『道歌入門 悲しいときに口ずさめ 楽しいときに胸に聞け』(岡本彰夫著 幻冬舎)の中に、こう書かれています。
(174頁〜176頁)
「 『世の中の 人をあしとも おもふなよ我だによくば 人もよからむ』 (荒木田守武 『世中百首』)
他人ばかりを悪く思ってはいけない。まず自分がよい人間になれば、他人もよい人間になるだろう――。
この道歌を読むたびに、私は仏典にある 『牛の皮』 の話を思い出します。
(中略)
『もし、この世界が牛の皮で覆われていたならば、私たちはどこまでも裸足で歩いていけるだろう。
しかし、現実にはそれは不可能だ。
けれども、牛の皮でつくった靴を履いたなら、私たちは世界中どこへでも歩いていける。
これはつまり、世界中が牛の皮で覆われたのと一緒ではないか。
同じように、この世界を理想の天国にするのは不可能である。
しかし、私たちが菩提心を発するならば、世界は天国になったのに等しい』
菩提心とは仏になろうとする心です。
人の幸せを願い、他人のために自分を捧げる覚悟です。
冒頭の道歌はまさに、同じことをいっているのです。」
『牛の皮』 の話は 『入菩薩行論』に載っています。
『菩薩を生きる ―入菩薩行論―』
(シャーンティデーヴァ著 寺西のぶ子=訳 監修=長澤廣青 バベルプレス) の86頁にこう書かれています。
「 凶暴な者は、虚空と同じく無限にいる。
そのすべてを抑えることなど、できるはずもない。
だが、この憤る心を制すれば、
敵をすべて屈服させたようなものだ。
大地を皮で覆いつくそうにも、
それだけの皮がどこにあるというのか。
だが、私の靴の底に皮を貼れば、
大地をすっかり皮で覆ったのも同じだ。
すなわち、外界のできごとは
私の手では抑えられない。
だが、自分の心を抑えてしまえば、
ほかに抑えるべきものはなくなる。」
人を変えることはできません。
しかし、自分を変えることはできます。
自分が変われば周りの人が変わります。
『類友の法則』で良い人が集まってきます。
周りが変われば世界が変わったのと同じことです。
『世の中の 人を悪しとも 思うなよ 我だに良くば 人も良からむ』
ぜひ、覚えておいてください。
『菩薩を生きる ―入菩薩行論ー』(シャーンティディーヴァ著 寺西のぶ子=訳 監修 長澤廣青 バベルプレス)
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『道歌入門 悲しいときに口ずさめ 楽しいときに胸に聞け』(著者 岡本彰夫 幻冬舎)
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