2020年05月19日
少年版江戸川乱歩選集
私の通っていた田舎の小学校の図書館に、さりげなく置かれていたのが、この「少年版江戸川乱歩選集」(講談社)です。
「少年版」とはなってますが、見ての通り、子供には見せられないようなイラストのおぞましさです。
小学生の頃の私は、この本が気になって、気になって、仕方ありませんでした。この怖さ満載のイラストに惹かれたと言うよりも、「蜘蛛男」「人間豹」などのタイトルが、いかにも改造人間や妖怪が出てきそうなストーリーに思えたからです。
でもって、小学生の中学年ぐらいの時、私は、ついに「蜘蛛男」を手に取ったのですが、実際に読んでみると、蜘蛛の怪物など出てこなかったので、ちょっと拍子抜けしたものでした。しかも、当時の私には、この小説は理解しきるのが難しかったようで、話の中盤から、内容がよく分からなくなってしまいました。
続けて借りた「一寸法師」は、最後まで読み切ったものの、読み終わるまで、かなり時間がかかったと記憶しています。「人間豹」は、本当に豹の怪人が出てくる物語で、一番読みやすかったですが、それでも、けっこう飛ばし読みしてしまったような気もします。
残りの三冊は、小学生の高学年になってから借りてみました。その頃には、私もだいぶ成長してましたので、素直に、推理小説として、これらの本を楽しく読破させていただいたのを覚えています。
ただ、当時の私がまず最初に驚いた事と言うのが、実は、これらの小説のいくつかには、明智小五郎が登場していた点でして、作家・江戸川乱歩の事をよく分かっていなかった当時の私は、名探偵・明智小五郎とは、少年探偵団シリーズだけに出てくるキャラだと思っていたのであります。
そして、もっともメジャーなポプラ社版の少年探偵団のシリーズ本も、もちろん、うちの小学校の図書館には置かれていました。
実を言いますと、私が小学生の頃は、「少年探偵団」の新作ドラマ(1975年)がテレビで放送された事もあり、少年探偵団がちょっとしたブームになっていました。私の学友たちは、競って、このポプラ社版の少年探偵団シリーズを借りまくっていたのですが、私は、何となく、その競争には混じりませんでした。
その為、なんと、私は、少年探偵団のシリーズのほぼ全作の敵役が怪人20面相だった事を、長い事、知らなかったのであります。私が、ようやく、少年探偵団シリーズの面白さに目覚めたのは、大人になってからでして、講談社の江戸川乱歩推理文庫(1987〜1989年)にて、はじめて、少年探偵団の全エピソードを一気読みするのです。
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