またまた、株に関係のない書評でごめんなさい。でもでも、書かずにいられません。
大の男が、もうすぐ70歳になろうという男が、結構泣きました。本当に心に滲みま
した、痛いほど。さすがに70歳近くになると、死というものを身近に感じないでは
いられません。50代くらいまでは死というものをまだ他人事、自分の事として心底は
感じられていませんでした。芸能人の死を見ていて、大先輩(年齢的にですよ)まだま
だ大丈夫。やや先輩、いよいよ死が自分に近づいてきたのかな。同期や後輩、もう他.
人事ではありません。そうだよね、西城秀樹君。
こういう心細さが垣間見える年齢の私に、ぴったりの本が出て来てしまいました。
その名も「おもかげ」浅田二郎氏の本です。もうタイトルからして、何かありそう
で、うるっと来そうじゃありませんか。読む前は正直、浅田氏得意の悲恋ものみたいな
イメージでしたが、最後はすっかりやられましたね。けっこう長い小説なので、ここで
全てを解説する訳にはいきませんが、とっかかりだけでも書いてみたいと思います。
少々荒っぽい解説ですが、ご了承下さい。
話は主人公の竹脇正一が、定年退職時の自分の送別会の後、帰りの地下鉄の中で倒れて
しまうところから始まる。病院に緊急搬送され生きるか死ぬかの瀬戸際。医者も身内に
希望を持たせるようなことを言えない状況下で、正一にゆかりのある人達が見舞いに来
る。会社の同期、養護施設の親友、義理の息子そして看護には自分が良く知っている
児島さん。いろいろな人がそれぞれの立場で、自分を心配していてくれる。体は動かな
いし意識朦朧だが、耳は聞こえる。
そんな朦朧状態の中でもやや意識が回復した時だけ、おもかげの人達が現れる。マダム
・ネージュ、入江静、榊原勝男、峰子、古賀文月、そして女房の節子。一人一人が正一
の想い出に蘇る。実は竹脇正一は子供の頃、両親に捨てられた悲惨な過去を持っており、
又自分の息子春哉を、4歳の時に交通事故で亡くしている。
そういうしがらみが、朦朧とした意識の中で浮かんでは消え、浮かんでは消えして、し
かしはっきりと蘇ってくる。マダム・ネージュ、入江静、峰子は本当は誰なのか。自分
の母親は本当に自分が憎くて捨てたのか。春哉は自分を恨んでいるのか。そして自分は
このまま意識が戻らず、死んでしまうのだろうか。
本当に死というものが身近になった年代になって、自分のこれからの生きざま、家族、
友人、そしてこれまでお世話になって来た人達の事を思い起こさずにはいられない、
心の1冊になりました。それでは又。
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