シリ−ズ健康　循環器疾患−�A脳血管疾患

(2)脳血管疾患

高血圧と脳卒中
● 脳卒中の種類と症状
脳卒中は長い間日本人の死因の第一位を占めていたが、現在では癌、心臓病についで、第三位に下がっている。現在は、脳卒中の医療技術が進歩し、脳卒中になっても命が助かる例が増えている。ただ、同じ脳卒中でも、病気によって多少傾向の違いはある。
脳卒中は、脳の血管障害の総称で、脳内の血管が破れる「脳内出血」、脳を覆っている軟膜とその上のくも膜の間で出血する「くも膜下出血」、血管が詰まる「脳梗塞」に大別できる。
かつて日本人に圧倒的に多いと言われたのは、脳内出血である。しかし最近は脳出血の原因である、高血圧の治療や予防が進み、確実に減ってきている。

脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が詰まり血液が流れなくなる為、その先の脳細胞に酸素や栄養が届かず、細胞が壊死する病気。
脳梗塞は加齢とともに確実に増えてきている病気。
脳卒中全体は減少しても、高齢者が増加すれば、脳梗塞にかかる人の数は増える。
症状
突然あるいは少しずつ「手足の片側麻痺が起こる。ろれつが回らなくなる。まっすぐ歩けなくなる。ぼんやりする。」
時期は、春先から梅雨にかけて、季節の変わり目に起こりやすい。
中には、本格的な発作の前に一時的な発作(一過性脳虚血発作)が起こることがあるので、脳梗塞の警告サインを見逃さないことが大切になる。
脳血栓
脳の血管の動脈硬化が原因。
ラクナ梗塞と合わせると脳梗塞の3/4を占めている。血流の圧力が血管に加わると、組織が変性し硬くなってくる。高血圧があればさせに血管の変性が促進される。硬化した血管壁には、血液に含まれるさまざまな物質が沈着しやすくなる。その結果血管壁を盛り上げ、血管内が狭くなってくる。硬化した血管は傷つきやすく、ここに血の塊(血栓)ができ、ついに血管が詰まってしまう。
したがってこのタイプの脳梗塞は「高血圧」と「加齢」が最も重要な危険因子になる。その他、「糖尿病」「高コレストロ−ル血症」「高ヘマトクリット血症(血中の赤血球が多く、血液の粘度が高くなり血液がスム−ズに流れにくくなる)」
ちなみに高コレストロ−ル血症は、動脈硬化を原因とする心筋梗塞の重要な危険因子として知られている。
脳血栓は、血管が徐々に詰まるため、症状の現れ方が比較的緩慢なことがある。

脳塞栓
脳塞栓は、心臓から流れてきた血栓(血の塊)が脳の血管に詰まるために起こる。心臓弁膜症や心筋梗塞の急性期など、心臓に病気があると、心臓内に血栓が出来やすく、それが血流にのって、脳に流れてくる。
脳塞栓の症状の特徴は、血管が突然詰まる為に発作が突然的に現れる。太い血管が詰まることが多いので、脳の広い範囲に障害を与え、重症の発作を起こすケ−スが多い。脳梗塞の1/4と少ないが、命にかかわる大発作を起こすだけに問題が大きい。

ラクナ梗塞
脳の深部にある細い血管の動脈硬化によって小さな梗塞いるものを指す。
障害を受けている範囲が少ないので、片麻痺の症状が出る場合と症状がはっきりしない場合がある。
何となく歩きにくい、うまく話せないと言った軽い症状。

脳卒中の治療法
● 薬物で脳浮腫を軽くして、脳のダメ−ジを抑える方法
● 壊死した脳の組織の周囲にある、死に掛けた細胞を助ける方法

脳卒中の1次予防法
● 血圧を正常に保つ(最高血圧−130mmHg以下、最低血圧−85mmHg以下)
● 禁煙
● コレストロ−ル値を正常に保つ(総コレストロ−ル130〜220mg/dl)
● バランスの良い栄養の摂取−糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどバランスとれた食事は脳卒中予防の原点。背の青い魚に含まれる脂肪酸は、血栓を予防する効果がある。
● 糖尿病の予防−糖尿病の人は、血栓の老化が普通の人より進んでいる。そのため、血管の内壁が傷つきやすく、脳卒中の高い危険因子を持っている。
● 血栓の凝固を防ぐ−血液が濃くなると、流れが悪くなり、血管が詰まりやすくなる。
● その他−経口避妊薬に含まれている女性ホルモンには、血栓を誘発したり、昇圧物質を増やしたり、血圧を上げる作用があるので、定期的な検査が必要。

2次予防
● 抗血小板法−アスピリンなどを服用し、血小板の凝集作用を抑えて、血栓が出来にくくする。
● 抗凝血療法−薬を用いて血液を固まりにくくさせ、血栓ができるのを防ぐ。
● 血栓内膜切除術−動脈硬化を起こしている血管の内膜を切除し、血栓が出来やすい状況を改善する。血管の内径が70%以上狭くなっているものに有効。
血液検査の数値
AST(GOT)数値・CK(CPK)数値･総ｺﾚｽﾄﾛ-ﾙ値・中性脂肪・HDL・LDL数値
脳血管疾患は、動脈硬化に大いに関連しているので、心臓疾患と同じく上記の検査数値を把握すること。

※後に血液を配信します。心疾患も脳血管疾患も全身の病の元になる血液・血管の状態を知ることにより、将来自身の病を予測できる。それだけ血液の流れ及び血管の進捗状況は大事なことになります。

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