2019年12月20日
プリンス グランドグロリア S45Pについて考える
(2019年12月20日更新 写真追加と一部記述を手直し)
(2021年4月20日更新 皇太子殿下のS45P部分の一部記述を修正)
(2022年2月8日更新 皇太子殿下のS45Pの車両番号とナンバーの記述追加)
他にも細かい記載内容は適宜修正することがあります。
どうもです。
今回は少しマニアックにS45Pグランドグロリアについて考察します。
以前の記事にて少し触れましたが、グランドグロリアにはロングホイールベース版のS45Pと言う車が、ごく少数ながら存在しました。
巷では「カスタムビルド」などとも呼ばれていますが、このグロリアは通常のグランドグロリアのフロントドアより後ろの部分が延長されており、その分だけリアドアが伸ばされているので、外観上斜めからだと分かりにくいですが、真横から見ると通常のグロリアに比べてかなり長いのがはっきり分かります。
このS45Pグランドグロリアは謎の多いクルマでして、ちゃんとした資料は殆ど表に出てこないです。
その中で貴重な資料としてある方のブログに「プリンス45型 諸元表」と言うものが出ており、それには寸法のほかにも車台番号のことなどのあまり知られていない情報が出ており、相当貴重なものだと思います。
許可を取っていないのでリンク等は貼っていませんが、「幻の皇室特注45型」で検索するとすぐに出てきます。
現在確実な情報としてはS45Pは少なくとも3台の存在が確認されています。
その内の割と有名だった1台は、昔のノスタルジックヒーローで一度掲載もされたことの有る個体です。
その車の持ち主は八王子のお寺の住職さんだったはずで、この方はグロリアのクラブの初代会長さんだったと窺っていますが今はもうお亡くなりになってしまったとのこと。
クルマはどうなったのか詳細は分かりませんが、どうやら今でも残っているようですが所有者は代わっているかもしれません。
ご健在の頃はホームページもあり、車の紹介と写真を見ることが出来たのですが、今はもう無いようですね。
ネット上でようやく発見できたそのS45Pの画像・・・リアドアのガラスサイズに注目。
当ブログバナーのスーパー6の写真と比べると違いがよくわかります。
ホイールはS45P本来の14インチではなく、ホイールキャップの形状から通常のS44Pと同じ13インチ。
この個体は元々ブリジストン関係者の所有だったと聞いています。
このクルマ、実はかなり昔に一度見ているはずなんですが、その当時はS45Pと言う存在自体を知らずに通常のグランドグロリアと思って見ていた様なんですね。
かなり昔のニューイヤーミーティング(汐留での開催時)で他のS4系グロリアと一緒に並んでいました。
内装に特徴のある車なので(オーナーさんの好みで天張りに特徴があったんです)間違いないと思います。
また、割と最近の事ですが、他の雑誌に別の個体が紹介された事があり、こちらのクルマもやはりブリジストンの関係者(石橋家?)が所有していたとい言われており、長らく保管されていたものが数年前に補修され現在は綺麗になってブリジストンの所蔵となっているようです。(未確認ですが)
このS45Pは長らく所在を知られていない個体でした。
なので、このS45Pの存在は当時プリンスマニアの間では結構センセーショナルな出来事として話題になり、
「遂に3台目が発見されたのか!」
と、ザワザワしたものです。
(チョット大袈裟に書きましたが、私の周りのプリンス仲間の間で当時話題になった話だったと言う事です。)
その他にはもう一台、特別な車が昔から存在しているのが極一部ではかなり有名な話でして、
とある場所に現上皇が皇太子時代に実際にお乗りになっていたS45Pが今でも密かに保管されていると言う話。
これは既に20年以上前のことになるんですが、知人が持っている写真を見せてもらった事があり、それはとある場所に保管されているS45Pを撮影したものでした。
このS45Pは一応値段が付いていたそうで、その当時としてはかなりの高額だったらしく、当時は誰も買おうと言う人は出なかったようです。
(どこかの自動車販売店の所有だったかと・・・)
その後、時代が昭和から平成になり、このS45Pは「皇太子殿下のグロリア」ではなく、
「天皇陛下のグロリア」になったことによりその後価格は大幅に上昇したとか・・・
結構昔の事ですが、ある時期ネットで「エンペラーグロリア」と検索すると不鮮明ながらもこのクルマの画像があったんですが、今はもう見付かりませんでした。
まあそれでもこのS45Pは今でもそのまま保管されている事でしょう。
それにしてもどのような経緯で入手したのかが気になります。
などと書いていたら、この車と思しき写真をネット上で見つけました。
ネット上で発見した写真です。
既に記事作成時より2年ほど前の撮影らしいので現在とは状況が違うかもしれませんが、通常のグランドとは違うドアの内張りなどがはっきり分かります。(生地は違うがむしろS41Dなどの内張りと同じつくり)
残念ながらフロントが見切れているので特徴的なフォグランプは分からず・・・
斜め前からの撮影なのでリアドアの長さがはっきりしませんが、リアドアのガラスが明らかに大きく見えるのでS45Pでたぶん間違いないと思います。
もう一枚は1969年に撮影された当時の皇太子ご夫妻と紀宮様のお写真。
www.huffingtonpost.jp
紀宮さまを抱いて退院される美智子さま。左は皇太子さま(東京・皇居)[代表撮影]nn撮影日:1969年05月08日
車内にいるお姿を撮影した物ですが、S45Pグランドのリアシートに御乗車されているものと思われます。
皇太子(現上皇)の左腕の下から覗くシート生地が先の写真と同じ柄です。(ちょっと分かり難いですが)
ドアの内張りなども同じ意匠に見えます。
このシート生地はおそらく他のS45Pとも違い、元のS44Pとも違います。
このグランドグロリアS45Pの生産時期については、上記ブログにアップされている「プリンス45型 諸元表」に記載があり、それによると車台番号打刻開始日は1965年8月16日となっています。
車台番号も21番からと言う中途半端な番号からのスタートとなっており興味の湧くところですが、S40Dの車両番号も(車台番号ではないですが・・・)何故か1001番からのスタートとなっており、謎ではあります。
そのほかのS4系グロリアの車両番号は殆ど1番から始まっているので余計に特殊に感じてしまいます。
S45Pは資料の時期からするとまだ1型の時期ですが、この時期だと既にグランドの生産数は当然21台以下ということはありえないので上記の事情とは異なります。
八王子の車の車両番号は当時の雑誌に載っていたように思いますが、記憶が定かではないのですが確か12番だったように記憶しています。
また、エンジンルームのシリアルプレート(コーションプレート)は複数のタイプが確認されており、ブリジストンのものはプレートの文字が英語表記で数字は全て手打ちで打刻されているようです。
以前この車も雑誌で記事になっており、その時にプレートの写真があったかどうか・・・記事そのものは見ているのですが、その雑誌は手元に無いので確認できません。
これも拙い記憶ではありますが車両番号は5番だったと思います。
確か、レストア後にはブリジストンで保管されており、一般公開はしていないのでは?
記事の時点では公道走行可能な状態にはなっていなかったと思いますが、状態は悪くないようでしたので整備すれば車検取得も可能なのではないかと思われました。
もう一台の現上皇が皇太子時代に自ら運転していたこともあるS45Pの車台番号と車両番号は一体何番だったのでしょう?
不確実ですが4番だったという証言もあり、さすがに現車が残っているとは言え確認は難しいでしょう。
それでも当初の事情を考えると、最初の1台はやはり皇太子用として納車されたと考えるのが自然に思えますが、実際は宮内庁向けに最初に複数台製作された内の1台が皇太子用に振り分けられたという可能性もあり、現車の車両番号はとても気になるところです。
(※その後写真で確認できましたが、現車の車両番号は2番でした。)
結論として、台数に関しては車両番号そのものがランダムに打刻されている可能性もあるので実車のみでの判断は難しいでしょう。
製造時期としては先に書いたように65年8月が正しいと仮定すると、長くても1年弱程度だったのではないかと推察します。
そう考えると65年12月には2型にチェンジするので、それ以降に生産されたS45Pがあるとすれば当然2型を種車に生産されているはずですね。
しかし66年8月には日産と合併してしまうので、それ以降の製造は無かったのではないかと・・・
確証があるわけではないのですが、個人的には総生産数は多くても10数台といったところなのではないかと思っています。
と、ここで気になる写真がひとつあります。
1965年5月発行のプリンスPR誌の記事なのですが、3月26日に皇太子がブリジストンを見学されたという記事に写っている一台のグロリア。
この写真のグロリアがもしかするとS45Pではないかと睨んでるんですが。
特徴的なフォグランプとナンバーから見てグランドグロリアなのは間違い無いんですが(そもそもグランドグロリアと書いてある)、ホイールキャップがどうもBLSIグロリアと同型の物に見えます。
わざわざグランドにスーパー6用のキャップを履くと言うのも不自然なので、写真が不鮮明ですがたぶん14インチのキャップだと推測します。
そうなるとこのグランドはS45Pなのではないかと想像するのですが、そうなると資料にある生産開始時期よりかなり早い時期から存在する事になるんですよね。
ただ、写真の角度からだとホイールベースが長いようにはあまり見えないので確証はありませんが・・・
もしこのクルマがS45Pだと仮定すると、初期の生産車は正式に認証を取る前に改造申請で製作したのかもしれません。
しかもこの写真、不鮮明ですがナンバーの表記が「品川 3」ではなく「品 3 た・300」のようです。
「品 3」だとすると昭和39年10月以前の交付となるのでますます辻褄が合わない。
中々にミステリアスですね。(勝手にそう思っているだけですけど)
2022年2月8日追記
その後、このグランドの登録ナンバー「品3 た・300」は、現在残存が確認できている元皇太子使用車と言われているS45Pの最初の登録ナンバーであったことが写真ではありますが確認できました。
なので、記事のグランドグロリアは間違いなくS45Pだという事になります。
一応現時点で現存が確認できている車両のシリアルプレート上の型式標記は全てS45P-1のようです。
これは、資料に記載がある車台番号打刻開始日時よりも前から存在していることが確実な車両(元皇太子のS45P)のプレートの刻印もS45P-1となっています。
結局正式に発表される以前からS45Pは存在していたという事はほぼ確実になったのではと思いますが、かえって謎が深まってしまいましたね。
S45Pの製造ラインは特に無く、元プリンスに勤めていた方から聞いた話では三鷹の試作1課で手作りされていたそうです。
実際のところ、通常のグランドとの相違点は、ボディの延長に合わせたフレームの延長と、ルーフ及び床、リアドア関係ですが、その他リアドアの内張りと床の敷物、他にルーフモール、ドアモールなども専用品になるので、その都度特注での調達だったのでしょう。
当然ホイールベースも違うのでプロペラシャフトも専用品になるはずで、かなり手間のかかる改造になったであろう事は想像出来ますが、元々プリンスの試作課はそのような作業はお手の物だったようですので、このような車両の製作にはうってつけの部署だったのでしょう。
他にもホイールもキャップはBLSIP-3型グロリアと共通ですが、ホイールそのものはS45P専用の14インチなので(SI系の14インチとはホイールナットの数等が違うので別物のはず)これもわざわざこの為だけに製作したのでしょうか?
細かくあげていくとキリがありませんが、極少数しか生産していない車でもこれだけの手間が掛かっているわけですね。
このS45P、元々は当時の皇太子殿下が美智子妃殿下の乗り降りをしやすいようにとのご配慮から製作されたというのは割と知られたエピソードだと思いますが、実はそれに関連してもう少し詳しい話を元プリンスの方から聞くことができました。
リアシートには帽子を被ったままでも乗車しやすいように室内高を広げる工夫をしていたそうです。
具体的にはリアシートの座面を下げ(シートと床面との高さを変えた?)天井の頭に掛かる部分の天張りを凹ませてあったとの事。
1969年の写真を見ると、リアガラス上の天張りの合わせ目が通常のグランドとは違う事が分かります。
(カタログ写真の内装を見ると確認できます→グランドグロリアの記事参照)
初めて聞いた話で興味深く、まだまだ他にも知らない話がありそうだなと感じた次第です。
ただ、この仕様は全てに共通していたということではないと思います。
このクルマのユーザーはいったいどのような人たちだったのか?
元々は皇室向けに製造されたS45Pですが、他にも複数のユーザーの手に渡ったことが分かっています。
まず宮内庁に複数台納入されたと言われており、他にはブリジストン関係者の他にも株主などにも販売したようですが、そのほかに地方のプリンスディーラーの社長が所有していたとの情報もあるので案外多岐にわたります。
ただ、普通に販売していた形跡がないので、宮内庁とブリジストン向けに納入した後は特別な顧客向けに注文生産と言う形で対応していたのではないだろうかと考えられます(社内報やPR誌にもS45Pについては一切出ていないようなので)
実際の価格を含めてとても気になります。
・・・最後になりますが、実は割と最近になって何と4台目が発見されたと言う衝撃的な情報が入ってきました!
当初は元皇太子のS45Pのことなのではないかと思われていたのですがどうやら別の車だったとの事。
詳細については詳しく書けませんが、現在は日産に保管されているとの噂です。
それにしてもこのような車がこの時期になっても未だに発掘されるということが驚きです。
塗色や車番等の詳しいことは未確認ですが、良くぞ残っていてくれました!って感じです。
今回は以上になりますが、もし新たな情報が入手できた際にはまたブログで発表できたらと思います。
ではまた
(2021年4月20日更新 皇太子殿下のS45P部分の一部記述を修正)
(2022年2月8日更新 皇太子殿下のS45Pの車両番号とナンバーの記述追加)
他にも細かい記載内容は適宜修正することがあります。
どうもです。
今回は少しマニアックにS45Pグランドグロリアについて考察します。
以前の記事にて少し触れましたが、グランドグロリアにはロングホイールベース版のS45Pと言う車が、ごく少数ながら存在しました。
巷では「カスタムビルド」などとも呼ばれていますが、このグロリアは通常のグランドグロリアのフロントドアより後ろの部分が延長されており、その分だけリアドアが伸ばされているので、外観上斜めからだと分かりにくいですが、真横から見ると通常のグロリアに比べてかなり長いのがはっきり分かります。
このS45Pグランドグロリアは謎の多いクルマでして、ちゃんとした資料は殆ど表に出てこないです。
その中で貴重な資料としてある方のブログに「プリンス45型 諸元表」と言うものが出ており、それには寸法のほかにも車台番号のことなどのあまり知られていない情報が出ており、相当貴重なものだと思います。
許可を取っていないのでリンク等は貼っていませんが、「幻の皇室特注45型」で検索するとすぐに出てきます。
現存するS45P
現在確実な情報としてはS45Pは少なくとも3台の存在が確認されています。
その内の割と有名だった1台は、昔のノスタルジックヒーローで一度掲載もされたことの有る個体です。
その車の持ち主は八王子のお寺の住職さんだったはずで、この方はグロリアのクラブの初代会長さんだったと窺っていますが今はもうお亡くなりになってしまったとのこと。
クルマはどうなったのか詳細は分かりませんが、どうやら今でも残っているようですが所有者は代わっているかもしれません。
ご健在の頃はホームページもあり、車の紹介と写真を見ることが出来たのですが、今はもう無いようですね。
ネット上でようやく発見できたそのS45Pの画像・・・リアドアのガラスサイズに注目。
当ブログバナーのスーパー6の写真と比べると違いがよくわかります。
ホイールはS45P本来の14インチではなく、ホイールキャップの形状から通常のS44Pと同じ13インチ。
この個体は元々ブリジストン関係者の所有だったと聞いています。
このクルマ、実はかなり昔に一度見ているはずなんですが、その当時はS45Pと言う存在自体を知らずに通常のグランドグロリアと思って見ていた様なんですね。
かなり昔のニューイヤーミーティング(汐留での開催時)で他のS4系グロリアと一緒に並んでいました。
内装に特徴のある車なので(オーナーさんの好みで天張りに特徴があったんです)間違いないと思います。
また、割と最近の事ですが、他の雑誌に別の個体が紹介された事があり、こちらのクルマもやはりブリジストンの関係者(石橋家?)が所有していたとい言われており、長らく保管されていたものが数年前に補修され現在は綺麗になってブリジストンの所蔵となっているようです。(未確認ですが)
このS45Pは長らく所在を知られていない個体でした。
なので、このS45Pの存在は当時プリンスマニアの間では結構センセーショナルな出来事として話題になり、
「遂に3台目が発見されたのか!」
と、ザワザワしたものです。
(チョット大袈裟に書きましたが、私の周りのプリンス仲間の間で当時話題になった話だったと言う事です。)
その他にはもう一台、特別な車が昔から存在しているのが極一部ではかなり有名な話でして、
とある場所に現上皇が皇太子時代に実際にお乗りになっていたS45Pが今でも密かに保管されていると言う話。
これは既に20年以上前のことになるんですが、知人が持っている写真を見せてもらった事があり、それはとある場所に保管されているS45Pを撮影したものでした。
このS45Pは一応値段が付いていたそうで、その当時としてはかなりの高額だったらしく、当時は誰も買おうと言う人は出なかったようです。
(どこかの自動車販売店の所有だったかと・・・)
その後、時代が昭和から平成になり、このS45Pは「皇太子殿下のグロリア」ではなく、
「天皇陛下のグロリア」になったことによりその後価格は大幅に上昇したとか・・・
結構昔の事ですが、ある時期ネットで「エンペラーグロリア」と検索すると不鮮明ながらもこのクルマの画像があったんですが、今はもう見付かりませんでした。
まあそれでもこのS45Pは今でもそのまま保管されている事でしょう。
それにしてもどのような経緯で入手したのかが気になります。
などと書いていたら、この車と思しき写真をネット上で見つけました。
ネット上で発見した写真です。
既に記事作成時より2年ほど前の撮影らしいので現在とは状況が違うかもしれませんが、通常のグランドとは違うドアの内張りなどがはっきり分かります。(生地は違うがむしろS41Dなどの内張りと同じつくり)
残念ながらフロントが見切れているので特徴的なフォグランプは分からず・・・
斜め前からの撮影なのでリアドアの長さがはっきりしませんが、リアドアのガラスが明らかに大きく見えるのでS45Pでたぶん間違いないと思います。
もう一枚は1969年に撮影された当時の皇太子ご夫妻と紀宮様のお写真。
www.huffingtonpost.jp
紀宮さまを抱いて退院される美智子さま。左は皇太子さま(東京・皇居)[代表撮影]nn撮影日:1969年05月08日
車内にいるお姿を撮影した物ですが、S45Pグランドのリアシートに御乗車されているものと思われます。
皇太子(現上皇)の左腕の下から覗くシート生地が先の写真と同じ柄です。(ちょっと分かり難いですが)
ドアの内張りなども同じ意匠に見えます。
このシート生地はおそらく他のS45Pとも違い、元のS44Pとも違います。
生産数や生産時期などの考察
このグランドグロリアS45Pの生産時期については、上記ブログにアップされている「プリンス45型 諸元表」に記載があり、それによると車台番号打刻開始日は1965年8月16日となっています。
車台番号も21番からと言う中途半端な番号からのスタートとなっており興味の湧くところですが、S40Dの車両番号も(車台番号ではないですが・・・)何故か1001番からのスタートとなっており、謎ではあります。
そのほかのS4系グロリアの車両番号は殆ど1番から始まっているので余計に特殊に感じてしまいます。
S45Pは資料の時期からするとまだ1型の時期ですが、この時期だと既にグランドの生産数は当然21台以下ということはありえないので上記の事情とは異なります。
八王子の車の車両番号は当時の雑誌に載っていたように思いますが、記憶が定かではないのですが確か12番だったように記憶しています。
また、エンジンルームのシリアルプレート(コーションプレート)は複数のタイプが確認されており、ブリジストンのものはプレートの文字が英語表記で数字は全て手打ちで打刻されているようです。
以前この車も雑誌で記事になっており、その時にプレートの写真があったかどうか・・・記事そのものは見ているのですが、その雑誌は手元に無いので確認できません。
これも拙い記憶ではありますが車両番号は5番だったと思います。
確か、レストア後にはブリジストンで保管されており、一般公開はしていないのでは?
記事の時点では公道走行可能な状態にはなっていなかったと思いますが、状態は悪くないようでしたので整備すれば車検取得も可能なのではないかと思われました。
もう一台の現上皇が皇太子時代に自ら運転していたこともあるS45Pの車台番号と車両番号は一体何番だったのでしょう?
不確実ですが4番だったという証言もあり、さすがに現車が残っているとは言え確認は難しいでしょう。
それでも当初の事情を考えると、最初の1台はやはり皇太子用として納車されたと考えるのが自然に思えますが、実際は宮内庁向けに最初に複数台製作された内の1台が皇太子用に振り分けられたという可能性もあり、現車の車両番号はとても気になるところです。
(※その後写真で確認できましたが、現車の車両番号は2番でした。)
結論として、台数に関しては車両番号そのものがランダムに打刻されている可能性もあるので実車のみでの判断は難しいでしょう。
製造時期としては先に書いたように65年8月が正しいと仮定すると、長くても1年弱程度だったのではないかと推察します。
そう考えると65年12月には2型にチェンジするので、それ以降に生産されたS45Pがあるとすれば当然2型を種車に生産されているはずですね。
しかし66年8月には日産と合併してしまうので、それ以降の製造は無かったのではないかと・・・
確証があるわけではないのですが、個人的には総生産数は多くても10数台といったところなのではないかと思っています。
と、ここで気になる写真がひとつあります。
1965年5月発行のプリンスPR誌の記事なのですが、3月26日に皇太子がブリジストンを見学されたという記事に写っている一台のグロリア。
この写真のグロリアがもしかするとS45Pではないかと睨んでるんですが。
特徴的なフォグランプとナンバーから見てグランドグロリアなのは間違い無いんですが(そもそもグランドグロリアと書いてある)、ホイールキャップがどうもBLSIグロリアと同型の物に見えます。
わざわざグランドにスーパー6用のキャップを履くと言うのも不自然なので、写真が不鮮明ですがたぶん14インチのキャップだと推測します。
そうなるとこのグランドはS45Pなのではないかと想像するのですが、そうなると資料にある生産開始時期よりかなり早い時期から存在する事になるんですよね。
ただ、写真の角度からだとホイールベースが長いようにはあまり見えないので確証はありませんが・・・
もしこのクルマがS45Pだと仮定すると、初期の生産車は正式に認証を取る前に改造申請で製作したのかもしれません。
しかもこの写真、不鮮明ですがナンバーの表記が「品川 3」ではなく「品 3 た・300」のようです。
「品 3」だとすると昭和39年10月以前の交付となるのでますます辻褄が合わない。
中々にミステリアスですね。(勝手にそう思っているだけですけど)
2022年2月8日追記
その後、このグランドの登録ナンバー「品3 た・300」は、現在残存が確認できている元皇太子使用車と言われているS45Pの最初の登録ナンバーであったことが写真ではありますが確認できました。
なので、記事のグランドグロリアは間違いなくS45Pだという事になります。
一応現時点で現存が確認できている車両のシリアルプレート上の型式標記は全てS45P-1のようです。
これは、資料に記載がある車台番号打刻開始日時よりも前から存在していることが確実な車両(元皇太子のS45P)のプレートの刻印もS45P-1となっています。
結局正式に発表される以前からS45Pは存在していたという事はほぼ確実になったのではと思いますが、かえって謎が深まってしまいましたね。
どこで生産していたのか
S45Pの製造ラインは特に無く、元プリンスに勤めていた方から聞いた話では三鷹の試作1課で手作りされていたそうです。
実際のところ、通常のグランドとの相違点は、ボディの延長に合わせたフレームの延長と、ルーフ及び床、リアドア関係ですが、その他リアドアの内張りと床の敷物、他にルーフモール、ドアモールなども専用品になるので、その都度特注での調達だったのでしょう。
当然ホイールベースも違うのでプロペラシャフトも専用品になるはずで、かなり手間のかかる改造になったであろう事は想像出来ますが、元々プリンスの試作課はそのような作業はお手の物だったようですので、このような車両の製作にはうってつけの部署だったのでしょう。
他にもホイールもキャップはBLSIP-3型グロリアと共通ですが、ホイールそのものはS45P専用の14インチなので(SI系の14インチとはホイールナットの数等が違うので別物のはず)これもわざわざこの為だけに製作したのでしょうか?
細かくあげていくとキリがありませんが、極少数しか生産していない車でもこれだけの手間が掛かっているわけですね。
このS45P、元々は当時の皇太子殿下が美智子妃殿下の乗り降りをしやすいようにとのご配慮から製作されたというのは割と知られたエピソードだと思いますが、実はそれに関連してもう少し詳しい話を元プリンスの方から聞くことができました。
リアシートには帽子を被ったままでも乗車しやすいように室内高を広げる工夫をしていたそうです。
具体的にはリアシートの座面を下げ(シートと床面との高さを変えた?)天井の頭に掛かる部分の天張りを凹ませてあったとの事。
1969年の写真を見ると、リアガラス上の天張りの合わせ目が通常のグランドとは違う事が分かります。
(カタログ写真の内装を見ると確認できます→グランドグロリアの記事参照)
初めて聞いた話で興味深く、まだまだ他にも知らない話がありそうだなと感じた次第です。
ただ、この仕様は全てに共通していたということではないと思います。
最後に
このクルマのユーザーはいったいどのような人たちだったのか?
元々は皇室向けに製造されたS45Pですが、他にも複数のユーザーの手に渡ったことが分かっています。
まず宮内庁に複数台納入されたと言われており、他にはブリジストン関係者の他にも株主などにも販売したようですが、そのほかに地方のプリンスディーラーの社長が所有していたとの情報もあるので案外多岐にわたります。
ただ、普通に販売していた形跡がないので、宮内庁とブリジストン向けに納入した後は特別な顧客向けに注文生産と言う形で対応していたのではないだろうかと考えられます(社内報やPR誌にもS45Pについては一切出ていないようなので)
実際の価格を含めてとても気になります。
・・・最後になりますが、実は割と最近になって何と4台目が発見されたと言う衝撃的な情報が入ってきました!
当初は元皇太子のS45Pのことなのではないかと思われていたのですがどうやら別の車だったとの事。
詳細については詳しく書けませんが、現在は日産に保管されているとの噂です。
それにしてもこのような車がこの時期になっても未だに発掘されるということが驚きです。
塗色や車番等の詳しいことは未確認ですが、良くぞ残っていてくれました!って感じです。
今回は以上になりますが、もし新たな情報が入手できた際にはまたブログで発表できたらと思います。
ではまた
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