2015年06月19日
溺死はあなたの思ってるようなことじゃない
アメリカ海軍とアメリカ沿岸警備隊で救難士として19年の勤務経験をもつ、海上安全を専門とするライターのMario Vittone氏は、「水死はほとんどいつも、だまし討ちのように静かに起きる出来事なのです。テレビですり込まれたような、手を振り回し水を跳ね上げ、叫び声を上げるようなおぼれ方は、現実にはめったに見られません」と書いています。
水難事故は交通事故と比べると件数は少ないのですが、死亡率は約50%と交通事故よりはるかに高くなっています。アメリカでは年間約750人の15歳以下の子どもが水死していますが、その死亡事故の半数は保護者や監督する大人から25ヤード(約23メートル)以内で起きていて、そのうち10%は、子どもがおぼれるのを目撃していながら、おぼれていることに気付いていなかったケースとのことです。
では、実際に静かにおぼれている人に気付くにはどうすればよいのか?それには、以下に挙げる「Instinctive Drowning Response(おぼれる人の本能的反応)」を知っておくことが重要です。これは元ライフガードで救助法の開発とライフガードのトレーニングの専門家であるFrank Pia博士が定義したものとのこと。
■ほとんどの場合、おぼれている人にとって声を上げて助けを求めることは生理学的に不可能です。呼吸器系の第一の目的は呼吸することであって、声を出すことはあくまで副次的な機能。呼吸することができて初めて声を出す余裕ができます。
■おぼれている人の口は水面の下へ沈み上へ出ることを繰り返します。口が水面の上へ出ている時間は息を吸って吐いて助けを呼ぶことができるほど長くなく、水面より上に口が出た時には、また水面下に沈む前に急いで息を吸い込むのが精いっぱいです。
■おぼれている人は手を振って助けを求めることはできません。本能的に腕を横に伸ばし、水面を下に押すことによって頭を水面上に押し上げようとします。
■この本能的な反応の最中には、おぼれている人は自分の意思で腕の動きをコントロールすることはできません。生理学的に、水面でもがいている人は助けを呼ぶために手を振ったり、救助者が来る方向へ動いたり、投げられた浮き輪をつかんだりといった「自発的な運動」は不可能です。
■この本能的な反応の間、おぼれている人の体は鉛直に立った状態の姿勢ですが、立ち泳ぎのように足でけっている形跡はありません。救助されなければ、もがきながら水面付近を上下する時間はわずか20秒から60秒ほどで、その後は水底へ沈んでいきます。
このように、おぼれている人の本能的な反応は静かなもので、着目すべきサインを知らなければ気付かないものです。Vittone氏はおぼれている人を見分けるポイントとして以下のようなサインを挙げています。
・頭が水に沈みかけていて、口が水面付近にある
・首を後ろに反らし、口を開いている
・無表情でうつろな目をしていて、焦点が定まらない
・目を閉じている
・額や目が髪に隠れている
・立ち泳ぎのような姿勢、脚を使っていない
・過呼吸または息を切らしてあえいでいる
・ある方向へ泳ごうとしているが前進していない
・あおむけになろうとしている
・水の中で見えないハシゴを登っているような動き
ただしこれは、声を上げて助けを呼んでいる人が本当は助けを必要としていないというわけではなく、声を上げたり腕を振って助けを呼ぶ人は、その次の段階として上述のような静かな「本能的反応」におちいるとのこと。つまり本格的におぼれ始める前段階までは声を上げることができるということですが、声を上げる間もなく静かにおぼれ始める人の方が多いそうです。声を出せる段階のうちに救助に駆けつけることができれば、要救助者はまだ自発的に腕を動かすことができる状態なので、ロープや浮き輪をつかむこともできます。
ボートから落ちた誰かが、水に浮いてボートをじっと見上げているとします。一見何の問題もないように見えても「大丈夫か?」と一声かけることが重要です。「平気だよ」と返事がかえってくれば、おそらく本当に平気なのでしょうが、ぽかんとした顔で見つめ返された場合には、30秒以内に救助する必要があるかもしれません。
また、「水遊びをする子どもはうるさく音を立てるのが普通です。もし急に静かになったら、なぜ静かになったのか、おぼれていないか、確認すべきです」ともVittone氏は述べています。
水難事故は交通事故と比べると件数は少ないのですが、死亡率は約50%と交通事故よりはるかに高くなっています。アメリカでは年間約750人の15歳以下の子どもが水死していますが、その死亡事故の半数は保護者や監督する大人から25ヤード(約23メートル)以内で起きていて、そのうち10%は、子どもがおぼれるのを目撃していながら、おぼれていることに気付いていなかったケースとのことです。
では、実際に静かにおぼれている人に気付くにはどうすればよいのか?それには、以下に挙げる「Instinctive Drowning Response(おぼれる人の本能的反応)」を知っておくことが重要です。これは元ライフガードで救助法の開発とライフガードのトレーニングの専門家であるFrank Pia博士が定義したものとのこと。
■ほとんどの場合、おぼれている人にとって声を上げて助けを求めることは生理学的に不可能です。呼吸器系の第一の目的は呼吸することであって、声を出すことはあくまで副次的な機能。呼吸することができて初めて声を出す余裕ができます。
■おぼれている人の口は水面の下へ沈み上へ出ることを繰り返します。口が水面の上へ出ている時間は息を吸って吐いて助けを呼ぶことができるほど長くなく、水面より上に口が出た時には、また水面下に沈む前に急いで息を吸い込むのが精いっぱいです。
■おぼれている人は手を振って助けを求めることはできません。本能的に腕を横に伸ばし、水面を下に押すことによって頭を水面上に押し上げようとします。
■この本能的な反応の最中には、おぼれている人は自分の意思で腕の動きをコントロールすることはできません。生理学的に、水面でもがいている人は助けを呼ぶために手を振ったり、救助者が来る方向へ動いたり、投げられた浮き輪をつかんだりといった「自発的な運動」は不可能です。
■この本能的な反応の間、おぼれている人の体は鉛直に立った状態の姿勢ですが、立ち泳ぎのように足でけっている形跡はありません。救助されなければ、もがきながら水面付近を上下する時間はわずか20秒から60秒ほどで、その後は水底へ沈んでいきます。
このように、おぼれている人の本能的な反応は静かなもので、着目すべきサインを知らなければ気付かないものです。Vittone氏はおぼれている人を見分けるポイントとして以下のようなサインを挙げています。
・頭が水に沈みかけていて、口が水面付近にある
・首を後ろに反らし、口を開いている
・無表情でうつろな目をしていて、焦点が定まらない
・目を閉じている
・額や目が髪に隠れている
・立ち泳ぎのような姿勢、脚を使っていない
・過呼吸または息を切らしてあえいでいる
・ある方向へ泳ごうとしているが前進していない
・あおむけになろうとしている
・水の中で見えないハシゴを登っているような動き
ただしこれは、声を上げて助けを呼んでいる人が本当は助けを必要としていないというわけではなく、声を上げたり腕を振って助けを呼ぶ人は、その次の段階として上述のような静かな「本能的反応」におちいるとのこと。つまり本格的におぼれ始める前段階までは声を上げることができるということですが、声を上げる間もなく静かにおぼれ始める人の方が多いそうです。声を出せる段階のうちに救助に駆けつけることができれば、要救助者はまだ自発的に腕を動かすことができる状態なので、ロープや浮き輪をつかむこともできます。
ボートから落ちた誰かが、水に浮いてボートをじっと見上げているとします。一見何の問題もないように見えても「大丈夫か?」と一声かけることが重要です。「平気だよ」と返事がかえってくれば、おそらく本当に平気なのでしょうが、ぽかんとした顔で見つめ返された場合には、30秒以内に救助する必要があるかもしれません。
また、「水遊びをする子どもはうるさく音を立てるのが普通です。もし急に静かになったら、なぜ静かになったのか、おぼれていないか、確認すべきです」ともVittone氏は述べています。
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