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1. FXは上達するのか

小さなコツをいくつか覚えたって駄目です。勝てない原因をきちんと突き止めてからやり直しましょう。FXを楽しむためには「投資期間」が必要です。すぐに始めたって勝てないことは、FXに限らず、何事であれ同じなのです。だからこそ、その期間を短縮するための「方法論」が大切なのです。

 右矢印1 1-1. FXを楽しむために
   アマチュアらしく…
 右矢印1 1-2. いつか負けないはずがない!
   上手くなるまでは短期取引です
 右矢印1 1-3. 難しさの正体って何だ
   利確と損切の理解は大切です
 右矢印1 1-4. FXは上達するのか
   取引機会を絞り込むべきです
 右矢印1 1-5. 数字で掴もう
   その機会にどう臨むかです
2. 経済指標の楽しみ方

このブログで扱う取引の理想は、経済指標発表前後の反応を着実に刈り取り、ポジション保有時間を最短化してリスクを避けることです。でも、効率良く取引するにはそれなりに予備知識が必要です。大した話は紹介できませんが、基本だけは押さえておきましょう。

 右矢印1 2-1. 大きなゾウの隠れ方
   指標取引のための予備知識です
 右矢印1 2-2. ウソは嫌いだ!
   短期取引をやるときの指針です
 右矢印1 2-3. イグアナを見分ける前に
   このブログの指標取引での成績です
 右矢印1 2-4. 小ズルくいきましょう
   いわばジンクスで勝つ方法です

3. 指標取引分析手法

このブログでは経済指標への調査・分析を定型書式で行っています。定型書式を用いることで、反省を踏まえてやり方を進歩させたり、相場環境が変わったことを見つけやすくするため、です。

 右矢印1 3-1. 指標取引の予備知識
   指標発表前後の他の時間と違い
 右矢印1 3-2. ローソク足各部の名称
   全幅・値幅・跳幅とは?
 右矢印1 3-3. 4本足チャート
   このブログで使うチャート表記
 右矢印1 3-4. 反応方向の予備知識
   指標分類と反応方向の基本
 右矢印1 3-5. 取引通貨ペアの選択
   通貨ペアによる有利不利
 右矢印1 3-6. 指標分析の方法
   定量指標分析とは?
 右矢印1 3-7. 反応分析の方法
   定量反応分析とは?
 右矢印1 3-8. 分析の成績
   事前分析的中率
 右矢印1 3-9. ブレイク対応準備
   ついでに…
4. 経済指標DB

経済指標発表前後の短時間に分析期間を絞ることによって、指標への反応に一定の再現性(傾向)があることはわかりました。各国「政策決定指標」・「経済実態指標」の項に、主要な指標についての分析結果と分析事例を纏めてあります。

 右矢印1 4-0. 各国経済・通貨の特徴
 右矢印1 4-1. 日本経済
    4-1-1. 政策決定指標
     (a) 日銀短観
     (b1) 東京都区部CPI
     (b2) 全国CPI
    4-1-2. 経済実態指標
     (c) GDP一次速報
     (d) 機械受注
     (e1) 通関貿易統計
     (e2) 国際収支
 右矢印1 4-2. 米国経済
    4-2-1. 政策決定指標
     (a) FOMC
     (b1) UM消信指数速報
     (b2) CB消信指数
     (b3) ISM非製景指数
     (c1) NY連銀製景指数
     (c2) Phil連銀製景指数
     (c3) ISM製景指数
     (d1) 輸出・入物価指数
     (d2) 生産者物価指数
     (d3) 消費者物価指数
     (d4) PCEコアデフレータ
     (e1) ADP雇用統計
     (e2) 雇用統計
    4-2-2. 経済実態指標
     (a1) GDP速報値
     (a2) GDP改定値
     (a3) GDP確定値
     (b1) 小売売上高
     (b2) 個人消費・所得
     (c1) 鉱工業生産
     (c2) 耐久財受注
     (d1) 中古住宅販売件数
     (d2) 新築住宅販売件数
    4-2-3. 収支関連指標
     (a) 貿易収支
 右矢印1 4-3. 欧州経済
    4-3-1. 政策決定指標
     (a) ECB金融政策
     (c1) ZEW企業景況感調査
     (c2) 独国Ifo企業景況指数
     (c3) 独国PMI速報値
     (c4) 欧州PMI速報値
     (d) 欧州HICP速報値
    4-3-2. 経済実態指標
     (a1) 独国GDP速報値
     (b) 独国貿易統計
     (c1) 独国製造業新規受注
     (c2) 独国鉱工業生産
 右矢印1 4-4. 英国経済
    4-4-0. 英国経済指標反応要点
    4-4-1. 政策決定指標
     (a) BOE金融政策
     (c1) PMI速報値
     (c2) 製造業PMI改定値
     (c3) サービス業PMI改定値
     (d) 物価統計
     (e) 雇用統計
    4-4-2. 経済実態指標
     (a1) 月次GDP
     (a2) 四半期GDP速報値
     (b) 小売売上高指数
     (c) 鉱工業生産指数
     (d) 貿易収支
 右矢印1 4-5. 豪州・NZ経済
    4-5-1. 政策決定指標
     (a) RBA金融政策
     (b) RBNZ金融政策
     (c1) NAB企業景況感指数
     (c2) WP消費者信頼感指数
     (d1) 四半期住宅価格指数
     (d2) 四半期生産者物価指数
     (d3) 四半期消費者物価指数
     (e1) 賃金指数
     (e2) ANZ求人広告件数
     (e3) 雇用統計
    4-5-2. 経済実態指標
     (a) 四半期GDP
     (b) 貿易収支
     (c) 小売売上高
     (d1) 住宅ローン件数
     (d2) 建設許可件数

ーーーーーーーー
【FX会社】
各社特徴があります。最初は資金にも限りがあるでしょうから1つの口座で、慣れたらいくつか口座を開いて自分が使いやすい会社を選ぶと良いでしょう。
ーーーーーーーー

DMM.com証券

FX口座数国内第1位はTVCMで有名。主要通貨のスワップポイントが高く、ドル円スプレッドも原則0.3銭と安い。2万円のキャッシュバック条件は、10万円入金+PC・スマホで3か月各500枚(週毎に各約40枚)の取引と意外に簡単!


ヒロセ通商

他社乗換ほか、キャッシュバックプログラム多数。スプレッドは、クロス円でUSD・EUR・NZDが有利、ドルストレートでEUR・GBP・AUDが有利。最小取引は1000通貨単位で初心者に優しい。スワップが良い会社です。


マトリックストレーダー

キャッシュバック条件はヒロセ通商と同じようです。特長は、スキャルピングOK公言・1日の取引上限なし・1000通貨単位取引可、といった点。


OANDA Japan

MT4業者はスプレッドが狭くても約定力が低い業者が多いなか、約定拒否なしが魅力。またHPの各種分析図表が美しく、あちこちのブログで引用されています。本ブログでは他人の著作物転載はしていないので、お見せできません。一度ご覧ください。


外為ファイネスト証券

特徴は、MT4最狭水準のスプレッド、EA利用可、指値制限なし、MT4サーバ国内設定、1000通貨取引可、です。

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2017年07月20日

欧州金融政策「ECB政策発表」発表前後のEURJPY反応分析(2017年7月20日20:45発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月20日20:45に欧州金融政策「ECB政策発表」が発表されます。21:30からはECB総裁の記者会見が予定されており、政策変更がない場合、発表後すぐにそちらを睨んだ動きへと移行します。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。

1707ECB政策金利110.png

金融政策発表時には、何らかの変化が予想されている場合とそうでない場合とで、全く様相が異なります。以下、「今回は現状維持」という予想を前提に話を進めます。
すなわち、過去に政策金利・付利で変更が行われた2015年12月(付利を△0.2%から△0.3%に変更)、2016年3月(付利を△0.3%から△0.4%に変更)、2016年4月(政策金利を0.05%から0%に変更)の3回を除いたデータに基づく分析を行っています。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度は小さく、めったに大きく反応しません。但し、大きく反応した2016年12月は直後1分足が124pipsにも達しています。
  • 反応方向は、直前1分足が陰線・直後1分足が陽線に偏っています。
  • 追撃は、直後1分足終値がついてから直後1分足方向への順張りを避け、直後1分足終値がついてからは逆張りの機会を狙う方が良いでしょう。初期反応に対する順張りでは、短期利確以外に一般論としての分析からは勝機が見出せません。

定型分析の結果は次の通りです。
なお、指標一致性分析は行っていないので添付していません。政策金利もしくは付利が過去変更されたことは3回あり、そのうち1回で政策金利改定の予想が外れ現状維持だったことがあります。

1707ECB政策金利150.png

1707ECB政策金利160.png

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 本指標には、過去のローソク足から予め知っておいた方が良いポイントがありました。
    (1) まれに(頻度12%)、直前10-1分足が11pips以上動くことがあります。がしかし、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆してはいません。
    (2) まれに(頻度17%)、直前1分足が18pips以上動くことがあります。
    直前1分足跳幅が18pips以上だったことは過去3回(18%)しかありません。この3回の直後1分足跳幅の平均は39pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均22pipsを大きく上回っています。また、この3回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは0回(0%)です。
    つまり、直前1分足が大きく動いたときは、指標発表直後の反応が直前1分足と逆側に大きく跳ねる可能性があります。「逆側に大きな跳ね」ですから、これは注意が必要です。

  • 反応性分析の結果は次の通りです。
    (1) 直後1分足終値と直後11分足跳幅の過去平均値を見比べると、そこそこpipsが稼げそうですが、順張りでも危ないポジションです。直後1分足と直後11分足の過去平均値を見ると、値幅同士で反応がほとんど伸びていません。
    (2) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は75%です。そして、その75%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各100%・42%です。また、直後1分足終値がついた時点で考えてみると、その時点からも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率が25%しかありません。
    (3) すなわち、発表から1分を過ぎると、初期反応に順張りのポジションは早々に利確すべきです。直後1分足終値がついてからは、直後11分足終値はそれを下回ったり反転していたことが75%にも達しているからです。直後1分足終値がついてからは、直後1分足に順張り追撃は避けるべきです。

  • 反応一致性分析の結果は次の通りです。
    (1) 直前1分足は陰線率が100%となっています。過去平均の跳幅は12pipsで、幸いローソク足には逆ヒゲが10pipsに達したことがないようです。
    (2) 直後1分足は、陽線率が81%です。過去平均の跳幅は22pipsで値幅は14pipsです。但し、この平均値には極端に大きく反応した2016年12月(124pips)を含んでいます。それ除くと、過去平均の跳幅は15pipsで値幅は8pipsしかありません。追撃では5pips程度を狙うのが限界でしょう。
    (3) 逆方向に反応しがちな直前1分足と直後1分足の方向一致率は14%(不一致率86%)です。
    (4) 直後1分足と直後11分足の方向一致率は75%と高いものの、前述のように、これは直後11分足が直後1分足の値幅を削ることが多いので、追撃には向きません。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
    (2) 直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取得します。損切であれ利確であれ、初期反応で行います。
    但し、直前1分足が陽線の場合、過去の分析が通用しないことが起きています。直前1分足が陽線になりそうなら、この取引は中止します。
    (3) 追撃は、初期反応に順張りで短期利確します。高値(安値)掴みを避けるため、無理に取引きはしません。
    (4) 再度の追撃は、直後1分足終値がついてから逆張りの機会を窺います。逆張りなので、これはあまりお勧めできません。やるなら、逆張りはどんな確率が出ていようが短期利確が基本です。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

以前、黒田日銀総裁が言ったように金融政策の手段は多岐に亘り、我々が子供の頃に学校で習った公定歩合は金融政策ではなくなっています。

まず「政策金利」とは、中銀が市中銀行に対して融資をする際の金利のことを指しており、日本の場合には「無担保コール翌日物金利」を指しています。
以前は金利政策のことを指して「公定歩合」と呼ばれていました。がしかし、現在は金利が自由化されているため、公定歩合による金利操作を行うことができません。それで、日銀が無担保コール翌日物市場という短期金融市場に直接介入して短期金利を操作しているのです。
公定歩合(「基準割引率および基準貸付利率」)というものは残っているものの、これは短期金融市場における金利上限として機能しているだけであり、政策金利ではありません。

そして、ECBの「預金ファシリティー金利」とは日銀における「付利」に相当します。
市中銀行の貸出金利は、付利の水準が貸出金利下限として機能するため、付利の上げ下げが中銀金融政策の手段たり得ます。
但し、日欧のように付利がマイナスになることを「マイナス金利」といい、これは自国資金が他国通貨での運用に流れるため、通貨安を招くと批判を受けています。

更には、米日欧の中銀が相次いで実施した中銀による国債等の買い入れ施策は、買入にせよ売却にせよ、そのペース(規模)を制御することで金融政策たり得ています。
かつてのような金利操作だけでは政策効果が薄まってしまい、何だかこうした中銀金融政策の多様化が進んでいます。がしかし、その本質が緩和か引締のどちらかに過ぎない以上、多様化は弊害の少ない規模拡大を模索しているだけなのです。

前回6月8日のECB理事会では、追加利 下げに関する文言が削除されました。解説記事等に依れば、これは「追加緩和に前向きな姿勢から中立姿勢に修正された」という報道が目立ちます。そして既に、今後の展開は「9月7日理事会で緩和文言が削除され、2018年からテーパリングが開始される」との報道がなされています。ここまでが既に折込まれた内容、ということになります。

本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707ECB政策金利130.png



【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。

1707ECB政策金利210.png

1707ECB政策金利220.png

2015年12月・2016年3月は付利の変更が行われています。2016年4月は政策金利変更が行われています。前述の通り、本記事はこれら3回を除いた理事会決定発表前後の反応分析を行っています。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pips、過去平均値幅が3pipsです。
跳幅が11pips以上だったことは過去2回(12%)あります。
この2回の直後1分足跳幅の平均は25pipsで、これは直後1分足の過去全平均22pipsよりやや大きい程度です。がしかし、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回が一致(50%)しています。
事例が少ないこともあって、直前10-1分足の反応が過去平均の1.5倍以上に達した場合も、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

1707ECB政策金利310.png

次に、直前1分足は、過去平均跳幅が12pips、過去平均値幅が8pipsです。
跳幅が18pips以上だったことは過去3回(18%)あります。この3回の直後1分足跳幅の平均は39pipsで、これは直後1分足の過去全平均22pipsを大きく上回っています。また、この3回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは0回(0%)です。
つまり、直前1分足が大きく動いたときは、指標発表直後の反応が直前1分足と逆側に大きく跳ねる可能性が高いようです。

1707ECB政策金利320.png

そして、直後1分足は、過去平均跳幅が22pips、過去平均値幅が14pipsです。
過去平均の22pipsを超えて跳ねたことは35%しかなく、平均の半分の11pips以下しか跳ねなかったことも41%あります。
本指標はめったに大きく跳ねない、反応が小さな指標です。

1707ECB政策金利330.png

直後11分足は、過去平均跳幅が24pips、過去平均値幅が14pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足と比べて、直後11分足の跳幅が2pips以上、値幅平均は同じで、ほぼ反応が伸びていません。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足跳幅平均と直後1分足終値平均の差がほとんどない以上、平均的な反応程度を見る限りでは全く追撃に向いていない、と言えるでしょう。

1707ECB政策金利340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果は次の通りです。
すなわち、直後1分足と直後11分足との方向一致率は75%です。そして、その75%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各100%・42%です。そして次に、直後1分足終値がついた時点で考えてみます。この時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率が25%しかありません。
つまり、本指標での取引は、反応方向を確認したら早期参加・短期利確です。直後1分足終値がついてたら、なるべく早く利確すべきです。直後1分足終値がついたら、直後11分足終値はそれを下回ったり反転していたことが75%にも達します。直後1分足終値がついてから、直後1分足に順張り追撃は避けた方が良いでしょう。

次に、反応一致性分析の結果は次の通りです。
直前1分足は陰線率が100%となっています。過去平均の跳幅は12pipsで、幸いローソク足には逆ヒゲが10pipsに達したことがないようです。
直後1分足は、陽線率が81%です。過去平均の跳幅は22pipsで値幅は14pipsです。但し、この平均値には極端に大きく反応した2016年12月(124pips)を含んでいます。それ除くと、過去平均の跳幅は15pipsで値幅は8pipsしかありません。追撃では5pips程度を狙うのが限界でしょう。
逆方向に反応しがちな直前1分足と直後1分足の方向一致率は14%(不一致率86%)です。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は75%と高いものの、前述のように、これは直後11分足が直後1分足の値幅を削ることが多いので、追撃には向きません。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上




事後報告
2017年7月20日22:20


記載内容消失により、手を抜きます。申し訳ございません。

1707ECB政策金利510.png

1707ECB政策金利520.png

1707ECB政策金利530.png

ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年07月19日

英国実態指標「小売売上高指数」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年7月20日17:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月20日17:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。

1706英国小売110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度は大きく、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重に行うべきです。
  • 反応方向は素直です。
  • 追撃は、反応方向確認次第行い、指標発表から1分を過ぎたら機会を逃さず利確すべきです。

定型分析の結果を以下に一覧します。

1706英国小売130.png

1706英国小売140.png

1706英国小売150.png

上記定性分析も含めた調査・分析結果は以下の通りです。

  • 本指標には次の特徴があります。
    (1) 発表項目のうち反応方向への影響力が強い順に並べると、コア前月比>前月比>コア前年比=前年比、です。
    (2) まれに、指標発表前にかなり大きく動くことがあります。がしかし、その動きは指標発表後の動きや程度とは関係ありません。
    (3) 指標発表後は早期追撃、利確は発表から1分を過ぎてからで、但し、だらだらと利確を遅らせると反応が反転する可能性が高まります。

  • 過去のローソク足を見る限り、何点か予め知っておいた方が良いポイントがありました。
    (1) まれに(頻度21%)、直前10-1分足跳幅が33pips以上もの反応をすることがあります。がしかし、この21%の過去事例を見る限り、直前10-1分足がこんなに大きく反応したにも関わらず、そのときの直後1分足の反応の大きさや方向とは関係なかったことがわかっています。
    慌てて追撃すると、酷い目に遭いかねません。気を付けましょう。
    (2) まれに(頻度17%)、直前1分足跳幅が14pips以上の大きな反応をすることがあります。がしかし、この17%の過去事例を見る限り、そのときの直後1分足の大きさや方向を示唆しているようには見受けられません。
    これも気を付けるべき点です。
    (3) それらの場合も含めて、指標発表前のローソク足の動きから、指標発表後の反応方向を予想すべきではありません。

  • 本指標の事前差異・事後差異・実態差異算出には、発表項目毎に重み付けを行っています。コア前月比4:前月比3:コア前年比2:前年比1の比率で、事後差異を求めると直後1分足との方向一致率が良くなります。例えば、コア前月比の事前差異0.1%は、コア前年比の事前差異0.2%に相当しています。

  • 指標発表前のローソク足の方向と、指標発表後のローソク足の方向とは、前述の通り高い一致率となりません。
    がしかし、事前差異と直前10-1分足の方向一致率は76%に達しています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線と見込めます。
    そして、事後差異と直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の方向一致率が各72%・79%・83%となっています。これは、取引参加者が指標発表前に発表結果の良し悪しを72%正しく捉えており、しかも本指標が発表結果の良し悪しに素直に反応することを示唆している、ということです。

  • 追撃は早期参加し、指標発表から1分を過ぎたら機会を捉えて利確を急ぎましょう。
    なぜなら、直後1分足と直後11分足との方向一致率は71%です。そして、その71%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各95%・70%です。
    つまり、発表から1分以内であれば、(高値・安値掴みは避けたいものの)反応方向を確認次第、追撃しても1分経過後にもっと反応が伸びるので、早期参加の追撃必須です。
    但し、直後1分足終値がついた時点では、前述の跳幅こそ反応を伸ばすものの、直後11分足終値が反転することも多いため、反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率が50%しかありません。
    つまり、本指標での取引は、反応方向を確認したら早期参加しても、発表から1分を過ぎたら機会を逃さず利確すべきです。だらだらポジションを持っていると、せっかくの含益が含損に転じることが2回に1回もあります。

以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

  • (1) 直前10-1分足は陽線と見込みます。但し、危ないので短時間で微益を狙うに留めます。
  • (2) 直前1分足は陰線と見込みます。これも危ないので、短時間で微益を狙うに留めます。
  • (3) 指標発表前にはポジションを持ちません。
  • (4) 追撃は反応方向確認したら高値(安値)掴みに気をつけて順張りを急ぎ、発表後1分経過後は利確のタイミングを窺います。時間が経つほど反転のリスクが高まると言って良いでしょう。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
発表元は英国国家統計局、時期は翌月中旬です。

本記事検討での調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1706英国小売120.png

指標発表結果に最も素直に反応しがちな直後1分足の過去平均は、跳幅29pips・値幅18pipsです。跳幅平均値である29pipsを超えたことは45%あり、平均の半分にあたる15pips以上反応したことが86%を占めています。
本指標は反応が大きく、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重に行うべきです。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。

1706英国小売210.png

1706英国小売220.png

各項目毎の反応方向への「影響の強さ」を下表に示しておきます。なお、ここでいう「影響の強さ」とは、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなることを指しています。但し、必ずしも「最も影響が強くなる」ようには各係数を求めていません。

1706英国小売230.png

上表の上から4行は個別項目の反応方向への影響の強さを調べています。結果、事後差異と直後1分足の方向一致率は、コア前月比>前月比>コア前年比=前年比、の順に影響力が強いことがわかりました。

そして、上表一番下の行は、指標全体の方向一致率を求めるため各差異への重み付け係数を求めたものです。結果、コア前月比4:前月比3:コア前年比2:前年比1の比率で各差異に重み付けを行うと、事後差異と直後1分足の方向一致率を更に高くできることがわかりました。
この係数は、本記の事前差異・事後差異・実態差異を求めるときに適用しています。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が22pips、過去平均値幅が13pipsです。
そして、直前10-1分足跳幅が過去平均の1.5倍相当の33pips以上だったことは過去6回(21%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は21pipsで、これは過去全平均29pipsに達していません。また、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(33%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が33pips以上と、他の指標で滅多に見られないほど大きく反応したとしても、それが直後1分足の反応の大きさや方向を示唆している訳ではありません。

1706英国小売310.png

次に、直前1分足は、過去平均跳幅が9pips、過去平均値幅が4pipsです。
直前1分足跳幅が14pips以上だったことは過去5回(17%)あります。この5回の直後1分足跳幅の平均は21pipsで、これは過去全平均の29pipsに達していません。また、この5回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(60%)です。
つまり、直前1分足が大きく動いたからと言って、指標発表直後の反応程度や方向が示唆されている訳ではありません。

1706英国小売320.png

そして、直後1分足は、過去平均跳幅が29pips、過去平均値幅が18pipsです。
過去平均の29pipsを超えたことは45%あり、本指標は大きく反応することが多いので注意が必要です。

1706英国小売330.png

直後11分足は、過去平均跳幅が42pips、過去平均値幅が28pipsです。
平均値を見る限り、過去1分足終値がついてから、直後11分足の跳幅は24pips以上、値幅平均は10pips以上、直後1分足終値平均を上回ています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足跳幅平均と直後1分足終値平均の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです。直後11分足終値がつくまで徹底しても良いかも知れません。

1706英国小売340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1706英国小売510.png

指標結果への反応が最も素直に現れがちな直後1分足跳幅は、過去平均で29pipsに達しています。そして、この平均値を超えたことが45%あります。本指標は大きく反応しがちです。

また、直後1分足値幅は過去平均で18pipsです。跳幅平均と値幅併記との差が11pipsもあるので、追撃を行うなら高値(安値)掴みに気をつけないといけません。

直後1分足と直後11分足との方向一致率は71%です。そして、その71%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各95%・70%です。
つまり、発表から1分以内であれば、(高値・安値掴みは避けたいものの)反応方向を確認次第、追撃しても1分経過後にもっと反応が伸びるので追撃必須です。

但し、直後1分足終値がついた時点では、前述の跳幅こそ反応を伸ばすものの、直後11分足終値が反転することも多いため、反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率が50%しかありません。
つまり、本指標での取引は、反応方向を確認したら早期参加しても、発表から1分を過ぎたら機会を逃さず利確すべきです。だらだらポジションを持っていると、せっかくの含益が含損に転じることが2回に1回もあります。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1706英国小売520.png

直前1分足は陰線率が77%となっています。がしかし、他の指標に比べて反応が大きいので、慌てて追従しない方が良いでしょう。データからは、前述の通り、直前1分足が大きく動いたからと言って、指標発表直後の反応の大小や方向を示唆している訳ではありません。

そして、どのローソク足も他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上にはなっていません。
本指標では、取引参加者が指標発表前に指標発表後の反応方向を掴んでいる兆候はありません。

最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1706英国小売530.png

本指標の各差異算出は、先述の通り、コア前月比4:前月比3:コア前年比2:前年比1の比率で各差異に重み付けを行っています。例えば、コア前月比の事前差異0.1%は、コア前年比の事前差異0.2%に相当しています。

まず、事前差異と直前10-1分足の方向一致率は76%に達しています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線と見込めます。

次に、事後差異と直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の方向一致率が各72%・79%・83%となっています。これは、取引参加者が指標発表前に発表結果の良し悪しを72%正しく捉えており、しかも本指標が発表結果の良し悪しに素直に反応することを示唆している、ということです。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月20日17:30発表

以下は2017年7月20日18:10頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1706英国小売610.png

結果は全ての項目で前回結果・市場予想を上回ったものの、反応は直後1分足が素直に陽線で、発表から1分経過すると直後1分足値幅を削っていきました。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1706英国小売620.png

問題ありません。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

直前10-1分足は陽線、直前1分足は陰線、直後1分足は陽線となったものの、その後、逆方向に転じました。
複雑な動きでしたが、事前分析通りです。

(6-2. シナリオ検証)

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1706英国小売630.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年07月18日

豪州雇用統計発表前後のAUDJPY反応分析(2017年7月20日10:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月20日10:30に豪州雇用統計が発表されます。今回発表は2017年6月の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。

1706豪州雇用110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度はかなり大きく、過去86%は指標発表直後に19pips以上跳ねています。
  • 反応方向には特徴的な偏りがあり、
  • 追撃はその偏りを利用して徹底すべきです(確率的には)。

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 本指標には次の特徴があります。
    (1) 発表項目のうち、反応方向への影響があるのは、失業率と新規雇用者数です。それらの反応への影響力は、失業率△1%につき新規雇用者数は+2.5万人で互いに相殺されます。
    (2) 直前1分足の陰線率は89%とかなり偏っています。そして、直後1分足は陽線率が72%で、直前1分足との方向一致率が22%(不一致率78%)となっています。更に、直後11分足は直後1分足との方向一致率が82%と高くなっています。
    つまり、直前1分足が陰線なら、直後1分足が陽線となる可能性が高く、その後も反応を伸ばしがちです。直前1分足が陰線なら、追撃徹底です。
    (3) 失業率は、市場予想後追い型と言えます。前回は発表結果が市場予想を下回っていたので、今回も同様の大小関係となる期待的中率は61%です。

  • 過去のローソク足を見る限り、何点か予め知っておいた方が良いポイントがありました。
    (1) まれに(頻度10%程度)、直前10-1分足の反応が大きく(14pips以上)動くことがあります。けれども、この動きは直後1分足の反応の大きさや方向と関係ありません。慌てて追いかけないように気を付けましょう。
    (2) まれに(頻度21%)、直前1分足が大きく(12pips以上)動くことがあります。このとき、指標発表直後の反応はやや大きく、直後1分足の反応方向は過去の事例(6例)で全て直前1分足の逆方向になっています。
    (3) 直後1分足は、過去平均跳幅が37pips、過去平均値幅が28pipsです。過去平均の37pipsを超えたことは41%あり、その半分の18pipsを超えたことは86%に達しています。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重になる必要があります。
    (4) 過去平均値を見る限り、直後1分足終値に比べて、直後11分足の跳幅は15pipsと大きくなっています。この差が15pipsもあるなら、指標発表から1分以内に追撃を始め、直後1分足終値がついて以降に利確が狙えます。

  • 市場予想と前回結果との大小関係はローソク足の方向を示唆していません。
    事後差異(発表結果ー市場予想)は、直後1分足や直後11分足との方向一致率が高く、本指標が発表結果の良し悪しに素直に反応することを示しています。
    そして、直前1分足との方向一致率が30%(不一致率70%)は、発表結果が市場予想を上回るか下回るかを、直前1分足の方向と逆と示唆していることになります。

以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます

  • (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
  • (2) 直前1分足が陰線になりそうなら、指標発表直前に買ポジションを取ります。
  • (3) 指標発表から1分以内に、反応方向に順張り追撃ポジションを取ります。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

新規雇用者数の調査は、事業者の給与支払い帳簿を基に集計したものです。指標の良し悪しを見る上で、豪州人口が自然増であることや毎月の離職者も存在することを踏まえると、+1万人ぐらいが中立的な数字ではないでしょうか。同時に、常勤雇用者数・労働参加率・失業率も発表されています。
豪統計局が翌月中旬に発表しています。

本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1706豪州雇用120.png

過去平均で、直後1分足値幅が28pips、直後11分足値幅は30pipsに達しています。指標発表直後の跳幅は過去平均で37pipsあり、86%の事例で18pipsを超えています。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つには注意が必要です。

新規雇用者数のグラフは、市場予想後追い型の可能性があります。確認しておきましょう。
市場予想と発表結果の大小関係が前回と入れ替わった回数は、過去13回(46%)です。グラフを見て下降基調や上昇基調が見受けられても、この入れ替わりが50%から離れていなければ、市場予想後追い型として決め打ちでポジションを取ることはできません。
よって、新規雇用者数は市場予想後追い型とは言えません。

失業率のグラフは、市場予想後追い型の可能性があります。これも確認しておきましょう。
市場予想と発表結果の大小関係が前回と入れ替わった回数は、過去11回(39%)です。これは、前回発表時に発表結果が市場予想を下回っていると、今回も発表結果が市場予想を下回る確率が61%ということです。
よって、失業率は市場予想後追い型と言っても良いものの、61%という期待的中率なら他の情報を参考にした方が良さそうです。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。

1706豪州雇用210.png

1706豪州雇用220.png

1706豪州雇用230.png

発表される各項目毎の反応方向への「影響の強さ」を下表に示しておきます。なお、ここでいう「影響の強さ」とは、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなることを指しています。但し、必ずしも最も影響が強くなるようには各係数を求めていません。

1706豪州雇用240.png

上表から、常勤雇用者数と労働参加率は反応方向に影響をほぼ与えていません。失業率△1%につき新規雇用者数は+2.5万人で、互いの影響が相殺されています。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が9pips、過去平均値幅が6pipsです。
跳幅が平均値の1.5倍にあたる14pips以上だったことは、過去3回(%)あります。
この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回しか一致(33%)していません。そして、この3回の直後1分足跳幅の平均は37pipsで、これは直後1分足の過去全平均37pipsと同じです。
つまり、まれに直前10-1分足の反応が大きく(14pips以上)なっても、それが直後1分足の反応の大きさや方向を示唆している訳ではありません。慌てて追いかけないように気を付けましょう。

1706豪州雇用310.png

次に、直前1分足は、過去平均跳幅が8pips、過去平均値幅が5pipsです。
跳幅が12pips以上だったことは過去6回(21%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は42pipsで、これは直後1分足の過去全平均37pipsをやや上回っています。また、この6回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは0回です。
つまり、直前1分足が大きく動いたとき(12pips以上)は、指標発表直後の反応はやや大きく、直後1分足の反応方向はその逆になったことしかありません。

1706豪州雇用320.png

そして、直後1分足は、過去平均跳幅が37pips、過去平均値幅が28pipsです。
過去平均の37pipsを超えたことは41%あり、その半分の18pipsを超えたことは86%に達しています。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重になる必要があります。

1706豪州雇用330.png

直後11分足は、過去平均跳幅が43pips、過去平均値幅が30pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足終値に比べて、直後11分足の跳幅は15pips以上大きく、値幅平均は2pips以上大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後1分足値幅平均に比べ、直後11分足跳幅平均が15pips以上もあるので、指標発表から1分以内に追撃を始め、直後1分足終値がついて以降に利確が狙えます。

1706豪州雇用340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1706豪州雇用410.png

指標結果への反応が最も素直に現れがちな直後1分足跳幅は、過去平均で37pipsに達しています。そして、この平均値を超えたことが41%あります。本指標は大きく反応しがちです。

直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、その82%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各65%・70%です。但し、直後1分足終値がついた時点で考えると、その時点から反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率は57%とやや見劣りします。
つまり、本指標での取引は、反応方向を確認したら早期参加し、直後1分足終値がついたら利確のタイミングを探りましょう。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1706豪州雇用420.png

直前1分足は陰線率が89%、直後1分足は陽線率が72%となっています。偏りに特徴があり、この特徴によって、直前1分足と直後1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)にも達しています。本指標では、取引参加者が発表直前に不利なポジションを解消しがちな傾向が窺えます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が82%に達しているということは、追撃徹底に適した指標だと言えるでしょう。

最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1706豪州雇用430.png

事前差異はローソク足の方向を示唆していません。

事後差異は直後1分足や直後11分足との方向一致率が高く、本指標が発表結果の良し悪しに素直に反応することを示しています。
そして、直前1分足との方向一致率が30%(不一致率70%)は、発表結果が市場予想を上回るか下回るかを、直前1分足の方向と逆と示唆していることになります。
【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月20日10:30発表

以下は2017年7月20日14時頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1706豪州雇用510.png

結果は、失業率・新規雇用者数ともに前回結果より悪化しました。
反応は大きな陽線で、指標結果に対し方向が不一致となりました。

新規雇用者数は市場予想を下回ったにも関わらず、こうした反応になったことに意味があるのか解釈が難しいところです。
あえて意味づけをすれば、失業率が市場予想と同じで、新規雇用者数は市場予想を僅かに下回ったものの前月より増加しています。そして、常勤雇用者数が僅かに増えています。失業率が低下し、新規の雇用者の増加ペースが減ったものの、常勤者雇用が増えたと考えれば、確かに陽線での反応もおかしくありません。

(5-2. 取引結果)

ECBの記事を書いていて、また取引時間を逃してしまいました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 過去の傾向では、失業率と新規雇用者数が市場予想に比べて大きいか小さいかで反応が決まる傾向がありました。その点、今回は新規雇用者数が市場予想を下回ったのに陽線での反応ですから、分析を外したことになります。
    確率上の問題なのか、分析方法の問題なのかは、まだ暫く様子を見ます。
  • 直前1分足は陽線となり、分析を外しました。
    直後1分足は陽線となり、これは過去の傾向と一致しました。
  • 失業率は、市場予想後追い型と言えます。前回は発表結果が市場予想を下回っていたので、今回も同様の大小関係となる期待的中率は61%と捉えていました。結果は同値で判定なしです。
  • 事後差異はマイナスなので、陽線での反応は分析を外したことになります。


(6-2. シナリオ検証)

取引はできなかったものの、シナリオで取引を検証しておきます。

  • (1) 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は陽線で1〜2pipsの損切となっていた可能性があります。
  • (2) 直前1分足が陰線になりそうなら、指標発表直前に買ポジションを取るつもりでした。
    リアルタイムでチャートを見ていなかったものの、結果は直前1分足が陽線なのでポジションを取らなかったはずです。もし、指標発表直前に急に陽線に転じたのなら、この取引は20-30pipsの損切となっていたでしょう。
  • (3) 指標発表から1分以内に、反応方向に順張り追撃ポジションを取るつもりでした。
    これも、発表から2分後からポジションを取っていたなら、損切となっていた可能性が高い、と思われます。

つまり、今回は完全に分析を外していたことになります。
以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年07月17日

米国物価指標「輸入物価指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月18日21:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月18日21:30に米国物価指標「輸入物価指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。

1706米国輸入物価110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度はほとんどの場合に小さく、概算で指標発表直後ですら10pipsも跳ねません。
  • 反応方向も、指標発表直後ですら事後差異との方向一致率が70%に達していません。
  • 追撃には不向きで、もし初期反応を見て行うにせよ、過去の傾向を見る限りでは、直後1分足終値がついてから逆張りする方が勝率は稼げるぐらいです。

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 本指標には次の特徴があります。
    (1) 発表項目のうち、反応方向への影響が強いのは、輸入物価指数の方です。輸入物価指数が市場予想より0.1ずれると、輸出物価指数が0.3ずれたときと同じだけ反応方向に影響を及ぼします。
    (2) ただ、過去の反応程度の分布を見る限り、2回に1回程度はほとんど反応しません。
    (3) あまり指標結果に素直に反応する指標でもありません。
    何かつまらなそうな感じですね。

  • 過去のローソク足を見ると、何点か予め知っておいた方が良いポイントがありました。
    (1) 直前10-1分足跳幅が10pips以上だったことは過去6回(21%)あります。滅多にないことなので驚きますが、慌てて追撃すべきではありません。直前10-1分足が大きく動いても、その後のローソク足が大きく動いたり、その方向を示唆したりはしていません。
    (2) 過去実績に基づく例外として、直前1分足跳幅が8pips以上となったとき、直後1分足は直前1分足と同方向に20pips以上反応する可能性があります。例外が起きる頻度は14%程度ですが。
    (3) 指標結果が市場予想と比べて良くても悪くても、直後1分足が素直に反応する確率は70%に達していません。

  • 直前1分足はほぼ反応しないので取引に向きません。
    指標発表を跨いでポジションを取れる根拠も、前述の直前1分足跳幅8pipsの予兆意外に見出せませんでした、
    指標発表後の追撃は、発表から1分以内なら順張り・早期参加・早期利確、発表から1分経過後は逆張り・早期利確です。

以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます

  • (1) 直前1分足跳幅が8pips以上になりそうか否かに着目しておきます。もしなれば、直前1分足値幅方向に順張りで、指標発表直後の跳ねで利確です。
  • (2) 初期反応方向に順張り・早期参加・すぐ利確です。
  • (3) 直後1分足終値がついてからは、それとは逆張り追撃の機会を窺います。逆張りゆえに、あまり勧められません。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

輸入物価指数は、米国輸入時点における物価水準を、2000年を100として指数化したものです。対象は、約2,000の企業と4,000の物品です。軍事関連は含まず、サービスは含まれています。

本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1706米国輸入物価120.png

さて、ある製品が消費者の手元に届くまでには、輸入価格→生産者価格→小売価格のように、価格は下流に移転される、と考えらえていました。そのため、物価は下流に波及する、という話を指標解説記事で見受けることが多々あります。
がしかし、少なくとも米国輸入物価指数に関しては、この話をアテにすべきではありません。少なくとも2015年以降、輸入物価の上昇/下降は、前後3か月のPPI(生産者物価指数)の上昇/下降との一致率が高くありません。
これは、為替リスクをヘッジして輸入契約・輸出契約をしておけば、為替レートの変化に応じて自国通貨での値上げや値下げを行う必要がなくなるから、でしょう。海外契約実務は、そのように為替レートで自国通貨建ての利益を失わないように行います。

次に、後掲する輸入物価指数と輸出物価指数のグラフを見比べてみてください。為替水準の上昇・下降を原因に挙げて、物価指数の上昇・下降を説明する解説記事はよく見受けられます。
がしかし、少なくとも米国輸入物価指数・輸出物価指数の推移を見る限り、これらは反転しておらず、むしろ上昇・下降が同期しているように見受けられます。おそらく、これも前述の貿易契約の仕組みに関係した動きだと思われます。
予め海外現法(現地法人)の先期販売量が100なら、当期販売量も100と見込みます。ならば、国内本社が海外現法への輸出は、当期も100と見込んで為替ヘッジしておけば良いのです。それでもしも110が売れたなら、国内本社も海外現法も、それぞれの現地通貨で増収増益です。

よくわからないことは、よくUSDJPYが1円高くなると、〇〇の会社の利益が✕✕円の営業利益が吹っ飛ぶという報道です。
自国本社で✕✕円の利益が無くなれば、海外現法に✕✕円の利益が残ります。それが自国本社と海外現法それぞれの株式配当に反映されれば、海外現法は国内本社の持ち株会社なので、自国本社の経常損益を通じて税引き前当期純利益は調整されます。そして何より、先述の通り当期売上の先期売上と同じ分は、ほぼ為替ヘッジされているのです。

でも、為替レートで自国通貨が安くなれば、いずれ輸入物価は上昇するのでしょう。じわじわと国内物価が上昇していくでしょう。英国がいい例です。
がしかし、単月毎のデータを見比べる限り、物価が前月より上昇したか否かより先に、物価上昇を見込んだ市場予想に対し、発表結果の良し悪しで反応方向が決まる点に着目すべきです。
そう考えると、経済指標そのものの勉強は、反応方向を当てるための勉強ではありません。

ならば反応方向を当てるための勉強とは何でしょう。
よくわかりません。
とりあえず、テクニカル指標のように過去の反応傾向を定量化して、現時点の順張り方向がどちら向きかを考えたら良いのでは、と思っています。それが本ブログの分析方法です。やり方が(70%ぐらい)正しければよいのですが。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。

1706米国輸入物価210.png

1706米国輸入物価220.png

次に、発表される各項目毎の反応方向への「影響の強さ」を下表に示しておきます。なお、ここでいう「影響の強さ」とは、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなることを指しています。但し、必ずしも「最も影響が強くなる」ようには各係数を求めていません。

1706米国輸入物価230.png

上表から、輸入物価指数と輸出物価指数の各差異を3:1にすれば、事後差異と直後1分足の反応方向との一致率が高くなるようです。この3:1という係数は、本記の事前差異・事後差異・実態差異を求めるときに適用しています。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pips、過去平均値幅が4pipsです。
跳幅が10pips以上だったことは過去6回(21%)あります。
この6回の直後1分足跳幅の平均は11pipsで、これは直後1分足の過去全平均11pipsと同じです。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は6回が一致(50%)しています。
つまり、直前10-1分足の反応が10pips以上あると、本指標の場合、いつもより大きな動きで「あっ」と言うはずです。言わなくても構いませんが、驚く必要はありません。直前10-1分足がいつもより大きく動いても、それが指標発表後の反応の程度や方向を示唆している訳じゃありません。

1706米国輸入物価310.png

次に、直前1分足は、過去平均跳幅が4pips、過去平均値幅が3pipsです。
跳幅が過去平均の2倍以上にあたる8pips以上だったことは過去4回(14%)しかありません。この4回の直後1分足跳幅の平均は23pipsで、これは直後1分足の過去全平均11pipsの2倍以上です。また、この4回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(75%)です。
つまり、直前1分足が大きく動いたとき(8pips以上)は、指標発表直後の反応が大きく(23pips)、反応方向が一致しがち(75%)です。

1706米国輸入物価320.png


そして、直後1分足は、過去平均跳幅が11pips、過去平均値幅が8pipsです。
過去平均の11pipsを超えたことは34%しかなく、それどころか48%は6pipsしか指標発表直後にすら跳ねていません。利確や損切の目安は、過去の平均値よりかなり割り引いて考えておくべきです。

1706米国輸入物価330.png

直後11分足は、過去平均跳幅が17pips、過去平均値幅が11pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足終値(値幅)平均の8pipsと比べ、直後11分足跳幅は9pips以上伸びて、値幅は3pips以上伸びています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足跳幅平均と直後1分足終値平均の差が9pipsあるなら、直後1分足と直後11分足の方向一致率次第で追撃ができです。


【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1706米国輸入物価410.png

指標結果への反応が最も素直に現れがちな直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。あまり大きく反応する指標ではない上に、この平均値を超えたことは34%しかありません。ほとんどの場合には、本指標の反応は小さいのです。

直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。そして、その73%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各79%・74%です。更に、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率は54%です。
つまり、本指標での取引は、反応方向を確認したら早期参加し、直後11分足跳幅を狙って利確です。反応は小さくなる場合がほとんどであることを念頭に、あまり欲張らないことです。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1706米国輸入物価420.png

各ローソク足の方向は、陽線/陰線のいずれかへの偏りが70%に達していません。

そして、直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。がしかし、これらローソク足の方向が一致しても、直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びたことは、反応性分析の結果、29%しかありません。追撃には適していません。

他には、どのローソク足も他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上にはなっていません。つまり、本指標での取引参加者は、先述の直前1分足跳幅が8pips以上伸びたときを除いて、発表結果を予見できている兆しはありません。

最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1706米国輸入物価430.png

事後差異と直後1分足との方向一致率は69%で、あまり素直に反応する指標ではありません。
全体的には市場予想や発表結果がどうあれ、反応方向がどちらに伸びるかがわからない指標です。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月18日21:30発表

以下は2017年7月20日に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1706米国輸入物価510.png

輸入物価指数は、前回結果より改善、市場予想と同値、でした。輸出物価指数は、前回結果より改善、市場予想より悪化、となりました。
反応は陰線で、直後1分足と直後11分足は同方向で反応を伸ばしました。

(5-2. 取引結果)

取引できませんでした。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 初期反応は小さく、その後の伸びは指標結果に依るものではないと思われます。
  • 反応方向は、どちらかと言えば指標結果と逆で、この点は分析が外れてはいません。
  • 追撃には不向きですが、逆張りをしていたら損切となっていたでしょう。この点は分析を外しています。


(6-2. シナリオ検証)

取引はできなかったものの、シナリオを検証しておきます。

  • (1) 直前1分足跳幅が8pips以上になりそうか否かに着目し、直前1分足値幅方向に順張りで、指標発表直後の跳ねで利確するつもりでした。
    直前1分足は同値なので、取引は中止だったはずです。
  • (2) 追撃は、初期反応方向に順張り・早期参加・すぐ利確の予定でした。
    初期反応に順張りでも、直後1分足は1〜2pipsしか反応していません。利確できても僅かだったでしょう。
  • (3) 直後1分足終値がついてからは、それとは逆張り追撃の機会を窺うつもりでした。
    この勢いで陰線側に伸びたら、おそらく逆張りはできなかったと思われます。

以上の結果、シナリオには問題なく、もし取引できていたら僅かな利確だったと思われます。
以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

英国物価指標発表前後のGBPJPY反応予想(2017年7月18日17:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月18日17:30に英国物価指標「消費者物価指数(CPI)・小売物価指数(RPI)・生産者物価指数(PPI)」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。

1706英国物価指標110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応は、以前かなり大きかったものの、直近の3か月はむしろやや小さいぐらいです。
  • 反応方向は極めて素直です。
  • 追撃は早期参入・早期利確に適しており、指標発表から1分を過ぎてからは反転することの方が多くなっています。

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 過去のローソク足を見る限り、何点か予め知っておいた方が良いポイントがありました。
    (1) まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pips、過去平均値幅が8pipsです。他の指標に比べて大きいので注意が必要です。そして、この直前10-1分足が大きく反応(20pips以上)ことが17%あり、このときの直後10-1分足方向は直後1分足方向との一致率が80%です。なお、この方向一致率は跳幅の方向でなく、値幅の方向であることにご注意ください。
    (2) 直前1分足は、過去平均跳幅が9pips、過去平均値幅が6pipsです。これも他の指標に比べて大きいので注意が必要です。がしかし、直前1分足の動きは大きくても、直後1分足の方向や程度とは関係ありません。
    (3) 平均値を見る限り、直後1分足終値に対し、直後11分足の跳幅は19pips以上、値幅平均は3pips以上、上回ています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。ともあれ、直後11分足跳幅平均と直後1分足終値平均の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです。

  • 直前1分足は陰線率が81%となっています。他の指標に比べて反応が大きいので、慌てて追従しない方が良いでしょう。データからは、前述の通り、直前1分足が大きく動いたからと言って、指標発表直後の反応の大小や方向を示唆している訳ではありません。

  • 直後1分足は、事前差異との方向一致率が79%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足は陰線の可能性が高い、ということになります。指標発表前にポジションを取得し、指標発表直後に跳ねたら利確であれ損切であれ、ポジションは解消します。

  • 追撃は、指標発表後の初期反応方向を確認次第行い、直後1分足終値がつくまでに決済します。
    高値(安値)掴みに気を付ければ、直後1分足終値がつくまでなら順張り追撃を再度行っても構いません。その場合、直後11分足跳幅狙いですが、指標発表から1分を過ぎて時間が経つほど、反転リスクが高まります。この追撃は遅くとも指標発表から5分以内とします。
    そして、直後1分足終値がついたら、今度は高値(安値)掴みに注意して直後1分足と逆方向への追撃を狙います。但し、これは逆張りとなるので、あまりお勧めできません。

  • 過去データに基づく見解ではありませんが、指標結果が大きく前回結果を上回る場合、過去のデータは役立たないと考えられます。BOE利上げが意識されるため、大きく陽線での反応が比較的長く続く可能性があります。
    また、市場予想並みか、僅かしか前回結果を下回らない場合も、利上げが意識されるでしょう。この場合にも、一旦は陰線で反応しても途中で陽線に転じる可能性が高い、と思われます。
    こうした状況では、大きく前回結果を下回る場合も、大きく陰線が伸びる可能性があります。

以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます

  • (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
  • (2) 直後1分足も陰線と見込みます。
    但し、直前10-1分足跳幅が20pips以上となっていたら、同じ方向にポジションを取ります。
  • (3) 追撃は、指標発表後1分以内なら順張りで、それ以降は逆張りのタイミングを狙います。いずれにせよ、短期決済が基本です。
    但し、発表結果が市場予想や前回結果との乖離が大きかった場合には、追撃は何も考えずに順張り追撃徹底でいいでしょう。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

他の主要国では、生産者物価・小売物価・消費者物価が別々に発表されますが、英国は一度に発表しています。

CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。

RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。

PPIはあまり大きな反応を生じないように見受けられます。

過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される珍しい指標です。

本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1706英国物価指標120.png



【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。

1706英国物価指標210.png

1706英国物価指標220.png

1706英国物価指標230.png



(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pips、過去平均値幅が8pipsです。
跳幅が20pips以上だったことは過去5回(17%)あります。
この5回の直後1分足跳幅の平均は23pipsで、これは直後1分足の過去全平均29pipsに達していません。がしかし、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回が一致(80%)しています。
つまり、直前10-1分足の反応が20pips以上に達した場合、それが直後1分足の反応が大きいことを示唆している訳ではないものの、指標発表直後の反応方向を示唆している可能性があります。この方向一致率は跳幅の方向でなく、値幅の方向であることにご注意ください。
陽線が目立つので、後述する反応一致性分析で陽線率を確認しておきましょう。

1706英国物価指標310.png

次に、直前1分足は、過去平均跳幅が9pips、過去平均値幅が6pipsです。
跳幅が10pips以上だったことは過去7回あります。この7回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは直後1分足の過去全平均29pipsに達していません。また、この7回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(43%)です。
つまり、直前1分足が大きく動いたからと言って、指標発表直後の反応の大小や方向を示唆している訳ではありません。
陰線が目立つので、後述する反応一致性分析で陰線率を確認しておきましょう。

1706英国物価指標320.png

そして、直後1分足は、過去平均跳幅が29pips、過去平均値幅が18pipsです。
過去平均の29pipsを超えたことは45%あり、本指標は大きく反応することが多いので注意が必要です。

1706英国物価指標330.png

直後11分足は、過去平均跳幅が37pips、過去平均値幅が21pipsです。
平均値を見る限り、直後11分足の跳幅は19pips以上、値幅平均は3pips以上、直後1分足終値平均を上回ています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足跳幅平均と直後1分足終値平均の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです

1706英国物価指標340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1706英国物価指標410.png

指標結果への反応が最も素直に現れがちな直後1分足跳幅は、過去平均で29pipsに達しています。そして、この平均値を超えたことが45%あります。本指標は大きく反応しがちです。
そして、直後1分足値幅は過去平均で18pipsです。跳幅平均と値幅併記との差が11pipsもあるので、追撃を行うなら高値(安値)掴みに気をつけないといけません。
但し、直近の反応は以前ほど大きくないようです。

直後1分足と直後11分足との方向一致率は61%です。そして、その61%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各75%・47%です。そして次に、直後1分足終値がついた時点で考えてみます。この時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率が29%しかありません。
つまり、本指標での取引は、反応方向を確認したら早期参加しても、なるべく早く利確すべきです。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1706英国物価指標420.png

直前1分足は陰線率が81%となっています。他の指標に比べて反応が大きいので、慌てて追従しない方が良いでしょう。データからは、前述の通り、直前1分足が大きく動いたからと言って、指標発表直後の反応の大小や方向を示唆している訳ではありません。

そして、どのローソク足も他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上にはなっていません。つまり、本指標での取引参加者は、先述の直前10-1分足跳幅が20pips以上になったときを除き、発表結果を予見できている訳ではありません。

最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1706英国物価指標430.png

本指標の各差異算出は、CPI前月比・前年比・コアCPI前年比・RPI前月比・前年比・コアRPI前年比・コアPPI前年比の全項目の差異をそのまま合計して算出しています。

その結果まず、事後差異と直後1分足との方向一致率は96%と高率で、本指標が非常に素直に反応することがわかりました。
そして、事前差異と直後1分足との方向一致率が79%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直後1分足は陰線の可能性が高い、ということになります。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月18日17:30発表

以下は2017年7月20日に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1706英国物価指標510.png

結果は全般に物価上昇率鈍化(上昇率の鈍化で上昇しています)で、反応は陰線でした。

(5-2. 取引結果)

取引できませんでした。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 反応は、以前かなり大きかったものの、直近の3か月はむしろやや小さいぐらいです。今回は久しぶりに大きく反応しました。
  • 反応方向は極めて素直という分析通り、素直に反応しました。
  • 事前分析では、早期参入・早期利確の追撃に適し、指標発表から1分を過ぎてからは反転することの方が多くなっている、と記していました。
    結果はほぼその通りでしたが、反転はしませんでした。
  • 直前1分足は陰線でした。過去の傾向通りでした。
  • 直後1分足は、事前差異との方向一致率が79%となっていました。今回の事前差異はマイナスで、直後1分足は陰線となりました。分析通りです。
  • 追撃は、指標発表後の初期反応方向を確認次第行い、直後1分足終値がつくまでに決済を薦めていました。問題ありません。
    また、指標から1分を過ぎたら、直後1分足と逆方向への追撃を狙うことを記していました。逆張りのチャンスはほぼ無く、もし間違えても数pipsの損切で済んだと思われます。


(6-2. シナリオ検証)

取引はできなかったものの、シナリオを検証しておきます。

  • (1) 直前1分足は陰線と見込んでいたので、うまくやれば10pips程度が利確できたでしょう。
  • (2) 直後1分足も陰線と見込んでいたので、うまくやれば30-40pips、もっとうまくやれば50pips弱が利確できたでしょう。
  • (3) 追撃は、指標発表後1分以内なら順張りで、それ以降は逆張りのタイミングを狙っていました。いずれも数pipsの利確と損切となり、とんどんだったのではないでしょうか。

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

米国景気指標「NY連銀製造業景気指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月17日21:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月17日21:30に米国景気指標「NY連銀製造業景気指数」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。

1707米国NY景況感110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度はやや小さく、反応方向はやや素直です。
  • 追撃は早期参加・短期利確に適しており、発表から1分経過後の追撃には適していません。
  • 本指標の市場予想は高めに発表されがちです。
  • 直後1分足は発表結果が市場予想を上回るか下回るかに素直に反応しがちなものの、直後11分足は発表結果が前回結果を上回るか下回るかに反応しがち、という特徴があります。

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 本指標には妙な特徴があります。
    すなわち、市場予想が前回結果より高かったことが80%にも上がります。その結果、発表結果が市場予想予想を下回ったことが63%となっています。本指標は市場予想が高めに予想されがちです。

  • 直前1分足跳幅が8pips以上となったとき、直後1分足は20pips以上の跳幅となる可能性が高い、と思われます。

  • 直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、この79%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士で反応が伸びたことは78%です。また、この78%のときの直後11分足跳幅平均と直後1分足終値平均の差は10pips以上が見込めます。
    つまり、本指標発表後、反応方向を確認したら早期参加して、直後1分足終値以降に利確した方が良さそうです。あるいは、初期反応で1回利確し、指標発表直後1分間の押し目で再追撃をし、直後11分足跳幅を狙って、直後1分足終値がついて暫くしてから再利確、という展開が望ましいようです。

  • なぜなら、直後1分足と直後11分足を終値同士を比べると、両者方向一致時こそ反応が伸びる確率が70%あるものの、方向一致せずに反転した場合も含めると、直後1分足終値がついた時点で直後11分足終値が伸びる確率は55%しかありません。
    つまり、前述の早期参加は、直後1分足終値がついてから早期に利確しないと、せっかくの含益を失う可能性が約45%にも達します。

  • また、実態差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各60%・70%となっていることに注意が必要です。
    これは、本指標が発表から時間が経つに従って、前回結果に対する良し悪しに反応の理由が変化します。市場予想を上回るものの前回結果を下回ったり、その逆だったりしたときは、反応方向が反転する確率が高いということです。

以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます

  • (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
  • (2) 直後1分足は陰線と見込み、指標発表前にポジションを取得します。
    但し、直前1分足跳幅が8pipsを超えるようならば、取引は中止します。
  • (3) 追撃は、反応方向確認次第実施し、早期利確します。
    発表から1分以内なら再追撃ポジションを取り、直後1分足終値がついたら利確のタイミングを探します。
    そして、発表結果が市場予想を下回った場合にのみ、再々度の追撃も可とします。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

NY連銀管轄のNY州製造業約200社の経営者の景況感と現状を指数化した指標です。
具体的内容は、仕入価格・販売価格・新規受注・出荷・入荷遅延・在庫水準・受注残・雇用者数・週平均就業時間などの11項目を、1ヶ月前と比較した現状と6ヶ月後の期待を、「良い」「同じ」「悪い」から選択して指数化したものです。
数値は0を分岐点に景気改善(+)・悪化(−)と読みます。

製造業景気指数は、NY連銀製造業景気指数→Phil連銀製造業景気指数→リッチモンド連銀製造業景気指数→シカゴ購買部協会景気指数→ISM製造業景気指数があります。ISM製造業景気指数の先行指標がPhil連銀製造業景気指数で、Phil連銀製造業景気指数の先行指標がNY連銀製造業景気指数、という話があります。

本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707米国NY景況感120.png



【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。

1707米国NY景況感210.png

グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。

市場予想後追い型とは、発表結果が上昇基調ならば市場予想がそれを下回り、発表結果が下降基調なら市場予想がそれを上回り、あたかも市場予想が発表結果を追いかけているように見える指標のことです。こうした指標でもし、事後差異(発表結果ー市場予想)の入れ替わりが少ないことを確認できれば、発表結果が市場予想を上回りがちか下回りがちかを事前に予想できます。

確認した結果、調査期間において事後差異のプラス・マイナスが入れ替わったことは29回中14回(48%)です。一見すると、市場予想後追い型のグラフにも見えますが、意外に発表結果と市場予想の大小関係の入れ替わり頻度が高いことがわかりました。

本指標は、現在、市場予想後追い型ではありません。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pips、過去平均値幅が5pipsです。
跳幅が平均の2倍にあたる14pips以上だったことは過去3回あります。この3回の直後1分足跳幅の平均は11pipsで、これは直後1分足の過去全平均14pipsに達していません。よって、直前10-1分足が通常よりも大きく反応したとしても、指標発表直後の大きな反応を示唆している訳ではありません。

1707米国NY景況感310.png

次に、直前1分足は、過去平均跳幅が4pips、過去平均値幅が3pipsです。
跳幅が平均の2倍にあたる8pips以上だったことは過去3回あります。この3回の直後1分足跳幅の平均は19pipsで、これは直後1分足の過去全平均14pipsの約1.4倍にあたります。よって、直前1分足が通常よりも大きく反応したとき、指標発表直後の反応はやや大きくなる可能性があります
陰線が目立つので、後述する反応一致性分析で陰線率を確認しておきましょう。

1707米国NY景況感320.png

そして、直後1分足は、過去平均跳幅が14pips、過去平均値幅が11pipsです。
過去平均の14pipsを超えたことは40%で、21pipsを超えたことは20%しかありません。よって、本指標は大きく反応することが滅多にありません

1707米国NY景況感330.png

直後11分足は、過去平均跳幅が21pips、過去平均値幅が15pipsです。
平均値を見る限り、直後11分足の跳幅は10pips以上、値幅平均は4pips以上、直後1分足終値平均を上回ています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足跳幅平均と直後1分足終値平均の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです

1707米国NY景況感340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1707米国NY景況感410.png

指標発表後の反応の大きさは、ほぼ安定しているようです。

直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です(上図表記は77%となっていますが、79%です。誤記差替えができず、申し訳ありません)。そして、方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各78%・70%です。つまり、本指標は指標発表時点から見る限り、反応方向を確認したら早期参加しても、そのまま反応が伸びる確率が高い、と言えます。

そして次に、直後1分足終値がついた時点で考えてみます。この時点では、既に反応が伸び続ける確率が55%しかありません。つまり、前述の早期参加は早期利確しなければ含益を失う可能性も約45%にも達します

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1707米国NY景況感420.png

直前1分足は陰線率が88%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が4pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。

そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率79%を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっているのは、直前1分足と直後11分足の方向一致率28%(不一致率72%)だけです。つまり、直前1分足が陰線ならば、直後11分足は陽線となりがちです

最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1707米国NY景況感430.png

本指標には妙な特徴があります。事前差異が80%もの高率でプラスとなっています。ところが、事後差異のプラス率は37%しかありません。つまり、本指標では市場予想が高めに予想されがちです

そして、事後差異と直後1分足の方向一致率が72%で、市場予想に対し発表結果の良し悪しにほぼ素直に反応します
がしかし、実態差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各60%・70%となっています。これは、本指標が発表から時間が経つに従って、前回結果に対する良し悪しに反応の理由が変化します。市場予想を上回るものの前回結果を下回ったり、その逆だったりしたときは、反応方向が反転する確率が高いということです

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月17日21:30発表

以下は2017年7月18日に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1707米国NY景況感510.png

結果は前回・市場予想を下回り、反応は陰線でした。

(5-2. 取引結果)

記事を書いていたら、発表時間が過ぎていました。何のための分析だが…

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

取引はしなかったものの、事前調査分析内容を検証しておきます。

  • 今回も市場予想は高めでした。
  • 直後1分足と直後11分足とは逆方向でした。もし順張り追撃するなら、早期参加・早期利確が正解でした。
  • 直後1分足と直後11分足とが反転しました。
    但し、今回は前回・市場予想のいずれも下回っていたので、反転理由が事後差異から実態差異への変化ではありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオで取引していたら、次のようになっていたでしょう。

  • (1) 直前1分足は陽線で、1pipsの損切となっていたと思われます。
  • (2) 直後1分足は陰線で、3-4pips程度の利確となっていたと思われます。
  • (3) 追撃は、反応方向確認次第実施し早期利確していたら、1pips程度の利確となっていたと思われます。
    発表から1分以内の再追撃であっても、時間が経ってからでは1-3pipsの損切となっていたと思われます。再々追撃を行っていたら、5pips程度の損切となっていたでしょう。

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年07月16日

2017年7月第2週成績と、7月第3週主要指標の過去反応pips

本成績は、2017年1月1日時点でGBPJPY1枚分の投資額の10倍(¥579,680)を元本に、本ブログ記載の方法で取引を行いつつある途中経過です。
現時点まで半年間の運用益は30%に達しており、正直言って、例年に比べて「運が良かった」ようです(例年の約2倍ペースです)。理由は、運と、取引する・しないの判定基準を70%(例年75%)まで下げて取引回数が増えたことと、本ブログを始めたことで分析用の図表類の一覧が容易になったため、と思います。
その代わりに、ブログを書いてからでないと、何か取引する気がしなくなったのがちょっと面倒です。


【1. 今週成績及び所感】

7月第2週の取引結果と、年初からの通算成績を纏めておきます。

201707W2成績.png

7月第2週は5指標で取引を行いました。
取引時間は36分13秒(1指標当たり7分15秒)、損益はいつも1枚ずつの取引で+3,985円(同+797円)でした。勝率は、指標単位で80%(4勝1敗)、シナリオ単位では82%(9勝2敗)でした。
問題ありません。

7月第2週発表の経済指標概要は次の通りでした。

  • 米国指標は、PPI・CPI・小売売上高・鉱工業生産・UM消費者信頼感指数速報値が発表されました。
    これらのうちでCPIは、FRB政策の現状認識に反して、物価が利上げを必要としないレベルに留まっていることが確認されました。それどころか、FRBが現在のペースで利上げを続けると、物価が目標インフレ率を維持できない可能性を示唆しています。
    また小売売上高は、FRBのこれまでの認識に疑問が生じました。1-3月期の成長率低下が一時的、というのがFRBの見解です。がしかし、小売売上高は4月こそ前月比プラスとなったものの、5・6月はマイナスとなりました。
    こうして利上げ延期の可能性と、成長鈍化の可能性が生じた週でした。

  • 英国経済指標は雇用統計が発表され、失業率(4.5%)と失業保険申請件数(0.6万人)が改善しました。平均所得(賃金)は、含ボーナスの伸び率が鈍化(1.8%)、除ボーナスの伸び率が加速(2.0%)、でした。
    指標発表後の解説記事を見る限り、物価上昇分を除いた実質賃金は低下していることを挙げた記事が見受けられました。がしかし、実際の反応は陽線です。
    BOEの利上げ観測が出ていることから、当面の英国政策決定指標(景気・物価・雇用)に関する解説記事は、必ずしもアテになりません。データよりも、政治的立場を優先した記事が増えるでしょう。

  • 日本経済指標は国際収支が発表されました。対米黒字は、大きく燃料輸入が増えたにも関わらず自動車輸出も好調で、前月を大きく上回りました。前後してトランプ政権の100日計画の期日だったので、米政権側からの発言がUSDJPYに影響することが心配されていましたが、目立った発言はありませんでした。

個別の調査・分析・結果・検証の記録は以下をご参照ください。




【2. 次週主要指標の過去反応】

次週7月第3週で関心を持っている指標を下表に纏めておきます。

201707W3予定.png
グラフは各指標反応の過去平均pipsです。データはまだ、各指標の前回分析時までの記事で用いた値ですから、最新の値にはなっていません(誤差が数pips程度あると思われます)。そのつもりでご覧ください。

関心を持っている内容は次の通りです。

  • 英国物価指標・英国小売売上高・豪州雇用統計は、大きく反応しがちな指標です。そして、過去の反応の大きさを平均で見る限りわかりませんが、欧州ECB政策金利の発表が予定されています。
    経済指標だけでなく、米欧英の当局者発言には注意が必要です。米国は現在進めている引締政策是非について、欧州は資産規模縮小を9月にも始めるのか、英国は年内利上げの可能性があるのか、が関心事です。

  • 米国経済指標は、NY連銀・Phil連銀の製造業景況指数が発表されます。直近の実態指標(鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率)は改善傾向を示しており、UM消費者信頼感も現況指数は改善していました。
    がしかし、景況指数は先行き見通しを踏まえた指標です。UMでは、現況指数が改善していたにも関わらず(総合指数への寄与度60%)、期待指数が悪化し(同40%)、総合指数は対前月低下となっていました。この点をどう考えかがポイントです。
    市場は、指標が良かったときよりも悪かったときに敏感に反応しがちな雰囲気だと思われます。

  • 欧州経済指標は、ECB政策金利が発表されます。そして、その後に予定されているECB総裁記者会見に関心が集まっています。
    市場では、年末期限の資産買入施策を今後どうするかをECBが9月に決める、との見方が支配的なようです。そして、その決定内容がどのようなペースの縮小かが関心が集めているようです。時期とペースです。
    がしかし、6月末にECB幹部が緩和縮小を示唆したところ、DAX(独株価)を一気に大きく下げ、独金利が急騰することがありました。この教訓をECBが踏まえると、今の時期に過激な反応を起こすようなことは避けたいはず、と考えています。9月にはECB最大のスポンサーである独総選挙があるのです。

  • 英国経済指標は、物価指標と小売売上高が発表されます。
    特に物価は、前月比プラスが続いており、既に前年比はCPIが+2.9%(コア+2.6%)・RPIが+3.7%(コア+3.9)に達しています。一方、平均賃金(含ボーナス)は直近のデータで+1.8%です。この点において、BOEが利上げによって物価上昇を抑え込もうというのは理解できます。
    がしかし、PMIは製造業・建設業・サービス業のいずれも低下に転じた可能性があります。EU離脱交渉が進むにつれて(進まないにもつれて)、PMIは悪化する可能性があります(不確実さや不安感は景況感を悪化させがちです)。もし実態指標(小売売上高や鉱工業生産)で、PMIの低下・停滞が裏付けられると、利上げは難しい判断になります(企業行政悪化に伴い賃金上昇がなくなるから)。
    1991年のバブル景気崩壊後の日本と似たようなジレンマではないでしょうか。その後、日本は金融政策が緩和寄り、財政政策はだらだらと緩和拡大を繰り返し、大停滞を招きました。状況の違いは、当時JPYは高くなり、現在GBPは安くなって苦しんでいる点です。
    為替レートが逆に動いても、ジレンマは同じになってしまう点が驚きです。

  • 豪州経済指標はRBA議事要旨と雇用統計が発表されます。それらに先立ち、中国GDPの発表が予定されています(7/17)。中国GDPは、11月(?)の全人代に向けて悪い結果が出にくいと考えるか、11月までにもう1回GDP発表が予定されるので一旦悪化させるか、が難しいところです。もし市場予想と乖離すれば、AUDは経済指標なんかどうでもいい週となるので(ちょっと大げさですが)、この点だけは先に押さえておきましょう。豪州指標について考えるのはそれからです。

  • 日本経済指標は、日銀金融政策理事会が行われます。
    現在の緩和政策への出口戦略について解説記事が増えてきました。とはいえ、議論自体が行われたとしても、それが現在の緩和継続の足を引っ張るカタチで公表されるハズありません。

今週、日本は月曜が祝日、金曜は各国主要指標の発表がありません。メリハリのある取引ができる時間が限られています。
以上


2017年07月14日

米国景気指標「UM消費者信頼感指数速報値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月14日23:00発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月14日23:00に米国景気指標「UM消費者信頼感指数速報値」が発表されます。今回発表は2017年
7月分の集計結果です。
本指標の過去傾向は、

  • 反応は中程度、
  • 反応方向は素直な傾向があり、
  • 追撃には向かない指標です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。

1707UM消信速110.png

定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。

1707UM消信速120.png

1707UM消信速130.png

1707UM消信速140.png

1707UM消信速150.png

本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。

  • 総合指数(景況感指数)は現状指数と期待指数によって算出されています。がしかし、総合指数の反応方向への影響は必ずしも高くありません。
    本指標は、現状指数>総合指数>期待指数の順に、結果の良し悪しが反応方向と相関します。

  • 直前10-1分足は、事前差異(市場予想ー発表結果)との方向一致率が73%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高いことになります。
    また、事後差異(発表結果ー市場予想)直後1分足と直後11分足の方向一致率は74%と、発表結果の良し悪しにほぼ素直に反応することがわかっています。

  • 指標発表前のローソク足の方向が、指標発表結果を示唆している兆候はありません。また、あるローソク足が、その後のローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

  • そうした傾向の結果、追撃には不向きな指標です。
    直後1分足と直後11分足の方向一致率は52%しかありません。むしろ、直後1分足終値がついてから、直後11分足の値幅を削るか、直後1分足と逆方向に反転したことは67%と、3回に2回に達しています。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    (2) 追撃は、直後1分足終値がついた頃、直後1分足と逆方向に行います。但し、これは逆張りにあたるので、推奨できません。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

ミシガン大学(UM)消費者信頼感指数は、同学サーベイ・リサーチセンターが電話アンケートで消費者景況感の調査結果を指数化した景気指標です。速報値は300世帯、確報値は500世帯が対象で、景況感・雇用状況・所得について「楽観」または「悲観」で回答されます。調査数が少ないためブレが大きいという特徴があります。

本指標は1964年の指数を100として算出されています。がしかし、古すぎて当時の景況感がどうだったかを知るひとは少ないと思います。従って、参考にすべき基準は100でなく、直近の最大値・最小値ではないでしょうか。
例えば、2015年1月は、前年の雇用統計で失業率やNFP(非農業部門雇用者数)で良い数字が続いていた頃で、FRBの利上げ時期が議論に挙がっていました。このときの速報値が直近で最も高く98.2です。そして、2015年8月後半には中国人民元切下げと株価不安があり、ダウ工業平均は一営業日で1000ドル強もの値下がりが起きました。その翌月9月は直近で最も速報値が低く85.7です。
前月2017年1月の速報値は98.1ですから、いまや米国が西側オンリーワンだった時代の景況感に近づいている訳です。「何か変だな」と思いますが、あくまで本指標は消費者への電話アンケート結果です。

なお、本指標は現状判断指数(約40%)と先行き期待指数(約60%)で構成され、期待指数については「コンファレンスボード(全米産業審議会)景気先行指数」の構成要素でもあります。
また、消費者景況感は、個人消費や小売売上高に直結するという意義もあります。これは今度、確かめておきましょう。

さて、総合指数(景況感指数)・現状判断指数(現状指数)・期待指数の各項が、それぞれどれだけ反応方向に影響を与えているか確認しておきましょう。

1707UM消信速240.png

上表から、本指標各項の差異は、

2✕景況感指数の差異
+3✕現状指数の差異
+1✕期待指数の差異

で、直後1分足の反応方向と最も相関が高くなりました。


【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの30回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。

1707UM消信速210.png

1707UM消信速220.png

1707UM消信速230.png

上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

1707UM消信速310.png

1707UM消信速320.png

1707UM消信速330.png

1707UM消信速340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1707UM消信速410.png

反応一致性分析の結果を下図に示します。

1707UM消信速420.png

指標一致性分析の結果を下図に示します。

1707UM消信速430.png

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月14日23:00発表

以下は2017年7月15日に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1707UM消信速510.png

結果は、総合指数(信頼感指数速報値)・期待指数が前回結果・市場予想を下回り、現状指数が前回結果・市場予想を上回りました。
反応は、直後1分足が陰線で、直後11分足は陽線に転じました。

現状は良いものの、先行きには不安がる、という結果ですから、きっと政権政策遂行力への疑義を解説する記事が増えるでしょう。

反応については、この日21:30に小売売上高とCPIで50pips以上の陰線となる反応が起きており、その余波もあって本指標結果の影響を読み取ることが困難です。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1707UM消信速520.png

直前10-1分足は、前述の大きな動きの影響が収まりつつある、と考えての取引でした。結果は損切で、そもそもこんなときには取引してはいけなかったのです。

追撃は、シナリオ通りに行いました。がしかし、直後1分足終値がついてから反転、というのは、今回の場合、指標分析があたったというより偶然だったと思います。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 本指標は、現状指数>総合指数>期待指数の順に、結果の良し悪しが反応方向と相関する、という分析結論でした。
    結果は、現状指数の改善に反して陰線で反応しました。分析を外しました。
  • 直前10-1分足は、事前差異(市場予想ー発表結果)との方向一致率が73%となっていました。今回の事前差異はマイナスだったので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と見込んでいました。
    また、事後差異(発表結果ー市場予想)直後1分足と直後11分足の方向一致率は74%と、発表結果の良し悪しにほぼ素直に反応する、と見込んでいました。
    結果は、直前10-1分足が陽線で、直後1分足と直後11分足は逆方向の反応となりました。分析を外しています。
  • 直後1分足と直後11分足の方向一致率は52%しかなく、直後1分足終値がついてから、直後11分足の値幅を削るか、直後1分足と逆方向に反転したことは67%と、3回に2回に達している、との指摘を行っていました。
    結果はその通りになったものの、今回の値動きについては分析通りというより、値動きが激しかったため偶然そのようになったと思われます。

(6-2. シナリオ検証)

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1707UM消信速530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

米国実態指標「鉱工業生産」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月14日22:15発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月14日22:15に米国実態指標「鉱工業生産」「製造業生産」「設備稼働率」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の過去傾向は、

  • 反応は小さく、個々の指標結果と反応方向の関係もあまり強くなく、
  • 追撃もチャンスを待って慎重に行う必要があり、
  • 取引にはあまり向いていません。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。

1706米国鉱工業生産110.png

定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。

1706米国鉱工業生産120.png

1706米国鉱工業生産130.png

1706米国鉱工業生産140.png

1706米国鉱工業生産150.png

調査・分析の結論は以下の通りです。

  • 結論は前述の通り、あまり取引に向いていません。
    理由は、反応程度が小さく、個々の項目毎の結果と反応方向の関係があまり強くなく、反応伸長率が低いので追撃も慎重に行う必要があります。

  • 反応方向に影響を与えるのは、製造業生産>設備稼働率>鉱工業生産、の順です。但し、これら個々の項目の良し悪しは、反応方向との一致率が高くありません。

  • 反応方向の偏りは、直前1分足の陰線率が71%となっています。
    そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が79%と高いことを除けば、あるローソク足が他のローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

  • 個々の項目毎の発表結果を見ても、各項目毎の結果を合成して見ても、発表結果の良し悪しと直後1分足の方向一致率は64%しかありません。
    指標結果の良し悪しは、直後11分足との方向一致率で71%となっています。事後差異と実態差異の方向が一致したときにのみ追撃する、とした方が良さそうです。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 事後差異と実態差異の方向が一致したときにのみ追撃します。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

設備稼働率は、生産能力に対する実際の生産量の比率を表した指標です。基準年の平均稼働率を100として、製造業・鉱業・公共事業(電気・ガス)の生産能力に対する生産実績の比率から算出します。本指標は、設備投資とインフレの先行指標とされていて、80%を超えると投資が活発化する、と言われています。

がしかし、最近では設備稼働率が高くなっても、設備投資を行う経営者は少数派です。
以前ほどではないにせよ、米国では組合や地域のマスコミの力が強く、経営者が思い描くような自動化が設備投資でなかなか図れないのです。そんなところに投資する人は、米国人経営者でなくても少数派です。
だから、米国企業の設備投資判断は、PCやタブレット端末普及時の工程管理・サプライチェーン革新や、シェールガス採掘の技術革新があったときのように、圧倒的生産性向上が図れるときに・ところで行われます。
設備稼働率と設備投資の相関がなくなったとまでは言いませんが、以前よりも両者の相関は弱くなっています。但し、設備稼働率が高いときには受注量が多いという点では、先行指標としての意義があります。


【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。

1706米国鉱工業生産210.png

1706米国鉱工業生産220.png

1706米国鉱工業生産230.png

上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。

各項目ごとの反応への影響を求めておきます。

1706米国鉱工業生産240.png

個々の項目の良し悪しでは、反応方向がはっきり決まらないようです。各項目に、

1✕鉱工業生産の差異[%]
+3✕製造業生産の差異[%]
+2✕設備稼働率の差異[%]

と重み付け係数を掛けると、指標結果と反応方向の関係が70%を超えることがわかりました。つまり、反応への影響は、製造業生産>設備稼働率>鉱工業生産、の順です。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

1706米国鉱工業生産310.png

1706米国鉱工業生産320.png

1706米国鉱工業生産330.png

1706米国鉱工業生産340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1706米国鉱工業生産410.png

反応一致性分析の結果を下図に示します。

1706米国鉱工業生産420.png

指標一致性分析の結果を下図に示します。

1706米国鉱工業生産430.png

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月14日22:15発表

以下は2017年7月14日23:22頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1706米国鉱工業生産510.png

結果は改善でしたが、反応は陰線でした。

4本足のいずれもヒゲが大きく、この反応は、21:30に発表された小売売上高とCPIの結果が悪く大きく下げていたため、と思われます。その余波で、この程度の指標結果がどうあれ、あまり値動きに関係なかったといったところでしょう。
21:30に発表された小売売上高とCPIへの反応は、2015年以降で最大となる50pips超の直後1分足となっていました。

(5-2. 取引結果)

取引は行いませんでした。
というより、上図直前10-1分足の上下ヒゲをご覧ください。これからどっちに動くにせよ、そのきっかけとして本指標では影響力が小さすぎます。つまり、事前分析なんて関係ない。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査・分析と実際の結果を、以下に対比します。

  • 本指標の特徴に関し、反応程度が小さく、個々の項目毎の結果と反応方向の関係があまり強くなく、反応伸長率が低いので追撃も慎重に行う必要がある、と考えていました。
    結果は、本指標がどうあれ関係ないほど、21:30の小売売上高とCPIへの反応が大きくなっていました。
  • 反応方向に影響を与えるのは、製造業生産>設備稼働率>鉱工業生産、の順で、これら個々の項目の良し悪しは、反応方向との一致率が高くない、と捉えていました。
    今回の反応は、指標の結果と関係ない動きだと思われるため、この分析是非を論じることにも意味が余りません。

(6-2. シナリオ検証)

取引しなかったので、今回は集計しません。
以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

米国実態指標「小売売上高」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月14日21:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月14日21:30
に米国実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時に、物価指標「CPI」も発表され、こちらも注目度の高い重要な指標です。がしかし、これまでの傾向を見る限りでは、反応への影響は、小売売上高の影響がやや勝っています。

1706米国小売110.png

本指標の過去傾向は、

  • 反応が比較的大きい経済指標のひとつで、
  • 反応方向は素直な傾向があり、
  • 追撃徹底が可能となること多い数少ない指標です。

定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。

1706米国小売120.png

1706米国小売130.png

1706米国小売140.png

1706米国小売150.png

本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。

  • 同時発表されるCPIも注目度が高く重要な指標です。がしかし、過去に小売売上高とCPIの発表が同時に行われたときは、両指標の結果の良し悪しが一致しがちです。結果の良し悪しが食い違ったときは、小売売上高の影響がやや勝るようです。

  • 反応は比較的大きく、指標結果の良し悪しに素直で、追撃徹底に適した数少ない指標です。
    追撃徹底に適していることは、次の過去傾向に裏付けられています。
    本指標の直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、方向一致時に直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各100%・75%です。また、直後1分足終値がついた時点で、それからも反応が伸びたことが62%となっています。
    つまり、本指標は発表から暫く経っても反応が伸び続けることが多いのです。

  • 反応方向の偏りは、直前1分足が陰線率92%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
    そして、前述の直後1分足と直後11分足の方向一致率83%を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。

  • 事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率が各82%・71%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応しています。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。但し、過去平均の跳幅は5pipsしかないので、含益が出たらさっさと利確しましょう。
    (2) 初期反応の方向を確認したら、追撃は比較的長く行っても複数回行っても良いと思われます。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

米国個人消費はGDPの約70%を占めています。米国は世界一の消費大国であり、その米国の景気の良否を把握する上で小売売上高やCPIは重要視されています。

小売売上高は、米国商務省経済分析局(BEA)が、小売・サービス業等約5,000社の月間の売上高を集計して毎月第2週に前月分を発表します。
耐久財と非耐久財とに大別され、特に自動車販売・同部品の比重が大きいという特徴があります。そのため、個人消費の動向を確認する上で自動車販売を除いた指標値も同時発表されます。項目別では、自動車や電気製品、建設資材、ガソリンスタンド、総合小売店などの前月比と実額を発表します。
結果は、米国商務省経済分析局(BEA)によるGDP概算の資料や、米労働省労働統計局による生産者物価指数(PPI)のデータにも利用されています。

項目毎の反応への影響は次の通りです。

1706米国小売230.png

次に、今回は本指標とCPIが同時発表されます。
2015年以降、こうしたことは6回ありました。この6回の実態差異と反応の大きさを下表に示します。実態差異の項が青く塗られているのは反応方向が素直、黄色に塗られているのは反応方向が逆、です。

1706米国小売240.png

やや、小売売上高の方がCPIよりも反応方向への影響が強いように見受けられます。


【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。

1706米国小売210.png

1706米国小売220.png

上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

直前1分足は陰線が目立ちます。
前回発表時の直後1分足跳幅は、2015年以降で最大でした。

1706米国小売310.png

1706米国小売320.png

1706米国小売330.png

1706米国小売340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1706米国小売410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各100%・75%です。また、直後1分足終値がついた時点で、それからも反応が伸びたことが62%となっています。
つまり、本指標は追撃に適しており、発表から暫く経っても反応が伸び続けることが多いのです。数少ない、追撃徹底に適した指標と言っても良いでしょう。

反応一致性分析の結果を下図に示します。

1706米国小売420.png

直前1分足は陰線率が92%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。

指標一致性分析の結果を下図に示します。

1706米国小売430.png

事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率が各82%・71%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応しています。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月14日21:30発表

以下は2017年7月14日22:05頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1706米国小売510.png

結果は、同時発表されたCPIも含め、全般的に市場予想を下回りました。反応も素直に陰線側に大きく振れました。

小売売上高は、前月比・コア(除自動車)前月比ともにマイナス幅が前月より僅かに改善したものの、ともに大きく市場予想を下回り、マイナスでした。市場ではプラス転換を予想していたので、大きな反応となった原因のひとつと思われます。これで6月個人消費も下振れの可能性が出てきました。

CPIは、前月比が先月のマイナスから0に、コア前月比が先月同値です。ただ、いずれも僅かに市場予想を下回っていました。僅かに市場予想を下回る結果となったことはさておき、この結果はFRBの「1-3月期GDPの悪さは一時的」との見解に疑問を生じる内容です。それが、大きな陰線側への反応の原因と思われます。

2015年以降、小売売上高やCPI発表時に直後1分足が50pipsを超えたことは初めてです。
物価指標は、FRB政策の基となる現状認識に反して、物価が利上げを必要としないレベルに留まり、それどころか引締政策が景気を腰折れさせかねない恐れが出てきたのです。
実態指標は、FRBが一時的下振れとの従来認識に反し、4-6月期も経済成長が期待できない可能性が高まりました。
利上げ延期の可能性と成長鈍化の可能性が同時に起きて、その結果、2015年以降最大の50pips超の陰線になった、と解釈できます。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1706米国小売520.png

追撃徹底は112.4付近で終えましたが、その後を見ると112.3付近まで反応を伸ばしたようです。これは結果論ですが。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

ほぼ、事前調査分析内容通りとなりました。

  • もし小売売上高結果とCPI結果が食い違うときは、小売売上高の結果が反応に影響する可能性がやや強い、という分析でした。
    今回はいずれも市場予想より低い結果のため、この件は検証できません。
  • 反応は比較的大きく、指標結果の良し悪しに素直で、追撃徹底に適した数少ない指標、というのが分析結論でした。
    問題ありません。
  • 直前1分足は今回も陰線となり、直後1分足と直後11分足の方向は一致しました。直後1分足・直後11分足は、事後差異に素直に反応しました。
    問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1706米国小売530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

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