2017年03月15日
「普通に」など
最近、「普通においしい」というような言い方が、
若い人たちの間で結構使われていて、
「おいしい、とシンプルに言えばいいのに、
なぜ『普通に』を付けるのか」
と、ずっと思っていました。
「普通に」と言われては、
「所詮は平均点」と言われているようで、
全く素直に喜べません。
けれども、
この「普通に」は、
まずい→普通→おいしい
の真ん中の「普通」ではなく、
「一般的においしいといわれているところの真ん中あたり」
「すごくおいしいわけじゃないけど、一定基準は満たしたおいしさ」
つまり、
「おいしい」の中の「普通」
として使われているようなのです。
それにしたって、
「すごくおいしい」わけじゃないから、
手放しでは喜べない気がします。
でも実際に使ってみると、
こういう微妙なニュアンスを一言で表す言葉が他にないから、
思いのほか便利です。
「普通にカッコイイ」と言われて嬉しいものだろうかと思って使ってみたら、
平成生まれの相手は喜んでいました。(私は昭和。)
初めのうちは変だと思って違和感を感じていた言葉が、
知らず知らずのうちに定着してしまうことって、結構ありますね。
私は、「ゲットする」という言葉が初めて出てきたとき、
もうかれこれ20年以上前になりますが、
気持ち悪くてしかたありませんでした。
「ゲット」って、英語の「GET」ですよ、「手に入れる」という意味の。
しかも、それ自体が動詞です。
なぜ英語に日本語をくっつけるのか、
なぜすでに「する」という意味を含む言葉に「する」というサ変動詞をくっつけるのか。
ところが、「ポケモン、ゲットだぜ!」でさらに定着した「ゲットする」は、
もはやこれに代わる言葉を和語でなんというのか、
思いつきません。
まず、「手に入れた」には、明らかにそれを所有した、自分のものにした、という感じがあるので、
たとえば「彼女を手に入れた」なんて言っては、
「彼女をもの扱いするなんて失礼だ」と思われてしまいます。
でも、「彼女をゲットした」だったら、どうでしょう。
「頑張って振り向かせた」のか「棚ぼた的に付き合えた」のかはわかりませんが、「手に入れる」より軽く、さわやかな感じがします。
そう、この「軽さ」「カジュアルさ」が現代のキーワードなんですよね、
良くも悪くも。
日常的には、
「すごくおいしい」ものに出会うより、
「普通においしい」ものに出会う確率のほうが、圧倒的に高い。
ということは、
「普通においしい」と表現する回数も、
「すごくおいしい」より多くなるはず。
「まぁ、最低基準はクリアしたおいしさだよね」というと、
上から目線で好印象じゃないし、
言葉も長くなるので、
「普通においしい」を使う。
……こんな感じで定着していくのだろうと思います。
ちなみに、
この場合の「普通に」は、
名詞+助動詞ではなく、
形容動詞でもなく、
副詞です。
「すごくおいしい」の「すごく」は、
「すごい」という形容詞の連用形です。
これも最近は「すごいおいしい」という人が増えていて、
「間違っている!」と目くじらを立てる人がいますが、
金田一秀穂さんは
「これは、形容詞の間違った使い方をしているのではなく、新しい副詞が生まれたのだ」
と主張しています。
「すごい」が副詞。
すごいおもしろい考え方ですね。
金田一さんのこの辞書↑、
おすすめです。
私は普段、収録語数が多い岩波の広辞苑を使っていますが、
この国語辞典は、
取り上げられている言葉の趣味の良さと、
わかりやすい言葉を選んだ説明が、
日常使いにぴったりです。
若い人たちの間で結構使われていて、
「おいしい、とシンプルに言えばいいのに、
なぜ『普通に』を付けるのか」
と、ずっと思っていました。
「普通に」と言われては、
「所詮は平均点」と言われているようで、
全く素直に喜べません。
けれども、
この「普通に」は、
まずい→普通→おいしい
の真ん中の「普通」ではなく、
「一般的においしいといわれているところの真ん中あたり」
「すごくおいしいわけじゃないけど、一定基準は満たしたおいしさ」
つまり、
「おいしい」の中の「普通」
として使われているようなのです。
それにしたって、
「すごくおいしい」わけじゃないから、
手放しでは喜べない気がします。
でも実際に使ってみると、
こういう微妙なニュアンスを一言で表す言葉が他にないから、
思いのほか便利です。
「普通にカッコイイ」と言われて嬉しいものだろうかと思って使ってみたら、
平成生まれの相手は喜んでいました。(私は昭和。)
初めのうちは変だと思って違和感を感じていた言葉が、
知らず知らずのうちに定着してしまうことって、結構ありますね。
私は、「ゲットする」という言葉が初めて出てきたとき、
もうかれこれ20年以上前になりますが、
気持ち悪くてしかたありませんでした。
「ゲット」って、英語の「GET」ですよ、「手に入れる」という意味の。
しかも、それ自体が動詞です。
なぜ英語に日本語をくっつけるのか、
なぜすでに「する」という意味を含む言葉に「する」というサ変動詞をくっつけるのか。
ところが、「ポケモン、ゲットだぜ!」でさらに定着した「ゲットする」は、
もはやこれに代わる言葉を和語でなんというのか、
思いつきません。
まず、「手に入れた」には、明らかにそれを所有した、自分のものにした、という感じがあるので、
たとえば「彼女を手に入れた」なんて言っては、
「彼女をもの扱いするなんて失礼だ」と思われてしまいます。
でも、「彼女をゲットした」だったら、どうでしょう。
「頑張って振り向かせた」のか「棚ぼた的に付き合えた」のかはわかりませんが、「手に入れる」より軽く、さわやかな感じがします。
そう、この「軽さ」「カジュアルさ」が現代のキーワードなんですよね、
良くも悪くも。
日常的には、
「すごくおいしい」ものに出会うより、
「普通においしい」ものに出会う確率のほうが、圧倒的に高い。
ということは、
「普通においしい」と表現する回数も、
「すごくおいしい」より多くなるはず。
「まぁ、最低基準はクリアしたおいしさだよね」というと、
上から目線で好印象じゃないし、
言葉も長くなるので、
「普通においしい」を使う。
……こんな感じで定着していくのだろうと思います。
ちなみに、
この場合の「普通に」は、
名詞+助動詞ではなく、
形容動詞でもなく、
副詞です。
「すごくおいしい」の「すごく」は、
「すごい」という形容詞の連用形です。
これも最近は「すごいおいしい」という人が増えていて、
「間違っている!」と目くじらを立てる人がいますが、
金田一秀穂さんは
「これは、形容詞の間違った使い方をしているのではなく、新しい副詞が生まれたのだ」
と主張しています。
「すごい」が副詞。
すごいおもしろい考え方ですね。
金田一さんのこの辞書↑、
おすすめです。
私は普段、収録語数が多い岩波の広辞苑を使っていますが、
この国語辞典は、
取り上げられている言葉の趣味の良さと、
わかりやすい言葉を選んだ説明が、
日常使いにぴったりです。
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親には「変な言葉だ」と言われますが。。。「全然変じゃないよ」と返します。
よくわかりませんが、「おいしくないことはない」「大丈夫ではないことはない」「変だと否定されたが、変だとは思わない」否定的なことを否定で使う全然で打ち消しているのかな・・・
英語の文法で「not」や「副詞」を付ける感覚みたいに「普通に」「全然」などを付け加えてしまっているのかも??