2015年04月03日
理系人にオススメしたい本 知られざる名作家 ジュール・ヴェルヌの名作 10選!!
ジュール・ヴェルヌという名前を聞いたことがあるだろうか。
彼の名前は聞いたことがなくても、東京ディズニー・シーの人気アトラクションでもある『海底2万マイル』は聞いたことがあるはずだ。
実は、このアトラクションは、ジュール・ヴェルヌの小説をイメージしてつくられたアトラクションなのである。
ジュール・ガブリエル・ヴェルヌ(Jules Gabriel Verne、 1828年2月8日 - 1905年3月24日)は、フランスの小説家。サイエンス・フィクション(SF)の開祖として知られ、SFの父とも呼ばれる。
彼の作品は、科学的思考を根拠に綿密に作り上げられており、理系の人間にはたまらない魅力を醸し出す。
彼の作品には次のようなものがある。
海底二万マイル、十五少年漂流記 (ポプラポケット文庫 (410-1))
のような超有名作品にはじまり、月世界へ行く、地軸変更計画、悪魔の発明、動く人工島 (創元SF文庫)
、ハテラス船長の冒険、地底旅行 (偕成社文庫)
など完成度の高いSF小説を数多く発表しており、SF小説の皮切りだとも言われている。
これは、知らない人はいない名作。しかし、子ども用のものではなく、原文をそのまま翻訳された『海底2万海里』をきちんと読んだことがある人はいるだろうか。
船舶が巨大な角のようなもので喫水線下に大穴をあけられるという怪事件が続発。その真相を探るため、フランスの海洋生物学者アロナックス博士、その助手コンセーユ、銛打ち名人ネッド・ランドの3人はアメリカ合衆国の軍艦「エイブラハム・リンカーン号」に乗船するが、逆に軍艦をその怪物に攻撃され、甲板から海に投げ出されてしまう。
そして艦首に衝角を備えたその怪物こと潜水艦ノーチラス号とネモ船長に救助され、彼らと潜水艦の旅にでる。かくて紅海のサンゴ礁やヴィゴ島の海戦の残骸、沈んだアトランティス大陸の遺跡などを目撃した。
潜水艦の存在の予見もそうだが、深海で活動するための服などの未来予想図がすごい。
私は中学生の時に読んだのだが、その専門性にゲンナリした記憶が強烈に残っている。登場人物が、船中のガラス越しに見えている魚を延々と分類するのだ!鮫科〜類〜綱…亜種だとかを延々と繰り返すのだ!海底二万マイルはこんなにつまらない作品だったか?と思ったものだった。
彼の科学への情熱は熱烈なものであった。月へ行くことが、全く現実味を帯びていなかった時代、彼は月へ行く小説を書いた。その乗り物はロケットではなかった。なんと、砲弾なのだ!!
ロケットと砲弾という形こそ違うものの、宇宙空間の無重力や月の引力まで考えられており、実際月に行く過程でこのようなアイディアや段階が踏まれたのではないか、と想像できるほど綿密に組み立てられた小説であった。
冒険者3人の乗った砲弾は予定時刻ちょうどに発射されたが、地球近傍でニアミスした小天体の重力によって、月を周回する楕円軌道にのってしまう。
この状態を脱するため、機尾の着陸用逆噴射ロケットを使って軌道を変え、敢えて月面に着陸しようと決心する。最適な瞬間にロケットが点火され、砲弾は楕円軌道から抜け出る。しかし新たな軌道は彼らの意図とは異なり、地球へ帰還する軌道であった。
数日後、北太平洋に砲弾は着水し、帰還。
不要物の真空中への投棄、酸素酔い、地球=月の重力均衡地点における無重力状態、などのエピソードが語られる。
地球から観測できる限界のサイズである直径7フィート(2.1m)のアルミニウム製中空球体、砲は長さ900フィート(約270m)の鋳鉄製。
月まで投射物を到達させるために必要な初速や、その際の飛行所要時間など、天体力学的な理論面にはおおむね不備がない。着陸時にロケットを逆噴射する構想などにも先見性が見られる。
当時未踏であった北極の土地が競売にかけられ、その北極の下に眠るという莫大な石炭を手に入れるために奔走する物語である。今まで誰も北極まで辿り着いた者はいない。つまり、これからも北極までは行けない。ということは、北極に来てもらうしかない!!そして、有能な数学者JTマストンが導きだした方法とは。そして、その驚くべき悲劇の結末とは…
地軸変更計画は、月世界へ行くの続編のような流れがあるので、月世界へ行くを先に読むことをお勧めする。
どちらも理系人間にとっては興味深く、面白い物語である。
当時は人類は北極点にも南極点にも到達しておらず、極地はまだ人類のまったく知らない世界で、想像力を十分にめぐらすことのできる舞台だった。だから「北極大陸」が存在して、その地下に豊富な石炭資源が眠っているという想像も生まれてくる。
この物語では、アメリカ合衆国政府が中心になり、バービケインらの民間プロジェクトのために国際社会に向けて北極を競売にかける。国際社会といっても実際にはヨーロッパの列強諸国に過ぎない。ヨーロッパの列強諸国はばかばかしいと思っているけれども、アメリカに北極を取られることへの警戒感から、互いに不信を抱きつつも手を携えてアメリカ政府にあたる。ヨーロッパはその老獪ろうかいな外交手腕でアメリカの北極独占を阻止しようとするが、けっきょくアメリカの資金力に押し切られる。なぜアメリカ合衆国は北極獲得を狙ったのか。それは産業の発展とともに石炭資源が急速に枯渇すると予測されているからだ。北極大陸には大量の石炭が埋蔵されていることが予測されている。アメリカが北極を獲得し、北極大陸の石炭をアメリカの民間会社の手で開発すれば、産業社会の主導権をアメリカ合衆国が握ることができるのだ。
しかし、最初はこのプロジェクトを支援したアメリカ合衆国政府だったが、地軸移動が地球に大災難を引き起こしかねないことに世論が不安を抱くと、今度はプロジェクト関係者を犯罪者扱いして全力で阻止にかかる。「世論」の支配する国がやることの振れの極端さもヴェルヌはよく描いている。
ブッシュ政権のアメリカを揶揄するために書かれた物語のようである。ブッシュ政権とエネルギー産業の癒着ぶりは2001年のエンロン事件でも明るみに出た。イラク戦争後の開発事業の割り振りでもブッシュ政権と関係の深い石油産業への露骨な利益配分を試みている。ヴェルヌ時代には石炭だったものが石油に変わっただけだ。それに対するヨーロッパ列強の駆け引き外交と、ヨーロッパ諸国間の思惑のぶつかり合いなんかも2002年後半〜2003年のイラク戦争をめぐる駆け引きを思わせるものがある。
https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=2C2T4Q+2LH2R6+249K+BWGDT&a8ejpredirect=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4102044019%2F%3Ftag%3Da8-affi-250993-22
15人の少年を乗せた船『スラウギ号』は、嵐の海に漂流し、無人島に流れ着く。
少年たちは、植民地として運営していく体制を整えていく。動植物や、工夫を重ねた道具の作成などで島での生活は次第に潤っていくが、仲間割れがおこり、15人の結束に少しずつひびを入れていく。
そして、漂流から2年目を迎えた嵐の夜、島に謎の船が流れ着いたことによって、少年達の生活は激動していく…。
https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=2C2T4Q+2LH2R6+249K+BWGDT&a8ejpredirect=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4003256921%2F%3Ftag%3Da8-affi-250993-22
ヨハネウム学院鉱物学教授オットー・リーデンブロックが骨董店で購入した本に、地球の中心にたどり着くことができるルートが記されていたメモが挟まっていた。教授は、現地で雇った案内人とわたしと共に、火口を下る。
大空洞に到達した3人はそこで、海やキノコの森、地上では絶滅したはずの古生物たちが闊歩するのを見た。
地底海の航海の末、嵐で岸に打ち上げられた彼らはトンネルの入り口を発見するが、岩で塞がれていた。岩を爆破したが、爆破で生じた激流に呑まれ、活火山の火道に紛れ込んでしまったが、マグマと共に上昇中であることに気付く。彼らはストロンボリ島の火山噴火に乗じて地上に生還。
本作の前半では地理学(アイスランドの風物)、後半では地質学・古生物学を科学的な考察を交えて語っている。科学性を重んずるヴェルヌが地下の高圧や高熱の問題を知りつつも敢えてキャラクターを地底に送り込んだことは異例であるが、熱の問題は常に懐疑論者のアクセルによって言及され(最終的にも「地下で高温に遭遇しなかったのはあくまで特殊な事象であろう」との旨が述べられており)、物語が完全な非科学に陥ることは防がれている。
イギリス人資産家フィリアス・フォッグが執事のパスパルトゥーを従え、後期ビクトリア朝時代の世界を80日で一周しようと試みる、波瀾万丈の古典的冒険小説。
新聞で「イギリス領インド帝国に新たに鉄道が設けられた」という記事を見て、フォッグは「これで世界を80日で一周することが可能になった」と主張したのだ。
そもそも人は得られるものがもっと少なかったとしても、世界一周の旅に出かけるのだろう。
<世界一周の道筋>
ロンドン/スエズ 鉄道および蒸気船 7日間滞在
スエズ/ボンベイ 蒸気船 13日間滞在(合計20日)
ボンベイ/カルカッタ 鉄道 3日間滞在 (合計23日)
カルカッタ/香港 蒸気船 13日間滞在 (合計36日)
香港/横浜 蒸気船 6日間滞在 (合計42日間)
横浜/サンフランシスコ 蒸気船 22日間滞在 (合計64日間)
サンフランシスコ/ニューヨーク 鉄道 7日間滞在 (合計71日間)
ニューヨーク/ロンドン 蒸気船および鉄道 9日間滞在 (合計80日間)
この小説に触発され、実際にやってみた人もおり、彼は76日で達成して見せた。
大きな殺傷力を持つ爆弾を開発した技術者が国際的テロリスト集団に拉致された。この国際テロリスト集団は、東南アジア系のテロリストをボスとして、世界各地から集まったテロリストや犯罪者によって構成されていた。国際的テロ組織が大量破壊兵器を手にしようとしている! 多国籍連合軍を編成してテロリストの根拠地と見られる島に攻撃し、テロリスト全員の死亡を確認した。
いまから100年以上まえ、日本が日清戦争を戦っているころ、ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)は、原子爆弾などの大量破壊兵器やISをはじめとする国際テロリスト集団の横暴とが世界を騒がせる21世紀初頭の世界を予期していたのだろうか?
ジュール・ヴェルヌの先見性を考えると、ぞっとする。
https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=2C2T4Q+2LH2R6+249K+BWGDT&a8ejpredirect=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4488517013%2F%3Ftag%3Da8-affi-250993-22
ジェーンは、甥と共にアフリカでの任務中に反逆罪を犯して銃殺された兄と家の名誉を回復するため、アフリカの奥地に赴く。
途中、ハリー・キラーという人物が支配する土地ブラックランドへ誘拐される。
そこでは黒人たちが奴隷にされ、カマレ博士の超伝導物質や都市の隅々まで監視できる監視システムなど未来的な武器で犯罪を重ねるおそろしい国だった。ハリー・キラーは、彼らをスパイだと勘違いして誘拐していた。
なんとか逃げ出そうとする過程でカマレ博士と出会う。博士は、自分の研究が犯罪に使われていることを知り、ハリー・キラーとの戦いの末、ブラックランドすべて、つまり彼の作品全ての破壊を決意した。
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南北戦争中、南軍が北軍の包囲網を突破するための気球を北軍支持者の一団が、この気球を奪って脱出。しかし途中で気球が落下を始め、地図にも載っていない太平洋上のある無人島に漂着。一行はこの島で自活したが、散弾で仕留められた獣が見つかったり、海賊の船が機雷により沈没させられるなど奇怪なできごとが多発。
そしてある時、潜水艦が停泊しているのを発見。ネモ船長と名乗る老人にこの島がもうすぐ吹き飛ぶであろうことを知らされた。脱出用の船の完成が間に合わず、島は水蒸気爆発により吹き飛んだ。わずかに残った岩の上で救助された彼らは、故郷でネモ船長の遺した財宝を元に広大な土地を買い取り、リンカーン島と名付け開拓した。
ガスは抜け、気球の高度を何とか保つため、かれらは気球のなかにのこされたものを捨てていく。
金貨! 食糧! 道具! そして自分たちが乗っていたゴンドラそのものにいたるまで、保存しておけば役に立ったに違いないものが惜しげもなく海中に投じられる。
結果、かれら五人は無一物の状態で無人島に到着することになるのである。
漂流物の超有名作『ロビンソン・クルーソー』にしても、セルカータ(『ロビンソン・クルーソー』のモデルといわれる人物)にしてもこれほど無一物に近い状態ではなかった。彼らは、座礁した船から、穀物や家畜、工作道具、弾薬など、たくさんの物資を取り出すことができたし、漂流物が海岸に打ち上げられたりして、生活に最低必要なものを手に入れることができた。つまり最初から、自然を前にして武器を備えていたのである。しかし、ここにはなんの器具もなかった。彼らはまったく無から出発しなければならなかった。
『ロビンソン・クルーソー』を読んだヴェルヌは思ったのかもしれない。
「手ぬるい!自分ならもっと過酷な状況から冒険を始めてみせる!」と。
手もとにあるもので役に立ちそうな道具といえるものは、マッチがたった一本だけ。
しかも、ようやく苦労して起こした火も、あっというまに消えてしまう。
自然そのものの無人島でどのように生きのびていけば良いのか? いったいどうやって火を起こすのか? 動物をつかまえるのか? 位置をたしかめるのか? 冬をしのぐのか? そして脱出するのか?
ヴェルヌは、粘土からレンガを生み出してかまどを作り、溶鉱炉を作って鉄を鍛えるという高度な文明を無人島でやってみせた。
あたかも人類の歴史を短縮して反復するように、様々な発明が成され、無人の島に文明の火がともされて行くくだりは圧巻。
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1863年に刊行されたジュール・ヴェルヌの長編冒険小説。 三人のイギリス人を主人公に、気球による当時未知の大陸であったアフリカを気球で横断し、断片的な地理上の発見を跡づけようというアフリカ探検(特に、当時は未知であったナイル川の源流探索)が描かれる。
巨大な熱気球を建造していた写真家ナダールと知り合い、それに触発されて本作を書き上げたとよく言われるが、ナダールが気球・巨人号を打ち上げる計画を立てたのは『気球に乗って五週間』の刊行より後のことであり、ヴェルヌがナダールと知り合ったのもおそらくその頃のことである。
二重構造の気球ヴィクトリア号を「操縦」して、アフリカ東海岸、インド洋に面したザンジバル島を飛び立ち、アフリカ西海岸セネガル川まで飛行する旅。
ヴェルヌは、電池やバーナーによって水素を加熱し膨張させ、垂直方向の移動を可能とし、気流に乗って飛ぶ操縦法を「発明」した。
一見合理的に見えるが、実は五週間の飛行に必要な電力をブンゼン電池から継続して得ることが可能なのか、ということが説明されていない。炭素と亜鉛アマルガムを電極とし、硫酸に二クロム酸カリウムを加えたブンゼン電池では、亜鉛極板の質量の減少分だけの電力を取り出すことができるが、大量の電力はおそらく不可能であろう。
しかし、熱気球建造者本人が計画を発表する前にこの物語を刊行してしまったジュール・ヴェルヌの先見性には脱帽せざるを得ない。
彼の名前は聞いたことがなくても、東京ディズニー・シーの人気アトラクションでもある『海底2万マイル』は聞いたことがあるはずだ。
実は、このアトラクションは、ジュール・ヴェルヌの小説をイメージしてつくられたアトラクションなのである。
ジュール・ガブリエル・ヴェルヌ(Jules Gabriel Verne、 1828年2月8日 - 1905年3月24日)は、フランスの小説家。サイエンス・フィクション(SF)の開祖として知られ、SFの父とも呼ばれる。
彼の作品は、科学的思考を根拠に綿密に作り上げられており、理系の人間にはたまらない魅力を醸し出す。
彼の作品には次のようなものがある。
海底二万マイル、十五少年漂流記 (ポプラポケット文庫 (410-1))
のような超有名作品にはじまり、月世界へ行く、地軸変更計画、悪魔の発明、動く人工島 (創元SF文庫)
、ハテラス船長の冒険、地底旅行 (偕成社文庫)
など完成度の高いSF小説を数多く発表しており、SF小説の皮切りだとも言われている。
これは、知らない人はいない名作。しかし、子ども用のものではなく、原文をそのまま翻訳された『海底2万海里』をきちんと読んだことがある人はいるだろうか。
船舶が巨大な角のようなもので喫水線下に大穴をあけられるという怪事件が続発。その真相を探るため、フランスの海洋生物学者アロナックス博士、その助手コンセーユ、銛打ち名人ネッド・ランドの3人はアメリカ合衆国の軍艦「エイブラハム・リンカーン号」に乗船するが、逆に軍艦をその怪物に攻撃され、甲板から海に投げ出されてしまう。
そして艦首に衝角を備えたその怪物こと潜水艦ノーチラス号とネモ船長に救助され、彼らと潜水艦の旅にでる。かくて紅海のサンゴ礁やヴィゴ島の海戦の残骸、沈んだアトランティス大陸の遺跡などを目撃した。
潜水艦の存在の予見もそうだが、深海で活動するための服などの未来予想図がすごい。
私は中学生の時に読んだのだが、その専門性にゲンナリした記憶が強烈に残っている。登場人物が、船中のガラス越しに見えている魚を延々と分類するのだ!鮫科〜類〜綱…亜種だとかを延々と繰り返すのだ!海底二万マイルはこんなにつまらない作品だったか?と思ったものだった。
A巨大な大砲で月を目指す冒険譚『月世界へ行く』
彼の科学への情熱は熱烈なものであった。月へ行くことが、全く現実味を帯びていなかった時代、彼は月へ行く小説を書いた。その乗り物はロケットではなかった。なんと、砲弾なのだ!!
ロケットと砲弾という形こそ違うものの、宇宙空間の無重力や月の引力まで考えられており、実際月に行く過程でこのようなアイディアや段階が踏まれたのではないか、と想像できるほど綿密に組み立てられた小説であった。
冒険者3人の乗った砲弾は予定時刻ちょうどに発射されたが、地球近傍でニアミスした小天体の重力によって、月を周回する楕円軌道にのってしまう。
この状態を脱するため、機尾の着陸用逆噴射ロケットを使って軌道を変え、敢えて月面に着陸しようと決心する。最適な瞬間にロケットが点火され、砲弾は楕円軌道から抜け出る。しかし新たな軌道は彼らの意図とは異なり、地球へ帰還する軌道であった。
数日後、北太平洋に砲弾は着水し、帰還。
不要物の真空中への投棄、酸素酔い、地球=月の重力均衡地点における無重力状態、などのエピソードが語られる。
地球から観測できる限界のサイズである直径7フィート(2.1m)のアルミニウム製中空球体、砲は長さ900フィート(約270m)の鋳鉄製。
月まで投射物を到達させるために必要な初速や、その際の飛行所要時間など、天体力学的な理論面にはおおむね不備がない。着陸時にロケットを逆噴射する構想などにも先見性が見られる。
B北極への思いもよらない到達方法とは!?『地軸変更計画』
当時未踏であった北極の土地が競売にかけられ、その北極の下に眠るという莫大な石炭を手に入れるために奔走する物語である。今まで誰も北極まで辿り着いた者はいない。つまり、これからも北極までは行けない。ということは、北極に来てもらうしかない!!そして、有能な数学者JTマストンが導きだした方法とは。そして、その驚くべき悲劇の結末とは…
地軸変更計画は、月世界へ行くの続編のような流れがあるので、月世界へ行くを先に読むことをお勧めする。
どちらも理系人間にとっては興味深く、面白い物語である。
当時は人類は北極点にも南極点にも到達しておらず、極地はまだ人類のまったく知らない世界で、想像力を十分にめぐらすことのできる舞台だった。だから「北極大陸」が存在して、その地下に豊富な石炭資源が眠っているという想像も生まれてくる。
この物語では、アメリカ合衆国政府が中心になり、バービケインらの民間プロジェクトのために国際社会に向けて北極を競売にかける。国際社会といっても実際にはヨーロッパの列強諸国に過ぎない。ヨーロッパの列強諸国はばかばかしいと思っているけれども、アメリカに北極を取られることへの警戒感から、互いに不信を抱きつつも手を携えてアメリカ政府にあたる。ヨーロッパはその老獪ろうかいな外交手腕でアメリカの北極独占を阻止しようとするが、けっきょくアメリカの資金力に押し切られる。なぜアメリカ合衆国は北極獲得を狙ったのか。それは産業の発展とともに石炭資源が急速に枯渇すると予測されているからだ。北極大陸には大量の石炭が埋蔵されていることが予測されている。アメリカが北極を獲得し、北極大陸の石炭をアメリカの民間会社の手で開発すれば、産業社会の主導権をアメリカ合衆国が握ることができるのだ。
しかし、最初はこのプロジェクトを支援したアメリカ合衆国政府だったが、地軸移動が地球に大災難を引き起こしかねないことに世論が不安を抱くと、今度はプロジェクト関係者を犯罪者扱いして全力で阻止にかかる。「世論」の支配する国がやることの振れの極端さもヴェルヌはよく描いている。
ブッシュ政権のアメリカを揶揄するために書かれた物語のようである。ブッシュ政権とエネルギー産業の癒着ぶりは2001年のエンロン事件でも明るみに出た。イラク戦争後の開発事業の割り振りでもブッシュ政権と関係の深い石油産業への露骨な利益配分を試みている。ヴェルヌ時代には石炭だったものが石油に変わっただけだ。それに対するヨーロッパ列強の駆け引き外交と、ヨーロッパ諸国間の思惑のぶつかり合いなんかも2002年後半〜2003年のイラク戦争をめぐる駆け引きを思わせるものがある。
日本でアニメにもなった!『十五少年漂流記』
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15人の少年を乗せた船『スラウギ号』は、嵐の海に漂流し、無人島に流れ着く。
少年たちは、植民地として運営していく体制を整えていく。動植物や、工夫を重ねた道具の作成などで島での生活は次第に潤っていくが、仲間割れがおこり、15人の結束に少しずつひびを入れていく。
そして、漂流から2年目を迎えた嵐の夜、島に謎の船が流れ着いたことによって、少年達の生活は激動していく…。
D地上で絶滅したはずの古生物に出会う『地底旅行 (岩波文庫)』
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ヨハネウム学院鉱物学教授オットー・リーデンブロックが骨董店で購入した本に、地球の中心にたどり着くことができるルートが記されていたメモが挟まっていた。教授は、現地で雇った案内人とわたしと共に、火口を下る。
大空洞に到達した3人はそこで、海やキノコの森、地上では絶滅したはずの古生物たちが闊歩するのを見た。
地底海の航海の末、嵐で岸に打ち上げられた彼らはトンネルの入り口を発見するが、岩で塞がれていた。岩を爆破したが、爆破で生じた激流に呑まれ、活火山の火道に紛れ込んでしまったが、マグマと共に上昇中であることに気付く。彼らはストロンボリ島の火山噴火に乗じて地上に生還。
本作の前半では地理学(アイスランドの風物)、後半では地質学・古生物学を科学的な考察を交えて語っている。科学性を重んずるヴェルヌが地下の高圧や高熱の問題を知りつつも敢えてキャラクターを地底に送り込んだことは異例であるが、熱の問題は常に懐疑論者のアクセルによって言及され(最終的にも「地下で高温に遭遇しなかったのはあくまで特殊な事象であろう」との旨が述べられており)、物語が完全な非科学に陥ることは防がれている。
E伝説の番組・電波少年でもモデルにされた『八十日間世界一周』
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イギリス人資産家フィリアス・フォッグが執事のパスパルトゥーを従え、後期ビクトリア朝時代の世界を80日で一周しようと試みる、波瀾万丈の古典的冒険小説。
新聞で「イギリス領インド帝国に新たに鉄道が設けられた」という記事を見て、フォッグは「これで世界を80日で一周することが可能になった」と主張したのだ。
そもそも人は得られるものがもっと少なかったとしても、世界一周の旅に出かけるのだろう。
<世界一周の道筋>
ロンドン/スエズ 鉄道および蒸気船 7日間滞在
スエズ/ボンベイ 蒸気船 13日間滞在(合計20日)
ボンベイ/カルカッタ 鉄道 3日間滞在 (合計23日)
カルカッタ/香港 蒸気船 13日間滞在 (合計36日)
香港/横浜 蒸気船 6日間滞在 (合計42日間)
横浜/サンフランシスコ 蒸気船 22日間滞在 (合計64日間)
サンフランシスコ/ニューヨーク 鉄道 7日間滞在 (合計71日間)
ニューヨーク/ロンドン 蒸気船および鉄道 9日間滞在 (合計80日間)
この小説に触発され、実際にやってみた人もおり、彼は76日で達成して見せた。
F21世紀の殺伐とした世界を予見した『悪魔の発明 (創元推理文庫 606-3)
大きな殺傷力を持つ爆弾を開発した技術者が国際的テロリスト集団に拉致された。この国際テロリスト集団は、東南アジア系のテロリストをボスとして、世界各地から集まったテロリストや犯罪者によって構成されていた。国際的テロ組織が大量破壊兵器を手にしようとしている! 多国籍連合軍を編成してテロリストの根拠地と見られる島に攻撃し、テロリスト全員の死亡を確認した。
いまから100年以上まえ、日本が日清戦争を戦っているころ、ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)は、原子爆弾などの大量破壊兵器やISをはじめとする国際テロリスト集団の横暴とが世界を騒がせる21世紀初頭の世界を予期していたのだろうか?
ジュール・ヴェルヌの先見性を考えると、ぞっとする。
Gジュール・ヴェルヌの予見性が爆発する作品『サハラ砂漠の秘密 (創元SF文庫)』
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ジェーンは、甥と共にアフリカでの任務中に反逆罪を犯して銃殺された兄と家の名誉を回復するため、アフリカの奥地に赴く。
途中、ハリー・キラーという人物が支配する土地ブラックランドへ誘拐される。
そこでは黒人たちが奴隷にされ、カマレ博士の超伝導物質や都市の隅々まで監視できる監視システムなど未来的な武器で犯罪を重ねるおそろしい国だった。ハリー・キラーは、彼らをスパイだと勘違いして誘拐していた。
なんとか逃げ出そうとする過程でカマレ博士と出会う。博士は、自分の研究が犯罪に使われていることを知り、ハリー・キラーとの戦いの末、ブラックランドすべて、つまり彼の作品全ての破壊を決意した。
H海底二万マイルの続編!?神秘の島〈第2部〉 (偕成社文庫)
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南北戦争中、南軍が北軍の包囲網を突破するための気球を北軍支持者の一団が、この気球を奪って脱出。しかし途中で気球が落下を始め、地図にも載っていない太平洋上のある無人島に漂着。一行はこの島で自活したが、散弾で仕留められた獣が見つかったり、海賊の船が機雷により沈没させられるなど奇怪なできごとが多発。
そしてある時、潜水艦が停泊しているのを発見。ネモ船長と名乗る老人にこの島がもうすぐ吹き飛ぶであろうことを知らされた。脱出用の船の完成が間に合わず、島は水蒸気爆発により吹き飛んだ。わずかに残った岩の上で救助された彼らは、故郷でネモ船長の遺した財宝を元に広大な土地を買い取り、リンカーン島と名付け開拓した。
ガスは抜け、気球の高度を何とか保つため、かれらは気球のなかにのこされたものを捨てていく。
金貨! 食糧! 道具! そして自分たちが乗っていたゴンドラそのものにいたるまで、保存しておけば役に立ったに違いないものが惜しげもなく海中に投じられる。
結果、かれら五人は無一物の状態で無人島に到着することになるのである。
漂流物の超有名作『ロビンソン・クルーソー』にしても、セルカータ(『ロビンソン・クルーソー』のモデルといわれる人物)にしてもこれほど無一物に近い状態ではなかった。彼らは、座礁した船から、穀物や家畜、工作道具、弾薬など、たくさんの物資を取り出すことができたし、漂流物が海岸に打ち上げられたりして、生活に最低必要なものを手に入れることができた。つまり最初から、自然を前にして武器を備えていたのである。しかし、ここにはなんの器具もなかった。彼らはまったく無から出発しなければならなかった。
『ロビンソン・クルーソー』を読んだヴェルヌは思ったのかもしれない。
「手ぬるい!自分ならもっと過酷な状況から冒険を始めてみせる!」と。
手もとにあるもので役に立ちそうな道具といえるものは、マッチがたった一本だけ。
しかも、ようやく苦労して起こした火も、あっというまに消えてしまう。
自然そのものの無人島でどのように生きのびていけば良いのか? いったいどうやって火を起こすのか? 動物をつかまえるのか? 位置をたしかめるのか? 冬をしのぐのか? そして脱出するのか?
ヴェルヌは、粘土からレンガを生み出してかまどを作り、溶鉱炉を作って鉄を鍛えるという高度な文明を無人島でやってみせた。
あたかも人類の歴史を短縮して反復するように、様々な発明が成され、無人の島に文明の火がともされて行くくだりは圧巻。
I『気球に乗って五週間 (集英社文庫)』
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1863年に刊行されたジュール・ヴェルヌの長編冒険小説。 三人のイギリス人を主人公に、気球による当時未知の大陸であったアフリカを気球で横断し、断片的な地理上の発見を跡づけようというアフリカ探検(特に、当時は未知であったナイル川の源流探索)が描かれる。
巨大な熱気球を建造していた写真家ナダールと知り合い、それに触発されて本作を書き上げたとよく言われるが、ナダールが気球・巨人号を打ち上げる計画を立てたのは『気球に乗って五週間』の刊行より後のことであり、ヴェルヌがナダールと知り合ったのもおそらくその頃のことである。
二重構造の気球ヴィクトリア号を「操縦」して、アフリカ東海岸、インド洋に面したザンジバル島を飛び立ち、アフリカ西海岸セネガル川まで飛行する旅。
ヴェルヌは、電池やバーナーによって水素を加熱し膨張させ、垂直方向の移動を可能とし、気流に乗って飛ぶ操縦法を「発明」した。
一見合理的に見えるが、実は五週間の飛行に必要な電力をブンゼン電池から継続して得ることが可能なのか、ということが説明されていない。炭素と亜鉛アマルガムを電極とし、硫酸に二クロム酸カリウムを加えたブンゼン電池では、亜鉛極板の質量の減少分だけの電力を取り出すことができるが、大量の電力はおそらく不可能であろう。
しかし、熱気球建造者本人が計画を発表する前にこの物語を刊行してしまったジュール・ヴェルヌの先見性には脱帽せざるを得ない。
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