書評が続いてしまいましたが、この本を読んで他人事じゃないなあとしみじみ
感じました。作家で医師でもある久坂部羊氏の新刊です。私の場合は97歳の実
父がまだ健在で、たまたま母が倒れた時に私は東京で、妹夫婦が地元にいた為
引き取ってくれ、面倒を見続けてくれています。本当に感謝しています。
我が家ではその代わり92歳の一人暮らしの義母の面倒を、義姉と家内と義弟が
当番制で見守っています。最近は義母の痴呆症がやや進んで来ているようで、
必ず当番の誰かが泊まるようになりました。
実父は97歳ですがまだ至って元気で、全然呆けていませんし、自分の事は自分
でできていますが、実母の時は痴呆症が酷くて妹は大変苦労したようです。詳
しい事は書けませんが、正直死んでくれてホッとしたというのが不謹慎ですが,
実感ではなかったかと思います。
さて本題に入りますが、主人公の五十川幸造も妻に先立たれての一人暮らしで
すが、まだ痴呆症の自覚も無く、自分の事は自分でやり、ボケ防止の書き取り
の訓練などもやっておりました。しかし段々と痴呆症が進行し、物忘れが酷く
なり、家に帰れなくなりそうになったり、車の運転が覚束なくなったりしてき
ます。
近くに住む長男夫婦が心配して、病院の検査や運転免許の返還を画策しますが、
本人に自覚症状が無いのとプライドが邪魔をして、なかなか言う事を聞き入れ
ません。その内に家の内外でいろいろな事件を巻き起こしてしまい、とうとう
病院経由で介護施設に入る事になってしまう。ここでも病院の経営事情からく
る強制退院の事や介護施設での費用負担の問題など、考えさせられる事が多い。
病人は介護されればされるほど弱ってしまうとよく言われるが、主人公も施設
に入ってから更に症状が悪化して来てしまう。そんな時長男の嫁が講演で知っ
た認知症の専門クリニックの和気医師にアドバイスを貰う事で、段々と認知症
患者への理解と接し方を学んで行く。ここで和気医師が患者の息子の嫁で、わ
がままな患者に嫌な顔一つせず黙々とお世話している人の話をするが、これが
本当に心に滲みる。その嫁は自分達が若い頃患者のお爺ちゃんに本当に支えら
れ助けられたから今はその恩返しで、少々の事は気にならないと言ったそうで
す。それと認知症を治そうとしてはいけないという言葉も新鮮でした。
これを機に長男夫婦の主人公への接し方も頗る穏やかになり、主人公にもその
気持ちが伝わっていくのか、最後はゆったりとした末期を迎えるというストー
リーですが,この本は読んで面白いという事と共にここに書いてある事を知って
おく事で、認知症患者に沿ったケアが実現すると感じた次第です。
誰にでもいつかは老いと死が来ます。それでは又。
新品価格 |
【相場師朗】 7step株式投資メソッド
紫垣デイトレード塾
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
にほんブログ村
株式投資ランキング