2011年11月15日
ピオグリタゾン塩酸塩(アクトス錠)の薬理作用
ピオグリタゾンはチアゾリジンジオン誘導体であり,
骨格筋および肝臓におけるインスリンの作用を改善する。
骨格筋においてはインスリン刺激によるブドウ糖の取り込みを促進し,
また,肝臓からのブドウ糖放出を抑制する。
臨床的に観察されるチアゾリジンジオン誘導体による血糖コントロールの改善は
主に骨格筋におけるインスリン作用の改善による。
チアゾリジンジオン誘導体によるインスリン作用の増強は脂肪細胞を介するものと考えられている。
チアゾリジンジオン誘導体は脂肪細胞の核内受容体型転写因子であるペルオキシソーム増殖薬応答性受容体(PPARγ)のリガンドとして働く。
PPARγはretinoid X receptorとヘテロダイマーを形成し,標的遺伝子に結合することにより,標的遺伝子の転写を促進する。
チアゾリジンジオン誘導体が脂肪細胞のPPARγに結合することにより,大型脂肪細胞のアポトーシスを誘導する。
この結果,大型脂肪細胞は減少し小型脂肪細胞は増加することとなる。
脂肪細胞からは腫瘍壊死因子TNFα,レプチンといったサイトカインや遊離脂肪酸(Free Fatty Acid:FFA)が分泌されているが,大型脂肪細胞の減少と小型脂肪細胞の増加に伴いこれらの減少が認められる。
TNFαおよびFFAはインスリン抵抗性の原因物質と考えられている。
また小型脂肪細胞の増加に伴い
善玉サイトカインであるアディポネクチンの分泌も増加するため
インスリン抵抗性が改善すると考えられている。
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