科学を過信しないようにしましょう。
なぜなら、科学は万能ではないからです。
科学で証明できないものは信用しないという態度で対応すると思わぬ罠にはまってしまいます。
中村天風師は、名著『運命を拓く 天風瞑想録』(講談社文庫)の中でこう述べています。
(213頁〜215頁)
「 現代の人間、特に理知教養のある人ほど、あさましいほど、諸事万端、他人事ばかりではなく、自分のことまで疑って人生を活きる悪い心持ちを持っているのは、科学教育の余弊だといってもいい。
幸か不幸か、お互は科学の時代に生まれているからである。
なぜ科学の教育を受けると、そうなるかというと、科学はまず疑いの方面から、物を考えようとする。
本当はいけないのだけれども、習慣で知らず知らずに陥っている。
『科学は疑い深い』というくらいである。
(中略)
科学的にわかることと、どう研究してもわからぬこと、わかっていないこととがある。
いくら、知らなければならないと思っても、それには限界がある。
科学は万能の学問ではない。
それを、何事をも科学的態度で応接し、1+1=2でなければ承諾しないという考え方で、人生を活きていると、知らない間にわからない事柄の多い人生の中に、自分のいる姿を発見してしまう。
そうすると、ますます不可解に混乱して、人生が少しも安心出来ない世界になる。
ただ不安と恐怖のみが、その人の人生を襲うことになり、それ以外には何物も人生になくなってしまう。」
このように、科学で証明できないものは承諾しないという考え方で生きていると不信に陥り、不安感にさいなまれる人生になってしまいます。
NHK Eテレ 『サイエンス ZERO』 のナビゲーターを務めた、竹内薫理学博士は、40万部を越えるベストセラー著書
『99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』(光文社新書)の中でこう述べています。 (32頁〜33頁)
「 過信は禁物なのです。
科学は絶対的なものごとの基準ではありません。
あくまでも、ひとつの見方にすぎないのです。
よく『科学的根拠』がないものは無視されたりしますが、それはまったくナンセンスです。
なぜなら、科学はぜんぶ『仮説にすぎない』からです。」
さらに、この本の10頁にこう書かれています。
「 もしかしたら、この宇宙は、どこかの実験室で創られたものなのかもしれない・・・・。
こういった突飛な考え方を、頭ごなしに否定してはいけません。
科学では、どんな発想もアリなのです。
前例がないから、常識からはずれているからといって否定するのは、まったく科学的な態度ではないのです――。」
この本は、頭をグニャグニャに柔らかくしてくれます。
ぜひ、読んでください。
京都大学第16代総長の平澤興名誉教授(1900-1989)は、著書 『生きよう今日も喜んで』 (致知出版社)の中で、科学が万能ではないことについて次のように述べています。 (15頁〜16頁)
「 科学の力で何もかも分かったと思う人があるならば、それはまことに大きな誤りでむしろ正しく言うならば、基本的のことはまだ殆ど分からぬと言ってもよいぐらいである。
たとえばものの構造にしても、分子から原子、原子から原子核、素粒子等にまで進んだが、素粒子にはまだ分からぬ問題があまりにも多く、生命などにしても、最も基本的な生命の起源とか、その本質はまだ分からず、宇宙なども言葉としては始終使っておるが、その広ささえよく分からないのである。
人体の基本的構造たる細胞などについても、まだ未知の問題は山ほどもあるのである。
研究に研究を重ねて行くと、おそらくどの方面の学問にせよ、この分からぬ領域に到達し、そこに頭をさげざるを得ないものがあることを発見すると思うが、ここまで来ると、科学者もまた何か宗教的感覚にふれるのではないかと思われる。
そこに科学と宗教の融けた世界がある。
とにかく生きるということは、平凡のようで奇跡中の奇跡である。
不思議と言えば、これほどの不思議はなく、おそらく広大無辺の全宇宙でも、人間の生命に匹敵するほどの霊妙不可思議の奇跡はなかろう。
まず以て今日一日この奇跡を生きる命を与えられたことに感謝しよう。
この感謝が今日一日の生活に融けこんだ時、それは喜びに変わり、やがてそれは自己を拝み、他を拝み、更には全宇宙を拝むことになるのである。」
『人知の及ぶところではない偉大なる知性』 に畏敬の念を持ち、宇宙を崇める心を持ちましょう。
(結論)
『科学を過信せず、頭を柔らかくして、視野を広げましょう。
生きている奇跡に感謝しましょう。』
『運命を拓く 天風瞑想録』(著者 中村天風 講談社文庫)
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『99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』(著者 竹内薫 光文社新書)
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『生きよう 今日も喜んで』(著者 平澤興 致知出版社)
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