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2019年01月15日

書評−道標



今回も株に関係のない書評で恐縮ですが、この物語はこれから部下を指導する、
或いは基幹職になってチームを引っ張って行かなくてはならない人、自分の信念
を曲げる事無く、しかも大義に反しない仕事をしていく人、していきたい人にと
って、小説という形はとっているものの、大変参考になる書物ではないかと思う。
なまじハウツー本の体裁が無い為に、より一層心に響く。

物語は今野敏の東京湾臨海署安積班シリーズもの。臨海署シリーズは過去に沢山
出ているが、今回の「道標」は時間的には臨海署安積係長が現在に至るまでの、
新任警察官研修時代からの事件を軸に、時間を追って1回完結のオムニバス形式で
書かれている。

「初任教養」では後の交機隊の盟友速水との出会いを。「捕り物」では、交番勤務
時代の若さをさらけ出した経験を。「熾火」では刑事1年生の粘りを。「最優先」
では安積新任係長時代の鑑識班石倉係長との出会いを。「視野」ではベイエリア分
署刑事課強行班係長としての後の部下村雨との出会いとチーム作りを。「みぎわ」
では、新人時代の安積の先輩三国のアドバイス「我慢」が功を奏する。

まだまだ物語は続くが、私がこの短編集の中で一番感動したのは、何と言っても第
6番目の「消失」てす。安積の元バディで現在は部下の須田、体格も太っていてだら
しなく見えたり、動作も運動神経も鈍い。新人研修時代から皆のお荷物で、到底警察
の仕事には向いていないと誰でもが思うキャラクターです。事実これまでの部署では
散々な評価で、警察官を辞めろとまで言われる始末。只、安積だけは彼の不屈の闘志
と才能を見抜いていた。

「消失」のなかで彼は、犯人確保の為のウチコミ時に、犯人が部屋にいなかった事、
そして捜索をあきらめて引きあげようとした事に、全く納得できなかった。それは
彼の洞察力が人並み外れて素晴らしく、事件の核心を突く力が、捜査の撤収に赤信号
を感じたからだ。普段はおとなしく、上司に口答えなどしない彼だが、捜査が曲がっ
た方向に行こうものなら、例え自分がとのような反撃を加えられようと、言うべきは
言い、梃子でも考えを曲げない不屈の精神を持つ。「消失」では彼の考えが功を奏し
、犯人検挙に繋がるが、実際にはこういうケースは少ないと思う。

正直、普通の人間であれば、無用の軋轢を避けて長いものには巻かれろの大人の考え
になって行ってしまうものだが、今の時代そうした事なかれ主義が大きな欠陥となって
、会社の存続を脅かす事態を招くケースが後を絶たない。その意味でも今やこういう
人材が本当は必要なのかも知れない。

いずれにしてもこの本では、組織で上に立つ者の資質とチームワーク、そして警察官と
しての不屈の闘志、そして何よりも第1章「初任教養」の最後に出て来る警察官精神の
重要性が謳われている。

「何ものにもとらわれず、何ものをも恐れず、何ものをも憎まず、良心のみに従って、
公正に警察職務の遂行に当る事を厳粛に誓います。」

道標 東京湾臨海署安積班

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2018年08月13日

書評−花精の舞



久々の書評、しかも全く株式投資には関係の無い本。でも本当は少し
あります。と言いますのは、作者の波多野聖は国内外のファンドマネ
ージャーの経験者で小説家、作品には「銭の戦争シリーズ」「メガバ
ンクシリーズ」等それこそ経験を生かした経済物が沢山あります。
私も実は最初に出会ったのが銭の戦争で、すっかり嵌ってしまいまし
た。時代設定や登場人物に魅力を感じました。

今回の「花精の舞」は大正時代の良き日本を背景とした物語ですが、
特に株や金融に特化した内容ではなく、どちらかというと美を意識し
た作品と言えます。表紙も女性的で波多野氏もこんな乙女チックな作
品も書くのかと一瞬疑いましたが、とんでもありませんでした。美に
対する追求と当時の上流階級の人達の生活、心情、そのようなものが
キラキラと描かれています。正直、何度も胸が詰まりました。

話は比丘尼(主人公の綾)の回想から始まります。能楽家の次女として
生まれ、女性禁制の能楽師を目指し、すさまじい修行の日々の中で、
盟友の重光伊織、高見友則と出会い、青春の日々を過ごす。しかし、
楽しい青春の日々は続かず、重光商会の父伊之助の死去に伴い伊織の
心が不安定になり、友則との付き合いをするようになるが、伊織への
思いは深く、伊織の希望で英国で暮らすようになる。

英国での生活で絵画を通じて、後々の人生の先輩ともいえるパリ在住
の嵯峨野侯爵夫人浪子と知り合い、夫人のホテルで生活を共にするよ
うになる。それからは夫人を通じて、美術品、美術家等、美の世界の
作品や、人脈、鑑識眼等に磨きをかけていく事になる。

その間、浪子夫人と高見友則の恋愛や日本での不況による重光商会の
危機などいろいろな展開が続くが、如何にして上流階級夫人となった
左近綾が、日本に戻り比丘尼となったのかは読んでのお愉しみとしま
しょう。

私がこの本を読んで感動した部分は、大きく分けて2つありました。1
つは比丘尼の法話の後で、自分は子供の頃から不幸の連続で生きていて
、生きる意味が分からないといった質問に対して、比丘尼がそれでも
「心は自由よ」と言ったこと。

それと比丘尼の最後の回想部分で、「この世は歳月というものが主役、
私たちは歳月の中で泡沫のように生まれ流れ消えていく。自分という
一瞬で永遠の美を感じ取る事ができれば、幸せな事ね」
上手く言い表せないが、心に響いた。 それでは又。

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2018年01月22日

書評−お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方



この本は橘玲氏の著書で10年以上前に読んでいましたが、その時は海外の銀行
口座の開設の話とか、その時分の私の資産活用には程遠い感じがして、ピンと
来ませんでしたが、今回改めて改訂版を読んでみると、資産を拡大するという
事の本質が見えたような気がしました。

改訂の文庫本でも400頁以上ありますので全てを解説する事はできませんが、肝
となるパート1の1、世界に1つしかないお金持ちの方程式と2、誰も知らない資産
運用の常識についてのみ述べてみたいと思います。

まず1ではお金を増やす基本として

資産形成=(収入−支出)+(資産x運用利回り)

と明確に定義しています。そうすると具体的には
    @ 収入を増やす
    A 支出を減らす
    B 運用利回りを上げる
この3つの方法しか無い事が判ります。

そして@に対応するには個人の頑張りもあるでしょうが、確実なのは働き手を増
やす事で、サラリーマンなら共稼ぎという事です。専業主婦などは大の贅沢だそ
うです。(資産形成の上では) Aとしては家計のリストラを挙げています。これは
出来るだけ住居の固定費を削減する事と不必要な生命保険のカット。そして私が
自分で実感したのが、自家用車を持たない事です。広島から東京に戻ってきた際
に、マンションの駐車場代が高かったのもあり売却してしまいましたが、これは
大正解で、住宅ローンを計画の半分以下の期間で返済できました。Bは私の場合
はパッシブの投資信託の積立でした。始めた頃は税金も10%でしたが、今は20%
となりやや利回りは下がったものの現在の金融資産の大半は、私の場合は投資信
託です。

2については不動産投資と長期投資についてですが、著者は不動産投資には懐疑的
で特に個人の場合は大きな借金(ローン)を抱えて不動産を買うので、買った時点で
資産のほとんどが一般サラリーマンの場合不動産になってしまい、資産運用はそ
こで止まってしまうとの事。これは納得ですが、長期投資については例えば株式や
投資信託など一括で買ってしまうと問題ですが、積立方式でしかも個別株でなく
日本株式や先進国株式、国債、リート等丸ごと買えてポートフォリオの組めるもの
なら10年以上積み立てる覚悟があれば、まずそれ程リスキーではないと思います。
何と言っても長期投資は、複利の効用を実感できる手法ですから。

本書はこの他にも有用な資産運用のノウハウが満載ですので、一読をお勧め致しま
す。それでは又。

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2017年12月23日

書評−大局観



今回は永世七冠を取った羽生名人の、約6年弱前に出版された「大局観」について
改めて読み解いてみたいと思います。

いま改めて読んでみても大変参考になり、将棋の世界は基より、株式投資の世界,
いや勝負の世界全般に通じる書物だと思います。まずは目次のタイトルだけを眺
めてみても、全てが相場の世界でも当てはまり、まるで相場のメンタル面の良書
を読んでいるようです。

タイトルからしても大局観ですし、目次にはその他に検証、反省、感情のコント
ロール、リスク、ミス、集中力、毎日の練習、繰り返しの大切さ、負け方、直観
、確率、理論、セオリー、運、まるっきり相場のノウハウ本そのものです。一瞬
林輝太郎氏の解説を読んでいるような錯覚に陥りました。これらの勝負事につい
てのノウハウを高々40才くらいで体得している事こそが、天才たる所以であると
いう事でしょう。

紙数の関係からさらっとしか解説できませんが、中身が濃すぎて大変です。私の
好きな部分だけ述べてみたいと思います。まずは「選択肢が多い事は、迷いに繋
がる」、これなんか株の銘柄選びやチャートの指数選びそのもので、選択肢が多
くなる程間違いなく迷います。

次に「リスクを取らない事は最大のリスクである」、勿論右も左もわからない初
心者の時に、大金を投入しての一発勝負等というのは論外ですが、やはり成功し
た相場師を見ていると、ここぞという自分のツボに嵌ったシーンでは、果敢にリ
スクを取りに行っています。

「最も悩む局面が、最も面白い」、これは後になってみればというケースも多い
でしょうが、売りか買いか、我慢か決済か、結果はともかくこうした状況を数多
く経験する事がが、一番その人の力になっているような気がします。

「続けることは偉大な才能である」、正に継続は力なりで、成功するまで諦めな
い。言うは易しですが、株の世界は退場させられず生き残っていくのも、結構大
変です。

「負けは変化のきっかけになる」、これもまた至言で、負けて腐っているようで
は相場をやる資格もない。負けも進歩の一プロセスとしてプラスの材料とし成長
して行こうとする姿勢が大切。負けを検証していく事で、自分の投資スタイルが
更に磨かれる。

「積み上げるのは簡単でも、捨て去るのは難しい」、相場技法を一生懸命学び真
面目にコツコツと積み上げて来て、一方で真面目に不必要なものを捨て去るとい
う事は難しいが、そうした努力の先には深遠な真理が見える。

このようにどの世界の人にも役立つ大変な金言集だが、羽生名人の重みのある言
葉で紡ぎ出されると、又格別の味わいがあります。それでは又。

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2017年10月05日

書評−侠飯4 (おとこめし)



今回の書評は経済や株の話とは、全く関係がありません。政治には関係が
あります。食事というか酒のつまみには、めちゃくちゃ関係があります。
福澤徹三氏のシリーズものです。全部読むつもりでいますが、今のところ
何故か第4巻しか読んでいません。でも本当に面白いです。泣かされます。

今回の主人公は議員秘書の藤堂旬一郎君です。多分毎回新しい設定で、主
人公は変わるものと思われます。この本の面白い所はとにかく人名や会社
名や政党名など全てが食べ物や料理関係の名前になっているところです。

私もこの本を読むまでは、議員秘書の仕事の詳細など漠然としか知りませ
んでしたが、本当に大変な仕事なんですね。最近も実際に豊田議員のハゲ
ー騒動がありましたが、とても私のような気短でふてぶてしい人間には、
到底務まらない仕事である事がよーーーく判りました。

物語はその旬一郎君が麹町の議員会館近くの鄙びた居酒屋「チドリヤ酒店」
に出入りする事から始まります。チドリヤ酒店はもともと酒屋で立ち飲みだ
けの居酒屋ですから、飲み物とつまみは乾きものか缶詰くらいしかありませ
ん。ほとんどが常連さん相手で、ほそぽそと営業している状態です。

旬一郎君のお目当ては冷えたビールもありますが、実はそのチドリヤ酒店を
経営している小梅ちゃんに会いたいからでした。何度も何度も食事やデート
に誘いますが、いつもはぐらかされて色好い返事が貰えません。

そんなある晩いつものようにチドリヤ酒店に行くと、今まで見た事も無いよ
うな人相の悪い二人の男が、厨房に入っていました。小梅によればこの二人
は居酒屋チェーンの社員で、チェーンの立ち飲み酒場展開の勉強で手伝いに
来ているとの事。相当怪しく見えるが料理の腕は抜群で、しかも立ち飲み屋
にあるような食材でけっこうなつまみを作るので驚き。旬一郎君もその美味
さと手際の良さに、スプズブと嵌っていくのでした。

ここからこの怪しい二人、柳刃と火野の料理レシピがオンパレードとなる訳
ですが、とにかく缶詰や冷凍物などの食材で、これでもかという美味しいつ
まみが出て来るので酒飲みには堪りません。私も早速さば味噌煮のカレー煮
をやってみましたが、本当にこれはいけます。

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ここから先は旬一郎君の仕える肝付先生の政争やら、大好きな小梅ちゃんの
思いも寄らぬ境遇等波乱万丈の物語で、最後は柳刃と火野の正体も解き明か
されるという結末。最後までお酒を飲み美味しいつまみを食べた気分で、急
転直下のストーリーを堪能できるという、贅沢な小説です。それでは又。

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norch
43年勤めた会社を退職し、趣味でやっていた株式投資三昧の毎日。そんなに贅沢し美食したわけでもないのに、50歳から痛風予備軍と高血圧症。長年の医者通いにうんざりし、医療費節約も兼ねて、薬の個人輸入を始める。
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