今回の作者は遠藤彩見さん。実はこの本を読むまでは、全く知りませんでした。
作者プロフィールによると元々は脚本家さんで、テレビドラマでは有名な方だっ
たようです。と言われればなるほど、文章も判り易く、何よりシーンの情景が目
に浮かぶようです。
主人公は松島照月、安穏寺の副住職で過去に寺を出奔し、住職の父に多大な迷惑
をかけ、その後性懲りもなく出戻って、現在に至っている。その照月を中心に、
父の荒行留守中にてんやわんやの大騒動、果たして照月はこの騒動にどう対応し
て行くのか。と書いてしまえばこれだけの事なのだが、ただここに出て来る登場
人物が皆見事に濃いキャラクターで、読む者を飽きさせない。
それと設定がお寺というやや非日常な世界で、日常の仕事や行事や仕来たり等知
らない事ばかりで、けっこう参考になり面白い。そこに先程の濃いキャラクター
達が入り乱れるのだが、何と言っても筆頭は、寺の茶室でバー極楽を営んでいる
フミヨとテイ子の姉妹。何故寺でバーを開業しているのかは、読んでみてのお楽
しみ。次が檀家代表の温井、叔母の明江、家出人の勝尾、檀家の晴山夫妻に娘の
千波、ゴミ屋敷の八重と司、それと高級マンションの上園理事等が各回の物語に
入り混じって登場する。
ここで各回の小タイトルを紹介すると
第一章 ビネガーと煩悩
第二章 フルーツと正見
第三章 スナックと滅諦
第四章 アイスクリームと普請
第五章 シチューと波羅蜜
どれも胡散臭くて面白そうでしょう。
しかも毎回主人公の照月がとことん追い込まれながらも、問題児となった人物を
回りの人の力を借りながらも解決に導いていく。まるで仏様のお導きのように。
そして問題人物が煩悩から解放された時の決め台詞「解脱」が、まるであの半沢
直樹の決め台詞「倍返しだ」に聞こえるから不思議です。
この作品は大向こうをうならせるような大作品ではありませんが、それでも毎回
人間の業や欲、そして生きるとはどういう事か等という永遠のテーマを、抹香臭
さをあまり感じさせずに考えさせる秀作だと私は思いました。
それでは又。
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