「嫌われる勇気」というベストセラー本を読んで、そのエッセンスを自分なりにまとめてみる、
これが今回の主旨です。
冒頭の「人は誰でも幸せになることができる」という言葉、
「そうそうその通り!」と感じるか「そんなことあるわけない!」と感じるか、人それぞれですね。
フロイトの原因論に対して、アドラーは目的論という立場で、トラウマを否定します。
過去に起きた出来事により、心に負った傷が今の自分の不幸を引き起こしていると考える。
しかし、大きな災害に見舞われたとか、幼い頃に虐待を受けた、といった大きな出来事が、
人格形成に及ぼす影響がゼロだとは言わないまでも、大切なのは、
それによって自分の将来の何かが決定されることではない、ということ。
経験によって何かが決定されるのではなく、過去の経験に「自分自身がどのような意味を与えるか」によって
自らがどう生きるかを決定するものだ。とアドラーは言います。
外的要因、すなわち人種、国籍、文化、家庭環境といったものが人格形成に大きく影響するのは確かです。
しかし性格であれ、気質であれ、ライフスタイルであれ、全ては自分自身で選んできたものである。
つまり、それは再び自身で選びなおすことが可能である。
今後もこれまでと同じ自分を続けるか、異なる自分を選び直すか、どちらを選択するかは自身の責任である。
「過去のある出来事による不安や、恐怖の感情により自分は変われない」という原因論に対し、
目的論は「自分は変わりたくないから、不安や恐怖の感情を作り出している」という立場をとります。
あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」決心をしているからで、
変わることで生じる「不安」と、変わらないことでつきまとう「不満」を比較した結果、
いろいろと不満はあったとしても「このままの自分」でいることの方が楽だし安心だから、
変わらないことを選択しているだけです。
「このままの自分」であり続ければ、この先にどのような出来事が起きたとしても、
どう対処すべきかある程度わかっているし、その結果どのようなことが起こるか、経験から推測できます。
乗り慣れた車を運転する方が、多少ガタがきても織り込み済みで乗りこなすことができる、それと同じです。
では、冒頭の「人は誰でも幸せになることができる」に対して思うことは「どうやったら幸せになれるのか」
ということです。それは言い換えると「どうすれば自分は変われるのか」ということになります。
変わるために一番最初にやるべきことは「今のライフスタイルをやめる」という決心、です。
例えば、作家を目指している人がいて、なかなか小説を書き上げられない人がいるとします。
仕事が忙しくて書き上げる時間が無い、賞への応募もできない、と。
実際のところは、応募しないことによって「やればできる」という可能性を残しておきたいだけなのです。
人の評価にさらされたくないし、落選する現実に直面したくない。
時間さえあればできる、環境さえ整えば書ける、という「もしも何々だったらできる」という
可能性の中に生きているうちは、変わることはできません。
これまでの考え方を捨てて、シンプルに一歩前に進む、やるべきことをやってみる。
そうすると、世界との関わり方、行動までも変わらざるを得なくなります。
これまでの人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかには何も影響しません。
もし、あなたが不幸だと感じているのだとしたら、それは過去や環境のせいではありません。
ましては能力が足りていないわけでもありません。ただ「勇気」が足りていないだけです。
変わる勇気、一歩踏み出す勇気です。アドラー心理学は勇気の心理学です。
アドラーは言います、自分の人生を決めるのは「いま、ここ」に生きるあなたなのだ、と。
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