものの、たまに大きく反応するのでご注意ください。
直後11分足は、過去平均跳幅が36pips、過去平均値幅が24pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅と直後11分足跳幅の差が11pips以上、直後1分足終値と直後11分足跳幅の差は20pips以上、と大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
この差が大きいということは、直後1分足と直後11分足の方向一致率さえ高ければ、追撃に適している訳です。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は93%です。そして、この93%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各64%・71%です。
また、直後1分足終値がついてから、直後11分足が直後1分足の方向と反転していたことは7%しかありません。
つまり、高値(安値)掴みに気を付けて指標発表から1分以内にポジションを取り、1分経過後に利確を狙う指標です。直後1分足値幅より小さな点でポジションが取れたなら、長めにポジションを取っても良いかも知れません。早期参加・追撃徹底に適しています。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足の陰線率が80%、直後1分足の陽線率が73%と、反応方向に偏りが目立ちます。そして、そして、指標発表前のローソク足方向が発表後のローソク足方向を示唆している兆しは見受けられません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足の方向一致率が80%で、本指標への反応は素直だと言えます。その他ローソク足の方向に対し、先期確定値・市場予想・発表結果の各大小関係は強い影響を与えていません。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月27日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに市場予想通りでした。前回確定値に対しては、前期比が改善、前年比が低下です。低下とは言え、前年比は+1.7%なので、悪い数字ではありません。
反応は、指標発表前が上下にヒゲの目立つ迷いがあり、発表直後が陽線、そしてその後は陰線に転じています。全体としての反応は小さくなりました。
市場予想通りでそれほど悪い数字ではないことが、発表直後の陽線での反応だと思われます。そしてその後の反転陰線は、この数字では来週のMPCで利上げ派が強く出られないことと捉えられたからではないでしょうか。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は損切となりました。がしかし、これは確率上の問題ですから考えても仕方ありません。
追撃初期に損切となったのは意外でした。発表から数秒間は上下の動きに迷いがあって、上に動き始めたのを確認してから追撃を開始しました。がしかし、反転です。慎重に反応方向を見極めたつもりでしたが、まぁこんなこともあります。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月26日17:30に英国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期の集計結果です。
同時刻に、BBA(英銀行協会)の住宅ローン承認件数の発表が予定されています。がしかし、本指標と比べた場合、影響を無視しても差し支えないでしょう。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は平均的に大きいものの、ばらつきも大きくなっています。
- 反応方向は前期比結果の良し悪しに素直です。
- 指標発表後は早期参加・追撃徹底に適しています。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果の予想分析結論は「わからない」です。
次週にMPC(今後のBOE金融政策決定)が予定されています。景気後退にせよ好調維持にせよ、いずれかが明確になれば利上げ期待や失望がGBPを大きく動かす可能性があります。
こうした状況では、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことが危険です。大きく反応するなら追撃でも稼げます。何も無理をする必要はありません。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) たまに(頻度19%)直前10-1分足跳幅が通常の1.5倍(18pips)以上に達することがあります。がしかし、そうした事例は指標発表直後1分足跳幅の大きさや方向と無関係です。慌てて動きに追従して痛手を負わないように気をつけましょう。
(2) ときどき(頻度25%)、直前1分足跳幅が通常の1.5倍(18pips)以上に達することがあります。がしかし、そうした事例は指標発表直後1分足跳幅がやや平均より大きくなるものの、反応方向とは無関係です。慌てて動きに追従して痛手を負わないように気をつけましょう。
(3) 指標発表直後の過去反応は大小まんべんなく分布しており、利確・損切の目安を予め得にくい指標です。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 本指標は、指標発表後に早期参加・追撃徹底に適しています。
高値(安値)掴みに気を付けて指標発表から1分以内にポジションを取り、1分経過後に利確を狙う指標です。直後1分足値幅より小さな点でポジションが取れたなら、長めにポジションを取っても良いかも知れません。
(2) 本指標発表前後のローソク足方向には、直前1分足の陰線率が80%、直後1分足の陽線率が73%と、偏りが目立ちます。指標発表前のローソク足方向が発表後のローソク足方向を示唆している兆しは見受けられません。
(3) 本指標は、事後差異と直後1分足の方向一致率が80%で、指標発表直後の初期反応は素直だと言えます。その他ローソク足の方向に対し、先期確定値・市場予想・発表結果の各大小関係は強い影響を与えていません。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 指標発表後は、反応方向に順張りで早期参加・追撃徹底です。
動きが激しくポジションがなかなか取れなくても、慌ててボタンを押し続けて高値(安値)掴みをしてしまうことには気を付けましょう。ボタンを押す練習ではありません。落ち着いて上下動の呼吸のようなものを掴めるようになって、「掴める率」を高める練習だって、これから「高い勝率を維持できるようになる」ために必要です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、当該期の総合的な経済実態を表し、各国主要政策に影響を与える点です。
主要国では、翌期に速報値・改定値・確定値が順次発表され、平均的な反応が最も大きいのは速報値です。
英国のGDP速報値は1・4・7・10月に発表されます。
次週にMPC(政策金利決定)が予定されています。景気後退にせよ好調維持にせよ、いずれかが明確になれば利上げ期待や失望がGBPを大きく動かす可能性があります。
ーーー$€¥ーーー
本記事の調査期間と、その期間いおける反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で25pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
- 12pips以下だったことは25%
- 13-25pipsが31%
- 26-36pipsが25%
- 37pips以上は13%
です。
まんべんなく分布しており、予め利確・損切の目安を得にくい指標だと言えるでしょう。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。そして、このグラフには前期確定値をプロットしています。
市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果と前期確定値は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比は前期確定値を上回ると市場予想されており、前年比は前期確定値を下回ると市場予想されています。
ーーー$€¥ーーー
前期比と前年比がそれぞれ反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
明らかに前期比の方が前年比より反応方向に強く影響しています。
但し、GDP発表では市場予想と発表結果が同値となることも多く、前期比だけの事後差異に頼っていると、それが同値だったとき反応方向がわかりません。そこで、
2✕前期比の差異
+1✕前年比の差異
+1✕前年比の差異
の符号が反応方向と一致する、と捉えておくといいでしょう。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は過去平均跳幅が12pipsです。跳幅がその1.5倍の18pips以上だったことは過去3回(頻度19%)あります。
この3回の発表直後1分足跳幅は24pipsで、これは直後1分足の過去全平均25pipsとほぼ同じです。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が通常の1.5倍(18pips)以上に達したとしても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は12pipsです。この跳幅がその1.5倍にあたる18pips以上だったことは過去4回(頻度25%)です。
この4回の直後1分足跳幅の平均は32pipsで、これは過去全平均25pipsより7pips大きくなっています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。但し、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(25%)しか一致していません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は25pipsです。
過去平均の25pipsを超えたことは44%あり、平均の1.5倍である36pipsを超えたことも19%あります。先述の通り、反応分布は大小まんべんなくばらついているものの、たまに大きく反応するのでご注意ください。
直後11分足は、過去平均跳幅が36pips、過去平均値幅が24pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅と直後11分足跳幅の差が11pips以上、直後1分足終値と直後11分足跳幅の差は20pips以上、と大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
この差が大きいということは、直後1分足と直後11分足の方向一致率さえ高ければ、追撃に適している訳です。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は93%です。そして、この93%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各64%・71%です。
また、直後1分足終値がついてから、直後11分足が直後1分足の方向と反転していたことは7%しかありません。
つまり、高値(安値)掴みに気を付けて指標発表から1分以内にポジションを取り、1分経過後に利確を狙う指標です。直後1分足値幅より小さな点でポジションが取れたなら、長めにポジションを取っても良いかも知れません。早期参加・追撃徹底に適しています。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足の陰線率が80%、直後1分足の陽線率が73%と、反応方向に偏りが目立ちます。そして、そして、指標発表前のローソク足方向が発表後のローソク足方向を示唆している兆しは見受けられません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足の方向一致率が80%で、本指標への反応は素直だと言えます。その他ローソク足の方向に対し、先期確定値・市場予想・発表結果の各大小関係は強い影響を与えていません。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月26日17:30発表
以下は2017年7月27日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに市場予想通りでした。前回確定値に対しては、前期比が改善、前年比が低下です。低下とは言え、前年比は+1.7%なので、悪い数字ではありません。
反応は、指標発表前が上下にヒゲの目立つ迷いがあり、発表直後が陽線、そしてその後は陰線に転じています。全体としての反応は小さくなりました。
市場予想通りでそれほど悪い数字ではないことが、発表直後の陽線での反応だと思われます。そしてその後の反転陰線は、この数字では来週のMPCで利上げ派が強く出られないことと捉えられたからではないでしょうか。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は損切となりました。がしかし、これは確率上の問題ですから考えても仕方ありません。
追撃初期に損切となったのは意外でした。発表から数秒間は上下の動きに迷いがあって、上に動き始めたのを確認してから追撃を開始しました。がしかし、反転です。慎重に反応方向を見極めたつもりでしたが、まぁこんなこともあります。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 過去の傾向では、反応程度は平均的に大きいものの、ばらつきが大きいことがわかっていました。
今回は直後1分足跳幅5pipsですから、かなり小さい反応となりました。 - 過去の傾向では、反応方向が前期比結果の良し悪しに素直でした。
今回は市場予想同値なので判定できません。 - 過去の傾向では、指標発表後に早期参加・追撃徹底に適していました。
結果は、上下の動きに迷いがあり、これは前期比・前年比ともに市場予想同値だったので仕方ありません。早期参加は一呼吸遅らせて、追撃は損切分を取り返したら早々に止めました。指標結果の良し悪しが判定できない以上、プロの思惑で上下どちらに動くかがわかりません。そのプロもどちらに動くかわからないように上下動だった以上、危なくて仕方ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線と見込んでいました。問題ありません。損切となったのはポジション取得のタイミングが悪かったせいです。
- 指標発表後は、反応方向に順張りで早期参加・追撃徹底するつもりでした。
動きが鈍く、指標結果を確認したら前期比・前年比ともに市場予想同値です。方向を見極めてからポジション取得したものの、結果は反転・損切となりました。2回目の追撃で損切分を取り返せたのは、単に運です。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月25日
豪州物価指標「四半期CPI」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年7月26日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月26日10:30に豪州物価指標「四半期CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 指標発表直後に騙しに気を付けて(最低3秒あけて)早期参加し、追撃は順張りで徹底します。複数回の追撃も可とします。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、RBA(豪中銀)の金融政策に影響を与える点です。RBAが目標とする消費者物価指数は2〜3%ということが公表されています。
本指標は豪州統計局から四半期毎の翌月(1・4・7・11月)下旬に発表されます。
問題は本統計発表に先立ち、他の主要国のように毎月のCPI発表があるか否かです。もしそんなものがあれば、我々は日本で情報不足のまま取引することになってしまいます。確認しておきましょう。
豪統計局HP(ABS)の指標発表カレンダーで確認しておきました。結果、例えば7月にCPI月次発表は見当たりません。
もし興味があれば、ついでに本指標発表の形式をご覧になっておいてもいいでしょう。
ともあれ、基本的な疑問についてはこれで一安心です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で45pipsにも達しています。本指標は非常に反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、23pips以下だったことは6%しかなく、24-45pipsが47%、46-68pipsが29%、69pips以上は18%、です。
これは大きい。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
まず、前期比のグラフ(上)を見てみましょう。
今回は前期よりやや低下すると市場予想されています。AUDUSDの1-3月期は始値0.7183-終値0.7634、4-6月期は始値0.7634-終値0.7689で、AUDが強くなっています。それにも関わらず、本発表翌日に予定されている輸入物価指数は前期比+0.7%と、現時点では強気の市場予想が出ています。
次に、前年比のグラフ(下)を見てみましょう。
今回は前年同期と同値と市場予想されています。昨年4-6月期のAUDUSDは始値0.7657-終値0.7451なので、今年の4-6月期の方がややAUDが強くなっています。こちらは輸入物価指数前年比の資料を見つけることができませんでした。
つまり、AUDUSDレートを見る限り、4-6月期はAUDが強くなっており、本来ならこれは輸入物価が下がります。それにも関わらず、輸入物価指数(前月比しか調べていませんが)は上昇と予想されている状況です。アマチュアの我々は、この矛盾に妙に解釈を加えない方が良さそうです。
前期比・前年比ともに、発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは過去8回です。入れ替わりの頻度は50%ですから、本指標は市場予想後追い型ではありません。
前期比・前年比の各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
上表から、発表結果と市場予想最の差(事後差異)と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率を見ると、前期比と前年比のどちらの影響が強い、とは言えません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の11pips以上だったことは過去3回(18%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均45pipsとほぼ同じです。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(67%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が11pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。67%あっても、たった3回の事例で67%の根拠で決め打ちするには、本指標直後1分足の反応は大きすぎます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去3回(18%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は56pipsで、これは過去全平均45pipsより12pips大きくなってました。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は2回(67%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が12pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。67%あっても、たった3回の事例で67%の根拠で決め打ちするには、本指標直後1分足の反応は大きすぎます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は45pipsです。
過去平均の45pipsを超えたことは47%あり、平均の1.5倍である68pipsを超えたことも18%あります。本指標は安定して反応が大きな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が53pips、過去平均値幅が45pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は8pips以上大きく、直後1分足終値より直後11分足跳幅は16pips以上大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・80%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は71%もあります。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、早期参加・追撃徹底です。高値(安値)掴みに気を付けて、早期参加は2段階か3段階にしても良いかも知れません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が80%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足は直前10-1分足の方向一致率は23%(不一致率77%)です。おそらくこれは、多くの取引参加者が早い時間から指標発表直後の反応方向を見越し、指標発表10分前ぐらいからポジションを解消しているものと思われます。本指標の取引参加者は、発表後の反応方向をほぼ正しく捉えている可能性があります。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足との方向一致率は63%で、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しにあまり素直に反応していません。
そして、事前差異と直後11分足の方向一致率が29%(不一致率71%)となっているものの、今回の事前差異はプラスでもマイナスでもない0となっています。よって、今回はこの特徴を利用したポジションは取れません。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月27日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
とは言え、数値自体は前期比プラスで、前年比は+1.9%と、悪い結果ではありません。結果、直後1分足は上下にヒゲを残す形となり、反応程度も過去平均より小さくなりました。
気になる点は、直前1分足であたかも結果を予め知っていたような動きがあったことです。豪州指標には良くこうしたことが起こります。
RBA(豪中銀)のインフレ目標である2-3%は、前期のみでまた2%割れとなりました。関心の高いRBA利上げは当面できない、ということになります。
RBA金融政策は次回8月1日に発表されます。
取引結果は次の通りでした。
思ったほどには陰線が伸びず、損切もありました。理由は先述の通り、前回結果・市場予想には及ばなかったものの、悪い数字ではなかったからでしょう。
事前調査分析結論を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月26日10:30に豪州物価指標「四半期CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※本稿は7月24日に記しています。発表直前には
市場予想を確認しておいた方がいいでしょう。
市場予想を確認しておいた方がいいでしょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度が非常に大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。でも大丈夫です。そんなリスクを冒さなくても、本指標は追撃に適しています。
- 指標結果に対する反応方向はあまり素直とは言えず(63%)、むしろ指標発表後は一方向に反応が進む特徴に着目した方が良さそうです。
- 反応方向を確認したら、早期参加・順張り徹底を薦めます。騙しには気を付けましょう。ほとんどの場合、指標発表直後の騙しは3-10秒以内に収まります。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果に関する予想分析は「わからない」が結論です。
(1) AUDUSDレートを見る限り、4-6月期は1-3月期よりAUDが強くなっており、本来ならこれは輸入物価が下がります。それにも関わらず、輸入物価指数(前月比しか調べていませんが)は、現時点で上昇と予想されています。アマチュアの我々は、この矛盾に妙に解釈を加えない方が良さそうです。
(2) 現在、本指標は市場予想後追い型ではありません。
(3) 前期比と前年比のどちらが反応方向に強い影響を与えているといった傾向は見出せません。 - 過去のローソク足を見る限り、何点か予め知っておいた方が良いポイントがありました。
(1) まれに(頻度18%)直前10-1分足の反応が11pips以上になることがあります。がしかし、そのような場合の直後1分足の反応は平均的で、反応方向はわかりません。
(2) まれに(頻度18%)直前1分足の反応が12pips以上になることがあります。そのような場合の直後1分足の反応はやや平均より大きいものの、反応方向はわかりません。
(3) 指標発表直後の跳幅は、23pips以下だったことは6%しかなく、24-45pipsが47%、46-68pipsが29%、69pips以上は18%、です。つまり、本指標は安定して大きく反応しています。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・80%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は71%もあります。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、早期参加・追撃徹底です。高値(安値)掴みに気を付けて、早期参加は2段階か3段階にしても良いかも知れません。
(2) 直後1分足は直前10-1分足の方向一致率は23%(不一致率77%)です。
おそらくこれは、多くの取引参加者が早い時間から指標発表直後の反応方向を見越し、指標発表10分前ぐらいからポジションを解消しているものと思われます。本指標の取引参加者は、発表後の反応方向をほぼ正しく捉えている可能性があります。AUDJPYは、大きな指標発表があるときにかなり早くから動き始めます。
また、直前1分足は陰線率が80%と、偏りが目立ちます。
(3) 事後差異と直後1分足との方向一致率は63%で、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しにあまり素直に反応していません。
そして、事前差異と直後11分足の方向一致率が29%(不一致率71%)となっているものの、今回の事前差異はプラスでもマイナスでもない0となっています。よって、今回はこの特徴を利用したポジションは取れません。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 指標発表直後に騙しに気を付けて(最低3秒あけて)早期参加し、追撃は順張りで徹底します。複数回の追撃も可とします。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、RBA(豪中銀)の金融政策に影響を与える点です。RBAが目標とする消費者物価指数は2〜3%ということが公表されています。
本指標は豪州統計局から四半期毎の翌月(1・4・7・11月)下旬に発表されます。
問題は本統計発表に先立ち、他の主要国のように毎月のCPI発表があるか否かです。もしそんなものがあれば、我々は日本で情報不足のまま取引することになってしまいます。確認しておきましょう。
豪統計局HP(ABS)の指標発表カレンダーで確認しておきました。結果、例えば7月にCPI月次発表は見当たりません。
もし興味があれば、ついでに本指標発表の形式をご覧になっておいてもいいでしょう。
ともあれ、基本的な疑問についてはこれで一安心です。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で45pipsにも達しています。本指標は非常に反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、23pips以下だったことは6%しかなく、24-45pipsが47%、46-68pipsが29%、69pips以上は18%、です。
これは大きい。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
まず、前期比のグラフ(上)を見てみましょう。
今回は前期よりやや低下すると市場予想されています。AUDUSDの1-3月期は始値0.7183-終値0.7634、4-6月期は始値0.7634-終値0.7689で、AUDが強くなっています。それにも関わらず、本発表翌日に予定されている輸入物価指数は前期比+0.7%と、現時点では強気の市場予想が出ています。
次に、前年比のグラフ(下)を見てみましょう。
今回は前年同期と同値と市場予想されています。昨年4-6月期のAUDUSDは始値0.7657-終値0.7451なので、今年の4-6月期の方がややAUDが強くなっています。こちらは輸入物価指数前年比の資料を見つけることができませんでした。
つまり、AUDUSDレートを見る限り、4-6月期はAUDが強くなっており、本来ならこれは輸入物価が下がります。それにも関わらず、輸入物価指数(前月比しか調べていませんが)は上昇と予想されている状況です。アマチュアの我々は、この矛盾に妙に解釈を加えない方が良さそうです。
ーーー$€¥ーーー
前期比・前年比ともに、発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは過去8回です。入れ替わりの頻度は50%ですから、本指標は市場予想後追い型ではありません。
ーーー$€¥ーーー
前期比・前年比の各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
上表から、発表結果と市場予想最の差(事後差異)と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率を見ると、前期比と前年比のどちらの影響が強い、とは言えません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の11pips以上だったことは過去3回(18%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均45pipsとほぼ同じです。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(67%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が11pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。67%あっても、たった3回の事例で67%の根拠で決め打ちするには、本指標直後1分足の反応は大きすぎます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去3回(18%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は56pipsで、これは過去全平均45pipsより12pips大きくなってました。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は2回(67%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が12pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。67%あっても、たった3回の事例で67%の根拠で決め打ちするには、本指標直後1分足の反応は大きすぎます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は45pipsです。
過去平均の45pipsを超えたことは47%あり、平均の1.5倍である68pipsを超えたことも18%あります。本指標は安定して反応が大きな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が53pips、過去平均値幅が45pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は8pips以上大きく、直後1分足終値より直後11分足跳幅は16pips以上大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・80%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は71%もあります。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、早期参加・追撃徹底です。高値(安値)掴みに気を付けて、早期参加は2段階か3段階にしても良いかも知れません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が80%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足は直前10-1分足の方向一致率は23%(不一致率77%)です。おそらくこれは、多くの取引参加者が早い時間から指標発表直後の反応方向を見越し、指標発表10分前ぐらいからポジションを解消しているものと思われます。本指標の取引参加者は、発表後の反応方向をほぼ正しく捉えている可能性があります。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足との方向一致率は63%で、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しにあまり素直に反応していません。
そして、事前差異と直後11分足の方向一致率が29%(不一致率71%)となっているものの、今回の事前差異はプラスでもマイナスでもない0となっています。よって、今回はこの特徴を利用したポジションは取れません。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月26日10:30発表
以下は2017年7月27日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
とは言え、数値自体は前期比プラスで、前年比は+1.9%と、悪い結果ではありません。結果、直後1分足は上下にヒゲを残す形となり、反応程度も過去平均より小さくなりました。
気になる点は、直前1分足であたかも結果を予め知っていたような動きがあったことです。豪州指標には良くこうしたことが起こります。
RBA(豪中銀)のインフレ目標である2-3%は、前期のみでまた2%割れとなりました。関心の高いRBA利上げは当面できない、ということになります。
RBA金融政策は次回8月1日に発表されます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
思ったほどには陰線が伸びず、損切もありました。理由は先述の通り、前回結果・市場予想には及ばなかったものの、悪い数字ではなかったからでしょう。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析結論を、以下に検証します
- 過去の傾向から言えば、反応程度が非常に大きく、指標発表時刻を跨いでポジションを持たないことにしていました。そんなリスクを冒さなくても、追撃で稼げるからです。
結果は、反応が過去平均より小さくなったものの、発表から5分強ぐらいは追撃しやすかったと思われます。 - 過去の傾向から言えば、指標結果に対する反応方向はあまり素直とは言えず(63%)、むしろ指標発表後は一方向に反応が進む特徴に着目した方が良い、と捉えていました。
結果は、発表直後の上ヒゲからのすぐ反転を過ぎると、陰線側に伸びていきました。ただ、発表後5分過ぎぐらいで停滞し、対象期間を過ぎてからも15:00頃までは下降が続いたようです。 - 反応方向を確認したら、早期参加・順張り徹底を薦めます。騙しには気を付けましょう。ほとんどの場合、指標発表直後の騙しは3-10秒以内に収まります。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線と見込んでいました。
結果は陰線でしたが、その動きは異常で発表後よりも大きくなりました。理由が何であれ危ない通貨です。 - 指標発表直後に騙しに気を付けて(最低3秒あけて)早期参加し、追撃は順張りで徹底を予定していました。
途中、損切もありましたが、複数回の追撃でプラスとなりました。必ず損切(読み間違い)は発生します。がしかし、大きく外さないやり方を続けていれば、問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
米国景気指標「CB消費者信頼感指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月25日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月25日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
同時刻にリッチモンド連銀製造業指数が発表されます。がしかし、その影響は本指標に及ばず、無視しても差し支えありません。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は、事前差異との方向一致率が23%(不一致率77%)です。今回の事前差異はマイナスなので、陰線と見込めます。
但し、直前1分足の過去平均値は跳幅4pips・値幅2pipsしかありません。やるなら欲張りは禁物です。
(2) 直後1分足は陽線率が76%です。指標発表直前にポジションを取って、発表後に跳ねたらすぐに利確・損切です。
但し、過去最大でも18pipsしか跳ねたことがなく、値幅の平均は9pipsしかありません。これも欲張りは禁物です。
(3) 発表から1分するか1分以内に10pips以上跳ねたら逆張りです。
但し、これは逆張りなのでお薦めできません。逆に15pipsも跳ねたら、過去の傾向とは違うことが起きている可能性が高いと言えるでしょう。その場合、危ないのですぐに損切です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(1) 現在の景況感、(2) 現在の雇用状況、(3) 6か月先の景況感、(4) 6か月先の雇用、(5) 6か月先の所得、について行われます。6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)についても行われますが、この項目が(3)や(5)に含まれるのか否かは確認できていません。いずれにせよ、これら5項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
指数化にあたっては、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り両者の単月毎の改善・悪化には相関がありません。
本指標の意義は、PCE(個人消費)との相関が強いという点です。PCEはGDPや株価との相関が強いと言われています。今後、それらの相関有無もきちんと調べていきましょう。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅が10pipsにも届いていません。上表分布を別の言い方で説明すると、5-9pipsが11回(37%)、10-12pipsが10回(33%)です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
直近の最大値は2017年3月で125.6でした。前回結果は118.9で前々回より微増、今回の市場予想は116.6です。もし市場予想以下の結果になれば、2017年3月をピークに下降基調に転じた印象を受けかねない形です。
今回の発表結果の良し悪しを予想する材料がないか、検討してみましょう。
まず、発表結果と市場予想の入れ替わりが激しく(15回、52%)、現在、本指標は市場予想後追い型にはなっていません。
次に、先行発表(7月14日)された同じ7月分UM消費者信頼感指数速報値は、前回結果・市場予想を下回りました(前回確報値95.1・市場予想95.0・発表結果93.1)。
がしかし、UM速報値とCBとの間には、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じであるにも関わらず、相関性がほぼありません。下図をご覧ください。
上図の実態差異の項は、単月毎に前月結果に比べて当月結果が良くなったか悪くなったか、その一致率を求めています。結果は45%で、発表結果の増減すら不一致になりがちです。
よって、両指標は長い期間での上昇・下降基調が同じ傾向を示しても、単月毎に前月結果より良くなるか悪くなるかは不一致になることの方が多いぐらいです。こんなことなら、今月の取引で、今月のUM速報値の良し悪しを参考にすることはできません。
以上のことから、定量分析によって当月指標結果の良し悪しはわからない、が結論です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
過去ローソク足の特徴を捉える分析では、過去の反応自体が小さいと、通常の値動きとの分離解釈が難しくなります。本指標は反応が小さな指標なので、過去の3倍の跳幅となったケースを調べて、そのような場合に後の展開を何か示唆していないか、確認しておきます。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその3倍の21pips以上だったことは過去1回(3%)あります。
この1回の直後1分足跳幅は6pipsで、これは直後1分足の過去全平均9pipsに達していません。がしかし、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が21pips以上に達した場合、それが直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。但し、直前10-1分足が大きく動いても、それが指標発表後の反応が大きいことを意味していません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が4pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去1回(3%)です。
この1回の直後1分足跳幅は13pipsで、これは過去全平均9pipsより4pips大きくなってました。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前1分足が大きく動いたからと言って、指標発表直後の反応方向を示唆している可能性があります。その反応が大きいか小さいかは、1回しか事例がないのでわかりません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は9pipsです。
過去平均の9pipsを超えたことは50%あるものの、最大でも18pipsしかありません(2015年9月分)。本指標は安定して反応が小さな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が15pips、過去平均値幅が9pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は6pips以上大きく、直後1分足終値より直後11分足跳幅は10pips以上大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は69%です。そして、その69%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各60%・45%です。次に、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率が31%しかありません。
指標発表直後の僅かな動きを追撃して、うまく直後1分足跳幅で利確できても10pipsには達しません。発表から1分を過ぎた時点から見ると、発表から11分後の値は、直後1分足の値幅を削るか反応が反転してい可能性の方が高くなっています(69%)。
よって、本指標は追撃に向いておらず、やるなら逆張りする方が勝率は稼げそうです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直後1分足は陽線率が76%となっています。直後1分足跳幅平均は9pips、値幅平均は5pipsです。発表時刻を跨いでポジションを取るなら、利確も損切も5pips程度と思っておいた方が良いでしょう。
そして、どのローソク足も他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上にはなっていません。つまり、本指標での取引参加者は発表結果を予見できている訳ではありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足との方向一致率は83%と高率で、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応します。
そして、事前差異と直前1分足の方向一致率が23%(不一致率77%)となっているものの、直前1分足の跳幅平均は4pips、値幅平均は2pipsしかありません。これでは反応が小さすぎて取引には不向きです。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月26日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
市場予想は前回結果を下回っていましたが、発表結果は前回結果・市場予想を上回って改善しましまた。反応は陽線でした。
直近の傾向はやや低下ぎみだったものの、3か月ぶりに120台に戻しました。
内訳は、現況指数が147.8(対前月+3.9)で、この数字は16年ぶり高水準です。期待指数は103.3(対前月+3.7)で、見通しも大きく改善しました。
先に発表されていたUM消費者信頼感指数も当月は改善していました。先月から今月にかけて消費者景況感が良くなる要素がどこにあったのか、正直、よくわかりません。
反応は、直後10-1分足が陰線で、それ以降は陽線を伸ばしました。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析の結論を次回以降の見直しが必要か否かを検証しておきます。
シナリオを検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月25日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
同時刻にリッチモンド連銀製造業指数が発表されます。がしかし、その影響は本指標に及ばず、無視しても差し支えありません。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。
※本稿は7月22日に記しています。25日07:00時点において、
上表市場予想は116.5に修正されていました。ご参考まで。
上表市場予想は116.5に修正されていました。ご参考まで。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は小さく、
- 反応方向は素直なものの、
- 発表から1分経過すると反応が伸びない傾向があるため、追撃には不向きです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果に関する予想分析は「わからない」が結論です。
(1) 2017年3月に直近の最大値となってからは下降基調と読み取れます。今回の市場予想は、前回確報値を下回っており、この基調に準じた予想となっています。
(2) 現在、本指標は市場予想後追い型ではありません。
(3) 先行発表されたUM消費者信頼感指数の結果とは、単月毎の前月結果に対する増減での相関がありません。
(4) よって、今回発表が市場予想を上回るか下回るかは「わからない」が結論です。 - 過去のローソク足を見る限り、何点か予め知っておいた方が良いポイントがありました。
(1) まれに(頻度3%)直前10-1分足や直前1分足が過去平均の3倍も動くことがあります。それぞれの跳幅3倍値は21pips・12pipsです。頻度こそ少ないものの、過去事例ではこのとき大きく跳ねた方向は、直後1分足値幅方向と一致していました。その反応が大きくなるかどうかは、過去事例が少なくてわかりません。
(2) 直後1分足の過去平均跳幅は9pipsで、最大でも18pipsしかありません。本指標は安定して反応が小さな指標だと言え、一方向への深追いは禁物だと言えるでしょう。
(3) 直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsあります。両者方向さえ一致すれば、反応方向を見極めてからでも追撃の旨味があるものの、後述するように、発表から1分を過ぎると直後1分足値幅を削ったり反転したことの方が多くなっています。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) もし指標発表直後の僅かな動きを追撃して、うまく直後1分足跳幅で利確できても10pipsにも達しません。発表から1分を過ぎた時点から見て11分後の値は、直後1分足の値幅を削るか反応が反転してい可能性の方が高くなっています(69%)。
よって、本指標は追撃に向いておらず、やるなら逆張りする方が勝率は稼げそうです。逆張りは、もし勝率が稼げる場面であっても、利幅が小さくなりがちなので、ここでは薦められません。
(2) 指標発表前のローソク足の動きは、発表後の動き予見できている兆しがありません。
むしろ、市場予想や発表結果に関わりない単純な傾向として、直後1分足の陽線率は76%あり、その偏りに着目します。もし発表時刻を跨いでポジションを取るなら、利確も損切も5pips程度と思っておいた方が良いでしょう。
(3) 事後差異と直後1分足との方向一致率は83%と高率で、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応します。
但し、前述の通り、今回発表結果が市場予想を上回るか下回るかは「わからない」が結論です。
(1) 直前1分足は、事前差異との方向一致率が23%(不一致率77%)です。今回の事前差異はマイナスなので、陰線と見込めます。
但し、直前1分足の過去平均値は跳幅4pips・値幅2pipsしかありません。やるなら欲張りは禁物です。
(2) 直後1分足は陽線率が76%です。指標発表直前にポジションを取って、発表後に跳ねたらすぐに利確・損切です。
但し、過去最大でも18pipsしか跳ねたことがなく、値幅の平均は9pipsしかありません。これも欲張りは禁物です。
(3) 発表から1分するか1分以内に10pips以上跳ねたら逆張りです。
但し、これは逆張りなのでお薦めできません。逆に15pipsも跳ねたら、過去の傾向とは違うことが起きている可能性が高いと言えるでしょう。その場合、危ないのですぐに損切です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(1) 現在の景況感、(2) 現在の雇用状況、(3) 6か月先の景況感、(4) 6か月先の雇用、(5) 6か月先の所得、について行われます。6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)についても行われますが、この項目が(3)や(5)に含まれるのか否かは確認できていません。いずれにせよ、これら5項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
指数化にあたっては、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り両者の単月毎の改善・悪化には相関がありません。
本指標の意義は、PCE(個人消費)との相関が強いという点です。PCEはGDPや株価との相関が強いと言われています。今後、それらの相関有無もきちんと調べていきましょう。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅が10pipsにも届いていません。上表分布を別の言い方で説明すると、5-9pipsが11回(37%)、10-12pipsが10回(33%)です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
直近の最大値は2017年3月で125.6でした。前回結果は118.9で前々回より微増、今回の市場予想は116.6です。もし市場予想以下の結果になれば、2017年3月をピークに下降基調に転じた印象を受けかねない形です。
今回の発表結果の良し悪しを予想する材料がないか、検討してみましょう。
まず、発表結果と市場予想の入れ替わりが激しく(15回、52%)、現在、本指標は市場予想後追い型にはなっていません。
次に、先行発表(7月14日)された同じ7月分UM消費者信頼感指数速報値は、前回結果・市場予想を下回りました(前回確報値95.1・市場予想95.0・発表結果93.1)。
がしかし、UM速報値とCBとの間には、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じであるにも関わらず、相関性がほぼありません。下図をご覧ください。
上図の実態差異の項は、単月毎に前月結果に比べて当月結果が良くなったか悪くなったか、その一致率を求めています。結果は45%で、発表結果の増減すら不一致になりがちです。
よって、両指標は長い期間での上昇・下降基調が同じ傾向を示しても、単月毎に前月結果より良くなるか悪くなるかは不一致になることの方が多いぐらいです。こんなことなら、今月の取引で、今月のUM速報値の良し悪しを参考にすることはできません。
以上のことから、定量分析によって当月指標結果の良し悪しはわからない、が結論です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
過去ローソク足の特徴を捉える分析では、過去の反応自体が小さいと、通常の値動きとの分離解釈が難しくなります。本指標は反応が小さな指標なので、過去の3倍の跳幅となったケースを調べて、そのような場合に後の展開を何か示唆していないか、確認しておきます。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその3倍の21pips以上だったことは過去1回(3%)あります。
この1回の直後1分足跳幅は6pipsで、これは直後1分足の過去全平均9pipsに達していません。がしかし、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が21pips以上に達した場合、それが直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。但し、直前10-1分足が大きく動いても、それが指標発表後の反応が大きいことを意味していません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が4pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去1回(3%)です。
この1回の直後1分足跳幅は13pipsで、これは過去全平均9pipsより4pips大きくなってました。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前1分足が大きく動いたからと言って、指標発表直後の反応方向を示唆している可能性があります。その反応が大きいか小さいかは、1回しか事例がないのでわかりません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は9pipsです。
過去平均の9pipsを超えたことは50%あるものの、最大でも18pipsしかありません(2015年9月分)。本指標は安定して反応が小さな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が15pips、過去平均値幅が9pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は6pips以上大きく、直後1分足終値より直後11分足跳幅は10pips以上大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は69%です。そして、その69%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各60%・45%です。次に、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率が31%しかありません。
指標発表直後の僅かな動きを追撃して、うまく直後1分足跳幅で利確できても10pipsには達しません。発表から1分を過ぎた時点から見ると、発表から11分後の値は、直後1分足の値幅を削るか反応が反転してい可能性の方が高くなっています(69%)。
よって、本指標は追撃に向いておらず、やるなら逆張りする方が勝率は稼げそうです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直後1分足は陽線率が76%となっています。直後1分足跳幅平均は9pips、値幅平均は5pipsです。発表時刻を跨いでポジションを取るなら、利確も損切も5pips程度と思っておいた方が良いでしょう。
そして、どのローソク足も他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上にはなっていません。つまり、本指標での取引参加者は発表結果を予見できている訳ではありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足との方向一致率は83%と高率で、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応します。
そして、事前差異と直前1分足の方向一致率が23%(不一致率77%)となっているものの、直前1分足の跳幅平均は4pips、値幅平均は2pipsしかありません。これでは反応が小さすぎて取引には不向きです。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月25日23:00発表
以下は2017年7月26日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
市場予想は前回結果を下回っていましたが、発表結果は前回結果・市場予想を上回って改善しましまた。反応は陽線でした。
直近の傾向はやや低下ぎみだったものの、3か月ぶりに120台に戻しました。
内訳は、現況指数が147.8(対前月+3.9)で、この数字は16年ぶり高水準です。期待指数は103.3(対前月+3.7)で、見通しも大きく改善しました。
先に発表されていたUM消費者信頼感指数も当月は改善していました。先月から今月にかけて消費者景況感が良くなる要素がどこにあったのか、正直、よくわかりません。
反応は、直後10-1分足が陰線で、それ以降は陽線を伸ばしました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析の結論を次回以降の見直しが必要か否かを検証しておきます。
- 反応は過去平均とほぼ同じでした。反応が小さな指標だという見解を修正する必要はありません。
- 反応方向は素直でした。これも問題ありません。
- 発表から1分を経過しても反応が伸びており、「伸びない」という過去傾向と異なる結果となりました。分析期間を見る限り、発表以降の反応が伸び続けているように見えますが、実際にはこの後は伸び悩んでいます。
- 今回は反応時間が長くなった理由として、次の2点が挙げられます。
ひとつは、単に市場予想を上回っただけでなく、市場予想が前回結果を下回ると予想されていたのに、前回結果をも上回ったことが挙げられます。
もうひとつは、先に発表されていたUM消費者信頼感指数速報値と同じく、前回結果を上回ったことです。消費者景況感が複数の指標で同じ傾向を示したため、景況感の下げ止まりが意識された、と思われます。
(6-2. シナリオ検証)
シナリオを検証しておきます。
- 事前準備したシナリオで「直前1分足は、事前差異との方向一致率が23%(不一致率77%)です。今回の事前差異はマイナスなので、陰線と見込めます」と記していました。
事前差異との方向一致率23%なら、このシナリオは陽線と見込まなければいけません。ここが間違っていました。 - 直後1分足は陽線率が76%です。指標発表直前にポジションを取って、発表後に跳ねたらすぐに利確・損切です。問題ありません。
- お薦めはできないものの、発表から1分するか1分以内に10pips以上跳ねたら逆張りとのシナリオを用意していました。
結果は1勝1敗です。
発表から2分弱を過ぎた時点での逆張りは損切となり、約7分経過後の逆張りで大きく利確できました。前述の通り、今回は指標発表結果の影響が長引く理由があった、と解釈しています。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
独国景気指標「Ifo景況指数」発表前後のEURJPY反応分析(2017年7月25日17:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月25日17:00に独国景気指標「Ifo景況指数」が発表されます。今回発表されるのは2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。含損5pipsを損切ラインとし、決済は指標発表直前とします。
(2) 直前1分足決済に先立ち、指標発表前に新たに買ポジションを取得します。但し、直前10-1分足が陰線ならば、この取引は見合わせます。
(3) 初期反応方向を確認したら早期参加し、発表から1分過ぎたら利確のタイミングを窺います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
Ifo景況感指数は、約7000社の企業が対象のアンケート調査結果を指数化したものです。調査は「現在」と「半年後」について「生産」「在庫」「受注」「価格」「雇用」に関わる質問に「良い」「同じ」「悪い」で回答します。2000年を100とし、現況と先行きを加重平均して「景況指数」が算出されています。
関連指標には「ZEW景況感指数」と「PMI速報値」があります。
一部で「鉱工業生産との関連性が高いと言われている」「調査対象が7000社の企業担当者のため経済実態を正確に把握できる」という解説も見受けられます。それら記事には、出典・論拠が明らかにされていなかったので、いずれ検証します。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の過去平均は10pipsにも達していません。上表分布を別の言い方で説明すると、0-4pipsが9回(30%)、5-8pipsが10回(33%)、9-12pipsが8回(17%)です。過去93%は12pips以下しか反応しなかった訳です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても修正していません。理由はご想像の通りです。
まず、「景況指数」「景況感指数」「現状分析指数」の各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べました。
上表から、発表結果と市場予想最の差(事後差異)と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率を見ると、景況指数の影響が最も強くなっています。直後1分足の方向は、
で求めた符号との一致率が高くなります(プラスなら陽線、マイナスなら陰線)。
今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足は陰線となる期待的中率が59%です。
次に、関連指標であるZEWとPMI速報値は、いずれも同月(7月)集計結果が前月よりも低下していました。よって、ZEWとPMI速報値がIFOの結果を先取り示唆しているなら、IFOも前回結果を下回ります。
2015年1月以降先月までの過去30回の発表で、ZEWもPMI速報値も実態差異がマイナスとなったことは僅か4回しかありません。この4回のうち、IFOの実態差異もマイナスとなったことは2回(50%)です。つまり、今月7月発表のZEWやPMI速報値がともに前回結果より下回っても、IFOもそうなるとは言えないのです。
なお、この実態差異は、各指標の項目毎に先述のような重み付け係数を導き求めた値と比較しています。具体的には、2015年7月・9月、2016年1月・2月が、ZEW・PMI速報値ともに実態差異がマイナスとなった4回です。
では、その4回の反応方向に注目してみましょう。
直前10-1分足は3回(75%)が陽線。直前1分足は4回(100%)が陰線、直後1分足は3回が陽線で1回が同値(100%、同値は確率計算の母数に含めない)、直後11分足は陽線が3回(75%)、でした。
意外なことに、陽線率が高かったのです。
先述の反応方向への影響が最も強い景況指数は、グラフが市場予想後追い型のようにも見えます。確認しておきましょう。
2015年「2月」以降先月までの29回のうち、市場予想と発表結果の大小関係が入れ替わったことは12回(41%)です。意外に入れ替わり頻度が高く、市場予想後追い型ではありません。
市場予想後追い型ではありませんが、59%は入れ替わっておらず、今回の場合には事後差異がプラスと予想されます。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
過去ローソク足の特徴を捉える分析では、過去の反応自体が小さいと、通常の値動きとの分離解釈が難しくなります。本指標は反応が小さな指標なので、過去の3倍の跳幅となったケースを調べて、そのような場合に後の展開を何か示唆していないか、確認しておきます。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。跳幅がその3倍の24pips以上に達したことはありません。
ちなみに、直後1分足跳幅の反応が小さい指標では、3倍という目安を異常の識別に用いています。平均的な反応程度の指標では2倍、大きく反応する指標では1.5倍です。
反応の小さな指標ほど、単なるトレンドの影響がノイズとなるので、目安の倍率を高めている訳です。
あと直前10-1分足には上下にヒゲが目立ちます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。この跳幅が15pips以上だったことはありません。
また、直前1分足は陰線側へのヒゲがほとんどありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は8pipsです。
過去平均の8pipsを超えたことは37%で、12pipsを超えたことも5回に1回しかありません。
本指標は安定して反応が小さな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が13pips、過去平均値幅が8pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は5pips強しか大きくなく、直後1分足終値より直後11分足跳幅も8pips強しか大きくありません。単なる差でなく「強」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsもなく、追撃時の難しさが窺えます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。そして、直後1分足終値より直後11分足終値が伸びたことは42%と、2回に1回ありません。
時間をかけた追撃には向いていません。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%で、その73%のうち84%は直後1分足終値を超える直後11分足跳幅が現れています(合成確率61%)。
発表から1分を過ぎたら反転リスクが高まるものの、合成確率61%なら1分を過ぎても短期追撃して良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率93%という極端な偏りがあり、直後1分足も陽線率が78%と偏っています。その結果、直前1分足と直後1分足の方向一致率は11%(不一致率89%)となっています。
そして、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が70%あります。本指標発表前の取引参加者は、発表直後の反応方向をほぼ正しく捉えている可能性があります。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
前回結果と市場予想と発表結果の関係に、偏りはありません。
そして、各差異がどうあれ各ローソク足との方向一致率には、30%以下もしくは70%以上となる関係がありません。事後差異と直後1分足との方向一致率も59%しかなく、あまり素直に反応しない指標だと言えます。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月26日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
前回結果・市場予想に対し発表結果は上回り、陽線で反応しました。
景況感指数は6か月連続改善が続き116.0に達しました。この数値は1991年以降で最高値です。
8月15日発表予定の独国4-6月期GDPは改善が予想されます。景気指標の好調の背景には、失業率の改善が続いて内需が好調なことと、輸出も好調が続いていることが挙げられます。
取引できませんでした。
事前調査・分析の結論を見直す必要があるか否か、検証しておきます。
取引はできなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
かえすがえすも取引できなかったことが残念です。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月25日17:00に独国景気指標「Ifo景況指数」が発表されます。今回発表されるのは2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は小さく、過去93%は12pips以下しか反応していません。
- 反応方向は、他の指標に比べると、発表結果の良し悪しとの関係が薄いようです。素直に反応することは59%です。
- 追撃は、早期参加・1分を過ぎてから早めの利確に適しています。
- 予兆らしきことが2点あります。
ひとつは、先に発表されたZEWやPMI速報値は、ともに前月結果より今月結果が低下していました。意外なことに、こうしたケースは過去4回しかありません(ZEWが前月より低下するとき、PMI速報値とは結果が一致しない)。この4回の過去事例からIFO発表結果の良し悪しを予想することはできません。がしかし、この4回は各タイミングでのローソク足の方向に偏りらしきものが窺えます。
もうひとつは、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が70%に達している点です。本指標発表前の取引参加者は、指標発表直後の反応方向をほぼ正しく読めている可能性があります。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果に関する予想分析は「わからない」が結論ですが、指標がどうあれ直後1分足の反応方向は過去事例から見て陽線を示唆しています。
(1) 直後1分足の方向は、2✕景況指数の差異
−1✕景況感指数の差異
ー1✕現状分析指数の差異
で求めた符号との一致率が高くなります(プラスなら陽線、マイナスなら陰線)。今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足は陰線となる期待的中率が59%です。
(2) 関連指標であるZEWとPMI速報値は、いずれも同月(7月)集計結果が前月よりも低下していました。2015年1月以降先月までの過去30回の発表で、ZEWもPMI速報値も実態差異がマイナスとなったことは僅か4回しかありません。この4回のうち、IFOの実態差異もマイナスとなったことは2回(50%)です。つまり、今月7月発表のZEWやPMI速報値がともに前回結果より下回っても、IFOもそうなるとは言えません。
がしかし、その4回の反応方向にはおもしろい特徴があります。
直前10-1分足は3回(75%)が陽線。直前1分足は4回(100%)が陰線、直後1分足は3回が陽線で1回が同値(100%、同値は確率計算の母数に含めない)、直後11分足は陽線が3回(75%)、でした。意外なことに、陽線率が高かったのです。
(3) 反応方向への影響が最も強い景況指数は、市場予想と発表結果のグラフが市場予想後追い型のようにも見えます。がしかし、2015年「2月」以降先月までの29回のうち、市場予想と発表結果の大小関係が入れ替わったことは12回(41%)です。意外に入れ替わり頻度が高く、市場予想後追い型ではありません。
但し、市場予想後追い型ではないものの、59%は入れ替わっておらず、今回の場合には前月と同じく発表結果が市場予想を上回る期待的中率は59%と言えます。 - 過去のローソク足を観察すると、事前に頭に入れておいた方がよい特徴がいくつかありました。
(1) 直前10-1分足は上下にヒゲが目立ちます。ちょっとチャートが動いたからと言って追撃は禁物です。
(2) 直前1分足は陽線側に数pipsのヒゲを形成しても、ほぼ陰線を形成して終わります。そして、その陰線には陰線側にほぼヒゲがありません。
(3) 直前1分足は陰線率93%という極端な偏りがあり、直後1分足も陽線率が78%と偏っています。その結果、直前1分足と直後1分足の方向一致率は11%(不一致率89%)となっています。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。そして、直後1分足終値より直後11分足終値が伸びたことは42%と、2回に1回ありません。つまり、時間をかけた追撃には向いていません。
また、直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%で、その73%のうち84%は直後1分足終値を超える直後11分足跳幅が現れています(合成確率61%)。合成確率61%なら1分を過ぎても短期追撃して良いでしょう。
(2) 直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が70%あります。本指標発表前の取引参加者は、発表直後の反応方向をほぼ正しく捉えている可能性があります。
(3) 前回結果と市場予想と発表結果の大小関係がどうあれ、各ローソク足との方向一致率は、30%以下もしくは70%以上に達していません。事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率さえ59%しかありません。本指標は他の指標に比べると、あまり素直に反応しない指標だと言えます。。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。含損5pipsを損切ラインとし、決済は指標発表直前とします。
(2) 直前1分足決済に先立ち、指標発表前に新たに買ポジションを取得します。但し、直前10-1分足が陰線ならば、この取引は見合わせます。
(3) 初期反応方向を確認したら早期参加し、発表から1分過ぎたら利確のタイミングを窺います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
Ifo景況感指数は、約7000社の企業が対象のアンケート調査結果を指数化したものです。調査は「現在」と「半年後」について「生産」「在庫」「受注」「価格」「雇用」に関わる質問に「良い」「同じ」「悪い」で回答します。2000年を100とし、現況と先行きを加重平均して「景況指数」が算出されています。
関連指標には「ZEW景況感指数」と「PMI速報値」があります。
一部で「鉱工業生産との関連性が高いと言われている」「調査対象が7000社の企業担当者のため経済実態を正確に把握できる」という解説も見受けられます。それら記事には、出典・論拠が明らかにされていなかったので、いずれ検証します。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の過去平均は10pipsにも達していません。上表分布を別の言い方で説明すると、0-4pipsが9回(30%)、5-8pipsが10回(33%)、9-12pipsが8回(17%)です。過去93%は12pips以下しか反応しなかった訳です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても修正していません。理由はご想像の通りです。
まず、「景況指数」「景況感指数」「現状分析指数」の各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べました。
上表から、発表結果と市場予想最の差(事後差異)と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率を見ると、景況指数の影響が最も強くなっています。直後1分足の方向は、
2✕景況指数の差異
−1✕景況感指数の差異
ー1✕現状分析指数の差異
−1✕景況感指数の差異
ー1✕現状分析指数の差異
で求めた符号との一致率が高くなります(プラスなら陽線、マイナスなら陰線)。
今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足は陰線となる期待的中率が59%です。
ーーー$€¥ーーー
次に、関連指標であるZEWとPMI速報値は、いずれも同月(7月)集計結果が前月よりも低下していました。よって、ZEWとPMI速報値がIFOの結果を先取り示唆しているなら、IFOも前回結果を下回ります。
2015年1月以降先月までの過去30回の発表で、ZEWもPMI速報値も実態差異がマイナスとなったことは僅か4回しかありません。この4回のうち、IFOの実態差異もマイナスとなったことは2回(50%)です。つまり、今月7月発表のZEWやPMI速報値がともに前回結果より下回っても、IFOもそうなるとは言えないのです。
なお、この実態差異は、各指標の項目毎に先述のような重み付け係数を導き求めた値と比較しています。具体的には、2015年7月・9月、2016年1月・2月が、ZEW・PMI速報値ともに実態差異がマイナスとなった4回です。
では、その4回の反応方向に注目してみましょう。
直前10-1分足は3回(75%)が陽線。直前1分足は4回(100%)が陰線、直後1分足は3回が陽線で1回が同値(100%、同値は確率計算の母数に含めない)、直後11分足は陽線が3回(75%)、でした。
意外なことに、陽線率が高かったのです。
ーーー$€¥ーーー
先述の反応方向への影響が最も強い景況指数は、グラフが市場予想後追い型のようにも見えます。確認しておきましょう。
2015年「2月」以降先月までの29回のうち、市場予想と発表結果の大小関係が入れ替わったことは12回(41%)です。意外に入れ替わり頻度が高く、市場予想後追い型ではありません。
市場予想後追い型ではありませんが、59%は入れ替わっておらず、今回の場合には事後差異がプラスと予想されます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
過去ローソク足の特徴を捉える分析では、過去の反応自体が小さいと、通常の値動きとの分離解釈が難しくなります。本指標は反応が小さな指標なので、過去の3倍の跳幅となったケースを調べて、そのような場合に後の展開を何か示唆していないか、確認しておきます。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。跳幅がその3倍の24pips以上に達したことはありません。
ちなみに、直後1分足跳幅の反応が小さい指標では、3倍という目安を異常の識別に用いています。平均的な反応程度の指標では2倍、大きく反応する指標では1.5倍です。
反応の小さな指標ほど、単なるトレンドの影響がノイズとなるので、目安の倍率を高めている訳です。
あと直前10-1分足には上下にヒゲが目立ちます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。この跳幅が15pips以上だったことはありません。
また、直前1分足は陰線側へのヒゲがほとんどありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は8pipsです。
過去平均の8pipsを超えたことは37%で、12pipsを超えたことも5回に1回しかありません。
本指標は安定して反応が小さな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が13pips、過去平均値幅が8pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は5pips強しか大きくなく、直後1分足終値より直後11分足跳幅も8pips強しか大きくありません。単なる差でなく「強」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsもなく、追撃時の難しさが窺えます。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。そして、直後1分足終値より直後11分足終値が伸びたことは42%と、2回に1回ありません。
時間をかけた追撃には向いていません。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%で、その73%のうち84%は直後1分足終値を超える直後11分足跳幅が現れています(合成確率61%)。
発表から1分を過ぎたら反転リスクが高まるものの、合成確率61%なら1分を過ぎても短期追撃して良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率93%という極端な偏りがあり、直後1分足も陽線率が78%と偏っています。その結果、直前1分足と直後1分足の方向一致率は11%(不一致率89%)となっています。
そして、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が70%あります。本指標発表前の取引参加者は、発表直後の反応方向をほぼ正しく捉えている可能性があります。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
前回結果と市場予想と発表結果の関係に、偏りはありません。
そして、各差異がどうあれ各ローソク足との方向一致率には、30%以下もしくは70%以上となる関係がありません。事後差異と直後1分足との方向一致率も59%しかなく、あまり素直に反応しない指標だと言えます。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月25日17:00発表
以下は2017年7月26日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
前回結果・市場予想に対し発表結果は上回り、陽線で反応しました。
景況感指数は6か月連続改善が続き116.0に達しました。この数値は1991年以降で最高値です。
8月15日発表予定の独国4-6月期GDPは改善が予想されます。景気指標の好調の背景には、失業率の改善が続いて内需が好調なことと、輸出も好調が続いていることが挙げられます。
(5-2. 取引結果)
取引できませんでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析の結論を見直す必要があるか否か、検証しておきます。
- 過去の傾向は、反応程度が小さく、過去93%は12pips以下しか反応していません。
今回は21pips反応しており、これは2015年1月・2016年4月に並んで過去最高でした。特に、市場予想から大きく発表結果が乖離した訳ではありません。それだけ取引参加者が「そろそろ感」を持っていた、ということでしょう。
今回結果によって過去の全般的傾向を見直す必要はありません。 - 過去の傾向は、反応方向が発表結果の良し悪しに素直だったことは59%しかなく、他の指標に比べてあまり素直とは言えません。
今回は素直な反応となったため、次回からは上記59%が62%まで上昇します。手放しで指標結果に素直に反応するとはまだ言えない数字です。 - 過去の傾向は、早期参加・1分を過ぎてから早めの利確に適しています。
今回の結果は、発表後3-4分での利確がベストだったようなので、次回見直しは必要ありません。 - 先に発表されていたZEWやPMI速報値は、ともに前月結果より今月結果が低下していました。
意外なことに、こうしたケースは過去4回しかありません(ZEWが前月より低下するとき、PMI速報値とは結果が一致しない)。例え、ZEWやPMI速報値がともに前回結果を下回っても、IFOも同様になるとは言えない、という過去データの蓄積は役立ちました。 - 過去データに依れば、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が70%に達していました。
特に今回は上述の通り、先行発表されたZEWもPMI速報値も前回結果を下回っていました。それにも関わらず、この方向一致率に沿った結果となったことは、本指標発表前の取引参加者が指標発表直後の反応方向をほぼ正しく読めている可能性がある、という分析の補強材料となりました。
(6-2. シナリオ検証)
取引はできなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前1分足は陰線と見込んでいました。
問題ありません。 - 直前1分足決済に先立ち、指標発表前に新たに買ポジションを取得するつもりでした。但し、直前10-1分足が陰線ならば、この取引は見合わせる予定でした。
問題ありません。 - 初期反応方向を確認したら早期参加し、発表から1分過ぎたら利確のタイミングを窺うつもりでした。
問題ありません。
かえすがえすも取引できなかったことが残念です。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年07月23日
ご理解いただければ・・・
最近、こうした経済指標分析記事を書いていて、改めて当たり前のことに気が付きました。
ひとつ前の記事で、「今回の独国PMI速報値発表時は取引しない」と書きました。
ざっくり、指標発表前に出す記事の構成が、
1.指標の特徴と分析結論
2.指標の調査・分析
3.定型分析
となっているものの、1で「取引しない方が良い」と書くと、2以下は読んでもらえないようです。
そりゃそうですね。
でも、無理な取引やどうなるかわからない取引を紹介するぐらいなら、ちょっと慎重なんじゃないか、というやり方を知ってもらう方が、このブログで想定している読者の人には良いのかな、と考えています。
FXだけじゃなく色々なことで積極的ならば、それだからこそ「逃げ足が早くなる」ことを意識しておいた方がいいでしょう。矛盾した話ですが、「積極果敢」ならば事前の「慎重さ」は必要です。
なんか人生訓みたいで、そんなことまで踏み込むほど偉くもないのですが。
「取引しない方が良い」という話もちょくちょくあります。
でもまぁ、そんな訳だからご容赦ください。
ついでに、最近、表示も遅くなってごめんなさい。
そういうのも増やしたから、無理やりに知らないものを薦めずにブログが続けられるのです。
ここは直さないので、ご理解頂けると幸いです。
表示が遅くなってごめんなさい。
ひとつ前の記事で、「今回の独国PMI速報値発表時は取引しない」と書きました。
ざっくり、指標発表前に出す記事の構成が、
1.指標の特徴と分析結論
2.指標の調査・分析
3.定型分析
となっているものの、1で「取引しない方が良い」と書くと、2以下は読んでもらえないようです。
そりゃそうですね。
でも、無理な取引やどうなるかわからない取引を紹介するぐらいなら、ちょっと慎重なんじゃないか、というやり方を知ってもらう方が、このブログで想定している読者の人には良いのかな、と考えています。
FXだけじゃなく色々なことで積極的ならば、それだからこそ「逃げ足が早くなる」ことを意識しておいた方がいいでしょう。矛盾した話ですが、「積極果敢」ならば事前の「慎重さ」は必要です。
なんか人生訓みたいで、そんなことまで踏み込むほど偉くもないのですが。
「取引しない方が良い」という話もちょくちょくあります。
でもまぁ、そんな訳だからご容赦ください。
ーーー$€¥ーーー
ついでに、最近、表示も遅くなってごめんなさい。
そういうのも増やしたから、無理やりに知らないものを薦めずにブログが続けられるのです。
ここは直さないので、ご理解頂けると幸いです。
表示が遅くなってごめんなさい。
以上
独国景気指標「PMI速報値」発表前後のEURJPY反応分析(2017年7月24日16:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月24日16:30に独国景気指標「PMI速報値」が発表されます。発表内容は「総合」「製造業」「サービス業」で、今回発表されるのは2017年7月分の集計結果です。
本指標発表時刻30分前には仏国PMI速報値が発表され、30分後には欧州PMI速報値が発表されます。本来ならば、本指標も含めて30分毎に発表されるこれら指標を通して取引を行う方が望ましいはずです。そうは思うものの、そうした取引を行うための準備も研究も未着手です。いずれ挑戦したいと思います。
ともあれ、一連のPMI速報値において最も重要で注目を集めているのは、欧州で最も経済規模が大きい独国PMI速報値です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、今回は本指標での取引を諦めます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業の仕入れも機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
がしかし、だから製造業景況感の方がサービス業景況感よりも先行性がある訳とは限りません。
昔と違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、今では商社を通じた海外取引は決して多くありません。サービス業の仕入れに至っては、国内外を問わず、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅が10pipsにも届いていません。上表分布を別の言い方で説明すると、0-8pipsが9回(30%)、5-8pipsが8回(27%)、9-11pipsが8回(27%)です。5回に4回以上は11pips以下しか反応していません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
まず、「総合」「製造業」「サービス業」の各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べました。
上表から、発表結果と市場予想最の差(事後差異)と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率は、製造業>総合>サービス業、の順です。直後1分足の方向は、
で求めた符号との一致率が高くなります(プラスなら陽線、マイナスなら陰線)。
次に、上式で求めた実態差異を、先に発表されたZEWと対比してみます。
ZEWは、同月集計結果が先に発表される総合指数です(製造業もサービス業も含めた企業景況感)です。両指標間にもし相関があるなら、それは事前差異(市場予想ー前回結果)や事後差異(発表結果ー市場予想)でなく実態差異(発表結果ー前回結果)の一致率が高くなるはずです。
ZEWは現況指数と期待指数からなります。ここでは、それらの差異を加えた合成値を求め、その各実態差異と本指標の実態差異との方向一致率を求めました。
同月発表のZEW期待指数の実態差異は、十分に一致率が高いと言えないものの、悪い一致率ではありません。参考にはなるでしょう。
ちなみに、同じ7月集計分ZEWは、現況指数86.4(対6月△1.6)、期待指数17.5(対6月△1.1)でした。
もし、両指標実態差異に相関があるなら、当月のPMI速報値実態差異がマイナスで一致する可能性は62%、ということになります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
過去ローソク足の特徴を捉える分析では、過去の反応自体が小さいと、通常の値動きとの分離解釈が難しくなります。本指標は反応が小さな指標なので、過去の3倍の跳幅となったケースを調べて、そのような場合に後の展開を何か示唆していないか、確認しておきます。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が10pipsです。跳幅がその3倍の30pips以上だったことは過去1回(3%)あります。
この1回の直後1分足跳幅は5pipsで、これは過去全平均8pipsに達していません。がしかし、この1回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が30pips以上に達した場合、それが直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。その反応が大きいか小さいかは、1回しか事例がないのでわかりません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去1回(3%)です。
この1回の直後1分足跳幅は11pipsで、これは過去全平均8pipsと大して変わりません。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前1分足が大きく動いたときには、指標発表直後の反応方向を示唆している可能性があります。その反応が大きいか小さいかは、1回しか事例がないのでわかりません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は8pipsです。
過去平均の8pipsを超えたことは43%あるものの、最大でも22pipsしかなく(2015年4月分)、12pips以上となったことも5回に1回未満しかありません。
本指標は安定して反応が小さな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が15pips、過去平均値幅が10pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は7pips強しか大きくなく、直後1分足終値より直後11分足跳幅も9pips強しか大きくありません。単なる差でなく「強」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsもなく、追撃時の難しさが窺えます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は60%です。そして、その60%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各89%・78%です。次に、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率が47%です。
つまり、指標発表直後の僅かな動きを追撃して、うまく直後1分足跳幅で利確できても10pipsには達しません。発表から1分を過ぎた時点から見ると、発表から11分後の値は、直後1分足の値幅を削るか反応が反転してい可能性の方が高くなっています(53%)。
よって、本指標は追撃には向いていません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
陽線・陰線への偏りは、取引基準としている70%以上ないしは30%以下になっていません。
そして、どのローソク足も他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上にはなっていません。つまり、本指標は反応方向に偏りがなく、取引参加者は発表結果を予見できている訳ではありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
前回結果と市場予想と発表結果の関係に、偏りはありません。
そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は83%で、これは発表結果の良し悪しに素直に反応する指標だということです。
また、事前差異と直後1分足の方向一致率が24%(不一致率76%)となっています。これは、市場予想が前回結果より低いときには、陽線で反応しがちだということです。今回の事前差異はマイナスです。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月24日20:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、前回結果・市場予想に対し総合・製造業・サービス業のいずれも低下し、反応は陰線でした。
今回はどちらに反応するかがわからないので、取引しないことにしていました。
巻頭に挙げた本指標の特徴が、今回の結果によって次回修正が必要か否かを検証しておきます。
事前準備していたシナリオはありません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月24日16:30に独国景気指標「PMI速報値」が発表されます。発表内容は「総合」「製造業」「サービス業」で、今回発表されるのは2017年7月分の集計結果です。
本指標発表時刻30分前には仏国PMI速報値が発表され、30分後には欧州PMI速報値が発表されます。本来ならば、本指標も含めて30分毎に発表されるこれら指標を通して取引を行う方が望ましいはずです。そうは思うものの、そうした取引を行うための準備も研究も未着手です。いずれ挑戦したいと思います。
ともあれ、一連のPMI速報値において最も重要で注目を集めているのは、欧州で最も経済規模が大きい独国PMI速報値です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は小さく、指標発表直後でも5回に4回以上が11pips以下しか跳ねません。
- 反応方向は、市場予想との差が同じなら、製造業>総合>サービス業、の順に影響します。
- 追撃には向かず、もしやるなら早期参加・短期利確です。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果に関する予想分析は「わからない」が結論です。
(1) 同じ集計月のZEW期待指数の実態差異は、本指標実態差異との方向一致率が62%です。7月集計分ZEW期待指数実態差異はマイナスなので、今回の直後1分足は陰線となる可能性が62%ということです。
(2) 一方、事前差異と直後1分足との方向一致率が24% (不一致率76%)です。今回の事前差異はマイナスなので、陽線となる可能性が76%ということです。
(3) つまり今回は、異なるロジックによる分析結果が互いに矛盾しています。 - 過去のローソク足を見る限り、滅多に起きなくても予め知っておいた方が良いポイントがありました。
まれに(頻度3%)直前10-1分足や直前1分足が過去平均の3倍も動くことがあります。そのような場合、直後1分足は、その大きく動いた方向に跳ねる可能性があります。
但し、過去事例を見る限り、直前10-1分足や直前1分足がそれほど大きく動いても、直後1分足の反応はむしろ小さいぐらいです。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) もし指標発表直後の僅かな動きを追撃して、うまく直後1分足跳幅で利確できても10pipsには達しません。発表から1分を過ぎた時点から見ると、発表から11分後の値は、直後1分足の値幅を削るか反応が反転してい可能性の方が高くなっています(53%)。
よって、本指標は追撃には向いていません。
(2) 本指標は反応方向に偏りがなく、取引参加者は発表結果を予見できている兆しもありません。
(3) 本指標は、発表結果が市場予想を上回るか下回るかに、直後1分足が83%の高確率で素直に反応しています。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業の仕入れも機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
がしかし、だから製造業景況感の方がサービス業景況感よりも先行性がある訳とは限りません。
昔と違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、今では商社を通じた海外取引は決して多くありません。サービス業の仕入れに至っては、国内外を問わず、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅が10pipsにも届いていません。上表分布を別の言い方で説明すると、0-8pipsが9回(30%)、5-8pipsが8回(27%)、9-11pipsが8回(27%)です。5回に4回以上は11pips以下しか反応していません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
まず、「総合」「製造業」「サービス業」の各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べました。
上表から、発表結果と市場予想最の差(事後差異)と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率は、製造業>総合>サービス業、の順です。直後1分足の方向は、
1✕総合の差異
+3✕製造業の差異
ー1✕サービス業の差異
+3✕製造業の差異
ー1✕サービス業の差異
で求めた符号との一致率が高くなります(プラスなら陽線、マイナスなら陰線)。
次に、上式で求めた実態差異を、先に発表されたZEWと対比してみます。
ZEWは、同月集計結果が先に発表される総合指数です(製造業もサービス業も含めた企業景況感)です。両指標間にもし相関があるなら、それは事前差異(市場予想ー前回結果)や事後差異(発表結果ー市場予想)でなく実態差異(発表結果ー前回結果)の一致率が高くなるはずです。
ZEWは現況指数と期待指数からなります。ここでは、それらの差異を加えた合成値を求め、その各実態差異と本指標の実態差異との方向一致率を求めました。
同月発表のZEW期待指数の実態差異は、十分に一致率が高いと言えないものの、悪い一致率ではありません。参考にはなるでしょう。
ちなみに、同じ7月集計分ZEWは、現況指数86.4(対6月△1.6)、期待指数17.5(対6月△1.1)でした。
もし、両指標実態差異に相関があるなら、当月のPMI速報値実態差異がマイナスで一致する可能性は62%、ということになります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
過去ローソク足の特徴を捉える分析では、過去の反応自体が小さいと、通常の値動きとの分離解釈が難しくなります。本指標は反応が小さな指標なので、過去の3倍の跳幅となったケースを調べて、そのような場合に後の展開を何か示唆していないか、確認しておきます。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が10pipsです。跳幅がその3倍の30pips以上だったことは過去1回(3%)あります。
この1回の直後1分足跳幅は5pipsで、これは過去全平均8pipsに達していません。がしかし、この1回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が30pips以上に達した場合、それが直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。その反応が大きいか小さいかは、1回しか事例がないのでわかりません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去1回(3%)です。
この1回の直後1分足跳幅は11pipsで、これは過去全平均8pipsと大して変わりません。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
つまり、直前1分足が大きく動いたときには、指標発表直後の反応方向を示唆している可能性があります。その反応が大きいか小さいかは、1回しか事例がないのでわかりません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は8pipsです。
過去平均の8pipsを超えたことは43%あるものの、最大でも22pipsしかなく(2015年4月分)、12pips以上となったことも5回に1回未満しかありません。
本指標は安定して反応が小さな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が15pips、過去平均値幅が10pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は7pips強しか大きくなく、直後1分足終値より直後11分足跳幅も9pips強しか大きくありません。単なる差でなく「強」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsもなく、追撃時の難しさが窺えます。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は60%です。そして、その60%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各89%・78%です。次に、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率が47%です。
つまり、指標発表直後の僅かな動きを追撃して、うまく直後1分足跳幅で利確できても10pipsには達しません。発表から1分を過ぎた時点から見ると、発表から11分後の値は、直後1分足の値幅を削るか反応が反転してい可能性の方が高くなっています(53%)。
よって、本指標は追撃には向いていません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
陽線・陰線への偏りは、取引基準としている70%以上ないしは30%以下になっていません。
そして、どのローソク足も他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上にはなっていません。つまり、本指標は反応方向に偏りがなく、取引参加者は発表結果を予見できている訳ではありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
前回結果と市場予想と発表結果の関係に、偏りはありません。
そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は83%で、これは発表結果の良し悪しに素直に反応する指標だということです。
また、事前差異と直後1分足の方向一致率が24%(不一致率76%)となっています。これは、市場予想が前回結果より低いときには、陽線で反応しがちだということです。今回の事前差異はマイナスです。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月24日16:30発表
以下は2017年7月24日20:30頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、前回結果・市場予想に対し総合・製造業・サービス業のいずれも低下し、反応は陰線でした。
(5-2. 取引結果)
今回はどちらに反応するかがわからないので、取引しないことにしていました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
巻頭に挙げた本指標の特徴が、今回の結果によって次回修正が必要か否かを検証しておきます。
- 過去の反応程度は小さく、指標発表直後でも5回に4回以上が11pips以下しか跳ねません。
今回の結果は、直後1分足跳足が10pips・値幅6pipsなので、次回もこの点を修正する必要はありません。 - 過去の反応方向は、市場予想との差が同じなら、製造業>総合>サービス業、の順に直後1分足の方向に影響を及ぼしています。
今回の結果は、各項目ともに市場予想を下回っていたため、反応方向への影響順位を確認することはできませんでした。次回もこの項を修正する必要はありません。 - 過去の傾向では、追撃には向かない指標で、もしやるなら早期参加・短期利確です。
今回の結果は、もし早期追撃を開始していたら、直後11分足終値までで5〜10pips程度が稼げていた可能性があります。過去の傾向とは違う結果になったので、次回も継続注視しておきます。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオはありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年7月第3週成績と、7月第4週主要指標の過去反応pips
本成績は、2017年1月1日時点でGBPJPY1枚分の投資額の10倍(¥579,680)を元本に、本ブログ記載の方法で取引を行いつつある途中経過です。
現時点まで半年間の運用益は30%に達しており、正直言って、例年に比べて「運が良かった」ようです(例年の約2倍ペースです)。理由は、運と、取引する・しないの判定基準を70%(例年75%)まで下げて取引回数が増えたことと、本ブログを始めたことで分析用の図表類の一覧が容易になったため、と思います。
その代わりに、ブログを書いてからでないと、何か取引する気がしなくなったのがちょっと面倒です。
7月第3週の取引結果と、年初からの通算成績を纏めておきます。
第3週は2指標しか取引を行えませんでした。
記事は6つも用意したのに、何と4指標で別の記事を書いていたりちょうど話をしていて、取引機会を逃しました。
やれやれです。
取引時間は20分51秒(1指標当たり10分26秒)、損益はいつも1枚ずつの取引で+2,422円(同+1,211円)でした。勝率は、指標単位で100%(2勝)、シナリオ単位では78%(7勝2敗見送り1)でした。
7月第3週発表の経済指標概要は次の通りでした。
取引を行った指標の調査・分析・結果・検証の記録は以下をご参照ください。
次週7月第4週で関心を持っている指標を下表に纏めておきます。
グラフは各指標反応の過去平均pipsです。データはまだ、各指標の前回分析時までの記事で用いた値ですから、最新の値にはなっていません(誤差が数pips程度あると思われます)。そのつもりでご覧ください。
関心を持っている内容は次の通りです。
今週、日本は月曜が祝日、金曜は各国主要指標の発表がありません。メリハリのある取引ができる時間が限られています。
現時点まで半年間の運用益は30%に達しており、正直言って、例年に比べて「運が良かった」ようです(例年の約2倍ペースです)。理由は、運と、取引する・しないの判定基準を70%(例年75%)まで下げて取引回数が増えたことと、本ブログを始めたことで分析用の図表類の一覧が容易になったため、と思います。
その代わりに、ブログを書いてからでないと、何か取引する気がしなくなったのがちょっと面倒です。
【1. 今週成績及び所感】
7月第3週の取引結果と、年初からの通算成績を纏めておきます。
第3週は2指標しか取引を行えませんでした。
記事は6つも用意したのに、何と4指標で別の記事を書いていたりちょうど話をしていて、取引機会を逃しました。
やれやれです。
取引時間は20分51秒(1指標当たり10分26秒)、損益はいつも1枚ずつの取引で+2,422円(同+1,211円)でした。勝率は、指標単位で100%(2勝)、シナリオ単位では78%(7勝2敗見送り1)でした。
7月第3週発表の経済指標概要は次の通りでした。
- 米国指標は、NY連銀・Phil連銀の製造業景況指数ぐらいしか目立った発表がない週でした。ともに結果は前回より低下しました。
- 欧州では、ECB金融政策が発表され、結果は市場予想通りに現状維持でした。市場の期待は、どちらかと言えば緩和から縮小への政策転換のヒントを求めていたように見受けられますが、結果はどちらかと言えば「著しい不確実性と景気見通しへの大きなリスク」が強調されました。一部解説記事では緩和継続どころか「追加緩和の余地を残した」と報道されています。
- 英国経済指標は、物価指標と小売売上高が発表されました。
物価は、CPI・RPIの伸び率が全般的に減速し、特にCPI前年比+2.6%は昨年10月以降初めて前月を下回りました。とは言え、BOE目標は+2%なので、目標を上回るインフレが続いていることに変わりありません。ただ、インフレ率の高止まりで利上げ議論が活発化していたので、8月3日のMPCが伸び率鈍化で様子見を継続するかに関心が集まります。
小売売上高前月比はプラスに転じました。もっとも、同前月比はプラス・マイナスを既に5か月繰り返しており、今月発表はプラスの順番でした。前年比も+2.9%と前月+0.9%より改善したものの、昨年10月頃からの下降基調を脱するにはあと1%の上昇が必要でした。
経済指標ではないものの、EU との2 回目離脱交渉では、ほとんど国内で報道されないほど進展しませんでした。 これは秋の独選挙を控え、EU側が甘い条件を出せるはずがないので折込み済です。 - 豪州・NZ関係では、中国4-6月期GDPが発表されました。
結果は、前回1-3月期6.9%・市場予想6.8%に対し、6.9%でほぼ予想通りでした。11月の全人代に向けて悪い数字は出せません。中国の1-6月期対外直接投資は大幅に落ち込んでおり(前年比△46%)、これは当局規制に依るものです。6月単月でも前年比△11.3%です。
豪州雇用統計は失業率が市場予想と同じで、新規雇用者数は市場予想を僅かに下回ったものの前月より増加しています。そして、常勤雇用者数が僅かに増えました。 - 日本経済指標は通関ベース貿易収支が発表され、+4,399億円でした。6月輸出は前年比+9.7%で、輸入は前年比+15.5%でした。米国向けは+7.1%、中国向けが+19.5%です。
日銀金融政策決定会合では、景気回復との見方を強めたものの、インフレ目標達成時期を後ズレさせました。今回の後ズレ判断は、黒田総裁の任期中の目標達成断念というが注目されています。このことは、黒田総裁の政策をIMFや格付け会社も評価していたため、それら機関がいずれJPYにとってネガティブな評価を発表し始めると思われます。
何をやってももう駄目だ、と海外から言われるのはおもしろくないですね。
取引を行った指標の調査・分析・結果・検証の記録は以下をご参照ください。
【2. 次週主要指標の過去反応】
次週7月第4週で関心を持っている指標を下表に纏めておきます。
グラフは各指標反応の過去平均pipsです。データはまだ、各指標の前回分析時までの記事で用いた値ですから、最新の値にはなっていません(誤差が数pips程度あると思われます)。そのつもりでご覧ください。
関心を持っている内容は次の通りです。
- 米国はFOMC金融政策・4-6月期GDP速報値・6月集計分住宅指標の発表が予定されています。
現在、FOMC金融政策に関し「9月BS縮小開始・12月追加利上げ」との報道解説が多く見受けられます。つまり、これを基準に時期や程度への市場認知が変更されると、大きくUSDは動きます。よって、今回のFOMCは波乱なしと予想されます。気になる点は、7月12-13日、FRB議長は議会でインフレ鈍化への懸念を証言している点です。
1-3月期GDP前期比年率は+1.4%で確定しており、この数字は一時低調との見解が以前にFOMC声明で示されています。4-6月期は現時点で+2.5%程度と予想されています。前々日のFOMC声明で、個人消費について何らかのコメントが含まれると思われるので、それを参考にしましょう。
FOMCとGDPに比べれば、住宅指標なんてほぼ反応しません。それよりも米政権がまたごたごたしており、それが株価に影響してUSDJPYを動かさないかが心配です。 - 欧州指標は、景気指標のPMI速報値・Ifo景況感が発表されます。欧州経済とは関係ない話ですが、欧州指標での取引成績は米英豪に比べ悪いので(勝率70%に達していない)、少し分析内容を見直すつもりです。
- 英国経済指標も、4-6月期GPD速報値が発表されます。先週までに物価指標の上昇鈍化が確認でき、今週は経済実態を把握して、次週8月3日のMPC政策発表を迎える訳です。
1-3月期は前期比年率が+2.1%で2期連続で成長率が少しずつ低下していました。今回4-6月期の市場予想は、現時点で一気に+1.7%への低下が予想されています。+1.7%という数字は2013年7-9月期(+1.5%)以来の低成長ということになります。
よって、市場予想付近まで成長率が低下してしまうと、景気後退によって利上げどころではなくなります。市場予想がこのまま修正されないと、GBPはGDP発表までだらだらと売られるでしょう。一方、あまり予想できないものの、前期並みの成長率が維持された場合には、利上げ期待で驚くほどGBPが跳ね上がる、という展開です。 - 豪州経済指標は物価指標が発表されます。PPIはほとんど反応しないので、CPIに注目です。
失業率は改善基調と見なせることが先週雇用統計で確認できたので、あとはインフレ率+2%以上が維持できる見通しが得られれば、RBAは低金利政策を好きなときに止められます。1-3月期CPIは前年比+2.1%で、2014年7-9月期以来の2%回復でした。現時点で今回の市場予想は前期同値なので、市場予想がこのままなら今回は上振れの可能性があります。 - 日本経済指標はCPIが発表されますが、先週の日銀会合結論から見て、大きな変化はないでしょう。
今週、日本は月曜が祝日、金曜は各国主要指標の発表がありません。メリハリのある取引ができる時間が限られています。
以上
2017年07月21日
3-2.既出情報(改訂)
パワーポイント(ppt)が会社で使われ始めた頃(1990年代?)は、なかなか馴染めませんでした。かつては、学会等で何か発表するときには、透明フィルムに資料を書き込んだり印刷して、それを大きく投影して説明したのです。そのフィルムが高くて再利用できないため、社内発表では使わせてもらえなかったぐらいです。
でもあれは、発表しながらマジックでフィルムに書き込んで説明できたので、それなりに便利でした。そして当時のプロジェクターは、発熱量が少ないLEDではなく、投光器にも使われる水銀ランプを使っていました。だから、質問への回答を投影しながら書き込んで説明していると、かなり暑かった記憶があります。
夏は汗だくになって説明していると、きっとそれだけで間違ったことを言っても許してもらえたことが多かったはずです。聞き手の偉い先生にとっては、我々若手の話なんてほとんど聞いたことがある話ばかりだったでしょうから。「とにかくわかった」という議論の終り方だってあったのです。クーラーだって限られた場所にしかなかったのです。
本ブログでは、ざっくり「既出情報」「定型分析」「結果検証」で一記事としています。「既出情報」は、既にご存じの情報を頭の整理のために纏め直した記事です。冷暖房のある部屋でご覧ください。
そもそも、個々の指標で押さえておくべき点は次の3点です。
これらはどこの機関がいつ発表するかより、取引にはずっと重要な情報です。
過去の反応がどの程度かは、利確や損切の目安を得るのに役立ちます。何より、反応が小さな指標について分析時間を長くかけても、収益に寄与しません。だから、個別の指標について最初に調べることは「反応程度」です。
反応の程度は簡単に調べられます。例えば下表をご覧ください。
上段の表は、調査期間とどの通貨ペアについて調べたかです。
中段の表は、4本足チャートの各ローソク足で過去の跳幅平均・値幅平均をpipsで示しています。
下段の表は、直後1分足跳幅の過去の反応程度の分布を示しています。直後1分足跳幅は、指標結果の影響を最も素直に受けるため、その分布を見ています。
最も素直に指標結果の影響を受ける直後1分足跳幅の大きさが、
と分類しておきます。
この分類は記事で指標を紹介するためのもので、5段階に分類していることが意味のあることではありません。
但し、反応程度が大きい指標(20pips以上)では、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことに、より慎重であるべきです。反応方向を読み間違えたときのダメージが大きいのだから、それは当然の配慮です。
具体的には、反応程度が大きい指標で発表時刻を跨いでポジションをもつためには、例えば「期待的中率75%以上の根拠が必須」といった制約を設けた方が良いでしょう。反応程度が平均以下の指標では、それを70%と格下げすれば良いのです。
もっと細かく分けても構いませんが、あまり細かすぎるとルールを覚えていられません。
こうしたルールは自分で決めるしかありません。
反応程度の中央値(数字を小さい方から大きい方に順に並べたときの中央の値)は、平均値より小さくなります。ほとんどの指標は、過去平均値の2倍も反応することが10%もありません。
見ているポイントは
です。
感覚的な話で恐縮ながら、過去平均の2倍を超えたことが10%以上ある指標は珍しいように思えます。そして、反応程度が過去平均を超えることが45%以上や37%以下となることも珍しいように思えます。また、反応程度が過去平均の0.5倍以下が20%以上(上表での表示値と100%との差)となることも珍しいように思えます。
これらは年末にでも、珍しい指標がどのぐらいあるのかを調べて、珍しさを感覚的にでなく定量化しておきます。
例えば、米国雇用統計では、「NFP(非農業部門雇用者数」「失業率」「平均時給」といった項目が発表されます。他にも多くの項目が発表されていますが、反応方向に影響するのは、これら3項目と言って良いでしょう。
では、これら項目毎のの市場予想や発表結果が良し悪し入り混じっていたら、どう反応するのでしょう。それを求めたのが「発表項目毎影響力」という表です。これまでは「反応寄与率」という呼称も用いていましたが、本稿改訂以降は「発表項目毎影響力」に呼称を統一します。
この表から、平均時給>NFP増減>失業率の順に、結果の良し悪しが反応方向に影響することがわかります。そして、
で事後差異を求めると、直後1分足との方向一致率が90%に達することがわかります。
「こんなややこしい式に意味あるのか」という疑問があるかも知れません。でも「この式は指標発表時に使わない」というのが答えです。この式を使って全自動で発表結果を取り込んで全自動で売買を行えるほど、資金や知識がある訳ではありません。
この式(表)は、指標発表の前にどの項目が反応に影響するのかや、それが変化していないかを知るために算出しています。例えば、以前はNFPだけに注目していたが、最近は平均時給の影響が高くなっているとか、を見ています。
なお、この表の数値算出方法は、指標一致性分析の計算シートをそのまま使っています。詳細はそちらをご参照願います。
現状は計算シートを統一している都合上、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなるように項目毎の重み付け係数を求めています。例えば、事後差異と直後1分足の方向一致率が高ければ、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が下がっても目をつむっています。
いずれは他の差異やローソク足との方向一致率も適化できるようにしていきます。
例えば、米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
さて、最も市場の関心を集めるだけに、雇用統計の結果を事前分析した記事は、毎月数多く見受けられます。
例えば、ISM製造業景況指数やISM非製造業景況指数の内訳には、雇用指数というのがあります。また、ADP民間雇用者数も有名です。同月のこれら指数・指標結果に絡めて、当月の雇用統計の結果を論じる記事は、かなり多く見受けられます。
がしかし、下図をご覧ください。この図は、上記3つの指数・指標の結果を前月結果と比べた増減が、同月の雇用統計のNFP増減数が前月結果と比べた増減と、方向が一致したか否かを調べたものです。調査範囲は、2015年1月分(2月発表)から2017年6月分(7月発表)までの29回分です。
例えば、ISM製造業景況指数の雇用指数が前月より改善しても、雇用統計のNFPが増えたことは38%しかありません。これでは当たらないと言った方が良いぐらいです。あまりにひどい一致率ですが、事実は事実だから仕方ありません。
同様に、ISM非製造業景況指数の雇用指数やADP民間雇用者数の増減も、雇用統計のNFP増減との相関は低いことがわかります。
こうしたことが起きる理由は「目的が同じような調査なら、結果も同じようになるだろう」という思い込みが多いからです。「AとBが同じこと(類似のこと)を調べている(はずだ)」という記事を取引の論拠にすることは危ないのです。やはり「AとBは同じ傾向がある」という「結論を前提」にしていない記事は、アテに出来ないのです。
書き手に騙すつもりはなくても、立派な肩書のプロフェッショナルが会社のHPなどで解説しているのを読んだ方は騙されてしまいます。でも、相場に手を出すからには、手を出さない人に言わせれば、騙された方も悪いのです。
気を付けましょう。
続けて、同じADP民間雇用者数と雇用統計のデータを用いた話です。
先の比較で最も雇用統計のNFPの先行指標としてアテになりそうな指標は、ADP民間雇用者数でした。
では、ADP民間雇用者数と雇用統計全体の各種一致率がどうなるかを調べてみましょう。これが指標間一致性分析です。
直前1分足の陰線率の方向一致率以外はひどいものです。そして、直前1分足はどの指標でも、もともと陰線率が高いのです。
この例の結果は、もともと最も関係が深いと思われるNFP増減とすら、ADP結果の実態差異の方向一致率が58%しかなかったため、と理解できます。
指標間一致性分析を行うとわかりますが、例え、項目毎の一致率が高くても、反応方向の一致率も高い指標の組み合わせがない、ということがわかります。
但し、この数字はこのように捉えて下さい。
指標Aと指標Bの各項目が一致するか一致しないかは2択です。
でも、指標Aの直後1分足が取引に意味をもつのは、指標Aの実態差異と直後1分足の方向一致率が70%以上(素直)なときしかありません(素直でないときは、逆に反応しがちなことが確定できない限り、素直でないことをアテにして取引できません)。ならば、指標Aで70%の一致率があり、指標Bで70%の一致率があっても、それらが重なることは約50%となってしまいます。
この場合は4択のひとつに約50%の期待的中率が集まっている、とも解釈できます。よって、指標間一致性分析で示される確率は、2つのことが同時に起きる確率なので、50%以上あればそこそこアテになるのです。
次は「反応性分析」について説明します。
でもあれは、発表しながらマジックでフィルムに書き込んで説明できたので、それなりに便利でした。そして当時のプロジェクターは、発熱量が少ないLEDではなく、投光器にも使われる水銀ランプを使っていました。だから、質問への回答を投影しながら書き込んで説明していると、かなり暑かった記憶があります。
夏は汗だくになって説明していると、きっとそれだけで間違ったことを言っても許してもらえたことが多かったはずです。聞き手の偉い先生にとっては、我々若手の話なんてほとんど聞いたことがある話ばかりだったでしょうから。「とにかくわかった」という議論の終り方だってあったのです。クーラーだって限られた場所にしかなかったのです。
本ブログでは、ざっくり「既出情報」「定型分析」「結果検証」で一記事としています。「既出情報」は、既にご存じの情報を頭の整理のために纏め直した記事です。冷暖房のある部屋でご覧ください。
そもそも、個々の指標で押さえておくべき点は次の3点です。
- 過去の反応程度(と調査分析範囲)
- 市場の関心内容(どの項目に反応するのか)
- 指標の意義(他指標との先行性/遅行性・類似性)
これらはどこの機関がいつ発表するかより、取引にはずっと重要な情報です。
【3-2-1. 過去反応程度・分布】
過去の反応がどの程度かは、利確や損切の目安を得るのに役立ちます。何より、反応が小さな指標について分析時間を長くかけても、収益に寄与しません。だから、個別の指標について最初に調べることは「反応程度」です。
反応の程度は簡単に調べられます。例えば下表をご覧ください。
上段の表は、調査期間とどの通貨ペアについて調べたかです。
中段の表は、4本足チャートの各ローソク足で過去の跳幅平均・値幅平均をpipsで示しています。
下段の表は、直後1分足跳幅の過去の反応程度の分布を示しています。直後1分足跳幅は、指標結果の影響を最も素直に受けるため、その分布を見ています。
ーーー$€¥ーーー
最も素直に指標結果の影響を受ける直後1分足跳幅の大きさが、
- 40pips以上なら極めて大
- 30pips以上40pips未満ならかなり大
- 20pips以上30pips未満なら大
- 10pips以上20pips未満なら平均的
- 10pips未満ならほとんど反応しない
と分類しておきます。
この分類は記事で指標を紹介するためのもので、5段階に分類していることが意味のあることではありません。
但し、反応程度が大きい指標(20pips以上)では、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことに、より慎重であるべきです。反応方向を読み間違えたときのダメージが大きいのだから、それは当然の配慮です。
具体的には、反応程度が大きい指標で発表時刻を跨いでポジションをもつためには、例えば「期待的中率75%以上の根拠が必須」といった制約を設けた方が良いでしょう。反応程度が平均以下の指標では、それを70%と格下げすれば良いのです。
もっと細かく分けても構いませんが、あまり細かすぎるとルールを覚えていられません。
こうしたルールは自分で決めるしかありません。
ーーー$€¥ーーー
反応程度の中央値(数字を小さい方から大きい方に順に並べたときの中央の値)は、平均値より小さくなります。ほとんどの指標は、過去平均値の2倍も反応することが10%もありません。
見ているポイントは
- 反応程度が過去平均の1.5倍・2倍を超えることが何%か
- 平均的な反応程度を超えた比率が何%か
- 平均的な反応程度の半分以下だった比率が何%か
です。
感覚的な話で恐縮ながら、過去平均の2倍を超えたことが10%以上ある指標は珍しいように思えます。そして、反応程度が過去平均を超えることが45%以上や37%以下となることも珍しいように思えます。また、反応程度が過去平均の0.5倍以下が20%以上(上表での表示値と100%との差)となることも珍しいように思えます。
これらは年末にでも、珍しい指標がどのぐらいあるのかを調べて、珍しさを感覚的にでなく定量化しておきます。
【3-2-2. 発表項目毎影響力】
例えば、米国雇用統計では、「NFP(非農業部門雇用者数」「失業率」「平均時給」といった項目が発表されます。他にも多くの項目が発表されていますが、反応方向に影響するのは、これら3項目と言って良いでしょう。
では、これら項目毎のの市場予想や発表結果が良し悪し入り混じっていたら、どう反応するのでしょう。それを求めたのが「発表項目毎影響力」という表です。これまでは「反応寄与率」という呼称も用いていましたが、本稿改訂以降は「発表項目毎影響力」に呼称を統一します。
この表から、平均時給>NFP増減>失業率の順に、結果の良し悪しが反応方向に影響することがわかります。そして、
NFP増減の差異[単位:万人]✕1
ー失業率の差異[単位:%]✕10
+平均賃金前月比の差異[単位:%]✕30
ー失業率の差異[単位:%]✕10
+平均賃金前月比の差異[単位:%]✕30
で事後差異を求めると、直後1分足との方向一致率が90%に達することがわかります。
「こんなややこしい式に意味あるのか」という疑問があるかも知れません。でも「この式は指標発表時に使わない」というのが答えです。この式を使って全自動で発表結果を取り込んで全自動で売買を行えるほど、資金や知識がある訳ではありません。
この式(表)は、指標発表の前にどの項目が反応に影響するのかや、それが変化していないかを知るために算出しています。例えば、以前はNFPだけに注目していたが、最近は平均時給の影響が高くなっているとか、を見ています。
なお、この表の数値算出方法は、指標一致性分析の計算シートをそのまま使っています。詳細はそちらをご参照願います。
現状は計算シートを統一している都合上、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなるように項目毎の重み付け係数を求めています。例えば、事後差異と直後1分足の方向一致率が高ければ、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が下がっても目をつむっています。
いずれは他の差異やローソク足との方向一致率も適化できるようにしていきます。
【3-2-3. 指標間相関性分析】
例えば、米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
さて、最も市場の関心を集めるだけに、雇用統計の結果を事前分析した記事は、毎月数多く見受けられます。
例えば、ISM製造業景況指数やISM非製造業景況指数の内訳には、雇用指数というのがあります。また、ADP民間雇用者数も有名です。同月のこれら指数・指標結果に絡めて、当月の雇用統計の結果を論じる記事は、かなり多く見受けられます。
がしかし、下図をご覧ください。この図は、上記3つの指数・指標の結果を前月結果と比べた増減が、同月の雇用統計のNFP増減数が前月結果と比べた増減と、方向が一致したか否かを調べたものです。調査範囲は、2015年1月分(2月発表)から2017年6月分(7月発表)までの29回分です。
例えば、ISM製造業景況指数の雇用指数が前月より改善しても、雇用統計のNFPが増えたことは38%しかありません。これでは当たらないと言った方が良いぐらいです。あまりにひどい一致率ですが、事実は事実だから仕方ありません。
同様に、ISM非製造業景況指数の雇用指数やADP民間雇用者数の増減も、雇用統計のNFP増減との相関は低いことがわかります。
こうしたことが起きる理由は「目的が同じような調査なら、結果も同じようになるだろう」という思い込みが多いからです。「AとBが同じこと(類似のこと)を調べている(はずだ)」という記事を取引の論拠にすることは危ないのです。やはり「AとBは同じ傾向がある」という「結論を前提」にしていない記事は、アテに出来ないのです。
書き手に騙すつもりはなくても、立派な肩書のプロフェッショナルが会社のHPなどで解説しているのを読んだ方は騙されてしまいます。でも、相場に手を出すからには、手を出さない人に言わせれば、騙された方も悪いのです。
気を付けましょう。
【3-2-4. 指標間一致性分析】
続けて、同じADP民間雇用者数と雇用統計のデータを用いた話です。
先の比較で最も雇用統計のNFPの先行指標としてアテになりそうな指標は、ADP民間雇用者数でした。
では、ADP民間雇用者数と雇用統計全体の各種一致率がどうなるかを調べてみましょう。これが指標間一致性分析です。
直前1分足の陰線率の方向一致率以外はひどいものです。そして、直前1分足はどの指標でも、もともと陰線率が高いのです。
この例の結果は、もともと最も関係が深いと思われるNFP増減とすら、ADP結果の実態差異の方向一致率が58%しかなかったため、と理解できます。
指標間一致性分析を行うとわかりますが、例え、項目毎の一致率が高くても、反応方向の一致率も高い指標の組み合わせがない、ということがわかります。
但し、この数字はこのように捉えて下さい。
指標Aと指標Bの各項目が一致するか一致しないかは2択です。
でも、指標Aの直後1分足が取引に意味をもつのは、指標Aの実態差異と直後1分足の方向一致率が70%以上(素直)なときしかありません(素直でないときは、逆に反応しがちなことが確定できない限り、素直でないことをアテにして取引できません)。ならば、指標Aで70%の一致率があり、指標Bで70%の一致率があっても、それらが重なることは約50%となってしまいます。
この場合は4択のひとつに約50%の期待的中率が集まっている、とも解釈できます。よって、指標間一致性分析で示される確率は、2つのことが同時に起きる確率なので、50%以上あればそこそこアテになるのです。
以上
2016-12/28初稿、2017.7/21改訂
次は「反応性分析」について説明します。