2020年09月15日
今こそ日本を作り替えよう シェアエコの伝道師が動く
日経電子版2020/9/13石山が考える今後の社会思想の変化をまとめた表
私たちの日常が、コロナですっかり変わってしまった。
ヨシッそれなれそれで、その環境にマッチングさせる。
使うのは、日本を創りかえる発想とITを駆使する。ミレニアルの年代は24〜39歳という。
日経が報じている。下記ですどうぞ。
今こそ日本を作り替えよう シェアエコの伝道師が動く
ミレニアル 新常態の主役(2)
ミレニアル 新常態の主役 2020/9/13 2:01 (2020/9/15 2:00更新)日本経済新聞 電子版
ミレニアル世代が、コロナ禍に向けて立ち上がった。
「国あるいは自治体が運営する個人口座を国民一人ひとりに作る」「医療機関に行く前に医師に症状をスマホで相談できるようにする」「国会図書館のデジタルコレクションを完全オープンにする」――。
■日本を作り替えてやろう
日本をどう作り替えるべきか。ミレニアル世代の声を社会に届けるために生まれた一般社団法人Public Meets Innovation(PMI)は4月13日〜6月30日に政策アイデア・提言をネットで募った。
題して「#コロナを危機で終わらせない」プロジェクト。仕事や生活、娯楽、教育、医療など社会の隅々に及ぶ452件が集まった。
■官僚、弁護士、経営者らが参集した
PMIは代表理事の石山アンジュ(31)が2018年に立ち上げた。ミレニアル世代の声を社会に届けるシンクタンクだ。中央官庁の若手官僚や地方自治体の職員、弁護士、スタートアップ企業の経営者などが参加する。
日本のミレニアル世代は約2100万人に上る。「ここから50年、私たちは生きていく。過去のやり方は未来に通用しないのに日本は相変わらず旧来ルールでしのごうとしている」
■デジタル化の遅れを教訓に
政府や行政のコロナ対策は後手に回った。もし国が運営する個人口座があれば、10万円の特別定額給付金は瞬く間に生活困窮者に届いただろう。スマートフォンで軽症者を切り分けできれば、医療崩壊の心配もずっと減ったはずだ。文献や書籍をオンラインで参照できれば、学生は休校中もずっと簡単に学べたはずだ。
「新型コロナは予想できなかった事態。対応が遅れたり最善策が取れなかったりしたのも仕方ない。でも今回を教訓に日本社会の変えるべき点はしっかり変えていかないといけない」
■シェアエコノミーの伝道師
政府から内閣官房シェアリングエコノミー伝道師に17年、任命されるなどシェアリングエコノミーの旗振り役として知られる。
「モノを持つことが本当に幸せなのか?」。大量生産大量消費社会に疑問があった。従来の価値観にとらわれない発想と物おじしない発言力は同世代の中でも一目置かれている。
「私が求める社会とはテクノロジーを積極的に活用し、自分らしい生き方を自らつくることができる社会です」。19年11月8日、石山の姿は首相官邸にあった。全世代型社会保障検討会議に若手世代の代表として呼ばれた。議長を務める安倍晋三首相らに思いを熱く語った。
1989年に横浜で生まれた。父は作家兼歌手、母は会社員。両親ともにオープンな性格で自宅の一軒家には常に誰かしらが長逗留(ながとうりゅう)している環境だった。両親ともにサンバが趣味。その関係でブラジルのサンバダンサーは常連だった。いろんな人に囲まれて育った。今でいうシェアハウスだ。中学のときに両親が離婚する。それぞれが別のパートナーと家庭を持つと、父と母、そして祖父母らの家を自由に行き来して暮らした。
■時間と空間を共有するみながパートナー
「両親が離婚した気の毒な子ども」。周りは同情の目を向けたが、本人にそんな感覚はなかった。「父と母の新しいパートナーは私にとってお兄さん、お姉さんみたいな存在。どこの家も居心地が良く、複数の居場所があって、むしろ快適だった」。家族であろうとなかろうと時間や場所、物をシェアする暮らし。誰かと何かを共有すると人と人の絆も自然に生まれる。シェアリングの効用にこのころ気付いた。
大学卒業後にリクルートを経て、クラウドワークスに転職。そこで一般社団法人シェアリングエコノミー協会の立ち上げに携わる。家も自動車も家電も衣類も、個人で所有せず、誰かと共有する。使われていない遊休資産を有効活用できれば過剰消費・過剰生産が見直されるなど社会課題も解決できる。ネットが普及し、借りたい人と貸したい人を瞬時に結べる。テクノロジーの進化が豊かな生活に道を開く…はずなのに旧来の価値観や規制がシェアリングエコノミーの普及を阻む。
■所有する必要って本当にあるの?
「例えば地方の限界集落で一人暮らししているおばあちゃん。電車もバスも公共交通機関が廃止されて、買い物に行きたくても交通手段がない。近隣の誰かが買い物に行くときにライドシェアリングで相乗りさせてあげれば問題解決なのに運輸規制が阻む」。そもそも若い世代は所有に関心が薄い。必要なものは必要なときに借りれば身軽で済む。ただ昭和の時代は家や自動車、テレビなどの所有は成功者のステータス。シェアの効用を説いても届かない世代間ギャップがもどかしかった。
そんなときPMI設立に至る決定的な出来事が起こる。
■ぶつかった年功序列の壁
「比例代表制の名簿から漏れました。申し訳ありません」。17年10月、衆議院選挙の告示日を間近に控え、連絡が入った。シェアリングエコノミー普及活動を引っ張る石山の姿が、ある政党の若手リーダーの目に留まった。立候補の打診を受け、思いを国会に届けられると内諾した。出馬に向けひそかに準備を進めていた。だが最終段階で選に漏れた。若さゆえの実績の乏しさ。既存政党は年功の壁が厚かった。
「このままでは終われない」。闘志に火が付いた。「公認をもらえ、当選できていたとしても、主張を通すまでどれだけ待たされることだろう」。ミレニアル世代の声を社会に直接届ける手段を考え、PMI設立に動いた。
■できない理由を探しても仕方がない
今回集まったアイデアや提言は国会議員や関係自治体に届ける。さらにネット上で賛同者を募り、具体化の道も探る。弁護士の手を借りて実現に必要な法制度・改定案をまとめたり、IT企業にプラットフォームやアプリの開発を働きかけたりする考えだ。
もちろん実現のハードルは高い。「でも『今のルールでできません』を繰り返していては今後も日本社会は何も変わらない」。コロナを危機で終わらせない――石山の挑戦は続く。
=敬称略、つづく
(編集委員 石塚由紀夫)
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