日々のつぶやき

中国共産党はあべさんの退陣に関して

たいしたコメントもしていない。

しかし、中国人民にとっては大きな出来事だったようだ。

少なくとも、ネット民の中でも教養ある人々にとっては。


�@「鞠躬尽瘁」(きっきゅうじんすい)

この言葉は、諸葛孔明が、皇帝劉禅に奏上した、

『後出師表』にでてくる四字熟語で、

心身ともに捧げて全力を尽すことを表し

それを死ぬまで続けることを言う。


中国のネット民はこの言葉を持ってあべさんを評価している。

曰く

・あべさんは、腰は低いが内面は非常に強い

・一国の指導者として、明確な目標と硬い信念を持ち

　非凡な業績を残した

・持病をかかえながら、国のために尽くした

中国人民もあべさんのことを良く見ている。

ただ、あべさんは職を辞すだけで死んだわけではない。

まだまだ活躍してもらわないといけない。

中国人民(教養の高い)もそれを望んでいる事だろう。


この記事を書いていて、日本の政治家やマスゴミが

いかに歪んだ見方しか出来ないかと思うと呆れてしまう。


�A出師未捷身先死

これも唐代の詩人杜甫が大好きだった諸葛孔明のことを唄った詩の一部だ。

漢文だとこうなるのだが・・・。

蜀相 　杜甫　　

丞相祠堂何處尋　　　錦官城外柏森森

映階碧草自春色　　　隔葉黄鸝空好音

三顧頻煩天下計　　　兩朝開濟老臣心

【出師未捷身先死】　長使英雄涙満襟


読み下すとこうなる。

丞相（じょうしょう）の祠堂（しどう）　　何（いず）れの処（ところ）にか尋ねん　

錦官城外　柏（はく）森森（しんしん）　

階に映ずる碧草（へきそう）　 自（おのずか）ら春色（しゅんしょく）　　

葉を隔つる黄鸝（こうり）　空しく好音（こういん）　　

三顧（さんこ）頻煩なり　 天下の計　　　

両朝開済（かいさい）す　　　老臣の心

【出師（すいし）未だ捷（か）たざるに身先ず死し】

長（とこし）えに英雄をして涙襟に満たしむ

これだと何とか・・・。


現代語訳にするとこうなる

蜀の丞相（諸葛亮孔明）を祭ったほこらは、どこだろうか。

成都郊外、柏がうっそうとしたあたりだ。

きざはしに映る草の緑は、春の気色を漂わせている。

梢の間に見え隠れするウグイスが、いたずらに好い声でさえずっている。

三顧の礼を尽くした蜀の劉備に対し、孔明は【天下三分の計】を示した。

そして劉備・劉禅二代にわたって、老いてなお蜀に仕えたのだ。

魏に対して北伐の軍を起こしたが、

戦いに勝つ前に病に倒れてしまった。

こうした孔明の生き様は、

後世の英雄たちに涙をしぼらせることになったのである。


これなら良くわかる。


それにしても、中国人民に諸葛孔明にたとえてもらえる国のリーダーが

今世界に何人いるだろうか。

何たって孔明さんは神様になっている人なのだ。



中国人民があべさんを好きになった転機は

あべさんが中国のホテルの清掃員に「感謝」と書いたメモを

残した時だ。


「謙虚で、礼儀正しく、教養があって、持病を抱えながら

国のために尽くした首相象」には、

中国人自身が求める「理想的指導者象」が投影されている。

裏返すと、自国の指導者に対する中国人民の不満の現れでもある。

ある人民は言う。

「あべさんの逆を言えば、我々の指導者になってしまう」


私もそう思う。