自灯明・法灯明とは、
『〈自らを灯明とし、
自らをたよりとして、
他人をたよりとせず、
真理(法)を灯明とし、
真理をよりどころとして、
他のものをよりどころとせずにあれ〉
という教え。
釈迦の遺言として超阿含経巻2などに伝えられる。―岩波 仏教辞典―』
です。
この『自燈明』について、
『中陰の花』
で第125回芥川賞を受賞した、
福聚寺住職の玄侑宗久さんは、
著書
『自燈明』
(三笠書房)
の中でこう述べています。
(1頁〜2頁)
「 『自燈明』などと言われても、
何のことかチンプンカンプンかもしれない。
これはお釈迦さまが亡くなる前に、
アーナンダという弟子に対して話した最後の教えである。
つまり、
お釈迦さま亡きあと、
何を頼りに生きていけばいいのかと訊ねるアーナンダに、
お釈迦さまは
『汝自身を拠り所(燈明)にせよ』
『その汝の感じる世界の在り方(法)を拠り所にせよ』
『それ以外を拠り所にしてはいけない』
とおっしゃった。
(中略)
お釈迦さまはべつに自分の教えを強要するのでもなく、
自分の言葉を拠り所にせよともおっしゃらなかった。
ただ数学者が静かに示す定理のような、
この世界を貫く法則があるだろうし、
それを実感できるように自己を調えなさい。
そしてそういう自己を、
拠り所にしなさいとおっしゃったのである。」
仏教には
『三法印』
というものがあります。
仏教教理を特徴づける三つの根本教説です。
@ 諸行無常(万物は流転するものであり、永久に変わらないというものは世の中に一つも無いこと。―新明解国語辞典―)
A 諸法無我(いかなる存在も永遠不変の実体を有しないということ。―広辞苑―)
B 涅槃寂静(煩悩を断じた悟りの世界は、心の静まった安らぎの境地であるということ。―広辞苑―)
です。
これが法(真理)です。
その他に、宇宙真理として知っておくべきことは、
@ 波動の法則
(引き寄せの法則、類友の法則、鏡の法則とも言います。)
A カルマの法則
(因果律、因果応報、因縁生起、原因と結果の法則、善因善果・悪因悪果の法則ともいいます。)
B ダルマの法則
(人生の目的の法則:宇宙意識の進化・向上に順応するということ。具体的には、自己意識を進化・向上させること。)
です。
物理法則や数学の定理・宇宙真理は不変です。
法(真理)を拠り所にすることが大切です。
思想・イデオロギーは時代とともに変化します。
時代に流されない確固たる自己を築くことが肝要です。
『自灯明』というのは、
『己の内なる声を頼りにせよ』
『内なる魂を信じよ』
ということです。
他者の意見はあくまで参考であり、
流されないようにしましょう。
『内なる声』にしたがって行動しましょう。
私は天風師やチョプラ博士を尊敬し、
その哲学を尊重していますが、
信奉はしていません。
尊重と信奉は違います。
信奉とは、
『最上のものと信じて従うこと』
です。
ある主義や教えを最上のものとしてしまったら、
進歩・向上はありません。
真理の探究と
自己陶冶(生まれつきの性質や才能を鍛えて、優れたものにすること)
が大切です。
『百尺竿燈一歩を進む』
(満足することなく絶えず進歩・向上をはかること)
が肝要です。
ということで、
結論はこうなります。
(結論)
『真理を拠り所とし、自己意識の進化と向上を目指しましょう。』
『岩波 仏教辞典』
(編者 中村元 福永光司 田村芳朗 今野達 岩波書店)
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『自燈明』
(著者 玄侑宗久 三笠書房)
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