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2013年08月05日

工学や物理を学ぶ学生さん必携の本です(物理数学の直感的方法)

物理数学の直感的方法 [講談社/長沼伸一郎]


物理数学の直観的方法―理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬〈普及版〉 (ブルーバックス)

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 この本は、工学や物理を学ぶ大学 1 年生の皆さんにぜひお勧めしたい本です。最初から終わりまで通読する必要はありません。この本を常に携帯しておいて、皆さんがこれから大学で学んでいく過程で初めて出会う概念(行列の固有値やエントロピーなど)が登場したときに、必要なページを開いて熟読してもらいたいのです。

 大学で学ぶ数学というのは、高校数学に比べて抽象性がとても高く、ただがむしゃらに取り組んでも「いったい自分は今何をやっているんだろう」と茫然自失とさせるような罠がたくさん待ち構えています。とはいっても、工学や物理学に応用する数学は現実世界を扱うためのものですから、そこに必ず「具体的な意味」というものが隠されているはずで、本書ではそういう「具体的なイメージ」をじっくりと丁寧に解き明かしてくれます。

 本書は全 10 章で構成されています:

 第 1 章 線積分・面積分・全微分
 第 2 章 テイラー展開
 第 3 章 行列式と固有値
 第 4 章 e = −1 の具体的イメージ
 第 5 章 ベクトルと rot と電磁気学
 第 6 章 ε−δ論法と位相空間
 第 7 章 フーリエ級数・フーリエ変換
 第 8 章 複素関数・複素積分
 第 9 章 エントロピーと熱力学
 第 10 章 解析力学

 特に第 1 章から第 5 章までの内容が、大学初年度の講義内容に対応していますから、最初の 1 年はこの第 5 章まで読み込んでおけば充分です。
 特に第 5 章は注目に値する章です。大学の「電磁気学」や「ベクトル解析」の講義で rot (回転:ローテーション)という概念が登場したら、ただちにこのページを開いてその意味を掴んでください。本書を通して一番易しい章ですし、ページ数も少ないので、すぐに「あ、なるほど。rot てこういうことなんだ」と理解できると思います。頭に具体的イメージを持っていると、その先の学習もスムーズに進みます。

 個人的には数学科以外の人に第 6 章のε−δ論法はいらないと思うのですが、純粋に数学が好きで知的好奇心を満たしたい人にはお勧めです。「関数が連続であること」について深い洞察が得られます。

 第 7 章以降は大学 2 年以降に折を見て少しずつ、という感じで読んでいけば良いと思います。第 9 章の「エントロピーと熱力学」は本書で最難関ですが、著者の「難しい概念をできるだけ分かり易く、しかも正確に説明する」という「熱」が伝わってくる内容です(駄洒落が嫌いな人はごめんなさい)。この章に関しては、あまり急がず焦らずに 5, 6 回繰り返し読んで理解に努めてください。さすがに歯応えがあります。物理数学もこのあたりまで理解が進むと、「東大理V」の入試問題があたかも算数のように易しく感じられるようになります。

 もちろん、すでに大学 3, 4 年生の人にも本書はお勧めです。
 すでに専門の勉強で忙しくなっているとは思いますが、基礎的事項の理解はやはり大切ですので、「行列の固有値は計算できるけど、どうにもイメージが曖昧だな」とお考えであれば、無理に時間を作ってでも本書に目を通しておくことは決して無駄にはならないと思います。
   
posted by Blog Cat at 14:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学書籍
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