2014年09月11日
デング熱について。公的資料に基づく概要・症状・対処法など。
デング熱について
デング熱の国内感染者が、既に96名となり、まもなく100名を越えようとしています。
※正確には、感染者ではなく、感染者の内で、症状が発生した「患者」です。
国内では、今まであまり聞いたことのないデング熱とは、一体どのようなものなのでしょうか?
ただ恐れているだけでなく、正しい知識を得て、対処しましょう。
主に厚生労働省および国立感染症研究所感染症疫学センターの資料を元に、できるだけわかりやすくご説明します。
デング熱は蚊によるウィルス感染症
疾病名「デング」熱は、デングウィルス(フラビウイルス科フラビウイルス属)による熱感染症です。
主な発生地域は、東南アジア、中南米、アフリカなど熱帯・亜熱帯地域です。
世界中で25億に人以上が感染する危険性があり、毎年5千万から1億人の患者が発生していると見られています。
昭和20年以来60年以上国内での感染はありませんでしたが、海外から帰国後に日本でデング熱が発症している人は、近年統計上は毎年約200人以上います。
※2012年は、221例。2013年は、249例(但し、暫定値)
※2013年には、海外からの渡航者1人が日本で感染されたかもしれないとされています。
デング熱は、デングウィルスの保菌者が蚊に刺され、
その蚊の体内でウィルスが増殖し、
その蚊が他の人を刺すことで感染します。
だから、毎年国内で帰国後発症している人が200人近くいたのですから、
今まで国内で発生しなかったのは、ラッキーと言えます。
なお、感染を引き起こす蚊は、世界的にはネッタイシマカがメインですが、
国内ではヒトスジシマカが感染を引き起こします。
このヒトスジシマカの生息地域の北限は、
秋田県及び岩手県の盛岡市とされていますので(北海道及び青森県は未確認)、
日本の大半の地域が危険地帯となります。
特に近年の温暖化で、更に北限が北に移動するのではないでしょうか?
デングウィルス感染による症状
結論から言えば、デングウィルスに感染したとしても、
症状が出ない人も多く、大半はそれほどひどい症状ではありません。
しかし、出血性の場合は、重症になれば生命の危険もあります。
では実際に感染した場合はどのようになるのか、図でご案内し、その後詳しくご説明します。
※この図は、厚生労働省の資料を元に管理人が作成したものです。出典を明記してもらえば、連絡せずに引用してもらってOKです。
◯デング熱
・感染後、通常は3〜7日で発症
突然の発熱、赤い顔、食欲なし、腹痛、吐き気などの症状。
・頭痛、眼の奥の痛み、筋肉痛、関節痛、軽い出血傾向(出血斑など)。
・数日して発疹。
・通常は、一週間くらいで治ります。
◯デング出血熱
・血漿漏出。
・出血傾向。
↓
・腹水、胸水。血圧低下。ショック。
これらは、解熱時に発生します。
≪ショック有りの場合≫ デングショック症候群
ショックがでる場合には、重症から軽症まで様々あります。
重ければ、生命に危険が及びますし、
軽ければ、一時的に血圧が低下するだけのばあいもありますし、
出血傾向だけで血圧低下さえ発生しない場合もあります。
日本国内での2014年のデング熱患者の症状は?
今のところ国内の感染例では、出血症状も報告されていますが、
国立感染症研究所感染症疫学センターによる、
2014年9月5日現在の「デング熱の国内感染症例に係る疫学情報のまとめ(n=67)」によれば、
重症型の「デング出血熱」は、無いとされています。
ここのグラフをご紹介します。
【グラフの出典:デング熱の国内感染症例に係る疫学情報のまとめ(n=67)】
※2014年9月5日現在で、患者数67名の報告によるもので、複数回答です。
但し、元になる資料は、発熱については2〜7日間持続した場合とするなど一定の報告基準によるので、注意してください。
つまり、発熱があっても、すぐに治ってしまった場合など、実際に感染していても詳しく調査されていない場合も多いかと思います。
デング熱の治療薬ワクチンは?治療法は?
2014年現在、治療薬もワクチンもありません。
現在の治療法は、対処療法しかありません。
つまり、安静と栄養の補給がメイン。熱が出れば解熱剤など・・・
現在多くの製薬会社などで、デング熱の研究がなされています。
が、いずれも見込みは、早くて2015年の完成なので、
年内はデング熱に感染しないことが重要です。
製薬会社などの内の一つだけ、参考までにご紹介します。
<参考> 武田薬品工業株式会社の場合
2013年5月に武田薬品がデング熱のワクチンを作っている米インビラージェン社を買収しています。
「デング熱」を予防するワクチンの臨床試験を2015年度中に始める計画で、まずは欧米で承認を目指す計画です。既に、ウィルスの増殖を抑える抗体ができるのも確認しているそうです。
期待できそうですね。
デング熱に感染しないようにするためには
蚊に刺されないこと。
これにつきます。
厚生労働省によれば、感染が予想される地域では、
できるだけ肌を露出しないよう、長袖、長ズボンの着用が推奨されています。
また、防虫スプレーなどの防虫剤も推奨されています。
<参考>
◯楽天でよく売れている防虫スプレー
ディート無添加!赤ちゃんや子どもにも安全・安心な天然アロマの虫除けスプレー【送料無料】天...
◯全国の老人ホームや幼稚園から注文殺到の、蚊が嫌うヒノキ成分を染み込ませた防虫ネット
テレビ新聞で取材殺到!デング熱/虫ネット・網・退避・蚊・蛾・チョウバエ・ユスリカ【切り売り...
できるだけわかりやすくご説明したつもりでしたが、いかがでしたでしょうか?
急いで書き上げたので、誤植等ありましたらご指摘ください。
最後までお読み下さり、ありがとうございます。
ご参考までに、当記事の元になった資料をご紹介しておきます。
1番目の厚生労働省の「デング熱に関するQ&A」は、
一般の方向けだけでも、時間がありましたらお読みになることをおすすめします。
<当記事の元になった参考資料>
・「デング熱に関するQ&A」:厚生労働省
・「デング熱の国内感染症例に係る疫学情報のまとめ(n=67)」:国立感染症研究所感染症疫学センター 2014年9月5日現在
・「デング熱について(第2版 2014年8月27日作成)」
・「デング熱・デング出家熱およびデングウィルスについて」」:国立感染症研究所 倉根一郎氏
・「デング出血熱 Dengue hemorrhagic fever、デングショック症候群 Dengue shock syndrome」
タグ:デング熱
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