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2021年02月16日

天孫降臨の經路 その2

東亞民族南下の情勢 その2
降りて志那に於ては、殷末に當り、箕子殷の遺民を率ゐて東の方朝鮮に來り、ここに古朝鮮國を建てたりと傳へらるる。
其の事必ずしも信ずべきにあらざらんも、亦以て朝鮮歴史の始原とすべからんか。
後久しくして燕人衞滿東に遷りて、箕氏を逐ひ、箕氏乃ち更に南に遷りて、韓國を建てたりといふ。
是れ今の全羅南北道の地方にして、所謂馬韓の地なりと稱するなり。
然らば朝鮮は、當初漢族によりて建てられたりとなすものの如し。
然れどもこは韓人が志那の文明に憧憬して、祖先を其の賢哲の名に附會せしものか、然らずば漢人が古賢哲箕子の末路を粉飾し、若くは己が民族の勢力を誇張して、唱へ出せし附會説にてもあるべく、韓族は蓋し、古書にて知り得る朝鮮半島最古の住民なるべし。
志那の古代に之を干夷といふ。
彼等もと廣く北部地方にまで蔓延せしが、西北より侵入せる漢族其の地の壓迫によりて、先づ南下するに至りしものなるべし。
かくて衞氏代りて朝鮮に王となりしが、後久しからずして漢の武帝の遠征に遇ひ、其の地遂に漢の郡縣となる。
馬韓の東に秦韓あり、弁辰と雜居す。
今の慶尚南北道の地方なり。
其の國人もと秦の亂を避けて流移し、馬韓王其の東界の地を割いて是に與ふ。
故に秦韓と名づくと稱せらる。
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