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2021年09月15日

経営法務 〜簡易組織再編・略式組織再編〜

組織再編行為は原則として当事会社双方の株主総会特別決議と債権者保護手続が必要となるが、簡易手続・略式手続の場合、株主総会決議が不要となり取締役会決議で可能となる。債権者保護手続では債権者に対して異議申立ができる旨を公告および個別に催告し、異議を申し立てた債権者には、弁済、担保提供等の措置をとる。なお、株式交換・株式移転は原則として債権者保護手続をとる必要はない。
簡易組織再編

簡易組織再編とは、会社がその規模に比べて相対的に小規模な組織再編行為(合併、会社分割、株式交換等)を行う場合に、会社法の規定により本来の手続を省略して行うこと。つまり簡易手続きは存続会社(買う側)のための制度である。具体的には、簡易合併、簡易吸収分割、簡易新設分割、簡易株式交換、簡易事業譲渡、簡易事業譲受がある。 会社が組織再編行為を行うことは会社の組織を大きく変更することであるため、原則として当事者である双方の会社で株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成)と債権者保護手続が必要とされる。しかし、大きな会社が相対的にかなり小さな会社と組織再編を行う場合、大きな会社にとっては組織的に大きな影響がなくても同じような手続を必要とするのは、煩雑であり会社の組織再編にとって不便である。そこで、このような場合には、大きな会社において本来の手続を不要とするのが簡易組織再編行為である。組織再編行為のうち、新設合併(合併会社が新設)と株式移転(親会社が新設)には影響が軽微な会社が存在しないので簡易手続はない。存続会社が消滅会社の株主に交付する対価が存続会社の純資産額の1/5以下(超えない)であれば存続会社の総会決議は不要。

・存続会社は、株主総会決議を省略し、取締役会決議で可能である(会社法796条3項)
・株主に対する通知・公告は当事会社(消滅会社および存続会社)の双方とも必要となる。双方とも反対株主に対して株式買取請求権を認めなければならないことから、効力発生の20日前までに株主に対して、所定の事項を通知・公告しなければならない(会社法785条3項、797条3項)。
・債権者に対する通知・公告など、債権者保護手続は当事会社双方とも必要である。(会社法789条2項、799条2項)。
・新株予約権者に対する通知・公告は、消滅会社は必要であるが、存続会社は不要である(会社法787条3項)。消滅会社の新株予約権者には、公正な価格での買取請求権が認められている(会社法749条1項4・5号)。
略式組織再編

略式組織再編とは、会社が発行する株式の9割以上(定款で引き上げ可能)を特定の会社に保有されている子会社(「特別被支配会社」という)が、その特別支配会社(親会社)との間で組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、事業譲渡)を行う場合に、会社法の規定により本来の手続を省略して行うことをいう。つまり略式手続きは消滅会社(買われる側)のための制度である。具体的には、略式吸収合併、略式吸収分割、略式株式交換、略式事業譲渡がある。特別被支配会社では、特別支配会社(親会社)の意向で当然に株主総会特別決議で承認されることが明らかである。そのような結論が明らかな場合に、手間、時間、費用をかけてまで、株主総会の決議を必要とするのは、煩雑であり会社の組織再編にとって不便である。そこで、このような場合には、特別被支配会社に当たる子会社については、株主総会特別決議を不要とするのが略式組織再編行為である。なお、組織再編行為のうち、新設合併(合併会社を新設)と新設分割(承継会社を新設)と株式移転(親会社を新設)には、略式手続はない。 組織再編行為をしようとする株式会社相互間において、特別支配関係の対象となる会社が未だ設立されていないからである。
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