医療費が高額になった患者の自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」について、厚生労働省は上限額を引き上げる方向で検討を始めました。国全体の医療費が増加する中、現役世代の保険料負担を軽減するねらいがあります。
「高額療養費制度」は、高額な治療を受けた場合に、患者の負担が重くならないように、年齢や年収に応じて毎月の医療費の自己負担に上限額を設け、それを超えた分が払い戻される仕組みです。
現在の上限額は、70歳未満では5つの区分に分かれていて、年収が最も少ない区分では3万5400円、年収が最も多い区分では25万2600円程度などとなっています。
これについて厚生労働省は、医療費が増加する中、患者の自己負担を今より増やすことで現役世代の保険料負担を軽減しようと、上限額を引き上げる方向で検討を始めました。
年収が少ない区分については、自己負担が大きくならないように引き上げ幅を調整する方向です。
厚生労働省は、近く審議会で本格的に議論を始め、年内にも具体的な引き上げ額や実施時期などを決定したい考えですが、患者の自己負担が重くなるため与野党から反発が出ることも予想されます。