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2008年12月29日
『闇の狭間の淫略〜淫水魔月海』 Part1
ワーイッ♪ヘ(^ω^ヘ)(ノ^ω^)ノワーイッ♪ いなづまこと様の第3作目です。
いなづまこと様、本当にありがとうございます!
それではどうぞ♪

注意! この文章には官能的表現が含まれております。
(ご覧になる方は、自己判断でお願いします。)



『闇の狭間の淫略〜淫水魔月海』

いなづまこと様作


「全く…、最強のセキレイたる吾が何故まっ昼間っからこのような真似を……」
まだ太陽が中天にある午後三時過ぎ、月海(つきうみ)は両手にぱんぱんに膨らんだ買い物かごをぶら下げて、ぶつぶつと文句を言いながら出雲荘へ続く道を歩いていた。

彼女は今新東帝都内で行われている『鶺鴒計画』という不条理なゲームの中心にいる108羽のセキレイの内の一羽だ。鶺鴒計画とは、その108羽のセキレイが互いに戦いを繰り広げ、最終的に一羽のセキレイが残るまで続けるということ以外、全容が知られていないものである。
そして、月海は多種多様な能力を持つセキレイの中で飛びぬけた力を持つセキレイの一羽だった。
No.09というシングルナンバーを持つ月海は、セキレイの持つ真の力に目覚めてなかった時でも並のセキレイなら容易く返り討ちに出来るほどの戦闘能力を発揮でき、真の力に目覚めた今は止められるセキレイのほうを探すことが困難なほどの力を身につけていた。

ただ、この『真の力』に目覚めるというのが少々厄介なもので……
セキレイには、必ず『葦牙(あしかび)』と呼ばれる自身と感応する力を持つ人間の『つがい』が存在し、葦牙を見つけつがいになることでセキレイは自身の持つ真の力に目覚めることが出来るのである。
月海はこの葦牙の存在を異様に嫌っていた。自分よりはるかに力の劣る人間と組むなど真っ平御免だったし、葦牙とつがいになることで自身が穢されるものという思いが月海にはあった。
だから、もし自分と感応する葦牙が現れたら契りを結ぶ前に抹殺してやると心に誓っていたのだ。
しかし、その決意は実際に目の前に現れた葦牙を見て霧消してしまう。
彼女の目の前に現れた葦牙、佐橋皆人(さはしみなと)の優しさに触れた月海の心からは、それまで凝り固まっていた葦牙への嫌悪感は容易く溶け落ち、目の前の冴えない男への抑えようのない熱い想いで満たされていった。
そしてそのまま月海は皆人を受け入れ、彼のつがいのセキレイとして『羽化』することになった。
まあ、この光景は現在の新東帝都ではよく見られる光景であった。なにしろ108羽もセキレイはいるのだ。100通り以上の出会いがあるのである。
ただ、皆人は普通の葦牙ではなかった。
皆人の下にはすでに自らの手で羽化させたセキレイがいたのだ。それも三羽も。
No.88『結(むすび)』、No.108『草野(くさの)』、そしてNo.02『松(まつ)』。
皆人は複数のセキレイを羽化させることのできる特殊な葦牙だったのだ。
これが月海には面白くない。自らが命を賭け、守るべきたった一人の葦牙。今まで散々嫌っていた葦牙に対する嫌悪が消え、自らが伴侶となるに相応しい葦牙と一つになったと思いきや、その葦牙には自分と想いを同じくするセキレイが三羽もついていたのだ。
その中でも、結は最初に皆人の手で羽化されたからかやたらと皆人にくっついているように月海には見えていた。
自分こそ皆人のたった一人の『妻』であり、他のセキレイなど妾、二号、その他大勢と考えている月海としては、結にだけは負ける訳にはいかなかった。
それからというもの掃除にお買い物に、結と月海はなにかにつけ互いに張り合い皆人争奪戦を繰り返していた。早く終わったものが皆人の横で食事を受ける権利をえるという出雲荘管理人・美哉の策略(笑)に踊らされているだけという見かたもあるのだが。

だが、今日は月海一人だけが買い物に駆り出されていた。なんでも結が所要で出かけており月海しか手が開いていないそうなのだ。
面倒くさいと渋る月海だったが、食事の優先権を与えるという美哉の甘言にあっさりと陥落し、こうして暑い昼下がりに重い荷物を持って歩いているのであった。
「…まあ、夕餉に皆人の横で共に食事を出来ると思えばこんな苦労も厭いはせぬがな…」
想い人の横で食事を取る…。ほんの少しの前までは想像もしなかった出来事がこれほどにも喜ばしいこととは月海は予想もしなかった。
丸くなった、とは思いたくない。自分は『人を想う』という心を知り、より強い存在へと昇華できたのだ。誰かを想い、守るためにこの力を振るう。ただ己のためだけに振るってきた時よりなんと重く、芯が通ったことだろうか。
「ミナト…、吾は汝と共に必ず最後まで勝ち抜き、汝を嵩天へと導いてくれようぞ……」
両手を買い物かごで塞がれていたので、月海は心の中でガッツポーズをとりながら秘めたる決意を新たにしていた。
「でも、とりあえずは今宵の夕餉だな。すまぬな結、今日は吾の不戦勝だ」
結が羨ましそうに見つめる中、見せ付けるようにベタベタしてやろう。
月海は晴れ晴れとした気分で、家路を進んでいった。

2008年12月29日
『闇の狭間の淫略〜淫水魔月海』 Part2
「?なんだ、これは…」
出雲荘にたどり着いた時、月海は妙な寒気に襲われた。
別に風邪をひいたとかそういう類ではない。出雲荘の中から漂ってくる空気が妙に寒々しいのだ。
まるで異界と繋がっているような、そんな非現実的な考えすら浮かんできてしまう。
「なにか…、あったのか?」
もしかしたら、他のセキレイが出雲荘の中に侵入し待ち構えているのかもしれない。
月海はあたりを警戒しながら、出雲荘の玄関のドアまで歩み寄った。
「………」
このドアを開けたら、中から奇襲攻撃…。充分にありうる。
月海がそっとドアノブに手をかけた時

「あら月海さん、おかえりなさいませ」

月海の背後から唐突に声が聞こえてきた。
「どわあああぁぁっ!!」
緊張の只中にいた月海は、思わず情けない悲鳴をあげながら慌てて後ろを振り返った。
そこには、出雲荘の管理人であり月海を買い物に生かせた張本人の美哉が箒を持ったまま立っていた。
「お、大家殿!驚愕させないでいただきたい!!心臓に悪いではないか!!」
「あらあら、私そんなつもりは全然無かったのですけど……」
悲鳴を上げた恥ずかしさと背後の美哉に全く気づかなかった情けなさで顔を真っ赤にしている月海に、美哉は口元を手で隠しながらきょとんとしていた。
「まあ…、考えてみれば大家殿がいる限り出雲荘にセキレイが侵入できるはずもないか…少し勘が鈍ったのやもしれぬな…」
この美哉、一見おっとりしていてひ弱そうに見えるが、実は月海ですら敵わないほどの戦闘能力を持っている恐怖の管理人さんなのだ。そんな彼女がいる限り、出雲荘へ不法侵入できるセキレイなどいるべくもないし、なにかがおこるはずもない。
「いやすまなかった大家殿。吾が少し思い違いをしていたようだ。
あ、これは頼まれた買い物だ。台所のほうへ置いておくのでな…」
「うふふ、月海さんご苦労様でした。それでは約束どおり、お夕食の時に佐橋さんと食べる権利は月海さんのものにいたしますね」
「うむ!それがあるからこそ吾も買い物に行く意義があったというものだ!!」
美哉から確約を得て、月海は意気揚揚と台所のほうへと消えていった。
それを見ながら、美哉は口を袖で隠しながらクスリと微笑んだ。
「ふふ…。夕食まで待つこともありませんけどね。
すぐに与えて差し上げますわ。月海さんにも『佐橋さんを食べる権利』をね……」
袖の上に見える瞳は、いつも優しげな美哉とは思えない邪な光を放っていた。


月海が台所へと向う道の途中、ふと眼に入ったものがあった。
風呂場の電気がついていたのだ。
「誰だこんな昼間から…。人が暑い中買い物をしてきたというのに……」
出雲荘には各部屋に風呂はついておらず一階の風呂場を全員が使っている。基本的に湯を沸かすのは管理人の美哉なのだが、許可を得れば誰でも好きな時に沸かしてはいることが出来る。
だから別に昼間でも入っていて構わないのだが、自分が汗をかきながら仕事をしてきた一方で誰かが優雅に湯船に浸かっていたと考えるのは決して気持ちのいいものではない。
ぶつくさ言いながら月海は荷物を台所へ置き、自室がある二階の階段へと急いで上っていった。
家を出るとき、美哉から歩いて帰ってくればその頃には皆人も戻ってきているだろうと聞かされていたので、月海は部屋にいる皆人に今すぐにでも会いたかったのだ。

「つーちゃん、おかえりなさい…」
「あ、おかえりです月海たん」

だが月海がドアを開けると、部屋の中には同居している草野と松しかいなかった。
「…なんだ、ミナトはまだ戻っていないのか……」
当てが外れ、月海はがっくりと肩を落とした。これでは急いで上がってきた意味もない。
「あれ、見てなかったですか?みなたんはもう帰ってきてますよ」
「なんじゃと?しかし、外にはいなかったようだが……」
「何言ってるですか。みなたんは今お風呂に入ってるのですよ」
そう言いながら、松はニンマリと微笑んだ。
「風呂?!ミナトは風呂に入っているというか!」
風呂という単語に月海はビコン!と反応した。このところ皆人は月海たちが一緒に入ろうと誘えばいつの間にやら姿をくらまし、自分が風呂に入るときは風呂場の鍵をかけてしまうので、月海は一緒に風呂に入れないことをずっと不満に想っていたのだ。
「よし…!今日という今日はミナトと共に湯船へと浸かってくれるわ!覚悟いたせ!!」
こんな昼間から皆人が風呂に入るのはかなり珍しいことだが、月海や結の裏をかいたと考えればまあ納得がいくことであろう。
「ふっふっふ…そうはいかんぞミナトめ。汝の背中、吾がゆっくりたっぷりと洗いぬいてやろうぞ…」
凄みを利かせた笑顔を浮かべ、両手をわきわきとさせるその姿はどう贔屓目に見ても獲物を前にして狩りの期待に心躍らせる肉食獣のそれだ。
「わぁみなたんの命は今まさに風前の灯ですね〜〜。でも、お風呂場の鍵がかかっていたらどうす
るんですかぁ?」
「決まっておろう!結がいないこの機会を見逃せるものではない!!
有無を言わさず破壊して、無理やりにでも押し入るまで!」
確かに、結が出かけている以上これは皆人を独占するまたとない機会だ。まあ厳密に言えばここにいる松も草野もライバルと言えるのだが、皆人が風呂に入っているのを知っているのにここに留まっているならば、とりあえず員数外といえるだろう。
「で、無理やり押し入ってそのままコマしちゃうですか?確かに既成事実を作ることが出来れば、結たんとのみなたん争奪戦では圧倒的優位に立ちますからねぇ〜〜〜」
「な、なぁ?!」
松がニヤケ笑いを浮かべながら放ったあまりにも下に走りすぎた表現に、月海の顔は一気にボッと赤く染まった。
「バ、バ、バ!馬鹿者!!そ、そんな下衆な物言いをするでない!
わ、わ、吾とミナトがそ、そそそのようななことをぉ……」
普段それなりに破廉恥な服装をしている割には、月海はそっちの話題にあまり耐性がない。松の言葉で皆人との『そのようなこと』が脳裏に浮かんできているのか、月海の顔のあちこちから蒸気が噴き出てきているように見える。
「と、とにかく!吾は今から風呂に入る!松!草野!決して後を追うでないぞ!!」
まだ顔から蒸気を蒸気を噴出したまま、月海は押入れから洗面用具一式を取り出すとそそくさと部屋を後にしていった。
「はいは〜い、いってらっしゃい月海たん〜〜〜」
後ろで松が手をひらひらさせて見送っていたが、それに月海が気づくことはなかった。
「あ〜あ、行ってしまいましたね月海たん。どうなりますかね〜、ねえ草野たん」
松はくすくすと笑いながら部屋の隅でじっとしている草野に話し掛けた。
「うん…。つーちゃんも、きっととっても……きもちよくなると…思うの」
松に微笑み返した草野の顔には、子供には絶対に作れない淫蕩な笑みが張り付いていた。

2008年12月29日
『闇の狭間の淫略〜淫水魔月海』 Part3
月海は電気が灯る風呂場の前に立っていた。
(う……、ど、どうしてこうも胸が高鳴るのじゃ……)
先ほどの松の猥語のイメージが残っているからだろうか、どうも変な緊張感が体を縛っている。
「ま、まあまずはこの戸をぶち開けて……」
どうせ鍵がかかっているとみた月海は、引き戸の取っ手を力いっぱい握り締め、鍵を引きちぎりながらこじ開けようと試みて

ガラガラガラッ!!

「どぅわ!」
あっさり開いた戸に引っ張られ、思い切りずっこけた。
皆人がかけ忘れたのかどうかは知らないが、風呂場の鍵はかかってはいなかった。
「な、なんじゃ…鍵は、かかっていなかったのか……」
周りに誰もいなかったことで無様な姿を見られなかったことに月海はまずはほっとし、その次には顔を少しだけ緩ませた。
「これはつまり……、ミナトは吾と共に風呂に入ることを承認したと、言うことじゃな!」
少しばかり都合がよすぎる解釈だが、月海は自信満々にそう確信した。
そうと決まったら善は急げ。月海はぽんぽんと着ているものを脱いで腰にバスタオルを巻くと、風呂場へ続くガラス扉のほうへと進んだ。
湯煙で曇ったガラス扉からは中は見えないが、サッシの隙間からは風呂場から甘い不思議な香りが漂ってきている。
「なんだこれは…?大家殿が入浴剤でも使ったのか?」
今まで出雲荘の風呂で入浴剤が使われたことはない。が、自分が来る前のことは知らないのでそんな日もあるのだろうと月海は考えた。
「まあそんなことは構わぬ。さ、ミナト。吾が汝の背中を流してやるぞ。光栄に思うがい…」
いざ進まんと月海がサッシに手を掛けると…

ガチャガチャ…

そこには鍵がかかっていた。
「な?!」
ここまで来て侵入拒否だと?!せっかくの好機だというのに!せっかく期待満面でいたというのに!
この行為に、さすがに月海の頭に血が上ってきた。
「ふざけるなミナト!汝はそこまで甲斐性なしなのか!観念して鍵を開けい!もはやそこからは逃げ
られぬのだぞ!!」
まるで立てこもり犯人に対する説得のような物言いで、月海はサッシをバンバンと叩いた。が、中から皆人の声は聞こえてこない。そのかわり……

「ン…、ンァッ!、そこ…そこいいです……」

風呂の壁に反響した、結の悩ましい声が返ってきた。
「なぬ?!」
結の声が聞こえ、月海は面食らった。確か結は外に出かけており、まだ出雲荘へは帰ってきていないはず。なのに、なぜ風呂場から結の声が聞こえるのだ?!
「結?!結なのか?!お主、いつの間に帰ってきていた……」

「ああんっ!皆人さん!そこ、そこ気持ちいいです〜〜〜〜!」

「な??!!」
次に聞こえてきた結の嬌声に、今度こそ月海は心底面食らった。
今の声から想像するに、風呂の中には皆人と結が一緒にいる。先ほど美哉と草野と松に会っているから、風呂の中には皆人と結しかいない。
そして、この二人はおそらく、情交に及んでいる………
「そ、そんなこと……二人で、睦み事を営む、だと……」
抜け駆けをしようと試みた月海だったが、逆に完全に結に抜け駆けをされた形になっていた。
「ゆ、ゆ、ゆ……」
月海の心にメラメラと嫉妬と羨望と怒りの炎が燃え広がってくる。
「許さんぞ結!!吾を出し抜いてミナトと繋がりを持とうとは言語道断!!
ミナト、汝も同罪じゃ!!浮気をした罪、七度死んでも許されぬと思えっ!!」
鍵が開かぬサッシに業を煮やした月海は、強行突破という暴挙に出た。
すなわち、脚で蹴破るということである。

バッシャァーン!

セキレイの持つ力で蹴られたサッシは到底耐えることは出来ず一瞬にして粉々になった。
そして、蹴破られたところから中に漂う湯気と甘い香気が月海のほうへザッと流れてきた。
「むぐっ!」
その香りの強さに一瞬月海は顔をしかめた。これはとても入浴剤といった類の香りではない。ここまで香りが強いと清涼感どころか胸焼けを起こしかねないからだ。
が、今の月海にそんなことは関係ない。ミナトと結に一発ブチかましてやらなければ気が済みそうにないからだ。
「こ、こらぁっ…!ミナト!結!!」
頭がくらくらしてきそうな芳香と湯気の中…、皆人と結は浴槽の手前でひとつになっていた。
「あん、あん!!皆人さん、凄いですぅ〜〜!!」
結のほうは腹ばいになって腰をあげ、挿されるごとにだらしなく顔を崩し快楽の叫びをあげており
「はあっ!はあっ、はぁっ!!」
皆人のほうはそんな結に血走った目を向けながら腰を掴み、獣のような声を上げながら抽送を繰り返していた。
ぱんっ、ぱんっと腰と腰がぶつかりあう音。その都度簀の子に飛び散る汗と淫水。尽きない嬌声…
「あ、あ、あ…」
月海の顔が真っ赤になると同時にわなわなと震えてくる。目の前で繰り広げられる情交に対し、腹立たしさとともに恥ずかしさも込み上げてきているのだ。
自分が皆人とこうなることを想像していなかったわけではない。こうしたことに関する知識も一応は頭にとどめておいたつもりだ。
しかし、いざ現実にこうして見せられるとその生々しさといやらしさは知識だけで持っていたものとは全く異なるリアルを月海の頭に叩き込んできた。
「………」
月海は暫くの間言葉を発することもそれまでめらめらと燃えていた怒りも忘れ、皆人と結の交わいをじっと眺めていた。それほど目の前に広がっていた光景は衝撃的なものだったのだ。
(な、なんだ……、あの二人を見ていたら、わ、吾も体が、熱く……)
湯気にのぼせたのか、二人の淫気にのぼせたのか、月海の体も次第に熱く火照り始めた。巻いているバスタオルが熱を篭らせ鬱陶しくなったのでぽいと投げ捨て、月海は潤んだ目を二人に向けたまま腰を落として腰下を弄り始めた。
「う…っ、あ、熱い……。こんな…吾が、こうも昂ぶるとは……」
月海は皆人と結のセックスをオカズにしながら、自らの股間を慰め続けていた。なぜか、風呂に入る前にあった二人への怒気は消え失せてしまっていた。
それからも月海は時折うわ言のように小声で呟きながらオナニーに没頭していた。
だから、結がふとした拍子に月海のほうを見たことで、初めて結は風呂場に月海が入ってきたことを知ったのだった。
「あ、あ…月海さぁん……。月海さんも入ってきたん、ですかぁ……」
「あ、ああ……」
月海はおもわずこく、と頷いてしまった。
「うふふ…、月海さぁん……。皆人さんと交わうの、とっても気持ちいいんですよぉ……
帰ってきて松さんたちから、皆人さんがあんっ!お、お風呂に入っているって聞かされて!お背中をお流ししようと入ったらんっ!なんか、とってもいやらしい気持ちになって…っ!
そのまま、皆人さんとっ!交わい続けて……、あんんっ!」
結は心底気持ちよさそうに顔を蕩かせ皆人の動きに身を任せている。それを見て、月海の心に別の欲求が芽生え始めていた。
(わ、私も……ミナトと交わいたい…!結ばかりミナトを独占して……)
皆人の肉棒を独占する結に対する羨望と嫉妬が入り混じった思い。その思いは、それまで淫に爛れていた月海の心に黒い炎を灯していた。
(独占して……独占?!ミナトを、結が独占している?!)
そして、偶然だがその思いが風呂場に入る前の怒りの感情を再び思い起こさせることになった。
「む……結!!貴様、吾になんの断りもなしにミナトと情交に及びおってぇ!!
事と次第によらなくても、ただで済むとは思うまいな!!」
それまで情欲に潤んでいた月海の眼は、今は怒りにより真っ赤に燃え上がっている。
「吾を謀ってまでして、そこまでミナトを独占したいのか、貴様は!!」
今にも結の首根っこを捻じ切りそうな殺気を向けている月海に対し、結はいまだにへらへらとだらしない笑みを浮かべながらとろんとしている。
「えぇ…?そんなこと、ありませんよぉ……。私、皆人さんを自分だけのものにしようなんて気は全然ないんですから……
皆人さんのおちんぽさんは、みんなのものじゃないですかぁ…
なんでしたら、月海さんも皆人さんに挿されてもらいましょうよぉ……
すっごく、すっごく気持ちいいですから……」
「なっ?!」
皆人に挿される。その言葉で月海はカァッと顔を赤く染めたがそれくらいでは怒りは収まらない。
「ざ、戯言抜かすな!ミナトをその手にしているから余裕を持ちおって!
やはり貴様などにミナトはやれぬ!ミナトは吾のものじゃ!!」
「だからぁ…、私は皆人さんを手に入れようなんて思っていません……
私は皆人さんより、もっともっとずっと大事な人がいるのですから………」
結の言動が次第におかしくなってきている。セキレイの結の葦牙である皆人をまるでいらないと言っているような言葉づかいは、どう考えてもありえない。
だが、頭に血が上った月海にはそれに気づくことはない。
「皆人さんは、とっても気持ちのいいハメ棒……。みんなを気持ちよくさせる淫隷人……」
「訳のわからぬことを抜かすでないわーっ!!」
月海がもう我慢できないとばかりに、結に向って渾身の拳骨を振るおうと振りかぶったその時
「あら、出雲荘で暴力沙汰は許しませんって言いましたわよね」
いつの間に風呂場に入ってきたのか、美哉が月海の腕をしっかと握り締めていた。
「な?!お、大家殿!!」
「ダメですよ月海さん。女の人がそう簡単に暴力をふるっては」
美哉は笑みを絶やさぬまま月海の手を掴み続けている。その膂力は凄く、月海が渾身の力をこめてもまるで外れはしない。
「で、では大家殿!あの二人はどうなのじゃ!
ふ、不順異性交遊は確か出雲荘では禁じられているのではなかったのか?!」
確かに以前、美哉はそんなことを言っていた気がする。それに照らし合わせれば今目の前で乳繰り合っている皆人と結は思い切りその条項に抵触しているはずだ。が、
「ええそうです。でも、あの皆人さんと結さんの行為は問題はないのです」
美哉は、なぜか二人の情交を容認してしまった。
「な、なぜじゃ!!あれはどう見てもダメであろう!な、大家殿!」
まさか否定されるとは思わなかった月海は焦りながら美哉に同意を求めたが、美哉は意にも介さない。
「ダメではありません。あれは不順異性交遊ではなく、神聖な儀式なのですから…」
「ぎ、儀式……じゃと……?!」
裸で抱き合い、肉欲を交し合うことの何が神聖な行為なのか、月海には訳がわからなかった。
「そう。体の中に魔因子を注ぎ込み、ダーククロスの忠実な下僕にするための大事な儀式…」
そう言い放った美哉の顔が、微笑みを貼り付けたままどんどん邪悪に染まってきている。
「だ、だーく、くろす……?」
「そうです。この世に顕現なさったすべての世界を統べるお方、ダークサタン様が率いる組織ダー
ククロス。みなさんはそのダーククロスの一員として選ばれる栄誉を手にしたのですよ」
「??」
要領を得ない美哉の言葉に、月海は頭を捻った。
「大家殿?大家殿は一体何を言いたいのじゃ?!」
「ふふ…。つまり、こういうことですよ」

2008年12月29日
『闇の狭間の淫略〜淫水魔月海』 Part4
ニィッと笑った美哉の肌の色が、見る見るうちに変化していく。あまり日に焼けておらず白みがかっていた肌は毒々しい紫色に変わり、来ていた和服をビリビリと裂いて背中から黒い翼が生えてきた。
瞳は暗い金色に輝き、月海の腕を掴む手には鋭い爪が伸びて月海の肌を少し傷つけた。
「大家殿?!」
あっという間に美哉は、人外の化物へと変貌してしまった。
「クク…、どうですか月海さん。先ほど、私の前にダーククロスからの御使いが御姿を表し、この私を淫怪人に生まれ変わらせていただいたのです。
そのとき、浅間美哉というものはこの世から消え失せ、淫鬼姫・美哉として新たな、そして素晴らしい命を得たのですよ。そして…」
淫鬼姫・美哉はそこで皆人をちらと一瞥し
「この体で、佐橋さんにこの世の天国を見せてあげ……、佐橋さんをとっても淫らな淫隷人に転生させてあげたのです。
今の佐橋さんは、女の体を求めてやまず手当たり次第に種を蒔くことしか考えられない射精機械。
どうですか?とっても可愛いと思いませんか…?」
「バカな……」
結の体をひたすら求め、がんがんに犯す皆人のどこが可愛いというのか。しかも、自分の意思ではなくそうするように仕向けられた状態で。
「大家殿……、大家殿がミナトをあんな状態に……。許せぬ!」
月海は激情の赴くまま、自由になっている左手で水気を集め始めた。
月海は水を操る力を持つセキレイだ。そして風呂場にはほぼ無尽蔵に水がある。
「あらあら?出雲荘で暴力沙汰はいけませんって言ってましたよね?」
「黙れ!大家殿、お覚悟を………?!」
今にも美哉に水気をぶつけようとした時、突然月海の体から力が抜け軽い眩暈を感じた月海は腕を掴まれたままかくんと膝をついてしまった。
「な、なんじゃ……。体から力が、ぬけ……アウッ!」
全身を倦怠感に包まれた月海の体の奥で、何かがドクンと弾ける音がした。鼓動が急速に高鳴り始め、頭の芯がボーッと霞むような感覚がしてくる。
「フフフ…、先ほど月海さんはお二人の性交を見て体が昂ぶっていましたよね?あれって、お二人の熱に当てられただけじゃないんですよ……」
そう言いながら美哉は、懐からピンク色の液体が入った小瓶を取り出してきた。
「これは私を淫怪人にしてくださったアティ様から戴いたもので、淫怪人の淫力を数百倍に濃縮して液状にしたものなのです。
これをお湯に数滴垂らすだけで、お湯や湯気に淫力がたっぷりと含まれて人間やセキレイをたちまちのうちに性の虜に変えてくれるんですよ。
これのおかげで、佐橋さんも結さんも月海さんもあっというまに体が火照って肉欲を求めるようになったのですよ」
つまり、昼間なのにお風呂が沸いていたこと自体、美哉が作り出したトラップだったのだ。
「ほらほら、もう体が疼いてたまらないのでしょう?遠慮せずに自慰をなさり、その後で佐橋さんに挿してもらいなさいな。
佐橋さんの精液には、ダーククロスの魔因子がたっぷりと含まれていて、射精されるだけでダーククロスの忠実な下僕になることが出来るんですよ。それに……」
美哉は腰が抜けたようになっている月海を置いて二人に近づき、結の体を掴むと無理やり皆人から抜き出した。
「あっ…、美哉様…。もっと、もっと皆人さんと交わらせてください…。皆人さんのおちんぽください…。私、もっと気持ちよくなりたいんですよぉ……」
「安心してください。佐橋さんのものよりもっといいものを差し上げますよ」
執拗に皆人を求める結に美哉はニィッと笑うと、結を仰向けに寝かすと皆人の精液がだらだらと零れ落ちる股間へ顔を近づけていった。
「フフフ……、むぐっ!」
結の股間をじっと見ていた美哉の息が突然詰まり、喉の奥からごぼごぼという音と共にズルズルッとピンクとも紫ともいえぬ色をした醜悪な触手が姿を表した。
「これは、私の体を通して顕現なさったダークサタン様の体の一部。これで、結さんの子宮にたっぷりと、魔精を注入して差し上げます」
ブチュウゥと奥から溢れる精液を押し出して、美哉の触手が結の中へと埋められていく。
「あっ!ああっ!!す、すごく気持ちいい!皆人さんのおちんぽより、もっと気持ちいい!!」
美哉の触手を悦んで受け入れる結の瞳からは、すでに光は失われていた。
「あぁ……、むすびぃ……」
官能で脳が惑乱する中、月海は結が後戻りの出来ない道を進んでいることを感じたとえようのない絶望感に囚われていた。
「月海さん、すでに魔因子に体が侵された結さんに、魔精を注入するとどうなるか……よく見ていてくださいね」
美哉の口と膣口の間から僅かに見える触手がビクビクと蠢き、次の瞬間結の股間から紫色の汚液がブシュッ!とあたり一面に噴き出てきた。

「くああぁ〜〜〜〜っ!!き、きもひいいですぅ〜〜〜〜!」

子宮に魔精の直撃を受けた結は、折れそうなくらい仰け反って嬌声を上げて達すると、繋がったまま仰向けに倒れこんでしまった。
「はぁぁぁ…、はぁぁ…。こ、これ最高です………ぐっ!」
そして、達した余韻に浸っていた結は突然それまで蕩けまくっていた顔を強張らせ苦しそうに胸を押さえつけた。
「な、なんですかこれ?!か、体が燃えちゃいそうですっ!!」
結はそのまま風呂場を転げまわり、時折体をがくがくと揺らしながら内から湧き上がる衝撃に体を翻弄されていた。だがそれも僅かの間。
苦しげにばたつかせる手足に、ぽつぽつと緑色の鱗が浮かんできている。それはどんどん広がっていってたちまちのうちに四肢を覆い尽くし、背中や胸へと伝播していく。
痛みに食いしばる歯は先がギリギリと尖り、肉を切り裂く肉食獣のものへと変化し、開ききった瞳孔は縦に収縮して爬虫類を連想させるものになっていく。
「が……ぐああぁっ!!」
まるで獣の雄叫びのような声を出す口からは、青色に染まり先が二股に割れた舌が長く伸びていく。

「も、もう私…、わたし!があぁ〜〜〜〜っ!!」

最後に、お尻からずるずるとワニのような尻尾が伸び、完全に人ならざるものに変化しきった結は一際大きな雄叫びを上げた。
「ふふふ…。魔因子に侵された生き物が魔精を受けると、このようにダーククロスの淫怪人に生まれ変わるの。どう?結さん。淫怪人に生まれ変わった気分は?」
「はあっ、はあっ、はあぁっ……。み、美哉様…、最高の気分ですよ…。
私はダーククロスの淫怪人、淫魔竜・結です……。人間を襲い堕落させ、ダーククロスの元に集わせるのが、私の使命……、ああんっ!」
結は人とも爬虫類ともとれる奇怪な体を誇示しながら立ち上がると、そのまま股間を抑えぐちぐちと弄り始めた。
「あらあら、淫怪人になったばかりなのにもう体が疼くのですか?ふふっ、とっても悦ばしいことですわ」
「だ、だって…、この体、気持ちよすぎでして……
あぁ…、したいです。犯りたいですぅ…。誰でも、いい……」
淫楽に霞む目であたりを見ていた結の眼に、ぺたりと腰をつけている月海が入ってきた。
「あぁ…。うふふ、月海さぁん……」
「む、むすびぃ…」
自分が結のターゲットにされた。そう感じた月海は恐怖でじりっと後じさった。
「や、やめるのじゃ結…。わ、吾はそのようなこと、断じて断る……」
「なんでですかぁ?月海さんも淫怪人の体を味わえばきっと考えが変わりますよ。
とぉっても、とぉっても気持ちいいんですから……ククク……」
顔を淫に染めた結は、じりっじりっと月海に迫って来る。その目はもう月海を性欲処理の対象にしか捉えていない。
「い、いやじゃ!吾はこんなこと嫌じゃーっ!」
腰がいまだいう事を利かない月海は、半ば四つん這いのまま風呂場の出口へと向っていった。
この風呂場に漂う淫力が月海を発情させて力を削いでいるならば、風呂の外に出れば体も元に戻るはず。そうすれば体勢を立て直せると踏んでの行動だったが、

ドォン!

もう少しで外に出られた月海の体は、何者かに思い切り小突かれ風呂場の中へと逆戻りしてしまった。
「うふふ、ダメですよ月海たん。せっかくの機会を不意にするなんて」
「つーちゃんも…きもちよく、なろ……」
呆然とする月海の前で風呂に入ってきたのは、まるで昆虫のような真っ赤に光る外骨格に包まれた姿をした松と、緑色に体が染まりところどころから蔦をはやしている草野だった。
「ま、松…、草野……。まさか、汝らも……?!」
「ええ。結たんが帰ってくる前に、私たちも先駆けて淫怪人にしてもらったんですよ。
私の名前は淫怪蟲・松。そして草野たんは淫妖花・草野。ダーククロスの淫怪人にして、ダークサタン様の忠実な下僕なのです」
つまり、月海が出雲荘に帰ってきた時点ですでに出雲荘の住人はすべてダーククロスの手に堕ちていたのだ。
「なんて、ことじゃ……。この吾ともあろうものがこんなことで…」
この時点で、月海は完全に逃走を諦めた。力が抜けて入らない中、5人もの相手に囲まれては僅かな望みさえ得られはしない。
「うふふ、そう悲観することもないのですよ。月海たんもダーククロスの魔因子を受け取れば、これがいかに素晴らしいものなのかがすぐにわかるのです」
茫然自失になる月海に、皆人がじりじりと近づいてくる。その目は淫欲にギラギラと輝き、股間の怒張は人のものとは思えないほど隆起している。
「はあーっ!はぁ−っ!!」
「や、やめろミナト…来るな……?!」
無意識に皆人との距離をとろうとした月海の四肢に、何かがしゅるしゅると巻いてきている。
見ると、薄笑いを浮かべた草野が体中の蔓を伸ばして月海の体を縛り上げてきているではないか。
「は、離せ草野!!」
「だめ…。つーちゃんもきもちよくなるの……」
草野の蔓が動き、月海の脚を無理やり大きく開かせた。その間に皆人が割って入り、手に持ったペニスを月海の膣口へあてがっている。
「やめろーっ!ミナト、やめるのじゃーっ!!」
屈辱と悲嘆から泣き叫ぶ月海に構わず、淫欲に支配された皆人はそのまま強引に月海の中に割って入っていった。
「い゛っ!くうぅ……」
それまでの前戯や淫力で月海のそこは濡れきっていたものの、初めて受け入れる男に体はやはり悲鳴をあげ、月海の体には激しい痛みが襲ってきていた。

2008年12月29日
『闇の狭間の淫略〜淫水魔月海』 Part5
「ふうっ!ふうっ!」
だが、そのまま皆人は抽送をはじめ、月海の膣は皆人の肉竿に擦られ血が滲み出てくる。
「や、やめよミナト…、い、いだい……。もっと、ゆっくり……ぃ!」
月海は弱弱しい声を上げて皆人に頼み込むが、皆人はもちろん聞く耳はもたない。
これは愛のあるセックスではない。月海の体にダーククロスの魔因子を注ぎ込む儀式なのだ。
「どうですか月海さん。皆人さんのおちんぽ、すっごく気持ちいいですよね?」
「私たちもみなたんから魔因子を貰って、ダーククロスの素晴らしさに目覚めたんですよ」
「くーも…すっごく、きもちよかったのぉ……」
三者三様の淫怪人がそれぞれ月海に言葉を投げかけてくる。その言葉と放たれる淫力は苦痛に歪む月海の心にどろどろと溶け込み、痛みを別なものに塗り替えていっている。
(こ、これが……きもちいいというのか……?!)
痛みでろくに見えない目に、自分に向けて腰を振っている皆人が入ってくる。どんな形であれ、どのような状況であれ、たとえ皆人が人間をやめていたとしても、現在皆人の体は月海が独占している。
(今…ミナトは吾しか見ていない……)
そんな、酷く狂った優越感が月海の心にじわじわと染み出してきている。あるいは、他の三人も皆人と体を重ねていた時に同じ気持ちになっていたのかもしれない。
だからこそ、容易くその心を闇に堕してしまったのかもしれない。
そして、また月海も。
「あぁっ…、ミナト!吾のミナト!もっとじゃ!もっと吾を感じてくれ!!
吾を、汝のもので染め抜いてくれ!吾を、ただ吾のみを心に留めてくれぃ!」
自分が皆人を独占していると錯覚させてしまった月海は、皆人が与えるすべてのものを受け入れ取り込もうとしていた。例えそれが痛みであったとしても、闇への入り口であったとしても。
「早う、早う汝の迸りをくれぃ!本当の意味で、吾を汝の物としてくれ!!」
「佐橋さん、月海さんもああいっておられることですし…そろそろ射精なさってはどうですか?」
「はあっ!ああっ!!ああっ!!」
美哉に射精を促され、皆人の腰のペースが増してきた。淫隷人の皆人にとって淫怪人の美哉の命令は絶対だ。
「うお、うおおーっ!!」
そして月海の体に埋まる皆人のペニスがビクビクと爆ぜ…、月海の体の中にとてもこれまで射精しまくったとは思えないほどの量が流し込まれた。

「!!うあぁーーっ!!」

その厚さに月海が一瞬にして高みに昇ったその時、精液の中に大量に含まれた魔因子が月海の子宮内粘膜を通じて一気に拡散し、月海の全身の細胞にダーククロスのDNAを染み込ませていった。
「い、あ……!」
その瞬間、月海の心の大部分を占めていた皆人への想いはダークサタンへの忠誠心に塗り替えられ知りもしないダーククロスの知識が脳内に強引に焼き付けられ、すべての行動の第一はダーククロスのためという認識に摩り替わっていった。
「はあぁぁ……」
いまだに流し込まれる皆人の精液を、月海はうっとりとした心地で受け止めていた。
「うはぁぁ……。ダ、ダークサタン様への想いで心が満たされてゆく…。こ、心地よいぞぉ……」
体の中に精液と共に魔因子が注がれていく毎に、月海の体と心はダーククロスのものへと変わっていく。
その手はいまだに皆人をしっかりと抱きかかえてはいるものの、月海の心は既に皆人にはなかった。
「ククク…。どうやら月海さんもダーククロスの素晴らしさを知っていただけたようですね。
では、月海さんにもダークサタン様の魔精を注いであげましょうか……」
結と松の手で皆人がどかされ、かわりに美哉が口から触手を伸ばして自分の股に近づいてくる。
「あぁ…大家殿。いや、美哉様……。は、はやく吾にダークサタン様の触手を…、おぉ……」
自分の体を決定的に作り変える触手が埋められていく様を、月海は期待に胸を弾ませながら眺めていた…



「イーッ!ハイル・ダーククロス!」
美哉達の前に、新しく生まれた淫怪人が佇んでいる。
その体は透明なゼリー状のもので構成され、ふるふると不思議な光沢を放っている。
「くくく…、これが吾の新しい体……。素晴らしいぞ……。これぞ水を操る吾に相応しい本来の吾の姿なのじゃ…」
月海は淫怪人と化した自分の体に惚れ惚れしていた。今までは水を呼び出す必要があったのだが、今は自分の体を水化して様々な力を振るうことが可能になっていた。
「吾は…吾は淫水魔・月海。この力を振るって、下等な人間どもをダーククロスへと導いてくれよう…」
月海の瞳に邪悪な光がギラリと光る。月海も他の淫怪人化したセキレイと同様、身も心も完全にダーククロスへと堕ちていた。
「ふふっ、月海さん……」
月海の下へ結が近づいてくる。
「月海さんもわかりましたよね?皆人さんよりもっともっと大事な人がいるって事を…」
「うむ。ダークサタン様をこの身で感じられるようになって、その偉大さが身に染みて分かるようになったぞ。確かにミナトも大事には違いないが、ダークサタン様とは比べようはずがない」
結の心にも月海の心にも、ダーククロスの淫怪人になったことへの誇らしさと、ダークサタンへの忠誠心が隅々まで行き渡っている。
「そうです。そして、このことをもっともっと、皆さんに教えていかなければいけないんですよ」
「ああ、他の人間にも、セキレイにものう……」
この新東帝都に散らばる無数のセキレイ。それをその手で淫に染めることを夢想し、結も月海も思わず興奮して股間を濡らしてしまった。
「ね、ねぇ月海さん……。私、体に火がついてしまいました……」
「わ、吾もだ…。の、のぅ…、いっそこのままミナトと一緒に、交わらぬか……」
体の火照りを我慢できなくなったのかそのまま結と月海は皆人へと覆い被さり、皆人の腰に月海、顔に結が跨りながら、あさましくその肉体を貪り始めた。
「ふあぁっ!つ、月海さんの体…ぷるぷるで冷たくて、気持ちいいです…」
「結…汝の体も、つるりとした鱗がなんとも言えない感触で……」
皆人に跨ったまま月海と結は互いの体に舌を這わせ、人ならざる感触を五感で堪能していた。
「ああずるい!松も混ぜてくださいです!」
「…くーも……」
勿論、残り二羽のセキレイ…、もとい淫怪人も混ざっていったのは言うまでもない。
出雲荘の風呂場の中では、いつ果てるとも知れない淫怪人同士の乱交が延々と交わされていった…


「ただいま〜美哉」
日が傾き始めた空、出雲荘へまた一人帰ってきたセキレイがいた。
「あら、うずめさんお帰りなさい。今お風呂が湧いていますけれど夕ご飯の前に入りますか?」
「そうだね。先に汗を流しておくわ〜〜」
どたどたと音を立てて廊下を走っていくうずめを、美哉はニタニタと笑いながら見送った。
「どうぞ、ごゆっくり……と中にいる皆さんの餌食になってください、ね。くくく…」




ご感想があれば、いなづ様宛にコメント欄にお願いします。

2008年12月23日
『闇の狭間の淫略〜淫機人ナコルル』 Part1
はい! いなづまこと様の第2作目です。
それではどうぞ♪

注意! この文章には官能的表現が含まれております。
(ご覧になる方は、自己判断でお願いします。)



『闇の狭間の淫略〜淫機人ナコルル』

いなづまこと様作


昼間とはいえ一寸先も見えないような濃霧が立ち込める蝦夷地の森林。巨大な倒木や泥濘で覆われた湿地。そして弱肉強食の理の中に生きる動物達。そのいずれもが、脆弱な人間の侵入を拒み続け、何百何千年もの間静寂な空間を作り続けていた。
ところが、その中を今一人の少女が息を切らしながら走っている。その姿は蝦夷地に住む土着民族・アイヌの服を纏い、艶やかな長い黒髪に赤いリボンを締め利き腕には切れ味鋭そうな短刀を握り締めている。

「ハアッハアッハアッ……」

少女はまるで何かに追われるかのように時折後ろを振り返りながら、まるで原野を走るが如くの速さで森を駆け抜けていた。
普通に考えれば、何も知らずに森に迷い込んだ哀れな少女が手痛い大自然の報いを受けている図に見えるだろう。
だが、彼女はいわゆる『普通の少女』ではなかった。
彼女の名前はナコルル。アイヌの大自然のカムイ(精霊)に仕える巫女であり、彼女の一族はカムイの声を聞くことが出来る能力を代々受け継いできた。
そんな彼女は大自然と心を通わせることが出来、彼女は草木や動物達を守るためにその剣を振るい、替わりに草木や動物達も彼女のことを守ってきていたのだ。だから、森の中は彼女にとって安らぎを得られる空間であるはずなのだ。
が、今のナコルルは明らかにこの森の中から逃げようとしている。まるで、ここが敵地であると言わんばかりだ。

「なんで……なんでこんな……」

逃げるナコルルの顔には明らかな戸惑いの表情が浮かんでいた。彼女自身、いま自分の身に起こっていることが信じられないのだ。

『ギャース!!』

その時、横の茂みを割って体長1.5mを越えそうな大鹿が角を振りかざしてナコルルに飛び掛ってきた。
「くっ!」
ナコルルは体を捻って鹿の体当たりをかわし、体勢を立て直しつつある鹿に神剣チチウシを構えて対峙した。
『グルル…グルルル……』
低く唸りながらナコルルを睨む鹿は、明らかに普通ではなかった。
普段、鹿は異常なまでに臆病で出来る限り争いごとを避けるはずなのだが、目の前の鹿は眼は異常な
までにぎらつき全身の毛がざわざわと逆立ち、今にもナコルルに襲い掛かろうとしている。
それが邪魔者を排除するという行為に基づくならまだ説明もつく。だが、牡鹿の股間に粘液を滴らせ
ながらそそり立つ巨大なペニスは、あきらかにそれをナコルルの中に突っ込まんという欲望を示している。
「やっぱり……この子も……」
ナコルルは自分への獣欲を隠そうともしない牡鹿を見て、思わず呟いてしまった。

ナコルルがこのような獣に相対したのはこれが最初ではない。
それはつい一刻(訳二時間)ほど前のこと、大自然の声が突然聞こえなくなったかと思うと、羆やら狼やらがまるで自分を犯さんと襲い掛かってきたのだ。
中にはナコルルが見知っている動物達もいたが、それらは一つの例外もなく欲望に身を支配されナコルルにその身を埋めようとしてきたのだ。
いくらナコルルが話し掛けても答えることはなく奇声を発しながら襲ってくる動物達に、ナコルルは迷わずその場を逃げ出した。万が一にも動物を傷つけることは出来ない。自分がカムイの巫女であるという自覚が、ナコルルに剣を振るうのを躊躇わせていた。
だから、今目の前にいる鹿にもチチウシを構えてはいるがそれを振るう気はなかった。剣の気配に感づき、できることなら鹿に逃げて貰いたかったのだ。

だが、鹿はそんな真似はしなかった。
なにしろ鹿の目的はナコルルの体なのだ。そんな一振りの剣に尻ごみして目の前の肉体を逃すなんてもったいないことをするわけがない。
『ギエーッ!』
どう考えても鹿が発することはないと思われる雄叫びを上げ、鹿はナコルルに覆い被さろうと跳躍してきた。
一旦捉えられたらナコルルの小さな体では鹿を跳ね飛ばすことは不可能だ。為すすべなくその身を蹂躙されてしまうことは疑いの余地は無い。
「今!」
しかし、ナコルルも鹿の行動を見越していた。
ナコルルは身を低く構えると、チチウシを前に突き出しながらカムイの力を借り一足飛びに跳躍した。
「アンヌムツベ!」
普段なら相手の足元を刈る技なのだが、今回はそのまま茂みへと突進し鹿の視界から一瞬にして離れることを目的にしていた。
『ガ?!ガッガッ!!』
案の定、鹿はナコルルの居場所を見失いおろおろと首を回しながらナコルルを探し当てようとした。
が、そのときナコルルはすでに鹿から20m以上も大きく離れ、安全圏へと避難していた。
「ふぅ…、もう大丈夫ね……」
牡鹿を撒いてナコルルは安堵の吐息を吐いたが、同時に言いようの無い不安がその身をよぎっていた。
「こんなことが、いきなりおこるなんてありえません……
きっとこの地にウェンカムイ(悪神)が降りて、何かを狂わせているのね……」
だとしたら一刻も早く元凶を探り当て消滅させないと、この狂った森は永遠に元に戻らない。
カムイの声が聞こえなくなっているナコルルにとって、この広大な森からその原因を探すのは容易なことではない。ただでさえ未踏の地が多くある上に、普段は自分の味方である動物達はいずれも恐るべき敵と化しているのだから。
「でも…弱音を吐くわけにはいきません!」
だが自分はこの自然を守る巫女。例えどんな困難であろうと、この身にどんな禍が降りかかろうと自然を害する輩を放っておく訳にはいかないのだ。
ナコルルは周囲を警戒しながらその気配を出来る限り小さく搾り、前に進まんと一歩踏み出した。
その時

「あははっ!さっすがは姉様。一刻以上も淫獣の襲撃から逃げることが出来るなんて!」

ナコルルの後ろから、妹であるリムルルの声が聞こえてきた。
「えっ?!」
これはナコルルにとって全くの予想外だった。今日家を出るとき、確かにリムルルはまだ部屋の中でくぅくぅと寝息を立てて眠っていたはずなのだ。
まさかあの後、自分の後を追いかけてきたのだろうか。だとしたら、この危険な森の中に入れておくのは危険すぎる!
「リムルル!!すぐにこの森から………っ?!」
慌てたナコルルはリムルルにすぐにこの森から出て行くようにと釘を刺そうとして振り返り…言葉を失った。
「うふふっ。どう?姉様…。リムルルのこの姿……」
ナコルルの目の前にいるリムルルは、ナコルルが知っているリムルルではなかった。
ナコルルと違い、淡い栗色をしていた髪の毛は赤橙色に染まり、こめかみの後ろあたりから先端が黒くなっている狐を思わせる耳がにょっきりと生えている。
5月とはいえまだ寒い森の中で、その身には一糸も纏わず手足と胸、下腹部は頭髪と同じ色の長毛が生えそろい、お尻からはやはり狐のようなふさふさの尻尾が伸びていた。
その姿はどう見ても、人間と狐が融合したものにしか見えない。
「あ、ああ……リムルル、どうした の……。それ は……」
「ふふ…すごいでしょ。リムルルがね、姉様の後を追って森の中に入ったらね……



2008年12月23日
『闇の狭間の淫略〜淫機人ナコルル』 Part2
リムルルの前に突然そびえ立ったもの。
それは、桃色とも紫色ともいえない多量の触手がうねうねと蠢く高さ3mはあろう異形の怪塔だった。
生物のところどころにある窪みからはピンク色の霧が絶えずプシューと噴出し、周囲に濃厚な甘い香りを放っている。
「ひぃぃ…、ね、姉様ぁ……」
あまりの恐怖にリムルルはその場で失禁し、腰が抜けてぺたりとしゃがみこんでしまった。
おしっこに濡れた服がべちゃりと皮膚に不快な感覚を与えるが、今のリムルルにそれを感じる余裕は無い。

『貴様の……名前は……?』

それは声ではなく、直接リムルルの頭の中に響いてきた。今まで聞いたことも無いほど重く、醜悪で拒否や反論を許さない迫力を持った声だった。
「リ、リム…ルル…… で  す……」
恐怖に歯の根が合わない中、リムルルは何とか自分の名前を言うことが出来た。

『リムルル、か………悦べ。貴様はダーククロスによるこの方面の大地の支配の先兵として選ばれた』

「し はい……?せん ぺ ぇ………」
意味がわからない単語に首を傾げるリムルルの眼が、次第に光を失ってきている。
見れば、触手から放たれるピンク色の霧…ダークサタンの淫力がリムルルに纏わり付き、その体内にどんどん吸収されていっている。
「………あはぁ……」
それまで恐怖の色しかなかったリムルルの表情に、次第に別の色が浮かんできている。
(あぁ……なんだか、体がうずうずするぅ……お股のあたりがちくちくするのぉ……)
まだ成人の儀式の年齢にも達しないリムルルは、当然性の知識などまったく持ち合わせていない。
が、ダークサタンの淫力はリムルルの無垢の心に強引に性の開花を迫っていた。
自然と手が熱く疼く股間へと伸び、おしっことは別のもので濡れた陰唇をちゅるっと撫でる。
「ひゃう!」
それだけで、まるで飛び上がらんばかりの快楽がリムルルの体を突き抜けていった。
「あぁ……っ!すごい!これ気持ちいい!!」
一旦その快楽を知ってしまったら、もう後戻りすることは出来ない。
リムルルは両手で自らの股間をぐちゅぐちゅとかき回し、その度に体に走る痺れるような快感に酔いしれていった。
「ああんっ!手が、手が止まらないよぉ〜〜っ!!」
生まれて始めてのオナニーの快感による歓喜の涙で霞むリムルルの眼に、うねるする触手が飛び込んでくる。
さっきまでは単に気持ち悪いものでしかなかったが、今はとっても魅力的なものに見えてきている。
その弾力がありながらしなやかな幹。先端からどろどろとこぼれる粘液。
そのどれもが自身をとっても気持ちよくしてくれるというのを、リムルルの牝の本能が告げていた。

『さあ、このダークサタンにその身を捧げよ。
貴様が我が物になるならば、至上の快感と無敵の肉体を授けようぞ……』

ダークサタンの触手が、リムルルに決断を迫らんと迫りリムルルの周囲を囲んでいる。
その中にしゃがみこむリムルルはオナニーの手を止めると、腰紐を外して纏っているものをすべて脱ぎ捨て、壊れた笑みを浮かべながら地面に寝転がり下の口を両指で大きく開いた。
くちゅっと淫らな水音と共に開かれたそこは、ついさっきまで自慰すら知らなかった少女のものとは思えないほど熱く熟れていた。
「どうぞ、ダークサタン様……。リムルルの体、存分にお召し上がりください……」
機体に潤むリムルルの視界に、触手が一杯に迫ってきた……



で、リムルルはダークサタン様に魔因子と魔精を戴いて、淫獣人・リムルルとして生まれ変わったの。
そして、この大地をダーククロスのものにする使命を授かったの……。凄いでしょ、姉様?」
自分の体を誇示するようにしならせているリムルルを見て、ナコルルは眩暈がしてきた。
ほんの僅かな時離れた間に、妹が人ならざるものに変化してしまっていた。
「姉様、リムルルはね体から出るバーサク・ウィルスで森のみんな達をダークロスの下僕である淫獣に作り変えることが出来るんだ。
淫獣になったみんなはね、次々に人間を襲って犯し淫力漬けにして淫隷人に堕すことができるの。
あ、淫隷人っていうのはね、ダーククロスの最底辺の構成員で交わうことしか考えられない……」
「もうやめて!リムルル!!」
つらつらと意味不明のことを口走るリムルルに、とうとう我慢できなくなったナコルルは大声を上げてリムルルの言葉を遮った。
「ねえさま……?」
「リムルル!あなたはウェンカムイに操られているのよ!お願い!心をしっかり持って!!
ウェンカムイの邪悪な力なんか跳ね飛ばして、元のリムルルに戻って!!」
ナコルルとしては、僅かに残っているかもしれないリムルルの心に望みを託しての願いだった。

が、これは全くの逆効果になった。
「リムルルが、操られている………?!」
ナコルルの前でリムルルの顔が、みるみる怒りで醜く歪んでいっている。その顔は確かにリムルルの顔なのだが、ナコルルはどこをどうしたら今のリムルルの顔になるのか、全く想像ができなかった。
「バカ言わないで!リムルルは自分の意思でダークサタン様にこの体を捧げたんだよ!
それをなに?!リムルルが操られているから目を覚ませ?冗談じゃないよ!
姉様はまだ人間だから、ダークサタン様の素晴らしさ、ダーククロスの素晴らしさがわからないだけ!
姉様もダーククロスの一員になれば、すぐにそのよさがわかるんだからぁ!!」
「リムルル……」
半ばムキになって怒鳴り散らすリムルルを見て、ナコルルはもうリムルルを説得するのは不可能だと確信した。
今のリムルルは身も心もウェンカムイに支配され、いいように操られている。
この呪縛を脱するには、リムルルをこんな姿に変えた根元のウェンカムイを断つしかない。
(そのためにも…、まずはリムルルを動けないようにしないと!)
意を決したナコルルは、リムルルに向けてチチウシを構えた。
とりあえずは脚の腱を切れば、リムルルは自分に追いつくことは不可能になるだろう。
「あっ姉様、やるの?ヤルの?犯るのぉ?!
うふふっ!それで姉様の気が晴れるならいいよぉ!淫怪人になったリムルルの力、魅せてあげる!!」
姉の本気を感じ取ったリムルルは、面白いことになったとはしゃぎその両手の爪を大きく伸ばした。
「この爪で、姉様の服と皮膚をザクザクと切り裂いてあげる!
あははっ!真っ赤に染まった姉様の体、きっとすっごく綺麗だよ!!」
その目を破壊衝動でぎらつかせたリムルルは爪を長い舌でべろべろと舐めると、ナコルルへ向けて両手をがばっと広げた。
「さあ姉様!どこからでもかかってきなよ!」
リムルルは向ってくるナコルルを迎撃しようと両手を振り上げて踏ん張っている。
言い換えれば足元が疎かになっておりナコルルの思惑を実行するには都合がいい。
(この間合いなら、アンヌムツベで一気に詰められる!)
腰を低く落としたナコルルは、なるべく前動作で気取られないようにしながら一気にアンヌムツベでリムルルの腱を切り裂こうとした。が!


2008年12月23日
『闇の狭間の淫略〜淫機人ナコルル』 Part3
「アンヌ…!」

「なぁ〜〜んちゃって!」

ナコルルの頭上から突然何かが急降下し、チチウシを持っている手の甲に体当たりしてきた。
「あっ!」
気がついたときにはもう遅い。チチウシはカランカランと乾いた音を立てて手元から転がり、ナコルルに突進してきたものはチチウシを素早く脚で掴むとリムルルのほうへと飛んでいった。
その正体は…
「ママハハ?!」
ナコルルは思わず叫んでしまった。自分の攻撃を妨害したのはカムイの使いであり苦楽を共にした愛鷹・ママハハだった。
「なんで……ハッ?!」
何が起こったのかわからないナコルルは、ママハハの眼を見てハッと思い至った。
自分を見つめるママハハの目。それは間違いなくこれまで幾度となくナコルルに襲い掛かってきた淫獣と化した動物のものと同じものだったのだ。
「そんな……ママハハまで……」
「そうだよ姉様。とっくの昔にママハハもリムルルのウィルスで淫獣になっていたんだよ!
姉様は物凄く強いから、いくら淫怪人になったリムルルでも無傷で勝つことは難しい。
だから、隙を見てママハハに姉様のチチウシを叩き落とすように命令していたんだ。
リムルルの目的は姉様を殺すことじゃないからねぇ!キャハハハハッ!!ギャーッハッハッハァ!!」」
姉を出し抜いたことがよほど嬉しかったのか、リムルルは腹を抱えて狂ったように大声で笑った。
心なしか、肩に止まっているママハハも笑っているように見える。
「く、くうぅ……」
ママハハの体当たりでまだ痺れる右手を押さえ、ナコルルは悔しげに顔を歪めた。
「それにね、リムルルの下僕になっているのはママハハだけじゃないんだよ。ほら!!」

ガサッ!!

リムルルの嘲笑を含んだ掛け声と共に、ナコルルの脇の茂みから黒い影が凄い勢いで飛び出してきた。
「っ?!」
咄嗟に反応したナコルルはチチウシを構え、突進をいなそうとした。が、
「あっ!」
チチウシはすでにママハハによって奪い去られていたのだった。
黒い影はそのままナコルルに突っ込み、ぎゅっと握られた拳が勢いよくナコルルの鳩尾(みぞおち)に吸い込まれた。

「ぐうっ!」

ドボッという感触と共にめり込んだ拳の感触を感じ、息が詰まったナコルルは殴られた勢いそのままに地面に転がり落ちた。
「ぐぇっ……ゲホッ、ゲホッ……!」
苦しげに歪むナコルルの視界に飛び込んできた自分を殴った当人は…
このところしょっちゅう自分の前に姿を見せる謎の少女、レラだった。
「レ、レラ………」
「………」
ナコルルを見るレラの顔には表情が全く無い。まるで面でもつけているかのような顔でナコルルを見下している。
さらに、黒いボロボロの布切れで覆われたレラの体からは今まで聞いたことも無い奇怪な音が耳に入ってくる。
それはきりきりと金属が軋む音やピュルピュルという耳に残る甲高い音。
シャーッと回転する音やキュインキュインと響く音だ。
心なしか、レラの瞳もその音にあわせて輝いているようにも見える。
「ど、どうしたのレラ……あなた、変……」
訳がわからず呆然とするナコルルを見て、リムルルはじーっと佇むレラに笑顔のまま言い放った。
「レラさん!ダーククロスの力で生まれ変わったレラさんの姿、姉様に見せてあげて!」
「畏まりました。リムルル様」
リムルルの命令にシュインという謎の音と共に頷いたレラは、羽織っている布切れを掴むとバッと脱ぎ捨てた。
「?!」
その下から出てきたレラの体は…
硬質化した肢体がまるでからくり人形のように各部位で分割され、関節から不気味な駆動音を響かせていた。
「レラさん。あなたは一体何になったの?」
「はいリムルル様。
私はダーククロスの淫略型淫機人・レラ。人間を襲い、淫略するのが私の使命です」
リムルルに応えたレラの喋り方は、まるで感情が無いかのような抑揚の無いものだった。
「ふふふっ、レラさんはリムルルがダークサタン様から戴いた淫魔卵を寄生させて、ダーククロスの淫機人として生まれ変わったの。
今のレラさんは下らない人間の感情とかはもっていない。あるのはダーククロスへの忠誠心と、その身に与えられた使命を果たすことだけなのよ。うふふ…」
「リ、リム ルル……。あな   なん て、こと……」
息が詰まってまだ声がまともに出せないナコルルは、出来る限りの声をあげ妹の行いを批判した。
「面白かったよ姉様。あのいっつも澄ましたレラさんが、私の淫力に惹かれて自分から服を脱いで体を晒したのよ。
それがあんまりにもかわいいもんだからさ、まんこがメチャクチャになるまで犯しちゃって、最後のほうではレラさん、頭がぶっ壊れちゃってただ『オマンコして。オマンコして』ってしか言わなくなっちゃった。
見せたかったな姉様にも、あの時のレラさん……。くひゃはははっ!
気持ちよかったよねレラさん!淫怪人とのオマンコ、最高に気持ちよかったでしょ!!」
「はいリムルル様。私は今まであのような快感を与えられたことはありませんでした。
私に最高の快感をおあたえになり、この身を素晴らしき淫機人にしてくださったリムルル様への感謝は絶えません」
心なしか、感情が無いはずのレラの顔が赤く火照っているように見える。それとも、普通の感情は消え去っているが快楽に関する感情だけは残っているのだろうか。
「さ〜て姉様、そんなところで不様に寝っ転がっているかわいい姉様?!
そろそろ姉様にもダーククロスの素晴らしさを教えてあげないとかわいそうだよね!」
リムルルは、実の姉であるナコルルを酷く性的な視線で見つめていた。今にも飛び掛ってその肢体をしゃぶり尽くそうとしているように見える。
同性による近親相姦。その考えにナコルルはザッと血の気が引いた。
「だ、だめぇ……。リ ムル…ル、私たち は姉妹な  のよぉ……」
神さえそのおぞましさに引きかねない禁忌に、ナコルルは動かない体を必死に動かしリムルルの元から離れようとした。
だが、リムルルはそんなナコルルをニヤニヤと眺めるばかりだ。
「やだなぁ姉様。そんなことリムルルがするわけないじゃない」
どうやらリムルルにはナコルルを犯す意思は無いようだ。そのことにナコルルが少しだけ安堵すると、途端にリムルルはその顔に邪悪な笑みを満面に浮かべた。
「だって、姉様を犯したいものはこの森にいっぱい、い〜っぱいいるんだからぁ!!」

グルルル……
ケケケケケケ……
ブフォ、ブフォ……

「?!」
これまでリムルルやレラに気を取られ全然感じもしなかったが、いつの間にかナコルルたちの周りには様々な動物の気配に満ち満ちていた。
そのどれもがリムルルによって淫獣に変えられたもので、周囲に牡の匂いを振りまきながらハメ穴を求め、ここにたどり着いたのだ。
「あ、あぁ……。そんなぁ……」
彼らの目的が自分自身であること。ナコルルはそれがこれまでの体験で痛いほど分かっていた。
だが、身を守る神剣チチウシは奪われこの体は酷いダメージで動けそうに無い。

つまり、今度という今度は彼らから逃れることは出来ない。

同性の近親相姦という地獄から逃れられたと思った出口の先は獣姦&輪姦という更なる地獄の入り口だった。
「さあみんな!姉様を存分に嬲り犯してその体を淫獣の精液でグチャグチャにしてあげて!!
そして姉様の『勇者』としての力を欠片も残さず壊しちゃって!」

『『『『『グオーッ!』』』』』



2008年12月23日
『闇の狭間の淫略〜淫機人ナコルル』 Part4
まるでリムルルに導かれるかのように、その言葉と同時に蝦夷地に住む淫獣化した動物が一斉に仰向けに倒れたナコルルに襲い掛かってきた。
「キャアアアアーーーーッ!!」
狐が服を食い破り、栗鼠が細かく切り刻んで持ち去っていく。
狼がナコルルの四肢を抑え、のしかかった熊がスリコギほどもある逸物を強引にナコルルの中に埋め込んだ。
破瓜のものとも皮膚が破れたものともつかない血がだらだらとこぼれ、森の地面を濡らしていく。
「はぐぅぅーっ!!」
あまりの激痛にナコルルはくぐもった悲鳴を上げたが、その顔に狐が覆い被さり細いペニスをナコルルの口に捻じ込んできた。
「むぶっ!」
しかも狐だけではない。にょろにょろと這って出てきた蛇が同時にナコルルの口を侵しナコルルの舌や歯を長い舌でちろちろと嘗め回してきた。
ぷるんと出た乳首には、片方が兎、片方は栗鼠がペニスを刺し上下に揺り動き、羆と地面の間に僅かに見えるお尻には丹頂鶴が頭を伸ばして嘴を突っ込み、直腸内を舌で味わっていた。

「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

全身くまなく満遍なく与えられる陵辱に、ナコルルは拘束された全身を狂ったように揺らしながら悶え、その身を淫獣たちの欲望の捌け口にされ続けた。
しかも、射精して満足した淫獣がどいたかと思いきや、また別の淫獣がやってきてナコルルの体を責めぬいていく。
「んんぅ……。うふ、うふふふぅん………」
終わりの見えない快楽地獄に、いつしかナコルルは壊れた笑みを浮かべていた。
止め処なく放出された精液に含まれる淫力に心が蕩け、淫獣による性交を至福の快楽としてらえるように精神が改変されてしまい、自ら体を預けるようになっていった。
「んはぁ……。みなさぁん、私の体、きもちいいですかぁ……?
私も、とってもきもちいいんです……もっともっと、みなさんの精液を私にそそいでくださぁい……わたしもがんばって、みなさんをきもちよくさせますからぁ……あははは……」
後から後からやってくる終わりの無い淫獣たちを目にして、ナコルルは満面に幸せ一杯の笑みを浮かべた…



「あひ…あひいぃ……。もっとぉ……もっと、くださぁい……」
その後ナコルルは何刻過ぎたかが分からないほど淫獣たちに犯されぬき、獣の波が引いた後に取り残されたナコルルは、穴という穴を刺し広げられ全身を淫精液塗れにしながらケラケラと壊れきった微笑みを浮かべ、もう一匹もいない淫獣たちを求め腰を揺すっていた。
「うふふっ。姉様ったら……、完全に淫力の虜になってしまったみたいだね。
もう姉様の体の中には、勇者の資格なんてこれっぽっちも残っちゃいない……ク、ククククク!」
事が完全にうまく運び、リムルルは勝ち誇った邪悪な笑みを浮かべた。これでもうこの地に、ダーククロスの淫略を防ぐ者は存在しない。
「じゃあ最後の締めにしますか。レラさん、姉様の中に淫魔卵を寄生させてあげるのよ」
「畏まりました。淫略型淫機人・レラ、インサートプリケーション起動。淫魔卵セット、スタンバイ」
レラは地面に力なく横たわるナコルルに近づくとしゃがみこみ、起動音と共に瞳が明滅したかと思うとその股間から粘液と共に肉色の筒状のものがにるにると競り出して来た。
レラが変えられた淫略型淫機人は、その腹部に多量の淫魔卵が搭載されたタイプだ。その淫魔卵を無機物有機物問わず寄生させてダーククロスによる淫略を容易にするのが淫略型淫機人に与えられた役割である。
「んっ……はぁぁ……。そ、挿入用ディルドー、展頂終了……」
レラの体の中から出てきた挿入用ディルドーは、普通の男性器とは異なり雁首はついておらずまるで腸詰のようにのっぺりとしている。
別に快楽を与える必要はなく、淫魔卵を発射するためだけにあるので余計な機能は省かれているのだろう。
「対象ターゲット膣口確認。挿入用ディルドー、挿入」
ディルドーをナコルルの陰唇にぴたりと当てたレラは、そのまま腰を落しディルドーをずぶずぶとナコルルの膣内へと埋めていった。
「あっ、あ!また入ってきたぁぁ……!き、きもちいひぃぃ……」
今再び子宮を抉られる感触にナコルルは歓喜の悲鳴を上げた。が、快楽に浸っているのはナコルルだけではない。
「くっ…ふうぅ……挿入深度70…80…90…挿入、か、完了…」
感情が無いはずのレラも、ナコルルの膣内に埋める快感に顔を赤らめ切ない笑みを浮かべていた。
淫機人も快楽が支配するダーククロスの一員だけあって、快楽に関してだけは欲望や感情といったものが蘇るようだ。
「い、淫魔卵…並びに着床用低粘度ジェル、発射…します……!」
ついダーククロスの本能に基づいて腰を揺すりたくなる衝動を強引に命令によって打ち消し、レラの体の子宮が変化して構成された淫魔卵貯蔵庫からディルドーにセットされた淫魔卵がプシュッという圧縮音と共に体内から打ち出され、緑色の粘液と共にナコルルの膣内へと発射された。

ドプゥッ!

「いひっ!!」
自分の体内に注がれた熱い大量の粘液の感触に、ナコルルは歯を食いしばりながら歓喜の声を上げた。
「あひゃあぁ〜〜〜ぅ!気持ちいい〜〜〜っ!オマンコさいこぉ〜〜っ!!」
ナコルルはその子宮に注がれた熱い迸りにすべての感覚を奪われ、それと同時に体内に入ってきたゴルフボールくらいの玉には気が及ばなかった。
そして、ナコルルの子宮に入った淫魔卵は着床用ジェルに包まれながらすぐに溶け、ナコルルの体内へ拡散していった。
「えへへぇ……。れらぁ、もっと、もっと………はぐっ!」
ナコルルが自分の体に変化を感じたのはすぐだった。
突然自分の全身に針が刺さったような激痛が走り、体の奥がゴリンゴリンと勝手にうねり始めた。
「あっ!あああっ、な、なにこれぇぇっ!!!」
あまりの痛さにナコルルは飛び跳ねてのた打ち回ろうとしたが、上でレラが挿したまま手を抑えているのでびくとも動かない。
「ああああああっっ!!!あぎえええぇぇっ!!!!」
痛み、痛み、痛み。ナコルルの脳内には痛みしか感じられていない。
そんな中で、ナコルルは頭の中から次第に大事なものが失われているように感じられていた。
(ああ…どうしたの?私の中から、色々なものがどんどん抜けていっている……)

父のこと 母のこと 祖父のこと 祖母のこと 妹のこと
村のこと みんなのこと 大好きなこと 大好きなもの
守るべきもの 愛しているもの 果たすべき使命  自分の こと

(ああうあううううぅぅぅぅ……)
「メインメモリーフォーマット完了。システムインストーラー起動。終了まであと、155.273秒」
意識が途切れる前のナコルルが聞いた最後の音声は、全く聞いたことの無い言葉を口走る自分の声だった。



「イーッ・ハイル・ダーククロス!!」
淫獣人・リムルルの前でナコルルが、習ったはずの無いダーククロス式の敬礼を掲げている。
その体は、レラのように硬質化して所々が分割され金属と人工繊維によって繋がれた淫機人に変化していた。
「おはようございますリムルル様。淫略型淫機人・ナコルル。ただいま起動いたしました」
その表情に感情はなく、ナコルルもレラ同様完全に淫機人化しているのは間違いない。
(うふふ…。あのいつも後ろを追いかけていた姉様が、私の下僕の淫機人になって私に忠誠の証を立
てている。うふ、うふ、うふふふ……)
自分に敬礼をし、様付けで呼ぶ姉の姿にリムルルは言いようの無い征服感と優越感を感じていた。
「おはよう姉様。もう淫魔卵も転送が完了した?」
「はい。起動終了後すぐに貯蔵タンクに40個の淫魔卵と着床用ジェルが転送されました。
今すぐにでもアプリケーションを起動し、人間に淫魔卵を寄生させることが出来るように設定されています」
ナコルルはリムルルに機械的に自分の状態を説明していった。
ただ最後に『人間に寄生』というくだりが出てきているところから、そのコンピューター化した思考の第一に『人間を犯す』という項目があるのは予想が出来るが。
「そう……。じゃあ淫獣たちと一緒に私たちの村を淫略しにいこう!
そして村を足がかりにこの蝦夷全部。隣の日の本も全部ダーククロスの支配地域にするの。
今ダーククロスの本体は他の地域に淫略しているからこの地で動けるのはしばらくはリムルルたちだ
けだからね。姉様、レラさん、がんばろう!」

「「イーッ・ハイル・ダーククロス!」」

リムルルの声に淫略型淫機人・ナコルルとレラは股間から挿入用ディルドーを展頂させ、ダーククロ
ス式の敬礼を高々と掲げた。





登場作品「サムライスピリッツ」

大きいサイズ http://www1.axfc.net/uploader/He/so/173287
PW akuoti





2008年12月21日
『天装勇者セイバーエンジェル』 Part1
某スレで、いなづまこと様がセイバーズの導入部っぽいSS書いてくださいました。

いなずまこと様から承諾OKとなりました。
本当にありがとうございます。
編集について、何か改善点があればどうぞ。

注意! この文章には官能的表現が含まれております。
(ご覧になる方は、自己判断でお願いします。)


いなづまこと様「こんばんわなのです。ふたばの例のセイバーズの
ネタの広がり具合が実にいい感じなので、導入部っぽいSSを書いてしまいました。 」


『天装勇者セイバーエンジェル』

いなづまこと様作



『こぉの、愚か者どもめがぁぁっ!!』

地の底とも海の底とも取れぬ空間に忽然と浮かぶ異形の魔城…
全空間全時間全次元の完全なる掌握を目指し、現在その主力を地球世界へとぶつけている凶悪侵略軍団
・淫略帝国ダーククロスの首領ダークサタンは、不甲斐ない部下達に怒りの咆哮を上げていた。
その理由は察するまでも無い。取るに足らないことと思われた地球淫略が遅々として進まないのだ。
ダーククロスはこれまであらゆる次元や世界にその手を伸ばし、その版図を広げていった。
もちろん狙われた世界もただ手をこまねいていたわけではない。その世界に存在する戦士たちが自分たちの世界を守るため、ダーククロスに敢然と立ち向かっていったのだ。
が、それらはことごとく弾き返された。
あらゆる次元に手を伸ばすことが出来るダーククロスには、その世界からは予想も想像も出来ないような化物や、その化物すら上回る力を持つダーククロスの幹部…淫怪人が列をなしており、それらの猛攻 に立ち向かえることが出来るのは極々稀なることだった。

中にはそれら強大な戦力に立ち向かえる戦士…いわゆる『勇者』と呼ばれる存在が刹那の勝利をもたらしたこともある。が、それらも所詮は一時の仇花だった。
ダーククロスの首領ダークサタンは強烈な淫力を発し、あらゆる存在を淫らに染めることが出来る恐るべき能力を有していた。これにより、ダークサタンの前までたどり着いた勇者は悉く淫力に支配されて骨抜きにされ、男はその生気と能力を淫怪人に捧げる供物とされ、女はダークサタンの体を構成する無数の肉触手から放たれる魔因子と魔精により新たなる淫怪人とされていった。
これによりその世界の勇者をも取り込んで力を増していくダーククロスに抗しえた世界は存在せず、ダーククロスに支配された世界は淫怪人と戦闘員を生成する狂気のプラントと化していった。

ダークサタンが次元干渉装置から覗き込んだ地球世界を見た時、正直こんな貧弱な世界など一軍団さえあれば楽勝と思い込んでいた。が、先兵を任された淫獣軍は大被害を被り、直接指揮をとった軍団長の秋子共々ボロボロになって逃げ帰ってきたのだ。こんなことは今までは無かったことだ。
ダークサタンは失敗した秋子に手痛いお仕置きをした後に事情を聞くと、秋子達が破壊活動を行っている時に忽然と5人の女戦士が立ちはだかったという答えが返ってきた。

その戦士たちは戦闘員はおろか淫怪人の攻撃すら全く問題にせず、瞬く間に数十を数える淫怪人たちを撃退した後秋子まで追い散らしたらしい。
ダークサタンには信じられないことだった。戦闘員はともかく淫怪人は自分の強大な淫力と常に繋がっているため普通の攻撃では傷一つ付けることはできない。
ましてや秋子はこのダーククロスの6大軍団の軍団長。普通の淫怪人とは比べ物にならないくらいの淫力の供給を受けているのだ。それが傷つけられるだけでなく敗退させられるとは!

後にスパイの活動により、彼女達が自分たちの淫略に対抗して作られた地球世界の組織・セイバーズの正義の戦士・セイバーエンジェルというところまでは突き止めることが出来た。だが、彼女達の素性までは割ることは出来ず、どうして自分たちの存在を知られたのか。どうやって淫力を跳ね返す能力を手に入れたのか。という肝心な部分は謎のままだった。
セイバーエンジェルは間違いなくこれまでダーククロスが相対した最強の勇者だった。なにしろその後もセイバーエンジェルを篭絡しようと数々の軍団長が手を変え品を変え襲い掛かったが、そのどれもこれもが失敗し、結果地球淫略のスケジュールは大幅な遅滞を余儀なくされていた。
そして、今回の作戦も失敗に終わったことでついにダークサタンの堪忍袋の尾が切れたというわけだ。

『あんな小娘どもにいい様に負かされおって!それでも貴様らこの淫略帝国ダーククロスの栄光ある軍団長か!恥を知れ!!』



魔城全体を震わせるかのように重く響く怒声に、淫魔竜軍団長・淫魔竜セイバー、淫獣軍団長・淫獣人秋子、淫妖華軍団長・淫妖華霞、淫水魔軍団長・淫水魔アティ、淫機械軍団長・淫機人コスモスは恐怖に身を竦めた。
彼女達は、過去いずれも各々の世界において強力な力を持ち、ダーククロスの淫略に立ち向かった勇者であったが、ダークサタンの持つ淫力に耐え切ることが出来ずにその手に堕ち、ダークサタンに従う淫怪人として新たな生を受け、自分の世界を滅ぼした後その淫略に加担する存在となっていた。

その身にダークサタンの魔因子を植え付けられ魔精を注入された彼女達にとって、ダークサタンは絶対の存在である。そのダークサタンに怒られることは彼女達にとって何よりも恐ろしいことだった。
「ですが、あいつらのセイバースーツは私たちの淫力を完全に遮断しているのです。今までの世界では少し淫力を嗅がせればどんな戦士もたちまち堕ちたはずなのに、あいつらは全く……」

『言い訳は見苦しいぞ、アティ!!!』

「ひぃっ!申し訳ありません!!」
ダークサタンの怒りっぷりにアティはゼラチンのような体が崩れてしまわないかというくらいの勢いで平伏したが、ダークサタンの怒りは別にアティの言葉が癇に障っただけではなかった。
アティの言うとおり、セイバーエンジェルには自分の淫力が全く通用しないのだ。過去に何度か自分の分身を淫怪人に持たせ、セイバーエンジェルを魔因子の虜にしようと試みたのだが、どこをどうしたことか淫力を完全に防いでいるセイバーエンジェルには当然の如く全く効かなかった。
こんなことは過去のどの世界にもなかったことだ。自分の力が通用しない戦士セイバーエンジェル。この事がダークサタンになんとも言えない苛立ちを与えていたのだ。

『どのような手段でもいい!あやつらを篭絡し、淫怪人と化して我の前にひざまづかせる方法は無いのか! 数々の次元を堕としてきた我らが、あんな小娘にいいようにされて恥とは思わないのか!!』

だが、、今まで散々負かされてきた軍団長にいい案が浮かぶこともなく、またダークサタン自身も手詰まりに陥っていることを認めざるを得ない状況になっていた。

「うふふ、ダークサタン様。そんなに大声を出されては浮かぶ考えも浮かびませんわよ」

その時、柱の影からぬっと出てくる影があった。
それまで姿を見せていなかった6大軍団の最強軍団、親衛軍を率いる淫魔姫・紫(ゆかり)である。
紫は他の軍団長と違い、ダークサタンに忌憚ない意見を述べたり収集に従わなかったりと独断的な行動が目立つ不思議な淫怪人だった。その力は他の軍団長を軽く凌駕し、恐らくセイバーエンジェルとまともにぶつかっても遅れをとることはないと確信できる。が、これまで紫がセイバーエンジェルに立ち向かったことはなく、ダークサタンも紫に直接セイバーエンジェルと相対させるといった命令を発したことは無かった。

これは万が一ダークサタンに何かがあった場合、紫だけがダークサタンの体を再生させることが出来る存在からなのだ。紫に不慮の事態が起こったらダークサタン自身も危機に陥ってしまうのである。
もっとも、このことを知っているのはダークサタンと紫だけであり、他の軍団長は紫の事を『強いけれど変な奴』という認識しかもっていなかった。

『紫か。ならば貴様には何かいい考えがあるとでも言うのか?!』

巨大な瞳でぎろりと睨まれながらも、紫は恐れるどころか口元に余裕の笑みを浮かべダークサタンへ向けて近づいてきた。
「もちろんですわ。私の献策を用いれば、あの可愛い5匹の子猫を淫怪人へすることなど容易いこと。もっともそれには、不甲斐ない皆さんの力をお借りしなければなりませんけれど」
『不甲斐ない』。そう言われて他の軍団長の顔は一様に険しくなった。とりわけダーククロス一短気なセイバーはつかつかと紫に近寄り、その鋭い爪を紫の喉元に突きたてながら紫に食って掛かった。
「そこまでいうならば紫!貴方もその体を動かして献策とやらを実行してみてはいかがですか?!
いつも城内で剣呑としている貴方に、そんな度胸があればの話ですがね!!」
返答によってはその喉を突き破る。セイバーの殺気だった瞳はそう語っていた。
だが、そんな形相を前にしても紫の余裕の笑みは崩れない。

「うふふ。そうですわねぇ……」

その時、紫の姿がセイバーの視界から不意に消えた。
「っ?!」
ギョッとしたセイバーが紫の姿を捉えようと首を左右に動かした刹那
「私も、たまには運動をしないと健康に悪いでしょうからねぇ……」

セイバーの背後にまわりこんだ紫が、微笑みながらセイバーの喉首をぎりぎりと握りしめていた。
「がっ……!ぐがっ……?!」
たちまちセイバーの顔は血の気を失って真っ青になり、口からはぶくぶくと泡が噴き出てきている。
「あらあらどうかしましたかしらセイバー。顔色が悪いですわよ」
心配そうに紫はセイバーに語り掛けてはいるが、首を握る手の力を緩める気配は全く無い。

『そこまでしておけ紫。そこまで言うなら今回の作戦、お前に全面的に任そう。
軍団長ども!お前達もこれからは紫の言うことを聞き、必ずやセイバーエンジェルどもを淫怪人へと堕とすのだ!!』

「イ、イーッ・ハイル・ダーククロス!!」
いまだ声を出せないセイバー以外の4軍団長は、ダークサタンの声に畏まりながら敬礼を取った。



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