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2020年10月24日

信州ITバレー構想、策定から1年 浸透に課題も

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日本経済新聞 電子版 2020/10/24

信州ITバレー構想、策定から1年 浸透に課題も
信越トピックス 信越 長野 2020/10/23 19:24日本経済新聞 電子版

長野県の産学官がIT(情報技術)振興策「信州ITバレー構想」を打ち出してから、1年あまりが経過した。人材や企業を集積させ、様々な分野でデジタル化を進めることを目指すが、新型コロナウイルスの影響もあり成果はまだ限定的だ。県内外での知名度も乏しく浸透も課題となる。

凸版印刷は4月、リンゴ栽培が盛んな山あいの町、長野県飯綱町にシステム開発の新拠点「ICT KOBO」を開設した。廃校となった小学校をリノベーションした複合施設「いいづなコネクト EAST」に入居し6人の社員が働く。

新拠点では、本社から指示されたシステム開発の仕事をしているほか、地元が抱える課題を聞き取ってITで解決する取り組みもしている。いま取りかかっているのは、リンゴ農家の業務効率化や、農業の閑散期などに働ける場の創出だ。

「実際に現場で話を聞いてみると、想像もしていなかった課題が出てくる」とICT開発部の宮竹哲哉部長は話す。IT導入で解決できれば地元への貢献になるだけでなく、県内外の似たような地域に展開できビジネスにもつながる。

こうした取り組みを先進事例として評価し、長野県は凸版印刷をIT関連助成制度の「特例企業」第1号に認定。全国トップクラスと自負する手厚い助成制度を適用する。

2020年度のIT企業の県内進出に対する助成件数は、現在までで凸版印刷を含め3件。19年度はゼロだったが、構想を打ち出して以降、一定の成果が出つつある

とはいえIT関連のスタートアップ育成の取り組みは、緒に就いたばかりだ。長野県全体の全産業の開業率は2018年度に3.29%と全国38位にとどまる。県は松本市に6月、創業支援拠点「信州スタートアップステーション」を設立した。起業を考えている若者や学生が相談できる環境を整備した。

長野市も、善光寺周辺でスタートアップ育成を進めている。20年度中に支援拠点の設置を計画していたが、コロナ禍を受けて当面は相談体制の整備などを進める方針への転換を余儀なくされた。

同市は、内閣府が公募した「スタートアップ・エコシステム拠点都市」に応募したが落選した。不採用の理由は通知されなかったというが、市担当者は「選ばれた自治体は、どこもスタートアップ育成ですでに実績のあるところ。長野の取り組みはまだ評価されていないということだろう」と分析する。

人材の誘致や育成などの取り組みは、新型コロナの影響を大きく受けている。シリコンバレーなど海外のIT企業・人材との交流を予定していたが、ひとまずは凍結。オンライン形式で実施する手もありそうだが「時差や通訳の問題もあり厳しい面もある」(長野県テクノ財団の倉島浩事務局長)。

県内で開くイベントや講習会も、一時期は中止やオンライン形式へと変更せざるをえなかった。ただ、今後は「コロナ禍であっても、デジタル化の機運は高まっている」(県創業・サービス産業振興室)とみて、感染対策をしつつ取り組みを積極化する。

11月3〜7日には構想発表後で初めての大型イベントとなる「ナガノ フレッジ」を長野市で開く。講演やビジネスプランのコンテストなどを集中開催し、イベントの様子は動画サイトで配信する。まだ県内外で信州ITバレー構想の認知度が低いという課題の解消に向け、同イベントをきっかけに浸透させたい考えだ。
(畠山周平)
タグ:長野県
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