シリ−ズ健康−癌−�A大腸癌・肝臓癌

大腸癌
大腸癌は、その発生する部位によって直腸癌と結腸癌に分かれる。
欧米において多い癌であるといわれていたが、近年、わが国においても増加の一途をたどっている。平成11年には、大腸癌は全癌死の12.2%を占め、第三位となっている。
大腸癌の増加の原因として日本人の食生活の欧米化、つまり動物性脂肪の摂取量の増加と食物繊維の摂取量の減少があげられる。
● 癌ができた部位によって症状は異なる
大腸癌ができていても、症状が必ず出るとは限らない。むしろ早期の癌では症状が出ないことが多い。
大腸癌の典型的な例としては、出血(血便)と便通異常といわれる。
しかし大腸は非常に長い臓器なので、症状の現れ方は、癌が出来た部位によって多少違いがある。
★ 小腸に近い右側の大腸(上行結腸や横行結腸の一部)に癌ができた場合は、出血があっても、弁が排出されるまでに血液がすっかり便と混じってしまって、便を見ただけではわからない。また、癌が大きくなって腸の内腔が狭くなっても、内容物が液体に近い状態だと便の通りが悪いということも起こりにくい。そのため右側の大腸の場合は、癌の発見が遅れがちである。癌がかなり大きくなってから、おなかを触れるとしこりに触れたり、長期間出血が続くことによる貧血状態で気づくことも多い。
★ 肛門に近いS状結腸や直腸では、出血があれば、便に血が混じったりついたりする。また便が硬くなっているので、腸の内腔が狭くなると便が通りにくくなり、腹痛や便秘などの症状が出る。

大腸癌の形
ポリ−プ型・隆起潰瘍型・陥凹型
大腸癌の治療法
★ 内視鏡手術
ポリ−プのように隆起している癌の場合は、内視鏡を使って病巣部の根本にル−プ状のワイヤをかけ、高周波電流を流して焼き切る手術をする。
隆起していない場合は、病巣の粘膜に生理的食塩水を注入し、病巣を盛り上げてからワイヤをかけ切除する。この手術は、入院をせずに外来で行われることが多い。
★ 局所切除
肛門の近くの直腸の下部にできた早期癌の場合は、肛門鏡と言う器具を使って肛門を広げ、肛門の方から切除する法。
この手術は、肛門を締めている肛門括約筋には影響がほとんどないため、排便機能に影響がでることがない。症状によっては括約筋を切ることもあるが、術後縫い合わせるため心配ない。
★ 腹腔鏡下切除
★ 癌が粘膜下層に及んでいる結腸癌の場合は、腹腔鏡下切除が行われることが多い。へそ下に1cmほどの孔を開け、腹腔鏡(内視鏡の一種)を入れ、モニタ−に腸内の映像を映し出しながら病巣を切除する。開腹手術のような大きな傷がつかないため、術後の痛みが少なく、回復も早い。

進行癌の場合は、開腹手術が基本である。
● 結腸癌の場合
上行結腸に進行癌が存在する場合は、横行結腸の右半分と上行結腸、盲腸の周囲のリンパ節と一緒に切除し、残った腸をつなぐ。下行結腸に存在する場合は、同様に横行結腸の左半分と下行結腸を切除する。結腸癌の場合は、ある程度の範囲を切除しても排便機能に大きく影響を与えない。
● 直腸癌の場合
進行した直腸癌では、癌の部位が肛門から約60cm以上奥に存在している場合は、直腸を切除し、肛門は残してS状結腸と肛門をつなぐ。肛門の近い部分にできた場合は直腸を切除し、永久人工肛門増設術が行われる。これは、癌とともに切除し、人工肛門を左下腹部につくる。直腸の周囲には排便、排尿、性機能になどをつかさどる自律神経が走っているが、以前は自律神経も一緒に切除することが多く、排尿障害や性機能障害などの後遺症が残る確率が高かったが、最近は自律神経温存手術が可能となり、できるだけ機能が損なわれない方法がとられている。

大腸癌に特に気をつけたい人
大腸癌との関係が明らかにされている病気がある。
★ 「家族性大腸腺腫症」(家族性大腸ポリポージス)
大腸全体に無数のポリ−プができる遺伝性の病気で、放っておくと必ず大腸癌になるので、早い時期に治療が必要である。
★ 「潰瘍性大腸炎」
難病の指定されており、非常に治りにくい病気である。若い頃この病気にかかって、その後15〜20年くらい経過している人も癌になりやすいといわれる。
★ 家族に大腸癌になった人が多い場合も注意が必要である。
これらに当たる人は、定期健診を欠かさず受ける方がよい。
大腸癌の予防
１、 脂肪を抑えることと食物繊維の多い食べ物を摂ることを基本にする。
２、 獣肉類、卵、バタ−、鶏肉の皮の食べすぎに注意
３、 ポテトチップスなど油を使った加工食品、魚の干物など、作られてから日がたって過酸化脂質が多くなったものは避ける。
４、 緑黄色野菜を毎日食べることが大切である。
５、 藻類、貝類、玄米、麦飯、豆腐が良いとされる。
６、 ヨ−グルトは、腸内の乳酸菌を増やし有害な菌による発癌促進作用を低下させる。

肝臓癌

肝臓は日本人をはじめ東洋人に多いと言われている。わが国における肝臓癌による死亡率は、平成11年では全癌死の11.6%を占め、肺癌、胃癌、大腸癌についで第四位になっている。
● 肝炎→肝硬変→肝臓癌に進む
肝臓には声明を維持していくうえでの重要な働きがある。
それは、糖質・脂質・たんぱく質・ホルモン・ビタミンの貯蔵、代謝、またはアルコ−ルを分解し、有害物を解毒し排毒する働きがある。
肝臓癌の場合は、慢性肝炎や肝硬変から肝臓癌に進むケ−スが圧倒的に多い。
B型肝炎ウィルスやC型肝炎ウィルスの感染、アルコ−ルの過剰摂取が危険因子と考えられる。

早期発見のために
１、 慢性肝炎、肝硬変などのハイリスク・グル−プの人−定期的な検査を受ける。
２、 血液検査
腫瘍マ−カ−　　月1回
３、 画像診断
４、 超音波検査　３ケ月ごと
５、 CT、MRI　年1回

肝臓癌になる危険な人
★ 慢性肝臓疾患者(肝硬変、慢性肝炎)
★ 15年以上前に輸血を受けた人(輸血により、血清肝炎を起こす可能性がある)
★ B型・C型ウィルスのキャリア
★ 40歳以上
★ 母親・兄弟姉妹に肝臓病の人がいる(肝炎ウィルスは、母親から子供へと感染することができ、特定の家族にかたまって発生することがある。

肝臓癌の治療法
１、 外科療法
２、 肝動脈塞栓術(癌に酸素と栄養を送っている肝動脈を塞栓物質で詰まらせ、癌を壊死させる方法)
３、 エタノ−ル注入療法(エタノ−ルのたんぱく凝固作用を利用したもので、肝臓に針を刺し、純度100%のアルコ−ルを体外から肝臓の病変部に直接注入して、癌細胞を壊死させる方法)
４、 マイクロ波凝固療法(患部に針を刺して、電極から短い電波を放出する方法。直径2cm以内の比較的小さな癌が対象となる)
５、 ラジオ波焼灼法(患部に針を刺し入れ、針の先からラジオ波を照射し、肝細胞を焼き切る方法。マイクロ波より広範囲に照射でき、直径3cm程度まで1回で治療できる)
６、 インタ−フェロン療法
ウィルスそのものを抑えたり、増殖を抑えたりする働き。通常は体内で作られるが、肝炎ウィルスに感染すると、体内の生産が追いつかない、肝炎ウィルスに対抗できないので、人工的に作られたインタ−フェロンを注射する。
但し、ウィルスの量が多いと効かない。副作用があるなどの理由からすべての慢性間の治療に行うわけでない。

※上記内容文は、100%の症状ではなく、個人差があり、確率が高いと一般で示されていることなので、条件が合えば専門医に相談することが前提となります。

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