r = θ
というもっとも基本的な螺旋です。(x, y) は
x = θ cosθ, y = θ sinθ
と表せました。
方形らせん(方形が拡大されていきます)
今回はアルキメデス螺旋を少し変形して
x = θ cos2θ, y = θ sin2θ [1]
という関数を考えてみます。さっそくグラフを確認してみましょう:
奇妙なグラフが現れましたね。このグラフを見ると [1] から媒介変数 θ を消去することはできそうにありません(x と y だけでこのような複雑なグラフを表現することは不可能だと思います)。しかし [1] から x と y は
x + y = θ
という関係にあることだけはわかります。
つまり θ を 0 から動かし始めた場合、
x + y = 0
x + y = 0.1
x + y = 0.2
x + y = 0.3
・・・・・・
x + y = 1.0
x + y = 1.2
・・・・・・
x + y = 0.1
x + y = 0.2
x + y = 0.3
・・・・・・
x + y = 1.0
x + y = 1.2
・・・・・・
というように、(x, y) は少しずつ切片の変化する直線上を動き続けるわけです。結果として x 軸と y 軸で折り返す波のようなグラフができあがりますが、実はこの曲線は螺旋を第1象限の中に閉じ込めた形なのです。これを普通の螺旋に表示し直すには前回定義した、
x = cosθ |cosθ| p - 1
y = sinθ |sinθ| p - 1
y = sinθ |sinθ| p - 1
という形を基礎にした方程式が必要となります。
今回は p = 2 として x, y にそれぞれ θ をかけた方程式:
x = θ cosθ |cosθ|
y = θ sinθ |sinθ|
によって実数全域に拡大できます:y = θ sinθ |sinθ|
方形を拡大していくような螺旋が現れましたね!
「方形螺旋」と名づけておきましょう。
アステロイドに対しても同じような変形を加えてみます。
アステロイドの方程式は
x = cos3θ, y = sin3θ
ですね。三角関数の指数が奇数の場合は絶対値記号を使わなくても、そのまま螺旋形へ拡大できます:
x = θ cos3θ, y = θ sin3θ
としてグラフを描いてみますと……
はい。アステロイド螺旋のできあがり!
それにしても数学のグラフって、少し手を加えるだけで無数のバリエーションが生じるので本当に面白いですよね。それではまた次回お会いしましょう!
私の好きな漫画ベスト3
前回お話した一番好きな漫画、とりあえず次の3つまで絞り込みました。( )は作者さんのお名前です。
・ 『動物のお医者さん』(佐々木倫子)
・ 『モジャ公』(藤子 F 不二雄)
・ 『2001夜物語』(星野之宣)
やはり『動物のお医者さん』は外せませんでした。
2つめの『モジャ公』というのは『ドラえもん』でお馴染みの藤子 F 不二雄さんの SF 作品です。子供向けの雑誌に連載されていたようですが、そうとは思えないほど "シュールで怖い" 作品です。でもギャグもたくさん入ってます(ほとんどブラックユーモアですが)。藤子さんといえば、なんとなくほのぼのした作風と思われがちですが、短編『ミノタウロスの皿』など、背筋が寒くなるほど怖い作品もたくさん描いています。『モジャ公』は『藤子 F 不二雄全集』で出ていますので、興味のある人は Amazon や古本屋を探してみてください。
3つめの『2001夜物語』は正統派ハード SF です。 SF 好きなら読んでおいて損はないです。写実的な絵柄なので映画(しかも登場人物が全員外国人なので洋画?)を観ているような感覚になります。カメラワーク(コマ割り)も絶妙です。星野之宣さんはとにかく科学的知識が豊富です。理系の皆さんが読んでも「うーん。よく知ってるなあ」と感心すると思いますよ。特に1巻の最初のほうに出てくる 12 枚の羽根で構成された極薄のソーラーパネルの描写は見事でした。ただ、先ほども言いましたように絵がバタ臭い(西洋風)ので、「絵がダメ!」と思われる人にはちょっと辛いかもしれませんね……
もうあとしばらく考えて、この3作品の中から1つを選んでみたいと思います。