どうもです。
このブログで紹介するプリンス系車種は圧倒的にグロリア系(S4系)が多いのですが、これは単純に自分が乗っていたのがグロリアだったという事が関係しています。
なので持っている資料も自ずとグロリア系に偏っている訳です。
そう言う事ですので、スカイラインや商用車(マイラー、クリッパー系)は今のところ資料があまり揃っていないので、紹介できるだけの資料が揃い次第順次グロリア以外にも手を出して行きたいと思っています。
さて、久しぶりの更新になってしまいましたが、今回はプリンスのグロリアシリーズでは下位グレードにあたる「グロリア6」と「グロリアスペシャル」です。
グロリア6(S41S-1)は1964年に追加されたグレードで、
先に発売されていた「グロリアスペシャル」の4気筒G2エンジンを6気筒G7エンジンに変更したスタンダード系の車種になります。
なので、装備や外観等はスペシャルとほぼ同じで、外観上分かる違いはエンブレムくらいです。
今回もカタログ写真をメインに話を進めます。
(カタログ写真は後半に載せています)
グロリア6とは
グロリア6とは、1963年10月に発売されたグロリアスペシャルに準じた仕様で1964年の4月に発売された車種で、スタンダード系列ながら6気筒G7エンジンを搭載しているのが最大の特徴です。
このグロリア6に搭載されたG7エンジンは、スーパー6用のエンジンとは違い、圧縮比を8.8から8.3に落としてレギュラーガソリン仕様にしたもので、最高出力も高圧縮仕様より5PS落ちの100PSでした。
このエンジンは同時期に発売されたV43ワゴンにも搭載されています。
内外装はスタンダード系ということで、モール類は最小限に留め、ホイルキャップもハーフタイプ(ワゴンと同タイプ)を装着しており、内装もシート生地はビニールレザーを使用。
ハンドルもデラックス系の白ではなく黒ハンドルでラジオやヒーターはオプション(但し6はヒーターのみ標準装備)と言うスッキリしたものでした。
しかし、意外にもスーパー6との重量差はわずか10キロ。
走りは大して変わらなかったのではないでしょうか?
グロリア6の立ち位置は?
それにしても、このグロリア6という車種は一体どのようなユーザーを想定して出した車なんでしょう?
下位グレードには既にスペシャル(S40S-1)があり、タクシー向けにはこちらで十分用は足りていたはずですし(2型になった後にタクシー専用のS40-TMとS40-TF「プロパン仕様」が別途発売になりますが)わざわざスタンダード系でG7搭載車を送り出す必要があったんでしょうか。
仮にスーパー6が欲しいと思っていても価格面で厳しいと考えるユーザーならば、見るからに安っぽいスタンダードな「グロリア6」ではなく見た目がスーパー6に近いデラックス(S40D)にするのではないかと思うんですよね。
どうしても6気筒エンジンが欲しい、と思う人がいたのかどうか分かりませんが、ヒーターしか標準で付いていないこのクルマを選ぶ理由ってなんだろうと考えると特に無いのではないかと・・・
今の世の中ならば、あえてスタンダードの旧車に乗るという選択肢はアリですけど、当時の場合はグロリアあたりに乗る人ならば完全にステータス性を求めると思うので、少なくとも個人で購入する場合ならば選択肢としてはなさそうに思います。
カタログを見ても誰に対して売り込んでいるのか?
ビジネスモデル的な扱いのカタログなんで、もしかすると社用車のような用途を想定してたんでしょうか?
それでも6気筒は別にいらないと思うんですけど・・・
実際大した販売台数ではないらしく、特に目立たないままひっそり消えていきます。
毎回参考にしている66年度版パーツリストにはS41Sの2型の記載がありませんので、もしかすると2型にマイナーチェンジすらしていないかもしれません。(なので生産台数の推察も出来ません)
ただし、輸出用のグロリアにはこれに準じた仕様があったようでして、グロリア6のエンブレムの付いたオーストラリア仕様のグロリアは見たことがあります。
外装はボンネットフードとリアのバンパー及びガーニッシュはデラックス系と同じでしたが(純正仕様かどうかは不明)、そのほかはサイドモールも無く、内装もスタンダード系に準じていてビニール生地のシートに黒いハンドルといった仕様でした。
写真では見えませんがメーター表記は当然マイルです。
純粋な国内仕様を初めて見たのは2018年のお台場旧車天国です。
現車の車両番号は3桁で、500番より若い番号でした。
以前の記事より再掲
しかしこちらも外観はスーパー6仕様になっていたそうで、現オーナーさんは本来の姿に戻すべく、コツコツと直しているとの事でした。
写真ではルーフモールが付いていますが、本来は鉢巻モール以外は一切付かないのが正解です。
(このクルマについては以前の記事お台場旧車天国2018その2で触れてます)
やはり当時からスタンダード系はあまりオーナーとしては乗りたくなかったんでしょうね。
S40Dも本来リアのガーニッシュは付きませんが、残存している個体にはリアガーニッシュを付けてスーパー6仕様になっているクルマが結構あります。
カタログの中身
今回のカタログはグロリア6が発売されてから最初の変更後のもので、表紙に6とスペシャル両方のバッジの写真があるものです。
6発売当初のカタログにはスペシャルと一緒のカタログであるにもかかわらず、なぜかスペシャルが載っている事が分かる表紙ではなかったので早い時期に差し替えられました。
それでも内容としては6がメインで、スペシャルは本当にオマケ程度の扱いで、表紙には辛うじて一番下にスペシャルのエンブレムが入ってます。
このカタログは時期的に第2回日本グランプリ後のものなので、以前紹介したグランドグロリアのカタログ同様にグランプリ優勝の文字が入ります。(初版は39年4月でこれは39.7版)
パイプを咥えたパイロットと思しきダンディな御仁が運転席に座っております。
シンプルなフロント&リアビュー。
今見ると悪くないですが、クルマが今以上にステイタスだった当時は安っぽく見えたことでしょう。
(今でもあえて高級車のスタンダード系には乗らないですよね?)
「オフィスへ早がわり」はチョット無理やりですが、スタンダード系を良く見せるのは難しいですね。
デラックス系のカタログを見た後だとやはりシンプルですからね。
スッキリしたサイドビュー。
デラックス系よりも腰高に見えるのはフロントバンパー下のスカートが無いのも影響してると思います。
基本的にはデラックス系と同じ運転席周り。
ダッシュボード中央にあるスピーカーの取り付け部分のカバーが別体なのはV43ワゴンと同じ作りです。
これはラジオがオプションだった事が関係していると思われ、この頃のデラックス系はダッシュボードのパットにスリットが入っているだけの一体型です。(41Dの2型以降は別体式に統一)
後からスピーカーを取り付けるには別体じゃなければダッシュを全て外す必要があり、相当な手間ですからね。
そう考えると1型のデラックスやスーパー6などは、スピーカーを交換したい場合にかなり面倒な作業を強いられた事と思われます。
G7エンジンと第2回グランプリでの活躍を宣伝するページ。
このG7エンジン、見た目では105馬力仕様か100馬力仕様かは分かりませんが、初期のG7の特徴が分かる写真です。
グリスカップ付きのウォーターポンプやアルミ製のサーモスタットカバー、ゴールドに塗装されたエアクリーナーケース等、後期のG7とは違うパーツが他にもいくつか写っているので興味のある人は見比べてみてください。
(後期のエンジンルームの写真がないと分からないですね・・・)
それにしても写真左のステアリングギアボックス手前のフレーム部分の汚さはどうにかならなかったんですかねぇ・・・
プリンスのカタログにはこういった抜けてる部分がたまにあるのが御愛嬌?
最後はたった一枚だけの「スペシャル」の写真と、グロリアシリーズ共通の先進技術をアピールするページ。
ちょっとスペシャルが可哀想になってきました・・・
最後は諸元です(抜けていたので追加しました)
まあ、グロリア6が発売になる前はスペシャル専用のカタログもあったわけですが、それにしても扱いが随分と低いですよね。
プリンスとしては4気筒の「スペシャル」よりも6気筒の「6」をメインに販売したかったのでしょうか?
実際はその思惑は外れて、オーナードライバーにはほとんど相手にされなかった可哀想なクルマなのかもしれません。
スペシャルのほうはその後も営業向けにそれなりの台数は出たものと思われます。
(S40SではなくTMやTFメインかもしれませんけど)
ただ、今となってはそのどちらもまず見ることの無いレアなクルマです。
自分もスペシャルはまだ未見なので、何処かでもし残っているのなら大事にして欲しいと思います。
・・・今後はページが重くなるのでカタログ写真は大サイズでは掲載しないようになるかもしれません。
またカタログもそろそろ尽きてきましたので、しばらくは今まで以上にペースが落ちてしまうかも。
ではまた