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2021年09月14日

経営法務 〜会社合併の手続き〜

会社法では、「合併契約の締結」に始まり、「事後開示」で終わる一連の手続を合併の手続として法定している。改正前商法と比べ会社法では、これらの手続を並列して行うことにより、合併手続を短期間で行うことを可能としている。また、株主総会の決議を必要としない手続として簡易合併、略式合併の規定も整備されており、いずれも組織再編をスムーズにする制度である。以下、原則的な合併手続についての時系列である。
合併契約の締結

会社が吸収合併をするには、合併契約を締結しなければならない(会社法第748条)。 合併契約の締結は重要な業務執行であり、取締役会設置会社では、契約締結の前に取締役会の決議が必要としている。 合併契約においては、次の事項を定めなければならない。
◆法定事項(会社法第749条)
 @商号、住所

 A交付される合併対価の内容
 BAの割当に関する事項
 C消滅会社が新株予約権を発行している場合 → 新株予約権の承継等に関する事項
 D吸収合併効力発生日
合併契約に関する書面の事前備置

消滅会社・存続会社は、合併契約備置開始日(※)から効力発生日後6ヵ月を経過するまでの間(消滅会社は効力発生日までの間)、合併契約の内容等を記載した書面等を本店に備え置かなければならない(会社法第782条1項、794条1項))。
※合併契約備置開始日は下記の日のいずれか早い日である。
@合併契約承認のための株主総会の日の2週間前の日
A株主に対する吸収合併をする旨の通知または公告のいずれか早い日
B債権者保護手続の公告または催告のいずれか早い日
吸収合併の承認決議

合併に際しては、原則として株主総会の特別決議が必要である(会社法第783条、795条)。消滅会社・存続会社は効力発生日の前日までに、株主総会の特別決議によって、合併契約の承認を受けなければならない。なお、消滅会社・存続会社の取締役は、株主総会の2週間前(非公開会社の場合は1週間前)までに株主に対してその通知をしなければならない(会社法第299条)
反対株主の株式買取請求

消滅会社・存続会社は、株主に対して合併の効力発生日の20日前までに、@吸収合併をする旨、A相手方会社の商号、住所を通知しなければならない(会社法第785条3項、797条3項)。合併に反対の株主は、消滅会社・存続会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる(会社法第785条1項、797条1項)。
株券等の提出公告・通知

株券を発行している消滅会社は、合併の効力発生日の1ヵ月前までに、合併の効力発生日までに株券を提出しなければならない旨を公告し、かつ、株主に個別に通知しなければならない(会社法第219条1項)。
債権者への公告・催告

@債権者保護手続(会社法第789条2項、799条2項)
消滅会社・存続会社は、以下の事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
 ア.吸収合併等をする旨
 イ.相手方会社の商号、住所
 ウ.消滅会社・存続会社の計算書類に関する事項
 エ.債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨(1ヵ月以上)

A債権者の異議(会社法第789条1項、799条1項)
債権者は、消滅会社・存続会社に対し、吸収合併について異議を述べることができる。 改正前商法では、合併契約の承認の決議の日から2週間以内に、公告・催告を行うことになっていたが、会社法ではこの定めが無くなったため、承認決議の前に債権者保護手続を行うことができるようになった。
登記

効力発生日から2週間以内に、本店所在地において、消滅会社は解散登記、存続会社は変更登記を行わなければならない(会社法第921条)。
◆合併の効力発生日(会社法第750条1項)
会社法:合併契約で定めた一定の日
改正前商法:登記の日
事後開示

存続会社は、効力発生日後遅滞なく、消滅会社から承継した権利義務等の事項を記載した書面等を作成し、効力発生日から6ヵ月間、本店に備え置かなければならない(会社法第801条)。
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