2011年10月11日
ベンゾジアゼピン服用患者にロゼレム錠を処方
2011年10月7日に不眠症治療薬ラメルテオン(商品名:ロゼレム錠)が
欧州において開発中止が発表されました。
以下,武田薬品工業からのプレスリリース。
不眠症治療薬ラメルテオンの欧州における開発中止について
当社は、このたび、当社の100%子会社である武田グローバル研究開発センター(欧州)株式会社(英国ロンドン、以下「TGRD(EU)社」)が欧州で実施している不眠症治療薬ラメルテオン(一般名)の開発について、当社の研究開発資源の最適化に鑑み、本剤の欧州での開発を中止することを決定しましたのでお知らせします。
TGRD(EU)社は、欧州においてラメルテオンの販売許可を2007年3月に申請しましたが、2008年5月、欧州医薬品評価委員会(CHMP)の見解を踏まえ、一旦、同年9月に本申請を取り下げました。
当社は、販売許可申請後に得られた臨床試験成績を含む新たなデータをもとに改めて販売許可申請を行うことを検討してまいりましたが、当社の研究開発資源をより最適化するに当たり、今般、再申請を行わないことといたしました。
ラメルテオンは、2005年7月に米国食品医薬品局(FDA)より販売許可を受け、さらに2010年4月に厚生労働省より製造販売承認を受けており、現在、「ロゼレム」の製品名で販売されています。
当社は、ラメルテオンが患者さんにとって有用な治療オプションであることを確信しており、引き続き、あらゆる観点で本剤の可能性について検討を続けてまいります。
なお、本剤の欧州での開発中止により、当社が直近に公表した2011年度連結業績見込みに変更はございません。
<ラメルテオンについて>
ラメルテオンは、脳内で睡眠・覚醒のサイクルを司り「体内時計」とも言われる視交叉上核に存在するMT1/MT2受容体に特異的に作用し、睡眠覚醒リズムを調節し、自然な睡眠をもたらします。
以上
ロゼレムですが,メラトニン様の作用を示し
一般的にロゼレムは軽度不眠の人に処方されるお薬です。
タイトルのような使い方をする医師もいますが,
それでは効き目は感じられないのも当然です
このお薬の理想的な使い方は,
マイナートランキライザーであるベンゾジアゼピン(BZP)系の
眠剤を導入する前にロゼレム錠で対処し,
不眠症の早い段階で睡眠の質を改善することです。
しかしロゼレムは新薬なので,
このような使い方で処方できる機会が少ないのが現状です。
実際にはBZP系のお薬(有名どころでいえばハルシオン,マイスリー,アモバン,レンドルミン,エバミール,リスミー,ロヒプノール,サイレース,ネルボン,ドラールあたり)を使用している患者から脱BZPするのに向いているように思えます。
日本ではベンゾジアゼピンの依存性について,大きな問題とされていませんが
欧米と比べてみると乱用されていると言えます。
(欧米では4週間を超える処方はまずありません。)
中にはベンゾジアゼピン中毒と言っても過言ではないような人が
日本中ウヨウヨいるのです。
やみくもにBZP薬を処方するのではなく,
このロゼレム錠をもっと上手く使える医師が増えて
なおかつベンゾジアゼピンの依存性をもっと問題視し,
患者本人が脱BZPしたいという意思を持つように
医療業界が社会に働きかける必要があるのではないでしょうか?
ロゼレム錠は睡眠薬脱薬へのクッションのような使用法を
されれば,非常に有用なお薬だと思います。
といっても不眠はうつ病にもつながるため積極的に治療していかなければ
なりません。ストレス過多の現代で,なかなか難しい問題ですね
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