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2024年04月18日

【短編小説】『鳥カゴを打ち破って』2

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【第1話:仲の良い家族】からの続き

<登場人物>
山口 光夢(やまぐち みむ)
 ♀主人公、大学1年生
 親の意向で地元の大学へ進学していた

宮野 明輝(みやの あき)
 ♀光夢の幼馴染

終夜 彩雪(しゅうや あゆき)
 ♂大学1年生
 地元の北国を離れ、遠い西方の大学へ進学してきた
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【第2話:1番ヘタでかっこいい人】



明輝
『男バス…今日もあの子だけバテてるね。』
『1年生の…終夜 彩雪くんだっけ?』


女子部員
『確かに男バスの練習はキツそう。』
『それにしても彼、体力なさすぎじゃない?』


明輝
『こっちの暑さに慣れてないみたい。』
『あの子、北国から進学してきたんだって。』


女子部員
『えー?!あんな遠くから?!』
『夏に家族旅行で行ったけど寒かったよ…。』


明輝
『あっち出身じゃあ、そりゃバテるよね…。』




今日も明輝と
女子部員たちのトークが聞こえてきた。

かっこいい選手の話ではなく、
1番苦労してそうな選手の話だった。

光夢
(ふーん…終夜 彩雪くんっていうんだ。)


彼はよく練習を離脱して、
体育館の玄関でぐったりしていた。

光夢
(終夜くん…大丈夫かな…?)
(体格も細いし、練習に付いて行けてないし…。)


私の終夜くんの第一印象はその程度。
だったけど、



光夢
「あれ?終夜くん…。」
「いつの間にか練習に復帰してる。」


終夜くんは
さっきまで玄関で倒れていたのに、
もう他の部員と走っていた。

けれど、
彼は何度もバテて離脱を繰り返した。

彼はお世辞にも
バスケが上手いとは言えなかったから、
ゲームの練習にも出してもらえなかった。



明輝
『終夜くん、よくやるよね。』
『私ならとっくに心が折れてるわ…。』


女子部員
『ぶっちゃけ男バスで1番ヘタだよね。』
『それでも辞めないところはすごいよね。』


女バスで終夜くんの話が出るときは、
たいていそんな評価だった。

「レギュラーの誰々がかっこいい」
みたいな話が盛り上がる中で、
1番ヘタな部員の話が出るのは、
ある意味すごく目立っていたから。



明輝
『光夢、どうしたの?』
『ボーっとして。』


光夢
「あ…え?何?」
「ごめん、ちょっと考えごと。」


明輝
『ふーん…(ニヤニヤ)』


気づいたら、私はバスケ部の練習中、
隣のコートの男バスの練習ばかり見ていた。

いいえ、正確には男バスじゃなくて…。



明輝
『気になるんでしょ?』


光夢
「な、何が…?(汗)」


明輝
『ずっと見てるもんね。』
『終夜くんのこと。』


光夢
「…?!!!///(照)」
「なんで知って…。」


明輝
『幼馴染をナメないで?(笑)』


光夢
「うぅ…。」


明輝
『確かに彼はヘタだけどさ。』
『練習に戻ってくるのはすごいよね。』


光夢
「それだけじゃないよ!」
「終夜くん、遅くまで居残り練習してるよ!」


明輝
『へぇ、何であんたがそれ知ってるの?』


光夢
「…たまたま見かけて…(汗)」


明輝
『光夢と終夜くん、お似合いだと思うよ。』


光夢
「んな…?!///(照)」


明輝
『仕方ない、応援してやるか!』


光夢
「〜///(照)」




私が今まで感じたことのない気持ち。
顔の火照りと、胸の早鐘が止まらないよ…。

まさか、これが「好き」ってこと?

だとしたら、
私は終夜くんのどこに惹かれたの?

女バスの先輩も同級生も、
恋愛トークで盛り上がるのは
レギュラーの選手ばかり。

私もレギュラーの先輩たちは
かっこいいと思う。

けれど、私には1番ヘタで体力のない
終夜くんがかっこよく見えた。

それはきっと、終夜くんが
「私にないもの」を持っていたから。



【第3話:私自身の意志で】へ続く

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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。
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