大図鑑に載ってないクワガタたち（主に）

ムナコブクワガタ と その近縁とされるヒメキンイロクワガタ についてです。

Lampriminae亜科に分類される種類で、オーストラリアに分布しています。
一部の種類はニュージーランドに移入されてしまってます。

ちなみにムナコブクワガタの属名は「Rysonnotus」が正しいスペルになります。
Ryssonotus W.S. MacLeay, 1819:98
=Rhyssonotus Burmeister,1847:335
type: Lucanus nebulosus Kirby, 1818

1:E.floralis　記載文の絵　Lea,1914より
2：E.floralis
3：E.subvittata　Paratype　Websiteより
4：R.foveolatus　記載文の絵　Thunberg,1806より
5：R.nebulosus　記載文の絵　Kirby,1818より

Eucarteria floralis Lea,1914:252-253, pl.16 figs.4-5
[Type Locality] New South Wales:Dorrigo

小型種で、ねじれたような大顎が特徴的。
最大サイズになると大顎が結構伸びてきますが、
そのような個体は少ないようです。


Eucarteria subvittata Moore,1994:1-6,Figs.1,3,5-6
[Type Locality] NEW SOUTH WALES: Dilgry River, Barrington Tops State Forest

E.floralisよりさらに小型の種類で、
複眼縁は張り出さず、大顎が伸びないので区別は容易。
旧大図鑑では不明種として図示されています。



Ryssonotus foveolatus (Thunberg,1806):166-167,fig.5 [Lucanus foveolatus]
[Type Locality] -
[sny] Lucanus nebulosus Kirby,1818:410-412,fig.12 [Auatralasia].

Ryssonotus属の基準種。
R.foveolatusは♀のみで記載され、前胸の絵が図示されています。
本種は前胸の形状が他のRyssonotus属と全く違う形状をしているので、
R.nebulosusと本種は同種だとわかります。



1：R.costatus 記載文の絵　Carter,1929より
2：R.costatus　Fujita,2010より
3：R.grandis　記載文の絵　Lea,1915より
4：R.grandis

5：R.politus 記載文の絵　Carter,1921より
6：R.politus Fujita,2008より
7：R.sp. Fujita,2010より

Ryssonotus costatus (Carter,1929):65-66, fig.1 [Rhyssonotus costatus]
[Type Locality] New South Wales:E.Dorrigo

R.foveolatus以外は似たような種類が多いですが、
本種は前胸後方が大きく湾曲してえぐれるのが特徴です。
その他の種類は本種を基準に考察していきます。


Ryssonotus grandis (Lea,1915):650-651,figs.2-4 [Rhyssonotus grandis]
[Type Locality] New South Wales:Comboyne

R.costatusによく似ていますが、
前胸前方は幅広、ケイ節は太い、上翅の筋はより隆起する、など違いが見られます。
歯型もやや異なります。


Ryssonotus politus (Carter,1921):301-302,figs.1-2 [Rhyssonotus politus]
[Type Locality] New South Wales:Mount Royal or Barrington Tablelands

R.costatusに似るが、頭部は大きく、前胸は縦長で後方の湾入も弱い。
記載文の絵は湾入部手前で外側に張り出すが、
そのような個体とそうでない個体が見られます。
上翅に隆起する筋は見られない。


Ryssonotus sp.[Distribution] N.S.W.,Ebor

R.costatusに似るが、顎はやや短く、前胸後方の湾入は弱い。
上翅に隆起する筋は見られない。



1：R.juglaris　記載文の絵　Westwood,1863より
2：R.juglaris　Fujita,2010より
3：R.parallelus　記載文の絵　Deyrolle,1881より
4：R.parallelus Nishiyama,2000より

Ryssonotus jugularis (Westwood,1863):429-430, fig.1 [Rhyssonotus jugularis]
[Type Locality] Melbourne in Australia

R.costatusと比較すると、複眼縁上部が張り出さない、
前胸後方の湾入は弱い、上翅に隆起する筋が見られない、などで区別できる。


Ryssonotus parallelus (Deyrolle,1881):238,fig.2 [Rhyssonotus parallelus]
[Type Locality] Australie

Ryssonotus属で1番入手が難しいかもしれません。
他の種類のほとんどがN.S.W〜Q.L.に分布していますが、
本種はビクトリア州に分布しています。
R.jugularisによく似ていますが、
複眼縁の張り出しは弱く、前胸後方の湾入は弱い。
ケイ節は明らかに太いなど違いが見られます。



1：R.laticeps　Fujita,2008より
2：R.sp. Fujita,2010より

Ryssonotus laticeps (W.J.MacLeay,1885):201-202 [Rhyssonotus laticeps]
[Type Locality] New Holland

複眼縁が大きく張り出すので他種との区別は容易。
前胸は縦長。

Ryssonotus sp.[Distribution] N.S.W.

2004年頃に 「R.kazyafskyi」 という種名がついて出回っていました。
その当時調べたらReid氏が記載したらしいという事が書かれてましたが、
該当する文献が見当たらず 未記載と思われます。
R.laticepsに近縁と思われますが、
顎は湾曲せず内歯は連続する、複眼縁は張り出さない、
前胸後方の湾入は大きい、上翅の筋はより隆起する、など違いが見られる。