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2017年12月24日

暗躍する森林ブローカー 買いたたきが阻む成長 政策 現場を歩く

世界中で木材が不足気味になっている。ほとんどの国が輸出禁止にしてしまった。森林の減少で地球規模の天候不順になっている。
私は週に2回、伊那市高遠を通過する。その時感じるのは、木材の運搬が活発にになっていることです。国産材が動き出したということです。好いことなんですが・・・・・。


暗躍する森林ブローカー 買いたたきが阻む成長 政策 現場を歩く
2017/12/24 6:30日本経済新聞 電子版


スギ素材の生産量が26年続けて全国1位の宮崎県で、木材を伐採する権利を売買する仲介業者(ブローカー)を巡るトラブルが増えている。森林の所有者が持つ伐採権を仲介業者が買いたたくほか、権利を持たない隣接地のスギまで切ってしまうといった問題が多発しているのだ。森林保全の財源とする「森林環境税」を2024年度に創設することが決まり、林業活性化への期待は高まっている。農林水産省も「成長産業化」を掲げるが、現場の実情はそれほど甘くない。

■広がる誤伐・盗伐

 「この山は仲介業者に伐採を持ちかけられたんです」。宮崎市の中心街から車で約30分。宮崎中央森林組合の奈須隆男・事業課長は斜面に切り株が並ぶ小高い山を見ながらつぶやいた。


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森林組合に伐採を依頼する所有者は多い(宮崎市)

 山には樹齢40年を超えた伐採適齢期の木が並んでいた。奈須さんによると、山の裏側の斜面は仲介業者が複数の所有者から伐採権を集めて伐採した。中央森林組合が請け負った部分の所有者は仲介業者による境界トラブルなどを懸念して、森林組合に伐採を依頼したという。

 仲介業者は買い手がつかない小さな面積の山林を持つ所有者から伐採権を買う。複数の所有者から集めた権利をまとめて大きくした後は伐採業者に権利を売り、伐採業者は切った木を市場などで販売する。

 この仲介業者が関わる伐採で、所有者が森林組合に相談するケースは珍しくない。仲介業者が所有者から権利を安く買いたたいたり、伐採業者に権利を売る際に間違った境界を示して誤伐を起こしたりするケースが目立つためだ。宮崎県によると、山中の境界線を誤って伐採する「誤伐」や、所有者が知らない間に木を伐採する「盗伐」の疑いがあった事例は17年4〜10月ですでに20件。19件だった前年度を上回っている。

 普段から自身の山をしっかり管理している所有者は多くはない。木材の適正価格が分からないことも多い。こんな所有者の状況が、仲介業者とのトラブルを招く。奈須さんによると、仲介業者の中には適正価格よりも3割ほど安い価格で買い取ることもあるという。「仲介業務は資格の必要もなく誰でも簡単にできる」(宮崎県森林組合連合会の湯浅康博・共販課長)ため、元林業従事者や元会社員など経歴は多岐にわたるという。

 森林トラブルには主に2つの要因がある。1つは宮崎県内の多くの森林が伐採期を迎えていることだ。九州南部は戦後に早くから植林が進み、気候が温暖で木の成長が早い。宮崎県の山林は全国に先駆けて伐採期に入っており、仲介業者が所有者に伐採を持ちかけやすい。

 もう1つの要因は小規模な所有者が多いことだ。宮崎県は土地の8割近くを森林が占めるが、同じ山に所有者が複数いることは珍しくない。所有者が多くいるほど集約の手間はかかるが、山の管理に関心の低い人も多い。「所有者の目の前に現金を積んで、伐採権の買い取りを持ちかける仲介業者もいる」(奈須氏)という。

■警察と森林パトロール

 悪質な仲介業者を重く見た行政は対策に動き出している。今年8月には県や業界団体、県警などが誤伐・盗伐の対策に関する協定を結んだ。定期的に山に出入りする森林組合などと行政が現場の情報を共有するほか、警察と共同で森林パトロールをして山に異常がないか目を光らせる。

 小規模所有者が多いのは宮崎県だけではない。林野庁によると、全国の山林所有者の7割超が所有面積5ヘクタール未満の小規模所有者だ。宮崎県と同じように戦後に植えた木が多い。これから本格的に伐採期を迎えると、宮崎県で問題となっている誤伐・盗伐といった森林トラブルが「全国各地で起こる可能性がある」(林野庁幹部)。

 全国の山が伐採期を迎えようとするなか、農林水産省は林業を成長産業にしようとしている。19年度には未利用の森林を意欲ある林業経営者に貸し出す制度をつくる。経営を大規模にすることで林業の競争力強化につなげる狙いだ。ただ、宮崎県で多発する森林トラブルが全国でも起きれば所有者が貸し出しに及び腰になる可能性がある。林業の成長産業化には、悪質な仲介業者が出てこない仕組みづくりが必要になる。


タグ:木材
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