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2014年02月24日
水雲問答-(棄物なし)
(雲)
此間(このあいだ)仰(おおせ)下され候無用之用の儀、
成程(なるほど)荘周の名言に候。
事に物に心掛け工夫を仕(つかまつり)候。
近来考えます申候に、天下の事、有用無用もと相持(あいもち)
にて、尽(ことごと)く棄つべからず。
所謂(いわゆる)棄物棄才無き道理に候。
風月詩酒の類も工夫に付けて多益を得申候こと夥(おびただ)
しきやに存候。
を刺すに利刀(りとう)は彼の動くに従ってにぬけ、
鉛刀(えんとう)は動くに従って深く入ると承(うけたまわ)り
及び申候て、始めて感悟仕候。
大事をなす者は有らと有らぬ者を引込、宜(よろしき)に従って
取出し使い申候ことと存候。
如何(いかん)如何。
(水)
此の大手段なきときは大経綸(だいけいりん)は成りがたかる
べくと存候。
牛溲(ぎゅうしゅう)、馬勃(ばぼつ)、敗鼓(はいこ)の皮までも貯え
たるが良医に候。
鶏鳴狗吠(けいめいこうはい)の客、門下にあれば、其の用を成し
候時必ず之有り候。
然れどもあるとあらぬ者を引込候にも少しく弁別なきときは
人に誤らるるの患いその所より発し申候と存候。