【政治部記者覆面座談会・第5回(最終回)】「内閣改造をするほど総理の権力は下がる」とは、「人事の佐藤」と呼ばれた佐藤栄作・元首相の言葉だが、今回の内閣改造・自民党役員人事はまさにその通りの結果となった。
混迷する岸田政権にいったい何が起きているのか。そこで本誌・週刊ポストは官邸詰めや自民党担当の政治部記者4人による緊急覆面座談会を開催し、改造の舞台裏を辿った。参加者はキャップクラスのベテラン記者A氏とB氏、取材の第一線に立つ若手・中堅のC氏とD氏だ。
司会(編集部):自民党内は人事への不満が強まっている。
記者A:たまってるね。それが表面化したのが改造直後に最大派閥の安倍派から生え抜きの土井亨議員が退会したことじゃないか。
記者C:土井氏は当選5回で入閣適齢期。選挙に強くないから早く大臣になりたいはずですが、安倍派は最大派閥で大臣枠が4人もあるのに、岸田総理は改造のたびに萩生田氏や松野博一・官房長官、西村康稔・経産相ら5人衆を大臣や党3役の重要ポストに起用し続けているから、同派の衆院の新入閣は毎回1人。適齢期の議員になかなか大臣が回ってこない。
今回、茂木派からは当選5回の木原稔・防衛相が入閣したのに、安倍派の7人の当選5回生は全員未入閣。大臣になれるのは遅ければ7年後と考えたら、“やってられない”という気になるでしょう。
記者D:大恥をかかされたのが、世論調査で「次の首相にふさわしい人」1位の石破茂・元幹事長でしょう。岸田総理は事前に石破氏と会談し、本人も入閣を打診された場合、「国家、国民のためなら『受けません』と言ってはいけない」と入閣に意欲を見せていたのに、肩透かしを食わされた。
記者A:石破さんは総理との会談で、自分ではなく旧石破派の赤沢亮正氏の入閣を求めていたというのが真相だが、それもダメだった。
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