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2018年09月23日
9月23日は何に陽(ひ)が当たったか?
1986年9月23日は、アメリカのロック・グループ、Boston(ボストン)の3枚目のスタジオ・アルバム、"Third Stage(邦題:サード・ステージ)"がリリースされた日です。前作の"Don't Look Back(邦題:新惑星着陸)"からおよそ8年ぶりにリリースされたとして、当時は大きな話題になりました。
レーベルを、これまでのCBS(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)傘下のEpicレコードから、MCAレコードへ移籍してリリースされた本作は、1980年から1986年の間にレコーディングされた楽曲が本作品に収められました。レコード移籍については、グループのリーダーでギタリストのTom Scholz(トム・ショルツ)の完璧な音作りへのこだわりにより、レコーディングに長時間を費やしたことに業を煮やしたEpic/CBSから契約違反の訴状を突きつけられ、Bostonは音楽活動が停滞しました。このため8年という沈黙期間によりメンバーのラインナップも大幅に変更となり、"Third Stage"制作時点でのメンバーはTom Scholz(トム・ショルツ。gtr,key,bs,drm)、Brad Delp(ブラッド・デルプ。vo。2007年没)以外は流動的で、過去2枚に参加したSib Hashian(シブ・ハシアン。drm。2017年没)も制作初期段階ではメンバーに入っていましたが、デビュー作"Boston(邦題:幻想飛行)"収録の"Rock & Roll Band(邦題:ロックンロール・バンド)"のみ参加したオリジナルメンバーのJim Masdea(ジム・マスデア。drm)に交代、またギタリストでは、本作不参加のBarry Goudreau(バリー・グドロー。gtr)に代わって、Gary Pihl(ギャリー・ピール。gtr)が参加しました。
法廷での係争が落着後、1986年にMCAへ移籍したBostonは、ようやく6年間分のレコーディング、そして8年のブランクを経て、陽の当たった1986年9月23日にリリースされる運びとなりました。ジャケットが秀逸で、あの宇宙から見た広大な地球へ帰還しようとしている"ボストン号"の雄大な姿が表と裏を合わせたスリーブ・デザインとして描かれ、過去2作のジャケット以上に、壮大なスケールとして心を奪われる様です。当時はアナログ盤(LPレコード)で購入しましたので、壁に飾れるほどの価値のあるジャケットです。
さて、曲目は以下の通りです(アナログ盤表記。最後の数字は制作年)。
A面
1."Amanda(邦題:アマンダ)"・・・Scholz作(以下、単独Scholz作は表記略)。1980-81。
2."We're Ready(邦題:ウィ・アー・レディ)"・・・1981。
3."The Launch(邦題:ザ・ローンチ)":
a) 'Countdown(邦題:カウントダウン)'
b) 'Ignition(邦題:イグニション)'
c) 'Third Stage Separation(邦題:サード・ステージ・セパレーション)'・・・1982。
4."Cool the Engines(邦題:クール・ジ・エンジンズ)"・・・Scholz, Fran Sheehan, Brad Delp作。1981-82。
5."My Destination(邦題:マイ・デスティネーション)"・・・1982。
B面
1."A New World(邦題:ニュー・ワールド)"・・・Jim Masdea作・・・1982,85。
2."To Be a Man(邦題:トゥ・ビー・ア・マン)"・・・1984,85。
3."I Think I Like It(邦題:アイ・シンク・アイ・ライク・イット)"・・・Scholz, Jon DeBrigard(Jon English)作。1985,86。
4."Can'tcha Say (You Believe in Me)/Still in Love(邦題:キャンチャ・セイ)"・・・Gerry Green, Scholz, Delp作。1981,82,83(Can'tcha Say)。1983(Still in Love)。
5."Hollyann(邦題:ホリーアン)"・・・1980,81,82,1984-85。
サウンド面に関してはBoston流のメロディアスでスペーシーなハード・ロックは基本的には変わってはいませんが、過去2作と比べて非常にマイルドになり、より聴きやすくなっています。ファースト・シングル・カットされたA-1の"Amanda"を筆頭に落ち着いたナンバーが多く、かつTomの音へのこだわりを失わない仕上がりで、非常に聴き応えのあるアルバムです。
またこのアルバムではTomが開発したギター・プロセッサー、"Rockman"が披露されます。持ち運びが可能なポータブルヘッドフォンアンプで、レコーディングで生み出されたサウンドをライブでも再現できるように開発されました。
Bradの美声とTomの12弦ギターが美しいバラード、"Amanda"は3日後の26日にリリースされ、11月8日付Billboard HOT100シングルチャートで彼ら初の1位を獲得し、2週記録して18週チャートインしました。現時点でBoston唯一のHOT100での1位獲得曲です。集計期間の関係でチャート・イン週数は少なかったですが、その年のYear-Endチャートでは100以内50位を記録しました。メインストリーム・ロックチャート(当時はAlbum Rock Tracks)では1986年10月11日付で1位を獲得、3週間記録しました。
オープニングで珠玉のバラードを持ってくるあたりはハードロック・グループとしては独特ですが、単なるスロー・バラードに終わるのではなく、後半のクライマックスにおける特徴的なツイン・リード・ギターによる美しいハーモニーも健在で、この1曲で落ち着いて全編を聴くことができる安心感が備わります。A-2の"We're Ready"もそれほどヘヴィーな楽曲ではないものの、後半ではやはりBostonならではのツイン・リード・ギターが展開します。この曲はセカンド・シングルとしてカットされ、翌1987年2月14日付HOT100では9位まで上昇、Album Rock Tracksチャートは1986年12月6日付で2位を記録しています。
A-3"The Launch"のドラマティックなインストゥルメンタル、A-4"Cool the Engines"のアップ・テンポのハード・ロックの構成は前作"Don't Look Back"収録の"The Journey(邦題:ザ・ジャーニー)"、"It's Easy(邦題:イッツ・イージー)"の構成に似ています。特にA-3の"Third Stage Separation"での"ボストン号"打ち上げをエフェクトで表現しているパートは圧巻です。この流れに切れ目なく入り込むA-4はシングルとしてもエアプレイに頻繁にかかり、Album Rock Tracksチャートは1986年12月27日付で4位を記録しています。A-5の"My Destination"もスーッと入り込むA-1のリプライズ的なナンバーで、A面の最後を飾る素晴らしいバラードです。
B面はオリジナル・ドラマーのJim Masdeaによるインストゥルメンタル"A New World"で始まります。30秒程度の短い中でドラマティックに展開していき、そのまま"To Be a Man"に入ります。スロー・テンポでありながら、美しいギター・オーケストレーションを聴かせてくれます。
B-3の"I Think I Like It"はGary Pihlが参加したナンバーです。Bradのヴォーカルも少々控えめで軽快なポップ・ロック路線でありながらも、美しいギター・ソロは健在です。個人的にも気に入っているロック・ソングです。導入部におけるBradのシャウトで始まるB-4"Can'tcha Say (You Believe in Me)/Still in Love"はRockmanのエフェクターを初めて使用した楽曲とされています。もともと2つの楽曲がくっついて完成した美しいナンバーで、発売時期によってこの2曲が分かれている表記も見られますが、個人的にはくっついている方がアメリカン・プログレっぽくて親しみやすいです。この曲はシングルとしてもカットされて、HOT100では1987年4月18日付で2週続けて20位、Album Rock Tracksチャートでは1987年2月28日付で2週続けて7位を記録しました。アルバムの最後を飾るB-5"Hollyann"はチャートインは成し得なかったですが、シングルとしてもカットされた美しいロック・バラードです。ここでも単純なバラードに終わるのではなく、スケールの大きいギター・オーケストレーションが存分に味わえます。
"Third Stage"は内容から全体的にはミドル・テンポやバラードが多いものの、これらを全編ギターで展開すれば、普通なら飽きやすいところですが、Bostonはリズム、メロディそしてハーモニーすべてをBostonnらしくアレンジを施し、奥行きのある、かつ聴きやすく馴染める音楽に完成させるところが素晴らしいです。音を楽しみ、感動するグループであるがため、MTV全盛期でプロモーションビデオが制作されなかったのもうなずけます。このアルバム”Third Stage”は1986年11月1日付Billboard200アルバム・チャートでは1位を獲得、4週連続ナンバーワンに輝いて、翌1987年のYear-Endアルバムチャートでも17位を獲得しました。セールス面でも全米でクアドラプル(4×)・プラチナに、カナダでもトリプル(3×)・プラチナに認定、Bostonは華麗な復活を遂げたのでありました。
レーベルを、これまでのCBS(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)傘下のEpicレコードから、MCAレコードへ移籍してリリースされた本作は、1980年から1986年の間にレコーディングされた楽曲が本作品に収められました。レコード移籍については、グループのリーダーでギタリストのTom Scholz(トム・ショルツ)の完璧な音作りへのこだわりにより、レコーディングに長時間を費やしたことに業を煮やしたEpic/CBSから契約違反の訴状を突きつけられ、Bostonは音楽活動が停滞しました。このため8年という沈黙期間によりメンバーのラインナップも大幅に変更となり、"Third Stage"制作時点でのメンバーはTom Scholz(トム・ショルツ。gtr,key,bs,drm)、Brad Delp(ブラッド・デルプ。vo。2007年没)以外は流動的で、過去2枚に参加したSib Hashian(シブ・ハシアン。drm。2017年没)も制作初期段階ではメンバーに入っていましたが、デビュー作"Boston(邦題:幻想飛行)"収録の"Rock & Roll Band(邦題:ロックンロール・バンド)"のみ参加したオリジナルメンバーのJim Masdea(ジム・マスデア。drm)に交代、またギタリストでは、本作不参加のBarry Goudreau(バリー・グドロー。gtr)に代わって、Gary Pihl(ギャリー・ピール。gtr)が参加しました。
法廷での係争が落着後、1986年にMCAへ移籍したBostonは、ようやく6年間分のレコーディング、そして8年のブランクを経て、陽の当たった1986年9月23日にリリースされる運びとなりました。ジャケットが秀逸で、あの宇宙から見た広大な地球へ帰還しようとしている"ボストン号"の雄大な姿が表と裏を合わせたスリーブ・デザインとして描かれ、過去2作のジャケット以上に、壮大なスケールとして心を奪われる様です。当時はアナログ盤(LPレコード)で購入しましたので、壁に飾れるほどの価値のあるジャケットです。
さて、曲目は以下の通りです(アナログ盤表記。最後の数字は制作年)。
A面
1."Amanda(邦題:アマンダ)"・・・Scholz作(以下、単独Scholz作は表記略)。1980-81。
2."We're Ready(邦題:ウィ・アー・レディ)"・・・1981。
3."The Launch(邦題:ザ・ローンチ)":
a) 'Countdown(邦題:カウントダウン)'
b) 'Ignition(邦題:イグニション)'
c) 'Third Stage Separation(邦題:サード・ステージ・セパレーション)'・・・1982。
4."Cool the Engines(邦題:クール・ジ・エンジンズ)"・・・Scholz, Fran Sheehan, Brad Delp作。1981-82。
5."My Destination(邦題:マイ・デスティネーション)"・・・1982。
B面
1."A New World(邦題:ニュー・ワールド)"・・・Jim Masdea作・・・1982,85。
2."To Be a Man(邦題:トゥ・ビー・ア・マン)"・・・1984,85。
3."I Think I Like It(邦題:アイ・シンク・アイ・ライク・イット)"・・・Scholz, Jon DeBrigard(Jon English)作。1985,86。
4."Can'tcha Say (You Believe in Me)/Still in Love(邦題:キャンチャ・セイ)"・・・Gerry Green, Scholz, Delp作。1981,82,83(Can'tcha Say)。1983(Still in Love)。
5."Hollyann(邦題:ホリーアン)"・・・1980,81,82,1984-85。
サウンド面に関してはBoston流のメロディアスでスペーシーなハード・ロックは基本的には変わってはいませんが、過去2作と比べて非常にマイルドになり、より聴きやすくなっています。ファースト・シングル・カットされたA-1の"Amanda"を筆頭に落ち着いたナンバーが多く、かつTomの音へのこだわりを失わない仕上がりで、非常に聴き応えのあるアルバムです。
またこのアルバムではTomが開発したギター・プロセッサー、"Rockman"が披露されます。持ち運びが可能なポータブルヘッドフォンアンプで、レコーディングで生み出されたサウンドをライブでも再現できるように開発されました。
Bradの美声とTomの12弦ギターが美しいバラード、"Amanda"は3日後の26日にリリースされ、11月8日付Billboard HOT100シングルチャートで彼ら初の1位を獲得し、2週記録して18週チャートインしました。現時点でBoston唯一のHOT100での1位獲得曲です。集計期間の関係でチャート・イン週数は少なかったですが、その年のYear-Endチャートでは100以内50位を記録しました。メインストリーム・ロックチャート(当時はAlbum Rock Tracks)では1986年10月11日付で1位を獲得、3週間記録しました。
オープニングで珠玉のバラードを持ってくるあたりはハードロック・グループとしては独特ですが、単なるスロー・バラードに終わるのではなく、後半のクライマックスにおける特徴的なツイン・リード・ギターによる美しいハーモニーも健在で、この1曲で落ち着いて全編を聴くことができる安心感が備わります。A-2の"We're Ready"もそれほどヘヴィーな楽曲ではないものの、後半ではやはりBostonならではのツイン・リード・ギターが展開します。この曲はセカンド・シングルとしてカットされ、翌1987年2月14日付HOT100では9位まで上昇、Album Rock Tracksチャートは1986年12月6日付で2位を記録しています。
A-3"The Launch"のドラマティックなインストゥルメンタル、A-4"Cool the Engines"のアップ・テンポのハード・ロックの構成は前作"Don't Look Back"収録の"The Journey(邦題:ザ・ジャーニー)"、"It's Easy(邦題:イッツ・イージー)"の構成に似ています。特にA-3の"Third Stage Separation"での"ボストン号"打ち上げをエフェクトで表現しているパートは圧巻です。この流れに切れ目なく入り込むA-4はシングルとしてもエアプレイに頻繁にかかり、Album Rock Tracksチャートは1986年12月27日付で4位を記録しています。A-5の"My Destination"もスーッと入り込むA-1のリプライズ的なナンバーで、A面の最後を飾る素晴らしいバラードです。
B面はオリジナル・ドラマーのJim Masdeaによるインストゥルメンタル"A New World"で始まります。30秒程度の短い中でドラマティックに展開していき、そのまま"To Be a Man"に入ります。スロー・テンポでありながら、美しいギター・オーケストレーションを聴かせてくれます。
B-3の"I Think I Like It"はGary Pihlが参加したナンバーです。Bradのヴォーカルも少々控えめで軽快なポップ・ロック路線でありながらも、美しいギター・ソロは健在です。個人的にも気に入っているロック・ソングです。導入部におけるBradのシャウトで始まるB-4"Can'tcha Say (You Believe in Me)/Still in Love"はRockmanのエフェクターを初めて使用した楽曲とされています。もともと2つの楽曲がくっついて完成した美しいナンバーで、発売時期によってこの2曲が分かれている表記も見られますが、個人的にはくっついている方がアメリカン・プログレっぽくて親しみやすいです。この曲はシングルとしてもカットされて、HOT100では1987年4月18日付で2週続けて20位、Album Rock Tracksチャートでは1987年2月28日付で2週続けて7位を記録しました。アルバムの最後を飾るB-5"Hollyann"はチャートインは成し得なかったですが、シングルとしてもカットされた美しいロック・バラードです。ここでも単純なバラードに終わるのではなく、スケールの大きいギター・オーケストレーションが存分に味わえます。
"Third Stage"は内容から全体的にはミドル・テンポやバラードが多いものの、これらを全編ギターで展開すれば、普通なら飽きやすいところですが、Bostonはリズム、メロディそしてハーモニーすべてをBostonnらしくアレンジを施し、奥行きのある、かつ聴きやすく馴染める音楽に完成させるところが素晴らしいです。音を楽しみ、感動するグループであるがため、MTV全盛期でプロモーションビデオが制作されなかったのもうなずけます。このアルバム”Third Stage”は1986年11月1日付Billboard200アルバム・チャートでは1位を獲得、4週連続ナンバーワンに輝いて、翌1987年のYear-Endアルバムチャートでも17位を獲得しました。セールス面でも全米でクアドラプル(4×)・プラチナに、カナダでもトリプル(3×)・プラチナに認定、Bostonは華麗な復活を遂げたのでありました。
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posted by ottovonmax at 00:00| 洋楽