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2015年01月12日

死の舞踏

遥か昔、幾つもの小国の戦乱によって人心の荒れ果てた地方に、一人の英雄によって興された国があった。英雄はそのまま皇帝となり、近隣の国を武力によって併合していく。戦乱で疲弊しきっていた国民たちは、その王国との併合を喜んだという。

皇帝は時折酒宴を催し、美しい踊り子を呼んで舞を踊らせた。公平無私な統治を行った皇帝の、数少ないささやかな贅沢だった。臣下の反対を押し切り、矛を交えている最中の国から踊り子や楽団を招くこともあったという。その日も戦端に聞いたばかりの隣国から、一人の美しい踊り子を酒宴に招いていた。

その踊り子の舞は恐ろしい程に妖艶で美しく、皇帝は一瞬にして心を奪われた。直々に言葉をかけようと呼びよせた時、剣舞に使われた小剣が皇帝の胸を貫いた。踊り子は戦相手の隣国から送り込まれた間者だった。皇帝を失った王国は、程なくして滅亡したという。

再び小国同士の戦乱が巻き起こり、各地で多くの死が撒き散らされた。皇帝を刺した小剣はいずこかへと失われ、忌まわしき記憶と共に、その存在が語り継がれているという。
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