2020年10月27日
アメリカIT産業政策に感じる矛盾
今回は、日経記事『米司法省、Appleとの契約「反競争的」 Google提訴で』について取り上げてみようと思います
記事の概要としては、アメリカのグーグル社が、同じくアメリカのアップル社に対して、ネット検索市場での圧倒的な支配力を利用し、自社サービスを優遇する契約を締結したことなどが反トラスト法(日本でいう独占禁止法に該当)に違反するとして、アメリカ司法省がグーグルを提訴したというものになります
具体的には、グーグルがスマホやパソコンで自社の検索サービスを広げるため
・アップルに毎年数十億ドルを支払い自社サービスを標準とするようにした
・スマホメーカーなどに競合の検索サービスの初期搭載を禁じる独占契約を締結した
・アンドロイド搭載スマホに自社の検索アプリを標準設定させる取り決めをした
ことなどが、他社の成長を妨げて消費者の選択肢を減らし、ひいてはイノベーションを抑制したり、市場環境の不健全化を招いていると問題視されています
これに対し、グーグル側は
・消費者は強制されたり代替が見つからないからグーグルを使用しているわけではない
・アップルとの契約に関してはOSの無償提供をすることで消費者の利益につながっている
などの主張を通じてアメリカ司法省の訴えに対して、反論する姿勢を見せています
グーグルは世界の検索エンジンシェアの90%以上を占めており、その影響力の大きさから今回の一連の行為が健全な市場競争を妨げる原因になりかねないのは分からなくもないです
しかしながら、グーグルもアップルもアメリカを代表する企業の一つであり、これまでアメリカは国内IT規制を緩やかにしたり、華為を始めとした中国IT勢力を抑え込みにかかろうとしたりすることで、アメリカIT産業の成長を促してきたように思えます。
それがここにきて、グーグルの独占禁止に舵を切るというのは、いささか違和感を覚えずにはいられません
別の日経記事上では、『IT大手が政権寄りの情報を検閲している』と批判するトランプ大統領に司法省が忖度し、IT大手への強硬姿勢を支持者にアピールする狙いもある、との記載もありましたが、その真偽は定かではありません。
今回の提訴により、多少なりともグーグルにはダメージが発生するのではないかと思われますが、そんなダメージなど気にならないほどのシェアをグーグルは築けているということなのか、そしてその中で今回の提訴に踏み切ることで、アメリカIT産業の成長はは公平公正な環境の下で行われていることを世界中にアピールしたいのか、それとも今回の件を機に間接的に株価を操作したいのか・・・
アメリカの真意は一体どこにあるのでしょうか
アメリカ国内だけにとどまらず世界全体に大きな影響を及ぼすアメリカIT産業なだけに今後の動向が注目されますね
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