南法華寺は壺阪寺とも呼ばれ
703年、元興寺の高僧・弁基上人によって開かれました
平安時代、京都の清水寺が北法華寺と呼ばれるのに対し壺阪寺は南法華寺と呼ばれ
古くから観音霊場として栄えました
御本尊の十一面千手千眼観世音菩薩は
眼病封じの観音様として厚い信仰を集めており
文楽や歌舞伎で有名な『壺阪霊験記』の舞台としても知られています
境内の大石像仏はインドから招来されたもので
デカン高原の花崗岩を使用しているそうです
仁王門をくぐると、大釈迦如来石像(壺阪大仏)が見えます
春は桜、夏は紫陽花、秋には紅葉と
季節の花がきれいに咲くそうですが
あいにくこの日は花どころか重たい曇り空
まあ、それがまたいい感じでもありました
『壺阪霊験記』
盲目の沢市は、妻のお里が明け方になると出掛けていくのに気付き
男ができたのではと疑い妻を問い詰めます
お里はこの三年間、沢市の目が治るようにと壷阪寺の観音様に
願掛けに行っていたと打ち明けます
邪推を恥じた沢市は、お里とともに観音詣りを始めるが
目の見えない自分がいては将来お里の足手まといになると考え
満願の日にお里に隠れて滝壺に身を投げます
夫の死を知り悲しんだお里も、夫のあとを追って身を投げてしまいます
二人の夫婦愛を聞き届けた観音の霊験により奇跡が起こり
二人は助かり、沢市の目も再び見えるようになったのでした
御詠歌
岩をたて 水をたたえて 壺阪の 庭の砂も 浄土なるらん
壷阪寺には屹立する岩石や妙なる水が流れる池水があります
深い信心の心で見れば、寺の庭も金・銀の砂を敷きつめた観音様の
浄土のように見えます(西国巡礼慈悲の道より引用)