2020年09月24日
コロナ渦中の日本電産 実績で株価最高価格更新中
日本経済新聞 電子版
株価はコロナ騒ぎで大きく落ちた。その後現在ではほとんどの株価は復調して、コロナで落ち込む手前まで来た企業や、コロナ以前の価格を追い越している企業も幾つかある。その中で、株価の最高価格を更新している企業がある。今朝の日経が報じた。下記です。
日本電産、隠れた優等生「機器装置」 不況期の支えに
京都支社 福冨隼太郎 関西 京都 2020/9/24 2:00日本経済新聞 電子版
日本電産が収益源の多角化を進めている。モーターの印象が強い同社にあって、全体に占める営業利益の比率が高まっているのが、プレス機や減速機などの機器装置事業。幅広い品ぞろえと原価低減をテコに2割を占めるまでになり、米中貿易摩擦やコロナ禍の打撃をうける業績を支えている。
日本電産の2020年3月期の連結営業利益は前期比16%減の1090億円だった。そのうち機器装置は217億円と20%を占め、18年3月期から約4ポイント高まった。電気自動車(EV)普及をにらみ積極投資する車載事業と同規模だ。機器装置の営業減益率(3%)も期中に大型買収があった「家電・商業・産業用」を除くと最小で、売上高営業利益率は5事業のなかで最も高かった。
機器装置の中核が、95年に子会社化した日本電産シンポ(京都府長岡京市)だ。前期は営業増益となり、金額も初めて100億円台にのせたとみられる。生産の海外移転や買収といった永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)流の再生術で売上高を95年以降に7倍近くに増やし、赤字続きだった採算も大きく改善した。
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シンポの特徴はM&A(合併・買収)による幅広い品ぞろえにある。豊富な製品群が互いの好不調を補い「大勝ちできない時期でも負けない戦ができる」(シンポの西本達也社長)という。金属板を打ち抜いて機械部品などを生産するプレス機がそうだ。12年以降、同業4社の買収により電子部品用に加え、飲料缶や自動車部品向けなども扱う体制を整備。前期はビール缶用や次世代通信規格「5G」関連といったモーターとは違う顧客への需要が伸び、自動車向けの低迷を補った。プレス機は用途によって大きさや加工精度が異なるため、競合他社は特定の顧客層に集中するケースが多いという。
減速機は歯車を使ってモーターの回転数を落とすことで、その力を高める機械部品。こちらも18〜19年にドイツ企業2社を買収し、対応できる用途は半導体製造装置から食品包装機械、農機、建機向けまで多岐にわたる。地域別の売上高構成も20年3月期は日本が32%、中国が14%、米州が48%、欧州などが6%。日中両国が合わせて9割を占めていた以前と比べてバランスがとれ、景気減速の影響を最小限にとどめることができた。
19年秋からは各拠点やグループ会社ごとの原価低減策などを西本社長らが毎月点検するなどしてコストを圧縮。シンポの20年1〜3月期の損益分岐点売上高を前年同期比9%下げた。
今後は産業用ロボットに使う減速機の伸びを見込む。人手不足やコロナ禍での「密」回避に向け、工場の生産ラインの省人化が加速するとみられている。6月以降は搬送用ロボットを手掛ける企業などから減速機や、減速機と他の部品を組み合わせたモジュール製品の受注が急増している。「中国本土や台湾に加え、日本や欧州企業の発注も増えている」(西本社長)という。
日本電産の前期の連結売上高は1兆5348億円。機器装置が占める比率は約1割だが、この事業が「負けない戦」をできるようになってきた意義は大きい。永守会長兼CEOは30年に売上高を10兆円とする目標を掲げ、EV用駆動モーターなどの車載事業を成長の軸に据える。足元では中国で複数のEVメーカーの採用が決まり、株価も9月15日に9824円と年初来高値を付けた。もっとも今後も1000億円かけて建設中の中国・大連の工場を含めて同モーターには数千億円を投じる計画で、当面の投資が先行しそう。その投資を支えるためにも機器装置の成長が欠かせない。
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