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2016年01月20日

フラクタル次元を求めてみましょう

 それでは記念すべき「こばと数学問題集」の第 1 回目です!
 Blog Cat さんの出すしょーもない問題とは全然ちがって、もっとフレッシュでエキサイティングでワンダフルな問題(意味不明)ばかりを厳選する予定ですよー!

 初回の題材はフラクタル(Fractal)です!
 ...... と言われても、「フラクタル? なんじゃらほい?」と訊き返してしまう人も多いと思います。「フラクタルとはつまりね ...... 」と一生懸命言葉で説明しても余計に「???」となってしまうかもしれないので(言葉にし難い分野なんですよ、ほんとに)、さっそく問題を通してフラクタルを体感してみましょう!

 でも、その前に準備体操です。次元というものについて再定義してみたいと思います。
 数学大好きな皆さんが普段何気なく使っている 2 次元座標とか、 3 次元座標とかの、あの「次元」のことですよ。ここを読み飛ばすと問題が解けませんので、ちゃんと読んでおいてくださいなー。

 次のような線分を考えてみます。

 フラクタル次元線分.gif

 図ではちょうど真ん中で 2 つに分けています。線分全体は半分の長さの線分 2 つで出来ていますね(当たり前です)。次は正方形です。

 フラクタル次元正方形.gif

 各辺を 2 等分すると、小さな 4 つの正方形ができます。最後に立方体。

 フラクタル次元立方体.gif

 各辺を 2 等分すると、小さな 8 個の立方体ができあがります。

 さて、ここで次元を次のように考えます。 1 辺を半分にしたとき ......

  線分は小さな線分 21 個で構成されているので 1 次元。
  正方形は小さな正方形 22 個で構成されているので 2 次元。
  立方体は小さな立方体 23 個で構成されているので 3 次元。

 このように定義された次元のことをフラクタル次元(厳密には相似性次元)と呼びます。私たちが知っている次元とそれほど違いはなさそうですね。それでは問題です。

こばとの数学問題 01 フラクタル次元を求めましょう

 下図のように黒く塗られた三角形を用意し、各辺を 2 等分する点を結んで小さな三角形を作ってくり抜きます。そして残った 3 つの黒い三角形から同じように三角形をくり抜きます。

 シェルピンスキーのギャスケットの作り方.gif

 これを繰り返すと次のような図形が出来上がります。

 シェルピンスキーのギャスケット.gif

 これをシェルピンスキーのギャスケットと呼びます。
 この図形のフラクタル次元を求めてください(必要なら電卓を使ってください)。
 

こばとの数学問題 01 解答

 線分・正方形・立方体の次元の求め方を再確認してみましょう。 1 辺を 1/2 にした小さな相似図形がそれぞれ 21, 22, 23 個できて、その指数部分を次元 D = 1, 2, 3 と決めていましたね。つまり図形を構成している小さなパーツの個数 N と次元 D との間には、

2D = N

という関係があります。両辺の対数をとると

D log 2 = log N

ですから、フラクタル次元は

D = log N / log 2

となります。シェルピンスキーのギャスケットの場合は、1 辺が 1/2 の三角形をくり抜いてしまうと、全体は相似図形(小さな黒い三角形)3 つで構成されるようになります。したがってそのフラクタル次元は

D = log 3 / log 2 = 1.585

というように求められます。

まだ新しい分野です

 フラクタル(Fractal)は造語です。1975 年にマンデルブロ(Mandelbrot)という数学者が fractus というラテン語を元に作りました。 fractus は物が砕けてばらばらの破片になった状態を表す言葉です。フラクタルは本質的にギザギザです。顕微鏡でどこまで拡大してもギザギザなのです。だから決して微分できません。これまで天体の動きや極微の量子世界まで、自然界のあらゆる現象を見事に説明してきた(と思われていた)微分積分が全く通用しない世界です。
 概念的には新しくても、自然界にはフラクタルに満ちています。海岸線や川の形、動物の血管網から宇宙の星の分布まで ...... こうした諸々の自然現象がフラクタルの登場によってようやく数理的に分析することが許されるようになったのは最近のことです。しかし、フラクタルにはコンピューターの演算能力が欠かせませんから、これは仕方のないことです。こばとの卵が生まれた世界でも、フラクタルのような概念はコンピューターの登場時期と一致しています。
 向こうの世界では、フラクタルのことをエラカダ語で「パシュ・レガマー」と呼んでいました。「パシュ」とは「造形・図形」、「レガマー」とは「とらえどころのない」という意味の単語です。「とらえどころのない形」とは、これまたフラクタルな感じがよく表現できていますね。

一般的なフラクタル次元


 より一般的な相似図形を用いたフラクタル次元は、次のように定義されます:

 ある図形が全体を 1/a に縮小した相似形 b 個によって成り立っているならば、

         D = log b / log a

をフラクタル次元(相似性次元)と定義する。

 念のためにシェルピンスキーのギャスケットの 2 段階目の作業を確認しておきましょう。図形は 1/4 に縮小した黒い三角形 9 個によって構成されていますね。よって

D = log 9 / log 4 = (2 log3) / (2 log2) = log 3 / log2

となって、ちゃんと同じ次元になっています。

 それでは今回はこのへんで! また次回の問題でお会いしましょう!
   
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