2016年02月28日
小説「大きなガブ」
ある日、おじいさんが畑にカブの種をまきました。
何日かたってから畑に行ってみると、そこには大きなガブが埋まっていました。
「よし。今日は、このカブを引き抜こう」
と、おじいさんは大きなガブの葉っぱを両手で握りました。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、おじいさん一人の力では、相手が大きすぎて、どうしても引き抜く事ができませんでした。
そこへ、おばあさんが通りかかりました。
「おばあさん、いいところに来てくれた。引き抜くのを一緒に手伝ってくれないか」
おじいさんはおばあさんに言いました。
そして、今度は、おじいさんの後ろからおばあさんが引っぱって、試してみました。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、二人掛かりでも、やっぱり引き抜く事はできませんでした。
そこへ、今度は孫娘が通りかかりました。おじいさんとおばあさんは、孫娘にも手伝ってもらう事にしました。
おばあさんの後ろから孫娘が引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、三人でも、まだ引き抜く事はできませんでした。
今度は犬がそばを通りかかりましたので、犬にも手伝ってもらう事になりました。
孫娘の後ろから犬が引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、三人と一匹でも、まだ引き抜く事はできませんでした。
今度は猫が現れました。猫にも手伝ってもらう事になりました。
犬の後ろから猫が引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、三人と二匹でも、まだ引き抜く事はできませんでした。
今度はネズミが現れました。ネズミにも手伝ってもらう事になります。
猫の後ろからネズミが引っぱりました。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、三人と三匹でも、やっぱり引き抜く事ができません。
次は、ウサギがそばを通りかかりました。ウサギにも手伝ってもらいました。
ネズミの後ろからウサギが引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
三人と四匹でも、引き抜く事はできませんでした。
その次に現れたのはタヌキです。タヌキにも手伝ってもらいました。
ウサギの後ろからタヌキが引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
三人と五匹でも、まだ引き抜く事はできませんでした。
今度はサルが現れます。サルにも手伝ってもらう事になりました。
タヌキの後ろからサルが引っぱりました。
うんとこしょ、どっこいしょ
三人と六匹でも、まだびくとも動きません。
近所の川に住む河童がやって来たので、河童にも手伝ってもらう事になりました。
サルの後ろから河童が引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
三人と七匹になって、ちょっとだけ動いたような感じがしました。これなら、引き抜けるのも、きっともう一息です。
そこへ、大男の鬼が現れました。ここは、もちろん鬼にも手伝ってもらうしかありません。
河童の後ろから鬼にも引っぱってもらう事になりました。
うんとこしょ、どっこいしょ
力持ちの鬼が加わった事で、ついに相手はグラグラと揺れ始めました。引き抜けるのも、もはや目前です。
そこへ、いじわるな隣のおじいさんが通りかかりました。
隣のおじいさんは、三人と八匹がやっている事を見て、びっくりしました。
「お前たち、何やっているんだ。それはカブじゃない。ガブだぞ。そんなものを引き抜いたら、地面の底が抜けてしまうぞ!」
そうです。実は、昨日の真夜中に、いじわるな隣のおじいさんは、この畑にやって来て、本物のカブを引き抜いて、盗んでしまっていたのです。カブの抜け跡に、地中からガブが顔を出していたのでした。
しかし、もう手遅れでした。
うんとこしょ、どっこいしょ
隣のおじいさんが怒鳴った時には、三人と八匹はすでにガブを引っぱっていました。
そして、とうとうガブは引き抜けてしまったのです。
途端に、地面は大きく裂けて、地球は真っ二つになってしまいました。
了
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何日かたってから畑に行ってみると、そこには大きなガブが埋まっていました。
「よし。今日は、このカブを引き抜こう」
と、おじいさんは大きなガブの葉っぱを両手で握りました。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、おじいさん一人の力では、相手が大きすぎて、どうしても引き抜く事ができませんでした。
そこへ、おばあさんが通りかかりました。
「おばあさん、いいところに来てくれた。引き抜くのを一緒に手伝ってくれないか」
おじいさんはおばあさんに言いました。
そして、今度は、おじいさんの後ろからおばあさんが引っぱって、試してみました。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、二人掛かりでも、やっぱり引き抜く事はできませんでした。
そこへ、今度は孫娘が通りかかりました。おじいさんとおばあさんは、孫娘にも手伝ってもらう事にしました。
おばあさんの後ろから孫娘が引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、三人でも、まだ引き抜く事はできませんでした。
今度は犬がそばを通りかかりましたので、犬にも手伝ってもらう事になりました。
孫娘の後ろから犬が引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、三人と一匹でも、まだ引き抜く事はできませんでした。
今度は猫が現れました。猫にも手伝ってもらう事になりました。
犬の後ろから猫が引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、三人と二匹でも、まだ引き抜く事はできませんでした。
今度はネズミが現れました。ネズミにも手伝ってもらう事になります。
猫の後ろからネズミが引っぱりました。
うんとこしょ、どっこいしょ
しかし、三人と三匹でも、やっぱり引き抜く事ができません。
次は、ウサギがそばを通りかかりました。ウサギにも手伝ってもらいました。
ネズミの後ろからウサギが引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
三人と四匹でも、引き抜く事はできませんでした。
その次に現れたのはタヌキです。タヌキにも手伝ってもらいました。
ウサギの後ろからタヌキが引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
三人と五匹でも、まだ引き抜く事はできませんでした。
今度はサルが現れます。サルにも手伝ってもらう事になりました。
タヌキの後ろからサルが引っぱりました。
うんとこしょ、どっこいしょ
三人と六匹でも、まだびくとも動きません。
近所の川に住む河童がやって来たので、河童にも手伝ってもらう事になりました。
サルの後ろから河童が引っぱります。
うんとこしょ、どっこいしょ
三人と七匹になって、ちょっとだけ動いたような感じがしました。これなら、引き抜けるのも、きっともう一息です。
そこへ、大男の鬼が現れました。ここは、もちろん鬼にも手伝ってもらうしかありません。
河童の後ろから鬼にも引っぱってもらう事になりました。
うんとこしょ、どっこいしょ
力持ちの鬼が加わった事で、ついに相手はグラグラと揺れ始めました。引き抜けるのも、もはや目前です。
そこへ、いじわるな隣のおじいさんが通りかかりました。
隣のおじいさんは、三人と八匹がやっている事を見て、びっくりしました。
「お前たち、何やっているんだ。それはカブじゃない。ガブだぞ。そんなものを引き抜いたら、地面の底が抜けてしまうぞ!」
そうです。実は、昨日の真夜中に、いじわるな隣のおじいさんは、この畑にやって来て、本物のカブを引き抜いて、盗んでしまっていたのです。カブの抜け跡に、地中からガブが顔を出していたのでした。
しかし、もう手遅れでした。
うんとこしょ、どっこいしょ
隣のおじいさんが怒鳴った時には、三人と八匹はすでにガブを引っぱっていました。
そして、とうとうガブは引き抜けてしまったのです。
途端に、地面は大きく裂けて、地球は真っ二つになってしまいました。
了
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タグ:大きなカブ
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