2017年03月16日
陳述(呼応・叙述)の副詞
副詞が3種類ある話はしましたが、
まだ3つ目の副詞である陳述(呼応・叙述)の副詞の説明をしていなかったので、
今日は、それについて書こうと思います。
陳述(呼応・叙述)の副詞とは、
そのあとに一定の意味の語が来るように作用する副詞のことです。
下記のラブレターに含まれている陳述の副詞と、
それに呼応する語を探してみてください。
君は、まるで太陽のようです。なぜそんなに周りを明るくすることができるのでしょうか。僕は、そんな君が大好きです。もし何かが君の笑顔を曇らせるようなことがあったら、きっと僕は君の力になります。僕は君のためならどんな困難にも決して屈しないで、全力で君を守ります。おそらく君も僕のことを想ってくれているだろうと、僕は感じています。どうか、僕と付き合ってください。たとえ君が他の男と付き合うことになっても、僕は君のことを想い続けます。
見つけられましたか?
これを授業で紹介したら、
「やだー。きもーい。ストーカーみたーい。」
という反応だったので、ちょっとガックリ ◯| ̄|_
まぁ、最近は告白もLINEかメールでサラッとするのが主流のようなので、
こんなラブレターで告白されたら、
重くてかなわないのでしょうね。
さて、正解は
君は、まるで太陽のようです。なぜそんなに周りを明るくすることができるのでしょうか。僕は、そんな君が大好きです。もし何かが君の笑顔を曇らせるようなことがあったら、きっと僕は君の力になります。僕は君のためならどんな困難にも決して屈しないで、全力で君を守ります。おそらく君も僕のことを想ってくれているだろうと、僕は感じています。どうか、僕と付き合ってください。たとえ君が他の男と付き合うことになっても、僕は君のことを想い続けます。
でした。
陳述の副詞は、
呼応する語の種類によって分類すると、
8種類ほどあります。
@疑問…なぜ、どうして
A推量…たぶん、おそらく、さぞ
B否定推量(打消推量)…まさか、よもや
C比喩…ちょうど、まるで
D願望…どうか、どうぞ、ぜひ
E否定(打消)…決して、めったに、全然、少しも
F仮定…もし、たとえ、いくら
G断定…きっと
この中で、
「全然」について、
疑問に思っている人が少なからずいるようなので、
ここで説明します。
「全然」は否定・打消の意味の語を伴って使うものだ、
と習った人、指導された人、いますよね。
私も、「全然美味しい」「全然合っている」のような使い方は間違っていると教わりました。
けれども、
かの有名な夏目漱石が『坊ちゃん』の中で「一体生徒が全然悪るいです」と言っていたり、
かの有名な芥川龍之介が『羅生門』の中で「この老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されていると云う事を意識した」と言っていたり、
かの有名な志賀直哉が『暗夜行路』の中で「全然暇になるから」と言っていたりと、
名だたる文豪が、否定語を伴わずに「全然」を用いている例があるので、
はたして、それは本当に間違いなのか?と思いますよね。
実は、「全然」という言葉は、
形容詞「全し」の語幹+状態を表す接尾語「然」
というのが成り立ちで、
「断然」とか「俄然」などと同じ種類の単語です。
この言葉が日本で使われるようになった時には、
まだ「否定語を伴わなければならない」という縛りはなかったと思われます。
「全然」を否定語とともに用いられるようになったのは、
昭和になってから。
つまり、もともと「全然」は否定語をともなわなくても使える語だったのです。
だから、最近になって出版・改訂された国語辞典で「全然」を引くと、
たとえばデジタル大辞泉は
1 (あとに打消しの語や否定的な表現を伴って)まるで。少しも。「全然食欲がない」「その話は全然知らない」「スポーツは全然だめです」
2 残りなく。すっかり。
「結婚の問題は―僕に任せるという愛子の言葉を」〈志賀・暗夜行路〉
3 (俗な言い方)非常に。とても。「全然愉快だ」
たとえば大辞林第三版は
@ (打ち消し、または「だめ」のような否定的な語を下に伴って)一つ残らず。あらゆる点で。まるきり。全く。 「雪は−残っていない」 「金は−ない」 「 −だめだ」
Aあますところなく。ことごとく。全く。すべて。すっかり。 「一体生徒が−悪るいです/坊っちゃん 漱石」 「母は−同意して/何処へ 白鳥」
B〔話し言葉での俗な言い方〕 非常に。とても。 「 −いい」
というように、否定語を伴わない意味・用法についても載っています。
ですから、
「全然美味しい」は全然大丈夫!
…と言いたいところですが、
それを受け入れたくない昭和世代と衝突しないためには、
「上手く使い分けることが処世術として大切です」
とアドバイスしておきます。
まだ3つ目の副詞である陳述(呼応・叙述)の副詞の説明をしていなかったので、
今日は、それについて書こうと思います。
陳述(呼応・叙述)の副詞とは、
そのあとに一定の意味の語が来るように作用する副詞のことです。
下記のラブレターに含まれている陳述の副詞と、
それに呼応する語を探してみてください。
君は、まるで太陽のようです。なぜそんなに周りを明るくすることができるのでしょうか。僕は、そんな君が大好きです。もし何かが君の笑顔を曇らせるようなことがあったら、きっと僕は君の力になります。僕は君のためならどんな困難にも決して屈しないで、全力で君を守ります。おそらく君も僕のことを想ってくれているだろうと、僕は感じています。どうか、僕と付き合ってください。たとえ君が他の男と付き合うことになっても、僕は君のことを想い続けます。
見つけられましたか?
これを授業で紹介したら、
「やだー。きもーい。ストーカーみたーい。」
という反応だったので、ちょっとガックリ ◯| ̄|_
まぁ、最近は告白もLINEかメールでサラッとするのが主流のようなので、
こんなラブレターで告白されたら、
重くてかなわないのでしょうね。
さて、正解は
君は、まるで太陽のようです。なぜそんなに周りを明るくすることができるのでしょうか。僕は、そんな君が大好きです。もし何かが君の笑顔を曇らせるようなことがあったら、きっと僕は君の力になります。僕は君のためならどんな困難にも決して屈しないで、全力で君を守ります。おそらく君も僕のことを想ってくれているだろうと、僕は感じています。どうか、僕と付き合ってください。たとえ君が他の男と付き合うことになっても、僕は君のことを想い続けます。
でした。
陳述の副詞は、
呼応する語の種類によって分類すると、
8種類ほどあります。
@疑問…なぜ、どうして
A推量…たぶん、おそらく、さぞ
B否定推量(打消推量)…まさか、よもや
C比喩…ちょうど、まるで
D願望…どうか、どうぞ、ぜひ
E否定(打消)…決して、めったに、全然、少しも
F仮定…もし、たとえ、いくら
G断定…きっと
この中で、
「全然」について、
疑問に思っている人が少なからずいるようなので、
ここで説明します。
「全然」は否定・打消の意味の語を伴って使うものだ、
と習った人、指導された人、いますよね。
私も、「全然美味しい」「全然合っている」のような使い方は間違っていると教わりました。
けれども、
かの有名な夏目漱石が『坊ちゃん』の中で「一体生徒が全然悪るいです」と言っていたり、
かの有名な芥川龍之介が『羅生門』の中で「この老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されていると云う事を意識した」と言っていたり、
かの有名な志賀直哉が『暗夜行路』の中で「全然暇になるから」と言っていたりと、
名だたる文豪が、否定語を伴わずに「全然」を用いている例があるので、
はたして、それは本当に間違いなのか?と思いますよね。
実は、「全然」という言葉は、
形容詞「全し」の語幹+状態を表す接尾語「然」
というのが成り立ちで、
「断然」とか「俄然」などと同じ種類の単語です。
この言葉が日本で使われるようになった時には、
まだ「否定語を伴わなければならない」という縛りはなかったと思われます。
「全然」を否定語とともに用いられるようになったのは、
昭和になってから。
つまり、もともと「全然」は否定語をともなわなくても使える語だったのです。
だから、最近になって出版・改訂された国語辞典で「全然」を引くと、
たとえばデジタル大辞泉は
1 (あとに打消しの語や否定的な表現を伴って)まるで。少しも。「全然食欲がない」「その話は全然知らない」「スポーツは全然だめです」
2 残りなく。すっかり。
「結婚の問題は―僕に任せるという愛子の言葉を」〈志賀・暗夜行路〉
3 (俗な言い方)非常に。とても。「全然愉快だ」
たとえば大辞林第三版は
@ (打ち消し、または「だめ」のような否定的な語を下に伴って)一つ残らず。あらゆる点で。まるきり。全く。 「雪は−残っていない」 「金は−ない」 「 −だめだ」
Aあますところなく。ことごとく。全く。すべて。すっかり。 「一体生徒が−悪るいです/坊っちゃん 漱石」 「母は−同意して/何処へ 白鳥」
B〔話し言葉での俗な言い方〕 非常に。とても。 「 −いい」
というように、否定語を伴わない意味・用法についても載っています。
ですから、
「全然美味しい」は全然大丈夫!
…と言いたいところですが、
それを受け入れたくない昭和世代と衝突しないためには、
「上手く使い分けることが処世術として大切です」
とアドバイスしておきます。
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