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2021年03月10日

天孫の日向降臨に關する疑問に就いて その6

饒速日命の天降
日本紀を案ずるに、~武天皇の東征に先だちて既に大和に降り、土人長髓彦等を從へ給へる饒速日命あり。
是れ實に亦天ツ~の御子にてますと稱せらるる。
舊事本紀には之を以て、瓊瓊杵尊の御兄なりとし、降臨の狀を記すること頗る詳なり。
天皇の大和に入り給ふや。
長髓彦人をして天皇に奏せして曰く、「嘗て天ツ~の子あり、天の磐船に乗りて天より降り止まる。
號して櫛玉饒速日命と曰ふ。
是が我が妹三炊屋媛(みかしやひめ)を娶りて遂に兒息あり、名を可美眞手命(うましまでのみこと)と曰ふ。
故に吾れ饒速日命を君となして仕へまつる。
夫れ天ツ~の子豈に兩種あらん。
いかんぞ更に天ツ~の子と稱して、以て人の地を奪はんや。
吾が心に之を推すに、未だ必ずしも信と爲さず」と。
天皇答へてのたまはく、「天ツ~の子亦多し。
汝が君と爲す所是れ實に天ツ~の子ならば、必ず表物(しるしもの)あらん、相示すべし」と。
長髓彦卽ち饒速日命の天蹄猪(あめのはばや)一隻、及び歩靭(かちゆき)を取りて天皇に示し奉る。
天皇覧てのたまはく、「事虛ならず」と。
ここに饒速日命は、實に~武天皇より、同じく天ツ~の御子にますと認められたることを謂へるなり。
然らば則ち天ツ~の裔の我が國土に降れる、必ずしも高千穂降臨の瓊瓊杵尊のみにてましきと謂ふべからず。
而して其の大和は、後に其の瓊瓊杵尊の御會孫とます~武天皇の奠都し給ふところなり。
嘗て大國主~が一族の御魂を鎭めて、皇孫尊の近き護りたらしむべく定め給ひし幽契は、ここに實現を見るに至れるなり。
タグ:饒速日命
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